スキップしてメイン コンテンツに移動

B-2をフーシ派攻撃に投入したのはイランへの明白なメッセージ―地下施設攻撃用の特殊兵器を投下したのか(The War Zone)

 



B-2 MOP Yemen iran  

USAF



フーシ派の武器庫をB-2で攻撃したのは、ステルス爆撃機ならではのメッセージを送るためだった 


国防総省は、B-2スピリット・ステルス爆撃機が、イエメンのフーシ派の地下武器貯蔵施設を攻撃したと発表した。 

 スピリットにとって数年ぶりの作戦攻撃ミッションとなり、イエメンでは初の豆乳となった。 

 フーシ派を支えるイランに対して、B-2ならではの非常に具体的で強力なメッセージを送った。 

 また、前例のないイスラエルによる報復攻撃の崖っぷちに立たされているようにも見え、初歩的な防空手段しか持たないフーシ派に対してなぜB-2が使用されたのかについては、後ほど触れるが、これは非常に不吉で歴史的な行為であり、非常に珍しい兵器が初めて使用された可能性がある。 

 たとえそうでなかったとしても、メッセージは同じだった。

 国防総省の声明にはこうある: 「本日、米空軍のB-2爆撃機を含む米軍部隊は、イエメンのフーシ派支配地域にある五箇所の硬化地下兵器貯蔵場所に対し精密攻撃を行った。米軍は、フーシ派がこの地域一帯の民間船舶や軍用船舶を標的にするために使用してきたさまざまな兵器構成要素を収容しているフーシ派の地下施設数カ所を標的とした。これは、敵対勢力がどんなに深く地下に埋もれ、硬化し、要塞化されようとも、手が届かないようにしようとする施設を標的にできる米国の能力を示すユニークなデモンストレーションであった。米空軍の長距離ステルス爆撃機B-2スピリットの使用は、いつでも、どこでも、必要なときに、これらの標的に対して行動を起こす米国のグローバルな攻撃能力を示すものである。 

「長年にわたり、イランに支援されたフーシ派は、特別指定国際テロリストとして、紅海、バブ・アル・マンデブ海峡、アデン湾を通過する米国および国際的な船舶を無謀かつ不法に攻撃してきた。フーシ派の違法な攻撃は、国際通商の自由な流れを妨げ、環境破壊を脅かし、罪のない民間人の命と米軍およびパートナー軍の命を危険にさらし続けている。 バイデン大統領の指示により、不安定化させる行動を続けるフーシ派の能力をさらに低下させ、世界で最も重要な水路のひとつで米軍と要員を守り抜くため、今回の標的攻撃を許可した。

「繰り返しになるが、米国は、米国人の生命と資産を守り、民間人や地域のパートナーに対する攻撃を抑止し、航行の自由を守り、米軍、連合軍、商船のための水路の安全性とセキュリティを高めるために、行動を取ることを躊躇しない。我々は、フーシ派に対し、彼らの違法かつ無謀な攻撃には結果が伴うことを明確にし続ける。今日の行動に参加し、わが国を守るために警備を続ける勇敢な米軍のプロ意識と技術に感謝している」。 


国防総省の標的に関する記述が非常に重要である。「硬化した地下の兵器貯蔵場所」、そして「敵対国が手の届かないところに置こうとする施設を標的にする米国の能力は、どんなに地下に深く埋まっていようと、硬化していようと、要塞化されていようと」と宣言している。 

 これは、B-2がMOPとして知られるGBU-57大量破壊兵器(Massive Ordnance Penetrator)を搭載し、独自の貫通攻撃「バンカー・バスター」攻撃を行う特別な能力を持つことを直接的に強調している。 

 この兵器が使用されたかどうかは不明だが、さまざまな理由からその可能性があることは確かで、本当に重要なのはそれだけだ。 

 重さ約3万ポンドのMOPは、B-2しか搭載できない。 ステルス爆撃機には一度に2発ずつ搭載できる。 

 これらは非常に特殊で、比較的少数のみ入手可能な貴重な兵器である。MOPは地球上のどの通常爆弾よりも深く貫通することができ、特にイランのような深く埋もれた価値の高い標的を狙うために特別に設計され、繰り返し改良されてきた。 

 このような場所には、指令管制センターやミサイルの保管・発射施設、航空機の保管場所などがあり、山にトンネルを掘ってある。 

 しかし、何よりもMOPの最重要目標は、イランの核開発計画に関連する極めて堅固な拠点だろう。 

 これは、私たちが長年にわたって詳細に議論してきた現実である。 核兵器や地上侵攻、あるいは放射線照射のような「エキゾチックな」戦術を用いない限り、MOPがこれらの施設に深刻なダメージを与え、その実用性を長期にわたって低下させることができる。 


イランのナタンズ核施設は山に埋もれている(PHOTO © 2023 PLANET LABS INC.


 それらはイランで見られるような高度なものではなく、弱点や支援エリア、入り口を攻撃することで実用性は低下するかもしれないが、真に破壊するにはMOPの特殊な貫通能力が必要になる可能性が高い。 

 たとえ標的がそれを必要としなかったとしても、MOPの能力を示すことは(もし本当に使用されたのであれば)戦略的メッセージの決定であったかもしれない。 

 イスラエルとイランの間の緊張が未知の領域に達しようとしており、イスラエルによるイランへの重要な直接攻撃が行われることを世界が待ち望んでいる矢先の出来事であるため、このような攻撃のタイミングは完全に理にかなっている。 

 米国には通常兵器で極めて硬化した施設を破壊する能力があり、それを使用する意思もあるということを非常に直接的に思い起こさせることは、抑止力劇場の観点からはまさに出番のように思える。 

 MOPが本当に初めて使用されたのであれば、このことはさらに大きくなる。 

 実際、MOP関連のニュースは、アメリカの「ならず者国家」の敵との関係がエスカレートしているときに、しばしば特異的に飛び込んでくる。 

 ともあれ、これらの拠点をあらゆる弾薬で攻撃することは、イスラエルの作戦に先立ってフーシの長距離能力を低下させることにもなり、これは重要なことだ。 

 B-2はまた、2,000ポンド級(BLU-109)の貫通弾頭を持つ統合直接攻撃弾(JDAM)、および少なくとも過去には5,000ポンド級のバンカーバスターを運搬する能力を持っている。 

 

地上60フィートまで貫通できる爆弾を示す、MOPプログラムの初期のグラフィック。 2007年までにこの4倍近く深く潜ることができるようになったと報告されている。これは、2,000ポンドのBLU-109搭載誘導爆弾と5,000ポンドのGBU-28の比較でもある。DOD via GlobalSecurity.org 


 B-2は、2,000ポンド級の兵器を16発搭載することができる。そのため、MOPを必要としない硬化した目標でも、1つの兵器がその前に攻撃した兵器が空けた穴から続いて攻撃するなどして、「掘り下げる」ことができる。これは独創的な「兵器操作」であり、それほど大きくないバンカー・バスターがより大きな穴を掘る効果を達成することを可能にする。 

 MOPでさえ、イランの一部のような非常に深く埋もれた標的を攻撃するためにこの戦術を使うことができる。 

 そうでなければ、入り口のトンネルや他の弱い、しかしそれほど中心的でない場所を狙うことで、サイトを無力化することも選択肢になりうる。 

 しかし、一般的な2000ポンドのバンカーバスターを使うのに、なぜB-2という19機しか存在しない貴重な資産を、ほとんど防衛されていない空域の下にある目標に活用するのだろうか? 

 これにはいくつかの理由があり、すでに2017年にスピリットがリビアの標的を攻撃するために選ばれた後に取り上げた。

 しかし今回も、イランが最も警戒している軍事・核資産を脅かす高度に専門化された兵器を提供するためにB-2が紛争空域の奥深くに侵入すとのメッセージ性が、最も顕著な理由である。 

 何がどのように阻止されたのか、正確に判明するのを待つしかないが、現状を見る限り、このミッションは運動効果を達成するための攻撃作戦以上のものだった。 

 決定的なハイリスクかつ極めて重要な瞬間に、イランに明白なメッセージを送るものだった。■


B-2 Spirits Just Sent A Very Ominous Message To Iran

The B-2's strike on Houthi weapons bunkers was about sending a dire message that only the stealth bomber could send.

Tyler Rogoway

Updated on Oct 17, 2024 3:02 AM EDT


https://www.twz.com/air/b-2-spirits-just-sent-a-very-ominous-message-to-iran-that-only-they-can


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...