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注目ニュース 中国が核融合に一歩近づいた。核融合でエナジーのパラダイムシフトが実現する(ただし中期的に) だが、CCPが夢の技術を世界と共有するだろうか....

 Diagram of China's EAST tokamak fusion reactor.

中国のEASTトカマク核融合炉の構造図。S. L. CHEN, F. VILLONE, B. J. XIAO, L. BARBATO, Z. P. LUO, L. LIU, S. MASTROSTEFANO & Z. XING

 

 

中国のEAST核融合炉が高温保持記録を更新し、核融合に必要な太陽並みの超高温の持続に一歩近づいた。

 

陽の中心部温度は摂氏15百万度だが、5月28日に中国河北省の実験核融合炉がこれに等しい温度を2分間近く達成した。この結果が世界の政治安全保障に及ぼす影響はとてつもなく大きい。

 

核分裂では中性子を原子に投げ込み原子を二つに分裂させ、放射能とエナジーを生むが、核融合は逆に二つの原子を組み合わせる。その結果生まれるエナジーは多くなるものの、放射能廃棄物は生まれない。核融合で安全かつクリーンで再生可能な出力が生まれるという説をエナジー研究者が追い求めてきた。

 

主流となっているのはトカマク型反応炉で1958年にモスクワで初めて稼働された。反応炉はドーナッツ状でプラズマを生成し極度に強い磁場で封じ込める。磁場内の原子は炉心が溶融するまでつながったままで、大重量となり、大規模エナジーを放出する。プリンストンプラズマ物理研究所、ヨーロッパ共同研究所トーラス(英国)が類似の研究をつづkている。

 

中国もトカマクを1998年に設計製造し、第9次五か年計画の主要国家科学事業に位置付けた。実験高度超電導トカマク(EAST)の反応炉が運転開始したのは2007年で、プラズマ形成を安定したまま11年近く維持してきた。今年に入り、同炉はプラズマ温度を摂氏120百万度のまま101秒、160百万ドルを20秒保持する画期的な記録を樹立した。

 

融合を実現するべく超高温状態を維持することが中国の目指す維持可能なエナジー自給自足目標の戦略で鍵となる。中国の経済成長には信頼できるエナジー源が必要だが、同時に脆弱性も生まれる。中国の経済動力源というべき広東省での電力供給不足がその例だ。

 

2019年の中国は一日で原油14百万バレルを消費していた。この7割が中東のOPEC加盟国から海上交通の要衝数か所を経由して輸入されていた。原油価格の上下で海外依存が戦略的脆弱性につながる。有事に輸入が脅かされれば中国国内の工業生産がままならなくなり社会全体にも影響が出る。

 

エナジーの依存を脱することが中国政府の最重要事項であり、実用に耐える核融合炉が登場すれば軍民両面で恩恵が生まれる。この前例が核分裂を利用した大出力だ。

 

トカマク炉以外にも中国は慣性封じ込め融合方式に多大な資金を投入している。これは燃料に高出力レーザーを放射して圧縮することで核融合を開始する方式だ。100ペタワット級レーザーを利用する実験施設超強度光ステーションの建設が上海で始まっている。

 

核融合の重要性を示すのが従来型の核分裂炉でのトラブルで、広東省の台山原子力発電所が燃料棒破損のため放射能漏れを起こし見出し記事になったばかりだ。事件は台山を共同運用するフランス企業フラマトムが米国に伝えてきて発覚した。中国当局が同原子炉を運転中止せず、逆に許容量の二倍で放射性ガスを放出しフランス側が懸念したのだった。核融合が実用化されれば、こうした事案も過去の存在になる。

 

クリーンエナジーの実現で中国政府は現在の深刻な大気汚染による健康被害の削減をめざしている。医学誌ランセットの調査では中国人口の81パーセントはWHOの定める大気汚染目標以上の環境に居住しており、それだけで平均寿命が1.25年減っている。

 

核融合技術はまだ初期段階だが、中国が国産技術で突破口を開いた意味は大きい。信頼性が高い再生可能エナジーの形で恩恵が各国にも及べば、エナジー面の脆弱性が減る効果が現実となる。■

 

 

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China's Fusion Research Is Heating Up

By THOMAS CORBETT and PETER W. SINGER

JUNE 28, 2021

 

Thomas Corbett is a research analyst with BluePath Labs. His areas of focus include Chinese foreign relations, emerging technology, and international economics. 

P.W. Singer is Strategist at New America.


コメント

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