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暗殺された元首相は、日本を平和主義から脱却させ、中国抑止のためカウンターストライク能力を備え、よりグローバルな姿勢へと導こうと尽力する途中だった。
2014年、安倍晋三元首相は、台頭する中国から日本を守るために第二次世界大戦後の平和主義的な軍事政策を進化させる必要があるという考えに日本を導く礎を押し進め、専門家にはこれを本人の最大の功績と評価する向きがある。
安倍元首相(67)は金曜日、奈良県での選挙演説中に撃たれ、暗殺された。彼の死によって、欧米はインド太平洋地域における対中国政策の強化を求めるアジアで最も影響力のある擁護者の一人、現代の安全保障上の脅威に対応するために日本の軍事・防衛産業を変革する主要な人物を失った。ジョー・バイデン大統領は声明で、安倍を「日米同盟の擁護者」と呼んだ。
ロイド・オースティン国防長官は同じく声明で、「彼の殺害は日本国民と、自由で開かれたインド太平洋を重視するすべての人々にとって悲劇」と述べた。「安倍氏は首相として、日米両国の重要かつ永続的な同盟を擁護し、日本が同盟でさらに大きな役割を果たす道を開いた。日本、インド、オーストラリア、米国による四極安全保障対話などの場を含め、インド太平洋全域で同盟とパートナーシップを強化した彼の活動は、より安全で安定し繁栄した地域という遺産を残した」。
戦後の日本の憲法第9条は、軍事力の保有を一切禁じている。それ以来、日本が維持する軍隊は、地震や津波などの人道的対応や、2004年のイラク復興支援のための派遣で物議を醸したことがあった。
安倍首相は9条の解釈を変更し、2015年には「平和への積極的貢献」という新解釈に基づく法整備を行った。
高まる脅威から国民を守るため、日本は防衛力を近代化し、米国と軍事協力を強化し、集団的自衛権に貢献しなければならないと、安倍首相は主張した。
安倍の功績
安倍首相に仕えた日本政府関係者の一人は、公の場での発言は許可されなかったが、「本人は現行憲法をより柔軟に解釈し、日本の自衛隊が米国とより密接に協力できるように変えることに貢献した」と述べた。中国が南シナ海の島々を軍事化し、攻撃的な戦術をとっているにもかかわらず、この構想は人気を集めなかった。
その後6年間で、安倍は海上自衛隊に空母「いずも」を就航させた。V-22オスプレイや、甲板に離着陸できるF-35B共用戦闘機の母艦となる最新型ヘリ空母の第1号である。安倍首相はまた、女性将校の登用や、新型潜水艦に女性用寝台を設置することを支持した。
日本生まれの移民で上院初のアジア系アメリカ人女性と自称するハワイの民主党上院議員メイジー・K・ヒロノSen. Mazie K. Hironは、安倍を親しい仲間として悼み、2017年の最後の会合で、「日米韓の三国同盟の重要性」を話し合ったと回想した。
今年、ロシアによるウクライナへの全面戦争が始まってから、日本の軍事観はさらに進化している。安倍の首相罪人の最後の年である2020年には、NHKの調査で40%の回答者が、日本は 「敵ミサイル基地を直接攻撃する能力」を持つべきと答えた。2022年には、回答者の55%が、敵のミサイル発射基地を破壊する「反撃能力」、すなわち長距離攻撃能力を保持すべきと答えた。日本は、中国や北朝鮮のミサイルの脅威に直面している。
「日本が防衛費の大幅な増額を検討している今、非常に興味深いのは、長距離攻撃能力に目を向けていることであり、こうしたものは今や日本国民の強い支持を得ている」と、戦略国際問題研究所日本担当のクリス・ジョンストーンChris Johnstoneは言う。「安倍首相が中国の脅威を理解し、日本がそれに対して何をすべきかを考える上で、時代の最先端を走っていたことを反映している」。
重要なのは、安倍が海上自衛隊をブルーウォーター・ネイビーにし、世界的なプレゼンスを拡大するよう推し進めたことだという。「安倍首相の長期的なビジョンは、安全保障だけでなく、経済やグローバルな問題についても、国際舞台で日本がより大きな役割を果たすのを追求することだった」。
秋元諭宏会長兼理事長が率いる、笹川平和財団USAは声明で、「安倍元首相は日本の偉大なリーダーの一人であり、日本の外交的影響力を世界に広げ、日米同盟を強化し最も重要な外交政策の遺産を残した」「自衛し同盟国と協力するための法的・運用的能力の強化措置は、安倍首相なしには不可能だっただろう」と述べた。■
Abe's Unfinished Legacy: Leading Japan and its Military to Confront Modern Threats - Defense One
SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE
JULY 8, 2022 12:24 PM ET
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