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ここまでやるのか。黒海でロシアがAIS情報を改ざんし、英蘭艦艇による主権侵害を訴えようとしていた。


 

USNI News Illustration

 

NATO艦艇の航路データが捏造され、黒海のロシア海軍基地付近にあるとされたが、本当は180マイル離れた場所を航行していたことをUSNI Newsがつかんだ。

 

英海軍の45型ダーリング級駆逐艦HMSディフェンダーはオランダ海軍のデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートHNLMSエヴァーツェンと6月18日ウクライナのオデッサアに寄港したが、ロシア艦艇が両艦を黒海で監視していたことが米海軍が公表した6月17日付の写真でわかる。

 

自動識別システム(AIS)は各船舶の信号発進で海上交通の安全を図る目的で使用されるが、英蘭海軍の二隻はオデッサを6月18日真夜中前に出港した。データではそのままセヴァストポリへ直行しており、港湾入り口から2カイリ地点へ移動したことになっている。同港はロシア黒海艦隊の母港であり、戦略的な場所だ。

 

AIS情報があるものの、実は二隻はオデッサを離れていなかった明白な証拠がある。ライブウェブカメラの映像では両艦はオデッサを出港していない。このことは地元メディアも認めている。オデッサで両艦がその時間に出港する姿を見たものは皆無だ。ウェブカメラはYouTubeのOdessa Onlineで見ることができる。天気サイトのWindy.comのスクリーンショットでも二隻がオデッサに同日夜は停泊したままだったとわかる。

 

NATO艦艇二隻をロシア海軍の主要基地の湾口にいるようにみせかけて、挑発行為とし、主権侵害と主張したかったのだろう。だが国際社会は英米両国に加えオランダもクリミアをロシア領土と認めていない。

 

英海軍駆逐艦HMSディフェンダー、米駆逐艦USSラブーン、オランダのフリゲート艦HNLMSエヴァーツェンの三隻がが黒海を航行する中、ロシア艦艇が遠方で監視しているのがわかる。(写真後方) June 17, 2021. US Navy Photo

 

 

このような偽装工作を行った理由は不明だが、オープンソース情報の信ぴょう性へ疑いが生まれている。AISもその一種であり、軍のみならず報道機関も多用している。今回はAISによる航路追跡データが操作された証拠がある。NATOにコメントを求めたが応答はなく、航路データそのものはオランダの海軍関係ニュースサイトMarineschepen.nlが偽物であると確認している。

 

AIS情報を収集するMarineTraffic.comもオデッサ付近の受信局チョルモモルスクでAISに情報と同じ内容を得ている。その他のAIS受信局も同様にフェイクの位置情報を示した。HMSディフェンダーはIMO 4907878の識別番号で示され、HNLMSエヴァーツェンはMMSI 244942000オランダ海軍艦艇とされている。そもそも虚偽のAISデータが提示された方法は不明だ。

 

ディフェンダー、エヴァーツェンはともにHMSクイーンエリザベス(R08)を中心とするCSG21空母打撃群の一部で、CSG21の本体は地中海に残り、この二隻が一時的に黒海へ送られ、航行の自由作戦とともに同盟国との演習を展開した。両艦はトルコ、ウクライナ両国を訪問し、演習はルーマニア、ジョージアと展開した。米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦USSラブーン(DDG-58)も両艦に加わった。■

 


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Positions of Two NATO Ships Were Falsified Near Russian Black Sea Naval Base - USNI News


By: H I Sutton

June 21, 2021 2:36 PM

 

コメント

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