NORTHROP GRUMMAN
ここがポイント B-21は2機が完成し、来年の初飛行を前に地上テストの準備に入っている。
米空軍の爆撃機部門の近代化が勢いをつけてきた。高度機密に覆われたノースロップグラマンB-21レイダーステルス爆撃機は2機が完成したとの報せが入ってきた。一方で空軍はレイダー引渡しが始まる2020年代中ごろまでB-1Bは退役させない。空軍内部にはハイエンド脅威に対応できる爆撃機数は十分なのか懸念が強まっている。
B-21の最新状況は爆撃機部隊全体の状況とあわせ昨日の下院軍事委員会公聴会で明らかになった。空軍次官補ダーリーン・コステロからB-21の2機がカリフォーニア・パームデイルのプラント42で完成したと発言があった。初飛行は当初今年12月予定だったが、2022年初頭に変更される。同年中ごろにテスト飛行を展開する。空軍では完成したB-21の2機をどう活用するか明言していないが、地上テストやシミュレーションに活用されるのは確実だろう。
ただしB-21の進展から爆撃機225機体制の実現で空軍に懸念を生んでいる。空軍はB-21と冷戦時のB-52を大幅改修した2機種構成の実現を目指し、現有のB-2(20機)、B-1(61機)、B-52(76機)の合計が157機だが、すべてをこのまま供用し続けるわけではないとする。B-1が45機になる日が近づいており、爆撃機合計は142機になる。
空軍参謀次長デイヴィッド・S・ネイホム中将は225機体制を席上で確約し、B-1およびB-2を退役させれば単純計算で新体制はB-52が76機とB-21の149機になると述べた。ここで忘れてならないのはB-21については機数は確定しておらず、B-52の全体機数に変化がない前提になっていることだ。
B-21で前回の数字は最低145機としたフランク・ケンドール(バイデン大統領により空軍長官に指名された)のものだたった。その前まで空軍はB-21は最低100機生産する予定とのみ明らかにしていた。
「B-21は迅速調達できない」とS・クリントン・ハイノート中将(戦略統合調達担当空軍参謀次長)は同公聴会で発言した。「爆撃機戦力構成に与えるリスクは高い」とし、「うまく処理する必要がある。B-21戦力化は可能限り加速化する必要がある」
U.S. AIR FORCE/AIRMAN FIRST CLASS QUENTIN MARX
B-21レイダー耐環境シェルター試作型の建設がエルスワース空軍基地(サウスダコタ)で今年2月に始まった
最新の2022年度予算要求で空軍はB-21関連で28.73億ドルを求め、前年度から3千万ドル追加した。空軍は増額分を「初期生産準備」に必要としている。
B-21はエドワーズ空軍基地(カリフォーニア)でのテスト後にまずサウスダコタのエルズワース空軍基地へ配備される。その後、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ)、ダイエス空軍基地(テキサス)へ配備が続く。両基地はそれぞれB-2とB-1の配備先になっている。
B-1では消耗度が高い17機がまず退役し、45機のまま、レイダーの到着を待つ。ネイホム中将によれば、B-21が加わるまでB-1はこれ以上の退役はない。「45機を下回らせない。現地指揮官が現在の戦力を今後5年、7年、10年と求めてくるはずだからだ」となるとB-1で燃料系統問題で最近も飛行停止措置があったが、機数削減は打ち止めになりそうだ。
ここ数年はアフガニスタンや中東でB-1が酷使されてきた影響が大きいのをハイノート中将も認めており、今回退役させるB-1の17機は運航経費が高く、供用を続ける価値がないという。
45機になってもB-1の利用率は向上するとネイホムは述べ、理由として整備作業が最も必要な機体が退役するからだという。運用整備面の改善とともに、B-1B各機はここにきて装備運用能力を大幅向上させており、極超音速ミサイル運用のほか、その他装備を外部パイロンに搭載し、対艦攻撃ミッションを新たに追加している。
U.S. AIR FORCE/AIRMAN 1ST CLASS DAMON KASBERG
長距離対艦ミサイル(LRASM)がB-1Bに搭載を待つ。テキサスのダイエス空軍基地。
事業全体はB-21の今後の日程次第であり、関係者は新型機の戦力化にあたり、F-35が同時開発で発生させた事態を繰り返さずに進展できるか気をもんでいる。同時開発とはテスト前に量産を始めることで、コステロ次官補はレイダーでこれは想定していないと発言した。もちろん、B-21でもテストにより何らかの変更が発生する可能性は排除できず、事業全体が遅延するリスクになる。
U.S. AIR FORCE/TODD MAKI
空軍次官補ダーリーン・コステロ(調達、技術、補給活動担当)
実際にB-21の稼働が始まってから、空軍の需要にこたえるべきか増産の可否を決めるとコステロは発言。B-21がRQ-180などその他機材の機能も強化できるとわかれば空軍全体に大きな効果が生まれる。
実際にB-21が公開されるまで、同機では多くが謎のままで、空軍関係者は実際の性能について口を閉ざしたままだ。例として、同機が核兵器運用性能があるのか不明だ。現在のB-2は可能だが、B-1全機は核兵器運用ができない。B-52の一部は核運用能力を取り除いている。この話は新START条約で戦略核兵器削減上で核兵器運搬装備にも上限があるため重要となる。重爆撃機もここに入り、米ロ両国に適用される。ただし、同条約は2026年に失効し、その後どうなるかは不明だ。
U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN LILLIAN MILLER
AGM-86空中発射式巡航ミサイルがB-52Hストラトフォートレスに搭載される。ルイジアナのバークスデイル空軍基地。
搭載する兵装種類に関係なく、B-21で空軍の爆撃戦力は大きな向上が生まれ、20機あまりのB-2やB-1をB-21の150機近くと交代させ、空軍は厳しい空域でも敵防空網突破可能な戦力の整備を進める。一方で必要とされる規模よりはるかに小規模の爆撃機部隊での対応を迫られそうだ。■
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Air Force Corrects Top Official's Statement On B-21 Bomber Progress (Updated)
BY THOMAS NEWDICK JUNE 9, 2021
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