輸出ガイドライン改定で防衛分野における国際競争力の強化をめざす日本(National Defense Magazine)―真剣に防衛産業の海外拡販を狙うなら民間主導の形にすべきではないか。政府は一歩下がり支援すべきだ。
Artist rendering of Global Air Combat jet fighter
BAE Systems image
2022年12月、日本は国内防衛産業の強化に焦点を当てた防衛戦略を採択した。それから2年後、輸出ガイドラインの改定は、国内市場を超えて世界規模で競争する試みの一環だと政府関係者は語った。
防衛装備庁の装備政策部国際装備課の洲桃紗矢子課長は、日本の将来の安全保障と防衛政策は「地域と国際社会の平和と安定と直結している」と述べた。政府は志を同じくする国々と「長期的で深い」関係を育むことに注力しており、防衛装備品の移転はインド太平洋地域の平和と安定のために必要なことであると、2024年日本国際航空宇宙展の会期中に同課長は述べた。
防衛産業を国内的・世界的に強化するための最近の取り組みのひとつに、防衛装備品の移転に関するガイドライン3点の改定がある。「防衛装備品・技術の移転に関する三原則」と呼ばれる同ガイドラインは、防衛装備品の海外移転が禁止される場合の明確化、移転が許可される場合の限定、厳格な審査と情報公開、目的外使用や第三者への移転に関する適切な管理の確保、としている。
防衛戦略とともに2022年に施行された「国家安全保障戦略」を受けての改正である。
大きな要因として、第6世代ステルス戦闘機を開発するために日本、イギリス、イタリアが共同で取り組んでいる「グローバル・エア・コンバット・プログラム(GCAP)」への参加がある。
「GCAPの完成品を直接移転する必要性についての前提が変化したため、政府はGCAPに関連する移転に関する方針を閣議決定し、実施要領を改正した」と、洲桃課長が提示したスライドには書かれていた。 2024年3月、GCAPについて「我が国の安全保障環境に適応した戦闘機を実現するため、我が国から相手国以外の第三国への完成品の直接移転を可能とする実施要領の改正が行われた」とスライドに書かれていた。
GCAPをパートナー国以外の顧客に移転する時期が来れば、個々のケースについて閣議決定がなされる、と同課長は述べた。
戦闘機の輸出解禁は、第二次世界大戦後、歴史的に武器輸出を控えてきた日本の国家安全保障政策の大きな転換を意味する。
洲桃課長は、ガイドラインのその他の主な変更点を要約し、米国以外の国へのライセンス製品の移転の可能性と修理提供能力、そして部品の移転の可能性を強調した。「部品だけでなく、完成品も同様です」と言い、完成品がその機能を果たさなくても、その部品はまだ役に立つと付け加えた。
一方、経済産業省の製造産業局航空機武器産業課の呉村益夫課長は、強い防衛産業とは国際競争力を持つことでもあると言う。今、日本の防衛産業はそうではない。呉村・洲桃両課長は、日本の防衛産業をさらに強化するために、デュアルユース技術の重要性、サプライチェーンの強化、新興企業への支援などについて語った。
呉村課長は、米国防総省は調達と産業の両方に関する政策を持っているのに対し、日本の防衛省は調達に関する政策しか持っておらず、産業戦略が必要だと指摘した。
日本がグローバル市場で競争力を持つにはどうしたらいいか、自国の強みを生かし、他国の強みと協力しながら防衛産業を強化するにはどうしたらいいかを考える必要がある。
洲桃課長は、日本の防衛基本政策で3本柱のひとつに、志を同じくする国々との連携強化があるが、本独自の国防アーキテクチャーの強化が第一であると指摘した。
呉村課長は「最も重要なことは、日本にとって望ましい環境を作ることです」と語った。「言い換えれば、安全保障の確保です」。■
Japan Looks to Compete for Global Defense Work with Revised Export Guidelines
10/18/2024
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