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台山原発への世界の懸念に環球時報が予想通りの反論。しかし、日本批判を潜り込ませ、かつその論調は低劣。やはりCCPの品格を反映しているのかな。

 環球時報は中共のプロパガンダ紙といわれますので、この記事、かなり長文です、は公式見解を意識して書かれているのでしょう。それにしてもなぜ日本に悪意のある書き方をするのか、理解に苦しみます。当然ながら今回の事態を米政府が注視していることはまったく記述がありません。西側の報道が間違うこともありますが、自由な報道は官製のお手盛り報道とは全く違う機能を果たします。さて、放射能レベルの上昇自体を軽視するような態度は理解に苦しみますね。

   

Photo:Xinhua

Photo:Xinhua

 

 

際原子力エナジー機関(IAEA)が中国原子力エナジー集団(CAEA)から台山原子力発電所に関する情報提供を受けたことを6月16日認め、放射線漏れは発生しておらず、環境への懸念もないとした。

 

CAEAからはIAEAに「発電所の一号機で小規模の燃料棒不良があり、同機原子炉冷却水で放射能が増加した」と伝えている。

 

CAEAはさらに原子力発電の稼働ではよくある事象であり、手順撮りに対処しているともIAEAへ伝えた。現場のモニタリング結果と専門家の評価によれば、同機の運転状況は一次冷却水の放射能レベルも含め正常状態の範囲内であるという。

 

台山原子力発電所周辺の放射線モニタリングは正常値のままで、同発電所からの放射能漏れが発生していないことを示していると中国生態環境省MEE)は6月16日発表し、放射能漏れと伝えたCNNを否定し、事態への懸念を払しょくした。

 

中国の最上級安全規制機関MEEは台山原発周辺で放射能許容限界の引き上げを認めたことはなく、ここでもCNN報道は事実と反すると同省は述べた。同原子力発電所の安全は保証付きと同省は発言。

 

一号機の一次冷却材中の体積あるいは重量あたり放射能量が運転中に上昇したが、安定運転の許容範囲内であると判明した。

 

一号機の冷却回路中の放射能レベル上昇は主に燃料棒破損に関連している。制御不可能な要素が燃料棒製造過程、輸送段階、現地投入段階に発生し、燃料棒の一部に損傷が発生するのは避けられない。また、原子力発電所の運転ではよく発生するとMEEは説明している。世界各地の原子力発電所多数で燃料棒破損は見つかっているが、運転に支障は生じていないことがデータからわかる。

 

台山発電所の一号機炉心には燃料棒が6万本あるが、破損したのは5本程度とみられ、全体の0.01パーセントにすぎず、設計上の燃料棒事故想定の0.25パーセントを大きく下回ると当局は説明。

 

さらに一号機の主要回路で放射能レベル上昇が発生したが放射能漏れ事故とは全く違う状況とMEEが強調している。原子炉冷却系統の圧力限界とならび放射能を封じ込める機能を果たす封じ込めシール材は要求に合致しており、放射能は外部に全く漏れていない。この二つの物理的な守りが安全を確保しているという。

 

CNNは14日月曜日に「中国安全当局が放射能探知の限界を引き上げている」とし、あたかも発電所が運転停止を逃れようとしているとの報道をした。その際に同発電所を共同運用するフランス企業フラマトムの書簡を引用し、「米エナジー省あてのものをCNNが入手した」と述べていた。

 

MEEはそうした主張を認めず、CNNが間違った報道をしたと述べた。

 

中国の国家核安全局が台山発電所周辺の許容放射能限界を引き上げた事実はない。逆に同局は原子炉冷却材から発生する不活性ガスの放射能レベルの上限を審査承認した。

 

こうした限界値は運転管理のため設定したもので、発電所外部のモニタリングとは無関係だと説明している。

 

中国国内に設置してあるリアルタイムの全国放射線環境データ評価システムのデータでは大気中の放射線量を計測しつつ、発電所周辺では大きな変化がないことを示している。

 

6月15日の大気中の放射能レベルは台山発電所周辺で155 nGy/hで基本的に安定しており、2020年第4四半期の平均値(10月は157.2 nGy/h、11月158.8 nGy/h 、12月160.9)と大差ない。

 

放射能漏れが発生すると大気中の線量が長期にわたり上昇する。例として2014年始めに一部観測所で数万nGy/hが記録されたが、2011年の福島原子事故の発生が原因という。

 

福島事故を受け中国政府は数回にわたり文書を発出し、それが現在の国内原子力発電所の安全レベル向上の中心となっている。

 

2011年の福島原発事故後で中国は新規原子力発電所の承認を停止した。2012年に安全院が原子力発電安全計画(2011-20年)を制定し、中長期の開発案が生まれた。こうした文書で原子力発電所建設が再開され、安全基準を引き上げている。新規原子力発電所では第三世代の安全基準を満たす必要がある。

 

2016年1月に中国は原子力緊急事態に関する白書を公開し、正しい原子力緊急事態の対象方法を法制度、機構面ともにシステムとして確立している。

 

今回の台山発電所は第三世代進化型原子炉技術をフランスから導入し、安全基準は既存の第二世代原子炉よりはるかに高くなっている。フランスのエナジー業界大手フランス電力(EDF)の運転炉よりも高い。アモイ大学のエナジー経済研究センター所長のLin Boquiangが解説してくれた。

 

「中国の原子力発電の基礎は安全であり、開発側としても安全は生命線となっている。仮に事故が発生すれば、損失は計り知れない」(Lin)

 

その中で日本政府の記事への反応ぶりを中国のネティズンは「ばかげている」とか「聖人ぶりすぎ」と評していることが注目される。福島原発の排水処理での無責任ぶりも念頭にあるようだ。

 

加藤勝信官房長官は15日記者会見で中国に「放射能漏れが発生しているとの報道に関し、透明性かつタイムリーな説明を世界に対して求めたい」と述べているものの、日本が設置したモニタリングポスト47か所でいずれも異常値は検出されていないとNHKが報道している。

 

「福島事故が世界最高レベルの原子力災害との事実を日本は忘れたのか。今後は他国の原子力発電の正常運転を妨害しようとしている。善悪を区別できず恥ずかしくないのか」とのコメントがSina Weiboに出た。

 

現時点で中国の各機関は外務省や今回の発電所を運営する中国広核能集団も含め台山発電所は正常に安全な運転を続けており、状況は安定していると述べている。

 

香港、マカオの当局は同発電所に近いこともあり、同発電所や周辺地区の環境データに何ら異常はないと発表している。

 

EDFは事故の可能性は排除し、放射能レベルは限度内だと14日月曜日発表した。

 

MEEは今後も台山発電所一号機の主回路内部の放射能レベルを注意深く見守り、現地監督指導を強化しつつ環境モニタリングで安全な運転を実現していくと発表した。また、今後もIAEAやフランス原子力安全規制当局と接触を保つという。■

 

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No leak at Taishan Nuclear Power Plant and no increase in environment radiation limits: China's Ministry of Ecology and Environment refutes CNN report

 

By Chen Shasha and Lu Yameng

Published: Jun 16, 2021 02:01 PM


コメント

  1. CCPの隠蔽により、事故の詳細が入手でき難い状況が続いていますが、フランスの会社が米国に技術支援を求めたことは、対応困難な事故であることを推測させます。また、日本の専門家が相当数の燃料棒が損傷している可能性を指摘しています。
    さらにごく微量ですが、沖縄を含む西日本のいくつかの地点の空間線量測定でピークが観測されており、台山原発事故と関連が気になります。(注:原子力規制委の放射線モニタリング情報のサイトで地点を選び、グラフを表示させ、縦軸を0.1μSv/h、横軸の期間を「月」にすると明瞭な傾向を示す。ごく微量なので様々な要因があるが)
    結局、西側世界では通常運転を停止し、燃料棒点検を行うが、CCP中国では基準値を変更し、事故を過小評価し、放射性物質を放出し続けながら運転を継続させたいのでしょう。恐ろしいのは、小さな事故を過小評価し、大きな事故を引き起こすことです。
    この無責任な姿勢は、武漢肺炎の世界的流行の過程にも似た部分が多々あります。

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