ファルージャを奪回されISISは必死の逃走を試みましたが、空爆で全滅したようです。これを屈辱と考え世界各地でのテロ活動に自暴自棄で向かう可能性がありますので、セキュリティ体制を上げる必要があります。逃走中の敵の背中を撃つのは何ら問題ない、というのが今回の記事の趣旨です。
The Attack on an Islamic State Convoy Is a Tactic as Old as War
Killing retreating soldiers has a long — and totally legal — history
by ROBERT BECKHUSEN
https://warisboring.com/the-attack-on-an-islamic-state-convoy-is-a-tactic-as-old-as-war-1c53109896ab
- イラク陸軍部隊がイスラム国が占拠するファルージャ市で最後の部分を奪回すると500両以上の車両が市街を離れ、シリア方面に向かった。砂漠地帯の道路上で車列は空爆を受けた。
- その結果、戦闘員や装備を一回の攻撃では最大規模で撃滅する結果となり、イスラム国は最悪の敗北を喫した。
- ワシントンポストによれば車列は二つに分かれていたが150両以上が破壊されたと米軍、イラク軍関係者が話している。
- 死者数は不明だが米試算では戦闘員250名だったという。目撃者の談で一部戦闘員が途中で衣服を脱ぎ砂漠に逃げ出したという。
- 攻撃を加えたのはイラクのMi-28ハヴォックガンシップ一機、セスナ・キャラバン対地攻撃機編隊および米軍機数機であった。米主導の連合軍が発表した画像では車列に爆弾が命中して各部が打撃を受けたあと、路上は爆弾等で掃射されている。
- イラク国内のソーシャルメディアでは遺体数体が写っており、迷彩服を着ているもの含め路肩に並んでいる。二番目の車列も攻撃され乗り捨てられた車両中には改装「テクニカル」もあり、道路に残骸をさらしている。
Operation Inherent Resolve capture
- 「ダーイシュの行動の動機をつきとめようとしている」とペンタゴン報道官クリス・ガーヴァー大佐がポスト紙に語っている。「今の段階で言えるのはダーイシュも白昼堂々と車列を組めば結果はわかっていたはずで、連合軍はイラク航空部隊の空爆で壊滅状態になることは明白だ」
- 今回の空爆で民間人も巻き添え被害を受けた可能性はある。
- イラク軍のヤヒヤ・ラソウル准将によればイスラム国戦闘員は家族を引き連れて移動し、ポスト紙は「連合軍航空隊は民間人同行と思われた車列は空爆しなかった」と報じている。
- 退却する部隊を狙い撃ちするのは卑劣であるが合法である。
- ジュネーブ協定では降参する兵員の殺害を禁じるが、逃走の場合は除外している。撤退中の兵員は発砲など戦闘行為をしなくても敵戦闘員とみなされる。
- 米海軍ハンドブックでは「戦闘員あるいは敵部隊が撤退中あるいは戦場を離脱する際に抵抗をしない場合でに降伏の意図があるとみなしてはいけない。撤退部隊が武装装備を放棄しても同じ」としている。
- イスラム国戦闘員が民間人を帯同して移動し、民間人に同行を強制した場合は、「民間人を利用し軍事行動の対象から逃れようとした」ことになり戦争法違反になると国際刑事裁判所の法令で示されている。
- 軍事史には逃走部隊が攻撃を受けた事例が豊富にある。移動中の軍部隊は最大の損失を受ける事は歴史が証明しており、逆に前進中の部隊は敵撤退を最大の損害を与える機会にしようとする。
- 湾岸戦争では米軍とカナダ軍はクウェートから逃走中のイラク軍数百名を死のハイウェイ上で殺害し、車両1,800台から2,700台を10時間の空爆で破壊している。.
- ノルマンディー上陸作戦に続き連合軍地上部隊はドイツ第七軍および第五機甲軍を包囲殲滅している。ドイツ軍が包囲網を突破する動きを見せると即連合軍が車列を空爆していた。
- アフガニスタンの現地部族が英軍事史上最悪の敗北を与えたのは1842年のことで英軍がカブールから退却する際で英軍兵士4,500名民間人12,000名が繰り返し待ち伏せ攻撃を受けて殺害されている。これより大きな規模の効果を上げたのはロシア軍で、ナポレオン軍が1812年冬に撤退するところを襲い、40万名ものフランス軍が死んでいる。
- もっと前では紀元前490年に、アテネ軍はマラソンの戦いでペルシア軍数千名を虐殺している。
- 逃走中の敵を攻撃するのは容易であり心理効果が高い。
- 死刑執行前に死刑囚の目をふさぐのは心理的トラウマを少なくしてやるためだ。同じ効果が逃走中の敵部隊に射撃を加える際にもあり、敵部隊が背中を見せて逃げるところを撃つのは容易だ。
- 走り逃げようとする動物を見ると普段はおとなしい犬も走る動物はことごとく追いかけ倒そうとする。背中を見せた段階でもう危険になる。反対の立場だと追い詰めようという本能が働き、逃走する敵を殺したくなるのだ、との解説もある。
- イラク、シリアの戦場画像多数からも逃走を図る敵兵に発砲するのは敵味方問わず共通だとわかる。■
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