台湾南部の台南市にある空軍基地に着陸してきた米海兵隊のC-130。SAM YEH/AFP via Getty Images
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ナンシー・ペロシ下院議長のアジア旅行中に、物議を醸す台湾訪問を行う可能性がある
専門家は、台湾訪問は、この地域の軍事的危機につながる「事故」のリスクを高める可能性があると指摘
「議長が訪台すれば、中国が対応する必要があるため、危機の見込みがぐんと上がる」と、米国の元外交官はInsiderに語った
ペロシ下院議長の台湾訪問は、北京と米軍の危機を誘発する「事故」リスクを高めると、中国専門家トップが警告
ナンシー・ペロシ下院議長は金曜日にアジア視察に出発し、北京とワシントン間の緊張が高まる台湾に立ち寄る可能性がある。
軍用機で移動するペロシ議長の台湾訪問は、この地域の軍事的危機を引き起こす「事故」の危険性を高めると中国専門家が警告している。
中国専門家の第一人者で、米ジャーマン・マーシャル基金のアジアプログラム・ディレクター、ボニー・グレーザーBonnie Glaserは「事故のリスクはあるが、中国が台湾を攻撃する危険が差し迫っているわけではない」とInsiderに述べた。
ペロシは、これまで台湾を訪問した米国議員で最高位の人物となる。台湾は2300万人の民主的な島であり、民主的な香港を弾圧してきた中国支配者が長年狙う場所である。
ペロシが台湾を訪問する可能性で、北京から激しいレトリックと警告を引き起こし、ペンタゴンは下院議長が台湾を訪問した場合、米国戦闘機と艦船に追加のセキュリティを提供する計画を立てていると報告されている。また、バイデン政権は、中国が台湾を攻撃した場合、米国は軍事対応するかどうかについて、繰り返し複雑なメッセージを発しており、北京とワシントン間の緊張を高めている可能性がある。
グレーザーは、中国軍機がペロシ乗機を「妨害」、おそらくは台湾着陸を阻止する危険性があると指摘した。
とはいえ、中国が戦闘機を送り込み、台湾がそれに対抗し戦闘機をスクランブル発進した場合でも「発砲することはないだろう」とグレーサーは強調した。
「しかし、戦闘機は非常に接近し、過去にない形の飛行になれば事故の可能性は高くなる」とグレーザーは述べた。
中国が台湾に武力行使する可能性は「実際に」あるが、それは「何年も先のこと」と彼女は付け加えた。
「これは相互作用の力学です。中国人は、アメリカの行動と我々の発言を見て、反応する」。
2022年2月23日、ワシントンDCの米国連邦議会議事堂で行われた週次記者会見に出席したナンシー・ペロシ下院議長。Win McNamee/Getty Images
「議長訪台で、危機の見込みが一気に高まる」
中国はペロシ議長の台湾訪問に激しく反対しており、訪問は軍事的反応の可能性を引き起こすと警告している。
中国国防省報道官は「米国が独自路線を主張すれば、中国軍の傍観はありえない」と今週初めに述べた。
これに呼応し、習近平国家主席はバイデン大統領に、台湾に関し「火遊び」しないよう警告した。両首脳は木曜日に2時間以上電話で話した。
ペロシは、安全上の懸念を理由に、台湾訪問の確認すを拒否している。「自分の旅行について話さない。危険だからだ」と、ペロシは水曜日記者団に語った。
アメリカと台湾の関係には複雑な歴史があり、ペロシの訪問は、北京が急速に軍事力の向上を競い、アメリカの台湾との交流を見て北京がますます好戦的なトーンをとる背景でおこなわれることになる。バイデンは、米国は21世紀を勝ち抜くため中国と競争中と発言し、国防総省高官は、インド太平洋地域における中国の攻撃性の増大がもたらす課題を繰り返し指摘している。
米国は1979年に北京と正式な外交関係を結んで以来、台湾と外交関係を持っていない。歴代政権が数十年にわたり続けてきた「一つの中国」政策と呼ばれるものの下で、米国は台湾の独立を支持せず、中国は一つであるという北京の立場を外交的に是認している。しかし、米国政府は依然として台北と強固な非公式関係を維持しており、1979年台湾関係法に基づき、台湾に防衛用装備を提供することが法的に義務付けられている。
米国は長年にわたり、中国が攻撃した場合に台湾防衛に乗り出すかどうかについて、意図的に不透明な立場をとってきた。バイデンは、中国が台湾を攻撃した場合、米国は本当に軍事対応すると繰り返し示唆し、この長年のアプローチを台無しにしてしまったと非難を受けた。
ホワイトハウスはバイデン発言を撤回し、米国の政策に変更はないとしている。しかし批評家は、政権の台湾への一貫性のないアプローチは、北京との対立を悪化させたと言う。
「中国側はワシントンが意図的に危機を引き起こしていると見ており、バイデンが習に何を言えば説得できるのか分からない」と、同じく著名な中国専門家でエール大学法学部ポール・ツァイ中国センター上級研究員のスーザン・ソーントンSusan ThorntonがInsiderに語った。
元東アジア・太平洋地域担当国務省次官補代理ソーントンは、「こちらは一つの中国政策は変わっていないと主張し続けているが、ペロシ訪台は明らかに前例となり、『非公式関係』と解釈できなくなる」とも述べた。「議長が行けば、中国は対応を迫られ、危機が現実になる可能性が高くなる。したがって、それは台湾に関する北京の時間軸を加速させることになり、我々がすべきこととは正反対だ 」と述べた。
2021年11月15日、ホワイトハウスのローズベルト・ルームから習近平国家主席と仮想会談し、耳を傾けるジョー・バイデン大統領。 AP Photo/Susan Walsh, File
「あまりにも一貫していなかった」
米国は台湾に対して「より明確に、より一貫した政策をとる」必要があるとグレーザーは指摘し、「米国は台湾独立を支持しないと言っている。我々は、何をしないかということを明確にしなければならない」と述べた。
しかし、グレイザーは「これは一方的なものではない」とも強調し、中国が「台湾に対して経済、外交、軍事的な強制を極めて不安定な形で行っている」と言い切った。
「台湾海峡の現状を変え、今日のような不安定さをもたらしたのは、中国側の責任が大きい、確かに台湾よりも責任が大きい、と言っても間違いではない」とグレーザーは言う。「しかし、北京と台北だけの問題ではない。ただ、この件に関して、アメリカはあまり対処がまずい。議会もそうだし、行政府もそうだ。我々は一貫していない」。
先週、バイデンは米軍がペロシ議長の台湾訪問を「今は得策ではない」と見ていると記者団に語ったが、ホワイトハウスは「下院議長が自ら決断する」とも述べている。
一方、議会には賛否両論があり、ペロシ訪台を支持する声もある。議長が行かないと、中国の脅威が台湾に及ぶ危険なシグナルを送ることになると指摘する声もある。
上院共和党院内総務のミッチ・マコーネル Mitch McConnellは今週、ペロシが行かないと、中国が「ある種の勝利」を得ることになると述べた。
下院軍事委員会委員の民主党のロ・カンナ議員Rep. Ro Khannaは月曜日、ペロシは訪台を「中止すべきではない」とCNNに述べた。「中国共産党に下院議長の行き先を決めさせてはいけない」とカンナ議員は述べ、訪問が「一つの中国」政策を損ねることはないと語った。
ペロシ訪台の可能性を左右する要因は進行中のウクライナ戦争だ。多くの外交専門家は、この紛争が中国の台湾へのアプローチに大きく影響すると指摘しているが、それが何かを判断するのは時期尚早だ。
「中国人はウクライナ戦争から教訓を得る」とグレーザーは言う。「類似点よりも相違点の方が多いが、そこから学ぶだろう。より広い戦略的なレベルで学ぶだろう」。
「中国が軽率に結論を出すとは思いませんし、今こそ台湾を侵略するべきだという結論を出すとも思わない」。グレーザーは「中国は台湾に関して独自の論理を持っている 」とも指摘している。■
A Pelosi trip to Taiwan heightens the risk of an 'accident' that triggers a US military crisis with Beijing, top China experts warn
John Haltiwanger Jul 30, 2022, 5:39 AM
記事とことなり、日本時間31日朝現在、ペロシ議長はまだ出発しておらず、相当重い検討をしてるのではないかと思われます。
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