2016年7月17日日曜日

中国はSCSを閉鎖し世界に5兆ドルの損害を与える選択に踏み切るのか



筆者は経済合理性がないから中国が南シナ海をほぼ全域を閉鎖することはないと見ているようですが、面子を潰された中国がどんな手を打ってくるかは正直わかりません。一連の動きは10月の国慶節を前に出てくるのではないでしょうか。国民の不満が自分たちに向かうとまずいので、また狙い易い日本を標的にした示威活動が発生するかもしれません。中国在留邦人の安全が危険になるかもしれませんし、尖閣でも大きな動きが出てかもしれません。資源埋蔵が有望とわかって声高に領有を主張するのは尖閣とも似ていますね

The National Interest


$5 Trillion Meltdown: What If China Shuts Down the South China Sea?


July 16, 2016

中国はミュージックビデオ、論説その他の多様なプロパガンダ手法からPLA海軍艦艇の実弾射撃まで駆使し、国際法廷の下した結果に反発している。法廷は中国の南シナ海支配を「無効かつ取り消し」とした。だが防空識別圏の設定以外に中国が更に一歩踏み込んで「九段線」内海域を立ち入り禁止と宣言したら経済にどんな影響がでるだろうか。
  1. 1947年に当時の国民党政権が曖昧に定義した九段線は南シナ海のほぼ9割を囲んでほぼメキシコの面積と同じで中国本土からは千キロ離れ、マレーシア、フィリピン、台湾、ヴィエトナムがそれぞれ領有を集中する場所を含む。
  2. 中国も航行の自由から恩恵を多大に受けているが、その他各国にも問題海域は通商航路として死活的で、日本、韓国、オーストラリアが行方に気をもんでいるはずだ。
  3. ここを通過する貿易は年間5兆ドルといわれ、世界の貨物船の半分が通過し、交通量も世界の3分の1を占める。
  4. マラッカ海峡とインド洋を通過する原油は南シナ海経由で東アジアに到達し、その量はスエズ運河を通過する原油の三倍、パナマ運河の15倍に達している。
  5. 原油輸入の大部分が南シナ海経由で各国に入る。韓国は三分の二、日本や台湾は六割、中国は8割だ。
  6. タンカー航路をロンボク海峡経由でフィリピン東部通過に変えた場合、日本では6億ドル、韓国は2.7億ドルの追加支出となるとの試算がある。
  7. オーストラリアから南シナ海を通過する貨物の流れは中国向けだが南シナ海が通過できなくなると航路変更で年間200億ドルの追加コストになる。

豊富な石油ガス資源

  1. 中国が南シナ海を狙う理由に石油ガスの巨大な埋蔵可能性もある。ここを「第二のペルシア湾」と呼ぶ専門家もいるほどだ。
  2. 米エネルギー情報庁試算では南シナ海に110億バレル相当の原油があり、メキシコの石油埋蔵量の規模で、天然ガスは190兆立方フィート(約5.4兆立法メートル)で中国のガス需要28年分相当だ。中国海洋石油は200億ドルを投資し1,250億バレル、500兆立方フィート(約14兆立法メートル)の天然ガスの推定埋蔵量を確かめようとしている。
  3. 推定が正しくても商業的に採掘が可能か意見が分かれるが、南シナ海がサウジアラビア除けば世界最大量の石油が眠る場所になる。
  4. ただし埋蔵地点は深海部分が多いことに注意が必要で、採掘は技術的にも経済的にも困難だ。中国にしても現在の原油価格低迷を考えれば安く既存の生産地から入手するほうが近道だ。だがフィリピンやヴィエトナムにとって南シナ海の石油ガスの経済可能性を失うことは深刻だ。

漁業権

  1. 中国沿海部で漁業資源が減少しており中国漁船は遠征漁業を続けており、インドネシア領海まで進出し摩擦が増加している。
  2. 中国は2012年以来南シナ海から他国漁船を排除してきたが、完全閉鎖した場合の東南アジアの被害は遥かに拡大する。商業漁業じゃGDP比でインドネシアで3%、マレーシア、フィリピン、タイランドでもほぼ2%になっている。

中国にとって閉鎖は意味があるのか
  1. 中国は貿易取扱量を武器に実質上すべての東南アジア各国に強い立場だ。ASEAN統計では2014年に中国は東南アジア全体の輸出の5分の一、EUは八分の一、日本は十分の一だった。
  2. マルコム・クックのようにカンボジア、ラオス、ミャンマーを除けば覇権を及ぼす事はできないが、南シナ海を閉じれば東南アジアのみならず周辺の経済大国、日本、韓国、オーストラリアも物流の制限で経済損失を被るとの見方がある。
  3. 仮に危機がエスカレートした場合、最も損失を発生させるのは貿易の中断で世界で唯一経済活動が活発な地域の足を引っ張ることだ。中国にとっても閉鎖の代償は南シナ海を開放して生まれる利益をうわまわるはずだ。

筆者アンソニー・フェンソムはオーストラリア・ブリスベーンでフリーランス記者をしながらアジア太平洋地区での金融・メデイア業界のコンサルタントをしている。

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