スキップしてメイン コンテンツに移動

★ISIS逃走車列への空爆は古典戦法の最新事例だ



ファルージャを奪回されISISは必死の逃走を試みましたが、空爆で全滅したようです。これを屈辱と考え世界各地でのテロ活動に自暴自棄で向かう可能性がありますので、セキュリティ体制を上げる必要があります。逃走中の敵の背中を撃つのは何ら問題ない、というのが今回の記事の趣旨です。


War Is Boring We go to war so you don’t have to

The Attack on an Islamic State Convoy Is a Tactic as Old as War

Killing retreating soldiers has a long — and totally legal — history

by ROBERT BECKHUSEN


The Islamic State convoy under air attack from Iraqi helicopters. Photo via YouTube
  1. イラク陸軍部隊がイスラム国が占拠するファルージャ市で最後の部分を奪回すると500両以上の車両が市街を離れ、シリア方面に向かった。砂漠地帯の道路上で車列は空爆を受けた。
  2. その結果、戦闘員や装備を一回の攻撃では最大規模で撃滅する結果となり、イスラム国は最悪の敗北を喫した。
  3. ワシントンポストによれば車列は二つに分かれていたが150両以上が破壊されたと米軍、イラク軍関係者が話している。
  4. 死者数は不明だが米試算では戦闘員250名だったという。目撃者の談で一部戦闘員が途中で衣服を脱ぎ砂漠に逃げ出したという。
  5. 攻撃を加えたのはイラクのMi-28ハヴォックガンシップ一機、セスナ・キャラバン対地攻撃機編隊および米軍機数機であった。米主導の連合軍が発表した画像では車列に爆弾が命中して各部が打撃を受けたあと、路上は爆弾等で掃射されている。
  6. イラク国内のソーシャルメディアでは遺体数体が写っており、迷彩服を着ているもの含め路肩に並んでいる。二番目の車列も攻撃され乗り捨てられた車両中には改装「テクニカル」もあり、道路に残骸をさらしている。
Operation Inherent Resolve capture
  1. ダーイシュの行動の動機をつきとめようとしている」とペンタゴン報道官クリス・ガーヴァー大佐がポスト紙に語っている。「今の段階で言えるのはダーイシュも白昼堂々と車列を組めば結果はわかっていたはずで、連合軍はイラク航空部隊の空爆で壊滅状態になることは明白だ」
  2. 今回の空爆で民間人も巻き添え被害を受けた可能性はある。
  3. イラク軍のヤヒヤ・ラソウル准将によればイスラム国戦闘員は家族を引き連れて移動し、ポスト紙は「連合軍航空隊は民間人同行と思われた車列は空爆しなかった」と報じている。
  4. 退却する部隊を狙い撃ちするのは卑劣であるが合法である。
  5. ジュネーブ協定では降参する兵員の殺害を禁じるが、逃走の場合は除外している。撤退中の兵員は発砲など戦闘行為をしなくても敵戦闘員とみなされる。
  6. 米海軍ハンドブックでは「戦闘員あるいは敵部隊が撤退中あるいは戦場を離脱する際に抵抗をしない場合でに降伏の意図があるとみなしてはいけない。撤退部隊が武装装備を放棄しても同じ」としている。
  7. イスラム国戦闘員が民間人を帯同して移動し、民間人に同行を強制した場合は、「民間人を利用し軍事行動の対象から逃れようとした」ことになり戦争法違反になると国際刑事裁判所の法令で示されている。
  8. 軍事史には逃走部隊が攻撃を受けた事例が豊富にある。移動中の軍部隊は最大の損失を受ける事は歴史が証明しており、逆に前進中の部隊は敵撤退を最大の損害を与える機会にしようとする。
  9. 湾岸戦争では米軍とカナダ軍はクウェートから逃走中のイラク軍数百名を死のハイウェイ上で殺害し、車両1,800台から2,700台を10時間の空爆で破壊している。.
  10. ノルマンディー上陸作戦に続き連合軍地上部隊はドイツ第七軍および第五機甲軍を包囲殲滅している。ドイツ軍が包囲網を突破する動きを見せると即連合軍が車列を空爆していた。
  11. アフガニスタンの現地部族が英軍事史上最悪の敗北を与えたのは1842年のことで英軍がカブールから退却する際で英軍兵士4,500名民間人12,000名が繰り返し待ち伏せ攻撃を受けて殺害されている。これより大きな規模の効果を上げたのはロシア軍で、ナポレオン軍が1812年冬に撤退するところを襲い、40万名ものフランス軍が死んでいる。
  12. もっと前では紀元前490年に、アテネ軍はマラソンの戦いでペルシア軍数千名を虐殺している。
  13. 逃走中の敵を攻撃するのは容易であり心理効果が高い。
  14. 死刑執行前に死刑囚の目をふさぐのは心理的トラウマを少なくしてやるためだ。同じ効果が逃走中の敵部隊に射撃を加える際にもあり、敵部隊が背中を見せて逃げるところを撃つのは容易だ。
  15. 走り逃げようとする動物を見ると普段はおとなしい犬も走る動物はことごとく追いかけ倒そうとする。背中を見せた段階でもう危険になる。反対の立場だと追い詰めようという本能が働き、逃走する敵を殺したくなるのだ、との解説もある。
  16. イラク、シリアの戦場画像多数からも逃走を図る敵兵に発砲するのは敵味方問わず共通だとわかる。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★イージスアショア導入でミサイル防衛体制強化を目指す日本

LEAH GARTON—MISSILE DEFENSE AGENCY

防衛大綱にまで記述している以上イージスアショアの導入は固いところです。が、文中に指摘あるように対外有償軍事援助=販売として許認可を持つのは米政府ですので、今後の米中関係など他の影響も考慮すべきでしょう。ただし、中国の反対意見は無視するとしても、中国が沖縄と同様に国内反対派に火をつけることのほうが怖い気がしますが。
Japan May Acquire Aegis Ashore To Defend Itself From North Korean Missiles日本がイージスアショア導入を検討中。北朝鮮ミサイル防衛を目指す。The system is especially well suited for Japan's strategic needs, but China would not be pleased with seeing it setup on Japanese shores.日本の戦略的ニーズにぴったりだが、導入されれば中国がたまっていないだろう。BY TYLER ROGOWAYMAY 5, 2017 http://www.thedrive.com/the-war-zone/10012/japan-may-acquire-aegis-ashore-to-defend-itself-from-north-korean-missiles
日本がイージスアショアミサイル防衛装備の導入で北朝鮮弾道ミサイル脅威に効果的対応が可能になるか検討を急いでいる。 THAAD導入も検討したがイージスアショアの有効距離が大きいことで日本の地理条件に合い戦略上の狙いにも合致すると判断した。またイージスアショアが日本のミサイル防衛能力装備の水上艦と相互運用性がありセンサー、発射装置、迎撃体、運用方法を共通化できることも好条件だ。 価格も問題だ。ジャパンタイムズは「THAAD一個部隊は1,250億円で全土防衛に6隊が必要だ。イージスアショアは800億円程度で二個編成で同じ面積をカバーできる」と伝えている。イージスアショアはPAC-3ペイトリオット部隊と陸上配備ミサイル防衛の二重構成とし、短距離、中距離弾道ミサイルが大気圏再突入後に迎撃する。 イージスアショアはルーマニアのデヴェセルに導入済みだ。AP 日本の地理条件…