スキップしてメイン コンテンツに移動

米空軍戦闘機パイロット不足700名、空軍長官・参謀総長の対応策とは

景気がよく軍パイロットが残らないため戦闘機パイロットが不足とのことで、空軍にはつらい状況のようですが、無人機の拡充に進む契機のひとつにもなりそうですね。人口減少が加速する日本では大丈夫なのでしょうか。空軍長官も参謀総長も専門サイトに見解を発表するのは米国のすごいところで日本にも参考になるはずです。

The US Air Force Is Short 700 Fighter Pilots. Here’s Our Plan to Fix That.

At Bagram Air Base, Afghanistan, a U.S. Air Force F-16 Fighting Falcon “Triple Nickel” aircraft pilot assigned to the 555th Expeditionary Fighter Squadron from Aviano Air Base, Italy, awaits weapons check, July 14, 2015.U.S. AIR FORCE PHOTO BY TECH. SGT. JOSEPH SWAFFORD/RELEASED
  • BY DEBORAH LEE JAMES
  • GEN. DAVE GOLDFEIN
  • JULY 14, 2016
かつてない多忙な中で規模を大幅に縮小した米空軍はパイロット賞与を増額し、家族と過ごせる時間をより多く与え、民間航空部門や好調な経済と対抗すべきだ。

ペンタゴンの様々なリーダーシップの現場でいろいろ考えさせられる場面がある。その一つに米経済に良いことが全志願制の米軍に深刻な問題となる、ということがある。低失業率で活発な雇用は国にとっては朗報だが各軍には隊員の新規確保と人材つなぎとめが難題となる。

  1. 具体的には戦闘機パイロット不足が拡大中だ。500名から700名が今年度末に不足すると見られ、世界各地で作戦展開の必要水準から21%足りない。これだけの乖離は深刻で注視すべきだ。しかも空軍だけではない。海軍、海兵隊も同様の問題に直面しているのは民間エアライン業界が定年パイロット退職に伴い大規模な採用を続けているせいだ。また新基準でエアラインパイロットの年間操縦時間が1,500時間上限となり軍が養成したパイロットが改めて注目されている。

  1. ただしエアライン業界だけが空軍パイロット不足の原因ではない。飛行時間の大幅削減はペンタゴン予算の削減が出発点だが、海外勤務が終わると急に手取り収入が下がり生活を切り詰める必要があることも一因だ。間違いなく問題は悪化の一方で解決の兆しは見えない。

  1. 筆者両名の責務はリーダーとしてこの課題に正面から立ち向かい、良識ある方法で原因を根本解決し、空軍隊員各位に隊に留まる確たる理由を実感させることだ。軍パイロットも民間パイロットも国の安全と商業活動でそれぞれ重責を担う必要不可欠な要素だ。

  1. 空軍はパイロット不足を以前も経験しており、民生部門の雇用ピークに影響される周期現象と理解しているが、今回の影響は深刻だ。空軍は25年間に渡り戦闘を継続しており、ここまで業務が多忙になったことはなく、一方でここまで規模を縮小したことはない。そのためパイロットのみならず人員全般の不足への対策で判断誤りのk許容範囲がない。民生部門なら既存の労働市場に求人すれば欠員解消できるが、軍では技能専門職を自ら育成する必要があり、相当の期間を要する。

  1. 以上を念頭に現状を逆転しパイロットをつなぎとめる策を果敢に実行に移す。新規パイロット養成を拡大し、第一線飛行部隊で時間を食う間接業務の負担を軽減し、飛行手当の拡充を図る。議会も問題の深刻さを認識し空軍に残る中堅パイロットの年間賞与を増額する提案が議会に提出されている。賞与25千ドルは1999年から据え置きのままだがインフレで価値は下がっている。

  1. 経験から金銭がすべてではないとわかっているが、軍人が民生部門の給与水準に魅力を感じると軍にとどまるか去るかの分かれ目になるのは棒給額だ。今のところ賞与を受け取るのは少数の戦闘機パイロットの男女だけで金額も低い。必要な措置を講じ水準を引き上げ意味のある形にしたい。

  1. 軍の一員が一番幸福感を覚えるのは装備が十分で、予算手当が十分かつ必要な支援を得て持てる力を十分発揮できる時だ。そこで追加措置を取る。戦闘任務から帰還する飛行隊隊員には家族と過ごす時間を十分に与えるとともに操縦訓練予算を潤沢に確保してキャリアを引き上げる道を開く。飛行時間の問題の課題のひとつは整備要員を確保し機材を飛行させることだ。

  1. 人員対策を各種検討し、整備人員不足のため機材を遊ばせておくことがないようにしたい。パイロットも整備員もともに民生部門が狙う人材であり、空軍はエアライン業界と協議し、国防のニーズと民間部門のニーズを調整したい。さらに言うまでもないことだが、健全な方向性に留まる中で予算強制削減措置の再発の余裕はないのだ。

  1. 現時点で特に重要なのはパイロット全体に実行可能な対策を打っていると示すことだ。米国、友邦国にとって世界が危険な場になっている事実そのものは変えられないが、空軍力は統合運用の中で世界各地で安定の実現手段である。経済活況の中で空軍の有能人材が引きぬかれていると嘆くばかりではダメだ。

  1. なすべきは各隊員に任務の意味を思い起こさせ軍に残る確たる理由を与えることだ。


デボラ・リー・ジェイムスは空軍長官、デイヴ・ゴールドファイン大将は空軍参謀総長。

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ