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台山原子力発電所で何が起こっているのか。燃料棒破損を中国が認めたが、相変わらずの透明性欠如で状況がわからず、米国も原発所有企業が反米企業リストにあるため手が出せないようです。

  • 状況はどうなっているのか、例によって中国の透明性欠如のため、ちっともわかりません。当初報道では米国が支援するなどと言っていましたが、原発の所要企業が悪い筋なので簡単に手を差し伸べられない事情があるのですね。本当に困った国ですね。

Taishan Nuclear Power Plant

PUBLIC DOMAIN


ポイント 中国はすべて制御下だと世界に保証しているが、中国南方の原子力発電所の状況はホワイトハウスも注視し続けている。


 

山原子力発電所Taishan Nuclear Power Plant で燃料棒数本が破損し、原子炉建屋内に放射性ガスがたまっている状況を中国がついに認め、生態学のみならず地政学的でも大事故になりかねないとの危惧が世界に広がっている。中国政府は今週に入り放射能異常値は発電所の外で探知されていないと述べたものの、同発電所を共同所有し運営を支援するフランス企業は「放射能の脅威が迫っている」と警告している。

 

原子炉の一つで燃料棒を取り巻く蒸気と冷却水中に放射性ガスがたまってきたことに懸念が高まっている。中国は燃料棒のうち「5本くらい」が破損したと認めているが、発電所自体は600本あまりの燃料棒のうち四分の一が損傷しても安全操業が可能といわれる。フランスの原子力エナジー企業フラマトム(フランス電力EDFの傘下)が発電所の状況を管理し運用支援しているが燃料容器が原子炉内で劣化したことで今回の事態が発生したと説明している。「希ガスが主回路上に発生する現象は知られており、研究され原子炉運営上では想定済み」とEDFは声明を発表している。しかし、ニューヨークタイムズ記事によれば放射性ガスがたまっている原因は「設計、製造、あるいは管理の不具合によるもの」と専門家が見ている。正反対の観測がでているのだが、現時点で台山の危険度がどこまでなのか把握できない。

 

ASSOCIATED PRESS/BOBBY YIP

台山原子力発電所の建造現場で。2013年。

 

台山は広東省にあり、マカオ、香港、広州といった人口稠密地に近く、深センにも近い。この立地で原子力事故となれば健康面の影響は避けられない。香港含む周辺4都市は世界の人口トップ50圏内にあり、合計4千万人が暮らす。

 

GOOGLE MAPS

発電所は主要都市に近い場所にある。

 

CNNはバイデン政権筋の話として米政府は台山の状況は「危機レベル」ではなく、「発電所内関係者や周辺住民に深刻な安全上の脅威となっていない」と見ていると伝えた。しかし、CNNが同時に入手した資料では中国の安全担当官が発言所周辺の放射線許容水準を引き上げ、発電所閉鎖を回避しようとするのを米国は非難している。

 

中国外務省報道官趙立堅Zhao Lijianは報道会見で記者質問にこたえ、「放射線で異常値は発電所周辺で全く探知されていない」と述べた。中国報道機関はほぼ同じ内容を伝えている。「原子力発電所の安全性は保証つき」と中国生態環境省が述べたとChina Dailyが伝えている。「CNN報道は間違いだ」

 

ホワイトハウスの安全保障協議会はここにきて数回開催されており、状況把握につとめている。協議会を主宰するのは中国担当NSC上級ディレクターのローラ・ローゼンバーガー、軍備管理担当の上級ディレクターのマロリー・スチュワートだ。さらにホワイトハウスは中国フランス両国政府と連絡を密にしており、エナジー省(DOE)の専門家の意見も聴取している。CNNが米政府関係者に現時点での評価を尋ねたが、断られた。とはいえ現在有効な各種条約によれば米国は原子力災害による中国一般国民へのリスクをあらかじめ把握しておく必要がある。

 

CNNではフラマトム社から米エナジー省に放射性ガスの増加による危険度の評価の支援を求めてきたと報じている。フラマトムの親会社EDFが同発電所の株式30パーセントを、中国広核集団(CGN)が70パーセントをそれぞれ保有する。だがCGNは米国の外交政策に反する企業としてリストアップされており、このため米国の、あるいは米国所有の企業は同社と商取引が禁じられている。フラマトムは米国に対し禁止措置を一時的に止め、米国の原子力専門家の支援を受けられるよう要請してきたといわれる。

 

「状況は所内並びに周辺住民に放射能の危機を今にも生みそうなので、フラマトムは技術データとともに技術支援を入手する許可をすみやかに得て、発電所の運転を正常に戻す必要がある」と6月8日付でフラマトムがエナジー省に送った書簡が伝えているとCNNは報道した。

 

深刻な見出しの報道がある一方で、一部専門家には原子力災害が発生寸前との評価に疑問を投げかける向きもある。国際原子力エナジー機関(IAEA)からは放射性事故が発生したとの報告は入っていないとの声明が出ている。南カリフォーニア大の原子力安全専門家、ナジメディン・メシュカティはニューヨークタイムズに燃料棒破損はたびたび発生しており、台山の現状がそのまま周辺住民の深刻な脅威とは考えにくいと述べている。

 

一方で、EDFエナジーの広報は状況は深刻ながら制御下にあると述べている。「炉心溶融の事故想定ではない。放射能汚染も想定しておらず、あくまでも制御しながらの放出だ」と述べた。EDFは別の声明文も発表しており、同じ論調だ。「入手できたデータを見ると、同発電所は安全許容範囲内で運転中だ」とし、「当社チームが関係者とともに状況評価とともに解決策を模索しており、問題解決を目指している」とある。

 

台山原子力発電所の燃料棒破損で発生する危険度では評価がわかれているが、原子力災害が人口稠密地付近で発生し、放射線レベルが危険な水準になれば、中国や香港の住民にパニックが発生しかねない。ただでさえ、南シナ海をめぐり緊張が高まっる中で、原子力災害が加われば、健康上の影響が中国国内に限定される保証もない。

 

台山での状況の推移については今後も新情報が入手次第お伝えていきたい。■

 

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Global Concerns And Questions Grow As China Admits Fuel Rods At Nuclear Plant Are Damaged

BY BRETT TINGLEY JUNE 16, 2021


 

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