武漢に作られた実寸大空母モデルの上に機体が確認された。
中国海軍の拡張ぶりには目を見張るものがあり、航空母艦は少なくとも三隻が整備されている。艦載機材に低視認性機はないが、状況は変わりそうだ。新しく出てきた画像に新型ステルス戦闘機が写っている。
ステルス戦闘機では成都J-20や瀋陽FC-31の影に隠れているが、中国にはまだ別の機体があるようだ。J-20は中国空軍PLAAFで供用を開始しており、F-22ラプターに匹敵する機体のようだ。FC-31はこれに対し安価かつ性能を一部省略した機体らしい。同機は瀋陽航空機の自社開発プロジェクトであることに意義がある。
FC-31は当初こそ輸出をねらってきたが、中国海軍PLANでの採用に焦点を移し、空母搭載機になりそうな兆しが強くなってきた。
FC-31はF/A-18Eスーパーホーネット、F-35ライトニングIIとほぼ同等の機体寸法の中型戦闘機だ。またフランスのダッソー・ラファールやインド空母で運用中のMiG-29Kフルクラムにも近い。世代的に一番近いのはF-35でよく比較されている。機体構造はF-35とF-22の特徴に近い。
機体にステルス機の特徴が見られる。初飛行は2013年で開発はまだ続く。試作機は少なくとも3機が確認されている。2020年に生産段階に近づいているとみられていた。
機体内部の兵装庫はF-22に似る。PL-15中距離空対空ミサイルを搭載する。F-35と同様に追加兵装は主翼下のハードポイントに搭載するが、レーダー断面積が増える。
FC-31が空母に搭載されるとの見方が出た理由はコンクリート製空母の存在だ。地上に設置された空母を模した施設を見ると、今後登場する装備の動向がわかる。そのコンクリート空母上に実寸大モデルのステルス機が最近現れた。入手可能な写真を見る限り、機体はFC-31の改修型のようだ。
コンクリート空母は武漢にほぼ10年前に建設されており、開発評価に使用されている。空母建造は中国といえど多大な予算が必要となるので、リスク軽減が必要だ。図面上は有効でも建造すると役に立たない装備になることはよくある。アイランド艦橋からの視界、甲板上の駐機位置や機体の移動経路など詳細な点が問題となる。
実寸大空母テスト施設で空母アイランドや空母自体の設計を試している。コンピュータシミュレーションではわかりかねる点もあり、中国海軍は実際に試すことで設計の有効性に自信を深めているのだろう。
この施設上に現れた実寸大機体のモデルがその後実機となっている。KC-600空中早期基警戒統制機(AEW&C)もその一つだ。同機は米海軍のE-2Dアドバンストホークアイと同等の機体で外観は驚くほど似ている。同機のモックアップがコンクリート空母上に現れたのは2017年だった。試作機は2020年9月に初飛行している。実機はモックアップそのものではないが、極めて似ている。
同様に2013年に新型巡洋艦のモックアップがコンクリート空母横に建設された。これが055型レンハイ級につながり、2020年に就役た。レーダーマストも付近に建設されており、将来装備につながるのだろう。
FC-31の空母搭載型がコンクリート空母上に現れたことが今後の動向を示している。
J-20ではなくFC-31を選定し、現行のJ-15フランカー艦載型の後継機にするのは理屈にあう。J-20は大型戦闘機で、米海軍でF-14トムキャットが小型のF/A-18E/Fスーパーホーネットに交代されたことに似ている。
ただし、FC-31がこのまま順調に採用されるかはわからない。空母運用改修で重量が増え、機構も複雑になる。空母運用戦闘機に共通した課題だ。いずれにせよ、FC-31は中国海軍の戦力拡大の一助となろう。■
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First Sighting Of New Stealth Fighter For Chinese Navy's Aircraft Carriers
H I Sutton 08 Jun 2021
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