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イスラエルとアラブ湾岸諸国が共同防空体制で連携しているのは本当だった。共通の敵イランは当然反発。過去の常識は現在通用しないという例。

 ARab Israel Air Defense network

IDF

The War Zoneの独占インタビューで、元CENTCOM司令官フランク・マッケンジーは、中東防空同盟について語った。

 

イスラエルとアラブ諸国は、イランのミサイルと防空に関する情報共有システムの構築に向けて、「かなり前進している」と、米中央軍(CENTCOM)の元司令官がThe War Zoneに語っている。

「誰もが脅威について即座に知ることができ、自らを守り、他者を守るため行動をとることができるように、全員が作戦全体像を共有したいと思うだろう」と、4月までCENTCOMを指揮していた退役海兵隊大将フランク・マッケンジーFrank McKenzieは、金曜日の朝、The War Zoneに独占インタビューで語った。「各国は情報や防空情報の共有に前向きで、大きな前進だ。細は言えないが、いくつかの非常に具体的なステップを経験してきた」と語った。

 

イラン製ミサイルの脅威が高まる中、イスラエルとアラブ諸国の協力関係が深まっている。 (Photo by Morteza Nikoubazl/NurPhoto via Getty Images)

弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンなど、この地域におけるイランとその代理人からの脅威は多岐にわたるため、「中東防空同盟」と名付けられた協力体制は特に貴重なものとなっている。

状況認識を共有し、脅威を早期探知することは、イスラエルとアラブ諸国で相互に有益な目標となる。特にドローンは発見が難しく、比較的低速で長距離を飛行し、低高度で飛行する。このため、早期警戒が非常に難しいが、地域上空を統合的に把握できれば、劇的に改善される。

マッケンジーは、2月8日にワシントンDCで開催された中東研究所シンクタンクのイベントで、「これらのシステムがもたらす脅威の増大と、それに対抗する信頼に足るネットワーク化能力の欠如は、イラクにおける即席爆発装置の台頭以来、最も懸念すべき戦術的展開だ」と述べた。「敵対勢力に、米国やパートナー国の施設を監視し、標的にする作戦能力を与える一方で、もっともらしい否認権や投資に対する不釣り合いな見返りを与え、すべて敵対勢力に有利に働く」。

イランとイスラエルの国境間には、米国製の高度な防空・ミサイル防衛システムを備えるアラブ諸国が控えており、アラブ諸国は、これまで考えられなかったレベルでの協力が実現することに強い関心を持っている。

中東防空同盟が目指すイスラエルとサウジアラビア、カタール、エジプト、ヨルダンなどアラブ諸国との軍事協力のレベルに実際に到達するのはまだ先だとマッケンジーは語った。

しかし、作業は順調に進んでいる。

マッケンジーは現在、南フロリダ大学に新設されたグローバル・アンド・ナショナル・セキュリティ研究所を率いる。「機密事項が含まれているため、これ以上の情報をお伝えすることはできません」。

しかし、マッケンジーは3月に、これらの国にアラブ首長国連邦とバーレーンを加えた各国将校と会談し、このシステムについて議論したと、ウォールストリートジャーナル紙が報じている。アメリカの支援のもと、各国のシニアリーダーが会談したのは初めてのことだった。

イスラエルのベニー・ガンツ Benny Gantz国防相は先月、この取り組みはすでにある程度の成功を収めているとイスラエルの国会議員に語った。

ロイター通信が6月20日引用した公式記録によると、「過去1年間、ペンタゴンや米政権のパートナーとともに、イスラエルとこの地域の国々の間の協力を強化するため大規模なプログラムを主導してきた」とガンツは語っている。「プログラムはすでに稼働しており、イスラエルなどを攻撃しようとするイランの試みをうまく傍受することが可能になった」。

記録には、相手国の名前も、阻止された攻撃についての詳細も書かれていない。

マッケンジーは詳細を明らかにするのを避けた。

ガンツ氏のコメントについて尋ねられ、マッケンジーは、「特定の出来事について話すことはできない」「しかし、新たな脅威に関する情報を共有し、各国による脅威対処を支援する能力を実証したことは言える」と述べた。

 

 

THAAD迎撃ミサイルの試験発射。Credit: US Army

米国がアフガニスタンから撤退したにもかかわらず、「中東に重要な資源をまだ持っている」といい、「空軍の航空管制と防空リソースがまだ残っているのです。私の知る限り、今後も残り、バックボーンを提供するのに役立つでしょう」とマッケンジーは語った。

それでも、長期的な目標は、この地域を米国依存から解放し、必要であれば「他の分野に集中できるようにすることです」だという。

地域大の防空構想は、新しいものではない。例えば、トルコとイスラエルは1990年代後半にアローの共同生産を一時的だが追求したと、War On The Rocksは2015年に報じている。2014年の米国-GCC戦略協力フォーラムでは、「湾岸全域で相互運用可能なミサイル防衛アーキテクチャ」を構築する意図を再確認していた。そして、UAEのアル・バティーン航空基地内の統合航空・ミサイル防衛センターは、シミュレーションとモデリングに基づく教育を提供し、弾道ミサイル防衛と巡航ミサイル防衛両方の教育を大量に展開していると、Air Force Magazineは伝えている。

しかし、イスラエルとこれらのアラブ諸国との長年の敵対関係からは考えられなかった最新の協力活動のタイミングは正しいと、マッケンジーはThe War Zoneに語っている。

「イランの弾道ミサイル、陸上攻撃型巡航ミサイル、無人航空システムによる脅威が、過去のどの時点よりも切迫しているからだ」と、マッケンジーは言う。「ここ5~7年でイランはこれらの兵器を広範囲にアップグレードし、近隣諸国に使用してきた 」。

マッケンジーは、サウジアラビアに対するフーシ派のミサイルとドローンによる攻撃、2020年のイラクのアルアサド空軍基地へのイラン製弾道ミサイル乱射を例として挙げている。後者で米軍隊員100人以上が外傷性脳障害を負った。

イスラエルは、ガザからの攻撃で成功を収めたアイアンドームシステムなど、防空技術の専門性を確立している。イスラエルと同様、イランからのミサイルやドローン脅威に直面しているアラブ諸国にとって、これは魅力的なことだとマッケンジーは指摘する。

「イスラエルは域内各国と連携しています」「二国間協定の場合もあるが、イスラエルには長年の経験があるので、大量の専門知識を提供できる。イスラエルには優れた技術があり、域内の各国がそれを認識している」。

イスラエルは先週、技術の一例を示したと述べ、土曜日に地中海のガス掘削施設に向かうヒズボラの無人偵察機3機を撃墜したと主張している。

ヒズボラ無人機のうち1機はイスラエル空軍のF-16戦闘機によって、残り2機はサアル5級コルベットINSエイラートが発射したBARAK8地対空(SAM)ミサイルで撃墜したと、軍は声明の中で述べている(Times of Israel紙による)。

ガス掘削施設への脅威は、海からの攻撃に対して抱いている最新のイスラエルが懸念であり、ガンツは紅海におけるイランの「異常な」海洋活動を示す衛星画像を公開し、この点を指摘した。サウジアラビアがドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルによる長距離攻撃の脅威に常にさらされているのを見て、イスラエルはイエメンなど南方からの攻撃ベクトルを懸念するようになっている。イランが支援するサウジアラビア戦略目標への攻撃は複雑化しており、こうした懸念の正当性はますます高まっている。

昨年、イスラエルは、世界最大級といわれる無人飛行船「エアロスタット」で早期警戒を開始した。イスラエル産業界が米国の援助を受け開発したHAAS(High Availability Aerostat System)は、巡航ミサイルや兵器搭載ドローンなど、低空飛行での脅威を事前警告することが期待される。

イスラエルとアラブ諸国は長年にわたって協力を強めてきたが、昨年、CENTCOMがイスラエルにおける米軍活動を引き受けたことで、取り組みが後押しされたとマッケンジーは言う。CENTCOM傘下にイスラエルが入ったことで、かつて敵対していた双方で考えられなかった軍事面の関係がより深まっている。

 

イスラエルは、米国の援助を受けて開発された弾道ミサイル迎撃ミサイル「アロー」をはじめ、地球上で最も高度かつ多層構造の統合防空網を有している。 Credit: US Navy

「イスラエルが中央司令部の責任範囲に入ったことで、これらの国の多くがイスラエルと協力しやすくなりました。国交開放やアブラハム合意など、その後の関係正常化の要素もあります。今、こうしたことが軍事的なレベルで起こり始めています」。

その上、脅威の環境、ヒント、早期警報に関する情報を共有することは、「地上軍同士の協力よりずっと簡単だ」(マッケンジー)。

イスラエルとアラブ諸国の協力は進んでいるものの、協力の阻害要因もある。特にパレスチナ人の将来が不透明で、イスラエルのパレスチナ人への扱いには懸念が長年解消されていない。

マッケンジーは、パレスチナ人へのアラブ諸国の懸念が同盟にどのような影響を及ぼすかとの質問に対して、「信頼が欠けていると思う」と答えた。「信頼を築かなければならない。信頼関係を築かなければならない。他の国々は、我々を高く信頼している」。

将来の成功の鍵は、信頼を築き、「情報を得たときに、それを悪用されない確信が実際に持てるようになること」だ。

信頼を築くには、時間とシニアリーダーのコミットメント双方が必要だ。

イスラエルとパレスチナの対立は、「確かに障害だ。しかし、演習を繰り返せば、信頼のレベルを獲得するところまで到達できると信じている。実際に減らす方法があると信じています」。

イスラエルへの信頼度は「隣人によって異なる」としながらも、マッケンジーは「この地域の防衛にユニークな能力をもたらすイスラエルと関係を持つことの有用性は、同地域の多数国と同様に、イランの標的になっていることを、誰もが認識していると思う」。

イスラエルでの米軍の作戦を中米中央司令部(CENTCOM)傘下に置くことは、米・イスラエル間の協力と訓練演習の活発化にもつながる。先月、同司令部の幹部とスタッフがテルアビブのイスラエル国防軍(IDF)を訪問した。CENTCOMによると、米軍が2021年9月にイスラエルを米欧州軍からCENTCOMに再編して以来、初の幹部レベルによる「進捗確認」だった。

CENTCOMによると、空軍中央司令部(AFCENT)の司令官グレッグ・ギロット米空軍中将Lt. Gen. Greg Guillotは、CENTCOMとの新関係は「強力で、継続的に成長している」と述べたという。同中将は、「AFCENTの戦域安全保障協力は、IDFなど地域パートナーにおいて、昨年から拡大し進化している」と述べた。「地域の脅威が変化するにつれ、AFCENTが地域パートナーとともに課題に取り組むアプローチも変化している」と述べた。

無人航空機システムの脅威への対抗や、航空・ミサイル防衛能力の統合は、一国だけで取り組むには複雑すぎるとギロット中将は指摘する。

イスラエルの安全保障関係は、海上協力にも広がっていると、米海軍の中東地域最高司令官は指摘する。

米海軍中央司令部、米第5艦隊、米海軍連合司令官ブラッド・クーパー中将Vice Adm. Brad Cooperは、「2022年の国際海上演習で、イスラエルは海上での複雑なシナリオに無人システムを採用した10カ国に含まれる」と述べている。

イスラエルと近隣諸国、そしてイスラエルとアメリカの協力関係が深まる中、イランも注目している。

イラン軍参謀総長モハンマド・バゲリ少将Major General Mohammad Bagheriは6月27日、イスラエルのCENTCOM加盟と、イスラエル-アラブ諸国間の関係強化に厳しい警告を発した。

国営のテヘラン・タイムズ紙によると同少将は、「われわれはこうした脅威を許さないし、必ずやそれらに対応する」と述べたという。

マッケンジーは、テヘランが懸念しているということは、米国主導の協力体制が機能している証明だという。

「イランはこのことを非常に懸念していると思う。なぜなら、イランの外交政策の長期的な定番である、近隣諸国をいじめる能力が低下するからだ」「私たちの目標はイランと戦うことではない。目標は、イランが海外で無責任かつ無謀で危険な血なまぐさい行動をとらないように、イランを抑止することだ」。「彼らが支払う代償は、彼らが実現できる潜在的なゲームよりも高くなるとわからせる」。■

 

Israel-Arab Air Defense Alliance A Real Possibility Due To Iran Threat

BYHOWARD ALTMANJUL 5, 2022 6:36 PM

THE WAR ZONE

https://www.thedrive.com/the-war-zone/once-unthinkable-israel-arab-air-defense-alliance-a-real-possibility


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