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イランから無人機多数を入手し、ロシアはウクライナ戦への投入を狙う。バイデン大統領中東訪問直前のリークの意味とは。

Iran Drones Russia Ukraine

Iranian State-Ran News


 

ロシアはイランから数百機の無人機を手に入れ、減ってきたミサイル在庫を補い、ウクライナ西部に大混乱を引き起こす可能性が生まれる

 

ランが武装仕様を含む無人機「数百機」をロシアに提供したとのことだ。ウクライナ戦では現在まで、武装無人機の使用でウクライナが主導的な役割を担っているが、イランも無人機についてかなりの経験を持っている。イランの武装無人機があれば、ロシア側はウクライナ内部の高価値目標を狙うなど、新たな攻撃手段を手にできる。さらに、イランが無人機をモスクワに提供することに、政治的な意思表示があるのも重要だ。

 昨夜、ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は記者団に対し、「イラン政府はロシアに対し、武器搭載可能なUAVを含む最大数百機のUAVを迅速に提供すべく準備を進めている」と主張した。

 そのタイムラインの詳細は明らかにしなかったが、サリヴァンは、イランがロシア軍向けに無人機の訓練で準備に入っており、「早ければ7月上旬に」ウクライナ投入すると米諜報機関がつかんだと付け加えた。

 

 

2021年1月にイランのセムナンで行われた軍事訓練でのイラン製アバビルシリーズ武装無人航空機。 Photo by Iranian Army/Handout/Anadolu Agency via Getty Images

 

 イラン政府関係者は無人機提供を否定してきた。しかし、イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、イランの半官半民のタスニム通信に以下語っている。「現代技術の分野でのイラン=ロシア協力の歴史は、ウクライナ戦争以前にさかのぼる」「この点に関して、最近特に進展はない」。

 サリバン発言を受け、ロシアがTB2と同じ分類のイラン製武装無人機、使い切りの武装と照準センサーを搭載し、任務終了後は基地に帰還する無人機の購入を準備しているのではないかとの憶測が流れている。

 しかし、「数百機のUAV」という表現は、小型UAVに聞こえる。一回きりの任務のために「特攻機」または「カミカゼ機」として広く知られるようになったUAVのようだ。

 中東では、イラン製自爆無人機の使用例があり、中でもイランが代理勢力とサウジアラビアの石油インフラを狙って運用し、複雑な襲撃で大損害を与えた事例がある。この種の「ローエンド」無人機攻撃にインフラは脆弱だ。また、このような攻撃は、自爆無人機と弾道ミサイル巡航ミサイルを組み合わせて行われるため、防衛上の問題がさらに複雑になる。

 この種の無人機は、単独使用する場合でも、従来型防空手段での対抗は容易ではなく、全体として、比較的安価な調達コストに似合わぬ破壊的な効果を発揮することが可能である。

 ロシアは、独自の無人機を数機種開発し、シリア作戦で試験的に採用したにもかかわらず、これまでのところ、武装無人機をそれほど広範に使用していない。しかし、ロシアの無人偵察機はウクライナ上空の監視に広く使われている。

 長距離攻撃手段として、イランの武装無人機は巡航ミサイルや弾道ミサイルより相当安価だ。さらに、制裁下のロシアにはそのような兵器を国内生産する能力も疑問視されている。イラン製自爆無人機は、ロシアの最新巡航ミサイルの精巧さはなく、レーダー断面積も小さいが、インフラへのピンポイント攻撃には非常に適している。また、航続距離の長さから、首都キーウ含むウクライナ西部の目標にも使用できる。首都キーウへの「復讐兵器」として無差別に使用することも現実の可能性だ。イランが長年にわたり制裁や大規模な輸入制限に直面しながら独自の航空宇宙産業を築き上げてきたことを考えれば、無人機の連続生産が影響を受けることはないだろう。実際、厳しい制裁措置とグローバルなサプライチェーンの問題という二重の影響を受け続けているロシアにとって、イランが各種兵器の重要な供給源となってもおかしくない。

 ウクライナ紛争初期から、ロシアの兵器在庫が枯渇しているという報告は聞かれていた。特にスタンドオフ攻撃兵器は、ウクライナ全域への長距離攻撃の結果、大きく消費されたようだ。ロシアが最近、対艦兵器として知られるKh-22(またはKh-32)ミサイルを陸上目標に採用した背景には、Kalibrシリーズ含むより高度なスタンドオフミサイルが不足がある可能性が非常に高いと思われる。また、ロシアは最近、S-300シリーズ地対空ミサイルを陸上攻撃用に採用するようになったと伝えられている。

 一方、ウクライナはトルコから導入した武装無人機「バイラクターTB2」を多用し、侵攻開始前から親ロシア派に対して実戦投入している。その過程で、ロシアのキエフ襲撃を撃退したり、黒海にあるスネーク島への攻撃を繰り返したりと、注目を集める作戦で使用されたことで、ウクライナ側にとってTB2は象徴的な存在に昇格している。しかし、最近では、ロシアの防空網を前に損失が拡大したため、TB2の使用は減少しているようだ。 ウクライナ戦争でも、長距離攻撃に自爆無人機が使われ、ロストフ地方の製油所が攻撃されたことがある。これは、中国のマーケットプレイスサイト「アリババ」で販売されている市販品を応用して実行された可能性が高い。

 ウクライナがロシアの標的に対する一方的な攻撃任務のために別の種類の無人機を再利用した例は、他にもある。先月、冷戦時代後期のウクライナのTu-143ジェットエンジン搭載無人機が、ロシア西部で撃墜されたと報じられていた。一方、3月にクロアチアで墜落した、見た目は似ているがより大型のTu-141型無人機は、爆発性弾頭を搭載していたとされる。これらの事件を総合すると、ウクライナは無人航空機を長距離攻撃用の高速自爆無人機として投入している可能性が高い。

 今日でも、ウクライナ軍がロシア占領下のザポリジャー州北西部エネルホダルで、機種不明の無人機を使いロシア軍を攻撃したとする報告があり、キーウ政権にとって武装無人機の重要性がさらに高まっている。

 これらの事例でウクライナが明らかに自爆用無人機を使用していることは、無人機攻撃のもう一つの利点、つまり、犯人の身元を不明瞭にすることが非常に可能であるためだ。イラン製無人機によるウクライナの標的への攻撃は、ウクライナの親ロシア派分離主義勢力によるものと公式に判断されるため、モスクワにとってこれは特に魅力的なことだろう。また、このような「もっともらしい反証」があれば、国際的な非難を浴びかねない、より機密性の高い標的を攻撃することも可能になる。

 また、紛争が戦略的に重要な黒海へ拡大した場合など、いざとなれば、ロシアがイランの専門知識を利用して、海上標的を含むさ各種無人機による攻撃を実施する可能性もある。テヘランはこの分野で多くの経験を積んでおり、過去に何度も商業船舶を攻撃し、あるいは攻撃を連携させたりしている。例えば、昨年8月、米中央軍は、オマーン沖でリベリア船籍でイスラエルが運航するタンカー、M/T Mercer Streetを無人機で攻撃し、乗員を死亡させた事件の詳細を公表した。この事件では、自爆無人機として知られる「一方向攻撃型無人航空機」で3回の攻撃が行われ、イランがその責任を問われた。

 イランの無人機は、イスラエルが開発した無人機「ハーピー」と同じような防空監視・破壊用に開発されたものもある。このことは、ウクライナの防空網をさらに劣化させたいロシアにとって、新型の地対空ミサイルがロシア航空機を脅かし始めていることと関連性があるかもしれない。特に新型地対空ミサイルがロシア航空機の脅威となりつつある中、対レーダー搭載無人機でウクライナの防空網を劣化させれば、同国西部の空域を従来型有人機による攻撃に開放できる。

 このように考えると、イランの武装無人機、特に自爆型無人機を大量入手することは、ロシアにとって非常に魅力的であるのは明らかである。実際、イラン報道によれば、無人機の購入、あるいはライセンス生産に対するロシアの関心は、国連のイラン向け武器禁輸措置が解除される少なくとも1年前の2019年にまでさかのぼるものである。

 問題はこの種の取引から、テヘランが何を得るのかだ。制裁が功を奏し、資金注入が切実に必要とされている時期に、非常に価値の高い新規顧客、それも全面戦争を展開する顧客を確保できる。今年2月のウクライナ侵攻以来、多かれ少なかれ国際的な除け者になっているモスクワ政権を支援する強力なシグナルを送ることになる。テヘランはすでに、ウクライナ戦争を引き起こしたのは東欧におけるNATOの拡大だと非難している。

 イラン無人機をロシアに運ぶには、両国間の貨物便を利用することになりそうだ。航空機追跡と衛星画像分析のGerjonが収集したデータによると、ウクライナ侵攻後の最初の3カ月間に、少なくとも23機の貨物便がイランからモスクワに飛んだという。これらの航空機が何を輸送していたのか正確には不明だが、すべてモスクワに着陸し、過去に他国へ武器輸送を行ったと理解される航空会社が運航していたようだ。特にエチオピアでは、イラン製の無人機「モハジャー6」が出現する直前に、同じ航空機と航空会社がエチオピアに飛んでいたことが確認されている。

 また、海路で兵器を届ける選択肢もある。半官半民のMehr Newsが昨日伝えたところによると、Islamic Republic of Iran Shipping Lines(IRISL)は、非公開の物品が入った「特殊コンテナ」300個をロシアに輸送しているという。同記事では、需要が増えれば、コンテナの数も増えると指摘している。

 どのように供給されるにせよ、無人機を迅速にロシアの手に渡すことが大きな価値をもたらす。イランの無人機は、小規模な軍隊や非国家主体でもすぐに使えるように訓練するシステムに重点を置いている。また、兵站も最小限で済むのもロシアにとってはありがたい。

 バイデン米大統領が中東歴訪を開始するわずか2日前に、このような情報を公開したことも重要である。イスラエルとサウジアラビアを訪問し、イランの脅威に対抗する軍事同盟を構築する予定だ。また、ウクライナ戦争への支援に冷淡だったイスラエルが、イランの無人偵察機をロシアに提供する可能性を発表した直後に、キーウ向け軍事物資の提供を発表したことが注目される。NATOと米国には、イランとロシアは共通の敵である。

 一方、来週、ロシアのプーチン大統領がテヘランを訪問する予定で、無人機売却やその他軍事支援が議題に上る可能性は十分にある。プーチンとイランのエブラヒム・ライシEbrahim Raisi大統領は、トルコのタイップ・エルドアンTayyip Erdogan大統領ともシリア内戦について話し合う。トルコは、前述のTB2無人機をウクライナに供給しているほか、ロシアとイランが支援するシリア政府政権と戦うシリア反体制派を支援している。

 

ロシアが大量のイラン製無人機を手に入れた場合、ウクライナ戦争に大きな変化が生じ、テヘランが潜在的に重要な政治的プレーヤーとして舞台に参入するかもしれない。同時に、ロシアがイラン製の自爆用無人機を配備し始めた場合、一方向性の無人機によるスタンドオフ攻撃が一般的になり、挑戦的な動きを見せる新時代の戦争に突入している現実がさらに強まる。■


Russia Getting Iranian Attack Drones Would Be A Very Big Deal

BYTHOMAS NEWDICK, TYLER ROGOWAYJUL 12, 2022 7:29 PM

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