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ウクライナが負けた方がいいと思う向きはこの記事を読んでください。ウクライナが勝利する可能性があるのかが見えてきます。

 M1 Abrams Tank 

2018年4月3日、カリフォルニア州トゥエンティナイン・パームスの海兵隊空地戦闘センターで行われた第1戦車大隊のジェーン・ウェイン配偶者感謝デーで、M1A1エイブラムス戦車が主砲発射を実演した。イベントの目的は、第1戦車海兵隊とその家族のため、精神面の健康、戦意、家庭生活における回復力を築くことにあった。 (U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Rachel K. Porter)

 

ウクライナが勝てないというのはやめよう

ドンバス地方で残忍な消耗戦が数週間続き、ロシア軍は大規模な砲撃に支えられ少しずつ前進していることから、ウクライナはロシアとの戦争に勝てないとする見解が主流となっている。

 その見方は正しいかもしれない。ロシアは侵攻初期に兵員や装備を大幅に喪失したとはいえ、兵力、戦車、大砲、航空機などでかなりの数的優位にある。

 しかも、欧米のウクライナ支援はここ数週間、停滞気味だ。プーチン大統領もそれを見越したのだろう。2011年のリビア、シリア、イエメンでの紛争でも、西側諸国の関心が低下したのは同じだった。

 食料とガスの価格が高騰し、インフレが高騰するなか、西側諸国の多くは、ウクライナは損失を受け入れ、モスクワと和解し、ドンバスと、2014年にロシアが併合したクリミアとつながる黒海陸橋を譲り渡すべきと言い始めている。

 しかし、ウクライナのメッセージは一貫している。彼らは自分たちの戦略がうまくいっており、十分な西側兵器さえあれば、ロシア侵攻を打ち負かせると信じている。また、その信念は外部にも見られる。英MI6のトップがアスペン・セキュリティ・フォーラムで講演した。珍しく公の場に登場した長官は、ロシアの攻勢は限界に達していると述べた。

 「我々の評価では、ロシアは今後数週間で、人員と物資の確保が困難になる」と、質疑応答で語った。

 

脅威は実存する

2014年のクリミア併合と異なり、ウクライナは存在そのものを脅かされる事態に直面している。ウクライナのドミトロ・クレバDmytro Kuleba外相は最近、フォーリン・アフェアーズに寄稿し、自国にとって何が危機的状況であるかを綴った。

 「プーチン大統領は、単にウクライナの領土を奪おうとしているのではない。ウクライナ全土を掌握したいのだ」とクレバは書いている。「彼は、ウクライナの民族性を破壊し、我々の民族を地図上から消し去りたいと考えている。我々を虐殺し、我々のアイデンティティーを破壊することによって。言い換えれば、彼は大量虐殺のキャンペーンに従事しているのです」。

 しかし、ウクライナのメッセージは、西側諸国には十分に響いていない。ウクライナ外務省や米国務省の情報キャンペーンは十分強力といえない。在ウクライナ米国大使のブリジット・ブリンクBridget Brinkからも十分な情報が得られない。

 ニュース番組はウクライナを報道の優先順位の下に押しやり、米国ではフットボールの季節が始まるとさらに薄れるだろう。これは非難ではなく、単純な事実だ。

 ウクライナ人はこの戦争でロシア軍から多大な血を流させた。しかし、彼らの少数の重砲とミサイル発射機は、その存在を感じさせながらも、説得力ある反攻を行うには不十分だ。欧米の支援は膠着(こうちゃく)状態を引き起こすだけだ。

 米国と西側諸国は、ウクライナに大量の防護服、小火器、弾薬、ジャベリンやスティンガーといった小型の携帯型対人・対空システムを提供してきた。しかし、もっと必要であり、すぐにでも必要である

 

「プーチンに恥をかかせるな」戦略を捨てよ 

西側諸国は、ロシアの核兵器使用の脅しに騙されている。プーチンは父親の銃を振り回す子供のようなものだ。脅したり、大げさな発表をするのが好きだが、何より現実的である。彼は西側諸国や他の誰とも核戦争する気はない。

 ジョー・バイデン米大統領もエマニュエル・マクロン仏大統領も、これにまんまと引っかかっている。バイデンは一貫して「いかなるエスカレーションも望まない」と言い続け、ロシア標的を攻撃できる兵器のウクライナへの提供を制限してきた。マクロンは今年初め、報道機関に対し、西側諸国は「ロシアに恥をかかせてはならない」、その代わりに戦争を終わらせる「出口」を用意すべきだと語った。

 プーチンは、クレバが言うように、ガスライティングの達人である。勝ち目のないシナリオに直面すれば、手を引いて「すべて順調」と宣言する。戦争初期にキーウとハルキウを占領しようとした自軍がほぼ壊滅状態に陥った後、クレムリンは撤退を交渉促進のための親善行為と位置づけた。

 フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を打診してきたとき、プーチンとクレムリンは厳しい結果を招くと脅した。しかし、いったん加盟が決まると、プーチンは軽視した。NATO拡大の阻止がそもそもウクライナ侵攻の理由の一つであったにもかかわらず、そうした。フィンランドはロシアと800マイルの国境を接している。

 欧米はプーチンの機嫌を損ねるのを心配するのはやめなければならない。代わりに、ウクライナが勝利するために必要な成熟度を与え、奪われた地域からロシアを押し戻す戦略に集中すべきだ。

 

今、ウクライナに必要なものとは

1. 暗視装置。ウクライナ戦争が始まって5カ月間、ロシア軍が暗視装置がほとんど使用していないことは、驚くべき事実のひとつだ。ロシア軍は、通常部隊の下士官には暗視装置を支給しない。特殊作戦部隊(スペツナズ)のみが暗視装置を支給されている。しかし、特殊作戦部隊のとされる写真にも、ナイトビジョン機能らしきものはなかった。

 このあたりはウクライナが有利といえる。ウクライナ軍は、2014年の東ウクライナでの分離主義者との戦闘で、ナイトビジョン装置の追加を要求していた。そして、自軍で利用できる数を徐々に増やしてきた。これはウクライナにとってゲームチェンジャーとなりうる領域だ。

 米国は長年、ナイトビジョン技術の共有を制限しようとしたが、ウクライナ側には多くの市販技術が届いている。第一次湾岸戦争で米国が行ったように、夜を支配することは、戦場を照らすために照明弾や星をいまでも使う敵に大きなアドバンテージとなる。

 

2. レンドリース、米軍基地在庫の放出を 米国は、第二次世界大戦のレンドリース・プログラムに類似したプログラムを開始した。しかし、米国には旧式のM1エイブラムス戦車やM109自走砲の膨大な在庫があり、新型への置き換えが進む中で、眠っている装備品がある。もはや最高級品ではないが、ウクライナやロシアが使う装備より優れている。T-72戦車の多くが戦闘で破壊され、ロシアは1960年代の古いT-62をほじくり返している。

 米国は旧式兵器を、いつか有事に必要とされるときのため保管している。

 今こそ基地の鍵を開けて、ウクライナに必要なものを提供する時だ。ウクライナで使用中のM777榴弾砲は優れた大砲だ。しかし、ウクライナのその他大砲と同様に、牽引式であるため、対砲台砲撃を受けやすい。旧式のM-109も大きく進化しており、「撃ちながら歩く」ことができる。

 HIMARSは優秀で、素晴らしい働きをしているが、現ただしウクライナに12台しかないため、攻撃に必要な規模が揃っているとは言えない。

 

3. 砲身の寿命と弾薬不足

ロシア軍は、部隊が少しずつ前進する一方で、ウクライナの陣地や市民地域に大規模な砲撃やミサイルを使用する、試行錯誤の戦術をとっていると判明した。日曜日の夜、19FortyFiveは、スロバキア高官と会ったヨーロッパ旅行から戻ったばかりの元陸軍将校と話をした。話はロシアの大砲に及んだ。 

 ロシアの大砲の砲身寿命について話したが、製造品質が大幅に劣っている。単純に計算の問題だが、ロシアはウクライナに大隊戦術群(BTG)約110を展開している。BTGは各3個の砲台がある。各砲台は6門の砲がある。つまり、約1,980門の大砲がある。ロシア軍は毎日推定6万発の砲弾を発射しており、砲兵一人当たり約30発の弾丸を発射していることになる。

 

Russia Ukraine

ロシアの砲撃の様子。Image Credit: Creative Commons.

 

 

ロシアの大砲の砲身寿命は2,000~2,500発で、100日以内に砲身をメンテナンスか交換に出す必要がある。したがって、ロシア火砲は、おそらく短期間で大規模オーバーホールが必要になる。このあたりは、今後数週間、注意深く見ていく必要がある。

 一方、スロバキアは、ウクライナの対ロシア戦争に、MiG-29戦闘機11機を提供した。スロバキアのヤロスラフ・ナドJaroslav Nad国防相は、金銭補償がうまくいけば、自国の領空はチェコ共和国とポーランドが防衛することになると述べている。

 ウクライナはロシアとの存亡をかけた戦いに勝てる。しかし、19FortyFiveに伝えられた一つの注意点は、多くの西側軍関係者が、ウクライナが9月までに深刻な弾薬不足に直面し、弾薬を使い果たす可能性だ。■

 

Not Mission Impossible: Yes, Ukraine Can Win the War Against Russia - 19FortyFive

BySteve BalestrieriPublished2 hours ago

 

 

Steve Balestrieri is a 1945 National Security Columnist. He served as a US Army Special Forces NCO, and Warrant Officer before injuries forced his early separation. In addition to writing for 19fortyfive.com and other military news organizations, he has covered the NFL for PatsFans.com for over 11 years. His work was regularly featured in the Millbury-Sutton Chronicle and Grafton News newspapers in Massachusetts.

In this article:Artillery, featured, Russia, Ukraine, War in Ukraine


コメント

  1. ぼたんのちから2022年7月29日 9:31

    ウクライナが戦争に勝利し、戦犯容疑者プーチンの野望の粉砕を望むものの、現在のように少数の兵器に依存すれば、勝利の望みもはかなく消えていくかもしれない。
    米国を含むNATOは、プーチンの脅しに屈せず、より多くの大砲、ミサイルや、装甲車両並びに消耗品を供与し、航空機やミサイル艇も送るべきだ。日本もレーダーや掃海艇等を贈りたいところだ。
    これから5年先を予測すれば、プーチンは転げ落ち、ロシア経済は、欠陥の多い制裁下でも縮小し、軍事力は著しく減退し、ロシアの求心力は失われ、再分裂が起きてもおかしくない。この世界で老いぼれバイデンは間違いなく引退し、脳動脈瘤を抱える習も引退せざるをえない状況に陥っている可能性が高い。欧州の大国は相対的に没落し、その影響力はかなり下がる。この状況は、一見、ブレマーの言う「Gゼロの世界」に見えるかもしれない。しかし、この認識は、米国の潜在的な、力の根源とも言えるものを見ていない。
    米国は、対テロ戦争敗北後の新たな戦略をもう既に打ち出している。それがウクライナ戦争に対する米国の関与であり、間接的な戦争の制御を通じての支配である。
    米国は、ウクライナへの武器供与の質と量により、戦争の行方をコントロールしている。そしてこの戦略は、「君臨すれども、統治せず」とした大英帝国最盛期の戦略の現代版のように見える。また、この戦略は、世界大戦を抑止、あるいは防止するものでないことにも注意すべきかもしれない。

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