NGADはさておき、KC-46は米国以外には日本、イスラエルぐらいしか採用がないのですが、このままA330MRTTが米空軍も採用すれば、日本も対応を考えざるべき事態が生まれそうですね。
ポイント: ボーイングはこれまでKC-46で50億ドル近くを失いながら、進捗は予定から遅れつつ、それでいて生産をこなせない観がある。
F-22後継機は航続距離が伸び、兵装搭載量が増え世界最高峰の制空戦闘機でありながら、対地攻撃もこなす機材になると空軍参謀総長が議会で発言した。
次世代制空戦闘機(NGAD)は単一機種ではなく、各型式で異なる任務をこなす機体になるとCQブラウン大将は下院軍事委員会(HASC)の2022年度予算要求公聴会で明らかにした。
一番驚かされたのはNGADに「対地攻撃能力も付与し、航空部隊や統合部隊に選択肢を広げる」とブラウン大将が発言したことだ。
Air Force Magazineは「空軍戦闘軍団司令官マーク・D・ケリー大将はNGADは二型式とし、インド太平洋向けに長距離大ペイロード型、ヨーロッパ向けには短距離型とすると述べた」と伝えている。
また本日の公聴会で飛び出したビッグニュースがある。一部議員がボーイングに対し旧型KC-135の代替用給油機KC-46を低リスク策で実現するのに時間がかかりすぎ、かつ製造が順調でないと痛烈に批判した。現時点でKC-46は安全な空中給油実施のためカメラシステムを刷新する必要が生まれている。ボーイングは50億ドル損失を発生させながら、事業は数年に及ぶ遅延となっており、製造の基本条件もうまくこなしていないように映る。
HASCで同給油機問題を扱う有力議員ロブ・ウィットマン下院議員はブラウン大将、空軍長官代行ジョン・ロス両名にボーイング向け契約の「見直しを強く求める」と発言した。
空軍上層部の両名は現行の固定価格契約をやり直せば費用増加はほぼ確実と返答した。現在は追加発生費用はすべてボーイング負担としており、空軍並びに納税者は追加費用を一切心配しなくてよい構造になっている。「契約構造を見直せば、事業がさらに遅延するのは確実なので、見直し策には効果はないと考える」とロス長官代行は発言した。
ボーイング幹部を動揺させたにちがいないニュースをDefense Oneが伝えている。空軍が別機種の給油機KC-Yとして160機程度調達の事業への入札希望企業を募集する公告を本日公開した。
「空軍は140-160機程度の民間機派生型給油機を納入可能な企業を求める。機材は年間12-15機納入とし、KC-46Aの生産終了時点で空軍の給油機材を補完するものとし、かつ次期給油機へのつなぎとする」と同文書にある。「民間機派生型給油機は2029年の運用開始とする。空軍は同事業の要求性能をまとめる段階にあるが、基本性能は次期給油機事業の第一段階にもとづくものとし、その他要求は追って空軍が決定する」
ここで想定する戦略給油機メーカーはエアバスしかない。ロッキード・マーティン及びブラジルのエンブラエルは戦術給油機のKC-130、KC-390をそれぞれ生産している。ロッキード・マーティンは「米空軍の調達先選定公示に応じ、ミッション投入可能案を提示し、空軍が求める今後の給油機性能に対応したい」と早くも対応する姿勢を示している。
現行事業をめぐりエアバスはボーイングに敗退した経緯がある。だが、エアバスのA330多用途給油輸送機は米国同盟国のオーストラリア、フランス、英国、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、シンガポール、韓国に加えNATO共同事業体が採用しており、ボーイング案は劣勢に立たされているのが現状だ。エアバスが入札参加を決めれば、A330には採択可能性は十分ある。
ただし前回の選定中にボーイングは各議員に米国に本社を置く企業を採択すべきと働きかけエアバスを打倒した経緯がある。なお、ボーイングからはKC-Y入札参加の意向が表明されている。今回のような大型案件への外国企業参加には議会が抵抗を示す可能性があるが、ボーイングのKC-46生産のお粗末な実績がそもそもの原因で、ドアが開きつつあるといえよう。■
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Air Force Starts KC-Y Tanker Search As Lawmakers Slam KC-46
By COLIN CLARK
on June 16, 2021 at 7:29 PM
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