USAF / Staff. Sgt. Daniel Snider
米空軍のトップは、A-10ウォートホグをウクライナ向け供与に門戸を開いた。
フランク・ケンドール米空軍長官は、A-10地上攻撃機をウクライナに譲渡する可能性を問われ、真っ向から否定しなかった。発言は、空軍参謀長チャールズ・Q・ブラウン大将が、ウクライナ空軍はいずれソ連時代の戦闘機から移行を迫られ、次の機種は「非ロシア的なもの」になるだろうと述べた後のことであった。
ケンドールとブラウン両名は、本日開催の年次アスペン安全保障フォーラムでコメントを発表した。会議は昨日開幕し、今週末まで開催される。今日まで、アメリカ空軍のみが、巨大なGAU-8/Aアベンジャー30mm砲と重装甲で知られる近接航空支援機A-10を運用してきた。
「空軍が...手放すべきものは何か?」アスペンでのケンドール講演でモデレーターを務めたワシントンポストのデビッド・イグナティウスは、空軍長官に尋ねた。
「由緒あるA-10は...我々が今最も懸念している種類の敵相手に必要なシステムではない」とケンドール長官は答えた。
2023年度の最新の予算要求では、空軍は21機のウォートホグを退役させる権限を要求している。同機は、過去20年ほどの間、航空優勢が確保された環境での低強度戦闘作戦の支援に有用であることが証明されているものの、将来的に高度な紛争が発生した場合の有用性が疑問視されてきている。
「A-10をウクライナに渡したらどうだろう?」ケンドールが最初の質問に回答した後、イグナティウスはこう尋ねた。
ブラウン将軍は今朝、ウクライナが興味を持ちそうな戦闘機について、その質問に答えた。ウクライナ次第だ。...旧式の米国製システムにも可能性がある」とケンドール長官は答えた。「我々は、向こうの要求が何であるか、どのようにしたら満足させられるか含め、議論を受け入れる」。
ブラウン大将は、アスペン講演で、ウクライナ人パイロットの米国内訓練について質問され、「どの機種に乗るか推測できない」と答えていた。「ロシア製ではない」。
先週、米下院は、2023年会計年度の年次防衛政策法案(国防権限法、NDAA)原案に、ウクライナ戦闘機パイロット向け訓練の資金援助の承認を盛り込み可決した。法案は、最終的に上院で審議中の別法案と調整された後、最終投票にかけられ、その後、ジョー・バイデン大統領のもとへ送られ、署名され成立する。
ケンドール、ブラウン両名の今日の発言は、ウクライナへのA-10戦闘機派遣に関する3月の質問時での回答と著しく異なっている。以前の両名は明確に、派遣の可能性についての議論も、活発な計画もないと強調していた。
ブレイキング・ディフェンスによれば、ケンドール長官は空軍協会主催航空戦シンポジウムで記者団に、「現在の計画、あるいはウクライナにA-10を提供する計画についてどんな議論があるのかさえ知らない」と語っていた。
ロシアが2月に全面侵攻を開始して以来、A-10含む西側諸国の戦闘機をウクライナに送る案は何度も提起されてきた。これまでのところ、バイデン政権は、議員、ウクライナ政府関係者、同国軍関係者、一般市民などからの声に抵抗してきた。米当局は通常、納入が紛争をエスカレートさせ、ウクライナ国外への波及リスクを増大させる懸念を理由に挙げてきた。
しかし、ここ数週間、精密誘導式高機動砲ロケットシステム(HIMARS)の供与や、中距離ミサイル国家改良型地対空ミサイルシステム(NASAMS)など、姿勢は着実に変わりつつある。このようなシステムをウクライナ軍に提供する可能性は、ほんの数カ月前までは全くないものと見られていた。
月曜日に、ウクライナのオレクシイ・レズニコフ国防相は、ロイド・オースティン米国防長官と話し、アメリカ側から「とても良い知らせがあったが、詳細はもう少し後になるだろう」とツイートした。これはもちろん、アメリカ政府が今日新たにHIMARSの増派を約束したことを指しているのかもしれない。HIMARSはすでに紛争に顕著な影響を与えている。
少し前までは、ウクライナやその他の地域にA-10を派遣する案は、ほとんど無意味な話だっただろう。議会は長年にわたり、空軍が同機を売却するのを阻止してきた。議員連からは、空軍が重要な近接航空支援能力を失うことはない保証を常に要求してきた。この長年にわたる姿勢は、現在では軟化している。下院のNDAAの現行版は、来年度にA-10を21機退役させるとの空軍提案に同意している。上院の軍事委員会も月曜日にその旨を発表した。
その他政治的ハードルも消えたように見える。2003年、空軍はコロンビア空軍へのA-10機リース案に反対したが、理由の一つとして、国務省がラテンアメリカの麻薬対策作戦支援で除草剤散布用の装甲プラットフォームに改装しようとウォートホグ数機の取得を求めていた国務省の反発を懸念しためだった。
国務省の航空団は無名だが大きな組織で、A-10を使うことには何の興味もないようである。旧米軍のOV-10ブロンコを何機入手し、装甲散布機に改造した後、商業用の改良型クロップダスターに切り替えていた。
アメリカ、ウクライナ両国の政府関係者は、A-10供与が現実的かどうか、また、ウクライナに提供する場合、どのような武器が利用できるかなど、訓練や物流の要件含む要因をどう考えるか決定を迫られる。また、A-10は機密度の高いシステムを搭載しているため、譲渡前に取り外す必要がある。
訓練については、「過去の軍事交流プログラムのおかげで、ウクライナにA-10の操縦訓練を受けた少数のパイロットがいる」と、米欧州軍(EUCOM)のトップを務めたフィリップ・ブリードラブ元空軍大将と、元米国ウクライナ交渉特別代表のカート・フォーカーが、シンクタンク欧州政策分析センターの3月に発表した論説に書いていた。
とはいえ、A-10がウクライナ上空に姿を現せば、高度な脅威環境での運用能力に関する議論を、良くも悪くも永久に終わらせることができよう。同時に、ウクライナにA-10を提供して、空軍上層部はA-10をきっぱり退役させることができるだろう。■
Giving A-10 Warthogs To Ukraine Isn't Off The Table | The Drive
BYJOSEPH TREVITHICKJUL 20, 2022 9:19 PM
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