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ウクライナにA-10を供与しても実戦に役立たない理由とは....A-10神話が強すぎる?

 

  

ウクライナ戦でA-10が正しい選択にならない理由 

 

3月にウクライナで、渋滞に巻き込まれたロシアの車列が何マイルも続く衛星写真が公開され、伝説のフェアチャイルド・リパブリックA-10サンダーボルトII、通称ウォートホグのファンは、ウクライナ戦への同機投入を切望してきた。しかし、ウクライナへのA-10派遣が実施可能と思われ始めた今、大口径機関砲による威力をもとにしたレトリックを健全かつ現実面で抑制する時が来た。 

 
 

New wings to secure A-10 longevity > Air Force > Article Display


(U.S. Air Force photo) 

 
 

A-10には制空権確保が必要だ(ウクライナにない) 

A-10はもともとソ連装甲部隊と交戦するため設計されたが(後述するように、実はその効果は思ったほど高くないかもしれない)、低速のウォートホッグは20年にわたる中東での非対称戦を通じ、歩兵お気に入りの近接航空支援機となった。しかし、ウクライナ戦はまったく異なる。 


イラクやアフガニスタンでは、パイロットを守るチタン製タブと冗長システムの組み合わせで、敵攻撃を受けても空中で待機し、敵陣にまっすぐ飛び込み30mm大口径弾を毎秒65発発射し、その威力を何度も証明した。これはA-10の本来の目的ではないが、多くの点でヨーロッパ国境を越えて押し寄せるソ連軍の兵器を相手にするより、接敵中の部隊への航空支援に有効だと証明された。

 

「テロとの戦い」は、航空戦力や高度な防空能力を持たない敵を相手にするため、A-10が活躍する絶好の機会となった。A-10は強みを発揮したが、弱点は明らかにならなかった。携帯型防空システム(MANPADS)が少なく、敵軍が使用する装備はほとんど時代遅れであった。それ以上に、これまでの紛争では防空システムは実質的に存在していなかった。 


The unknown story of an A-10 CAS mission performed to support Special  Forces deployed in Afghanistan - The Aviation Geek Club 

(U.S. Air Force photo) 


高度脅威環境では、A-10が撃墜される危険性が高くなる。実際、非常に効果的な防空網に対して、アメリカ空軍と海軍の現在供用中の航空機のほとんどは、かなりのリスクで運用されることになる」。("Defining an Approach for Future Close Air Support Capability" by John Matsumura and John Gordon IV, Randall Steeb for the Rand Corporation) 


ウクライナ上空で雌雄が決まっていない。ウクライナ機は毎日出撃しており、それ自体、ロシアの優れた技術と数に対抗する上で奇跡に思えるが、ロシアの戦闘機と防空システムは依然として広く戦闘に加わっている。ロシアの防空システムは、よく言われるようほど無敵ではないとしても、被探知性が高く、低速のウォートホッグと交戦できるは確かである。 


過去に紹介したように、A-10は適切な状況下であれば、サラブレッド戦闘機と1対1で対峙することも可能だが、それを試みると絶望的な行為となる。最高速度が時速420マイルしかないA-10は、ロシアのS-300やS-400防空システム、様々なロシアの戦闘機の格好のターゲットとなる。 


ウクライナも十分承知しているようだ。 


ウクライナ国防相の顧問ユーリー・サックは、Military.comの取材に対し、「A-10は空を閉ざさないし、爆撃機やミサイルを止めることもできない」と語っている。「A-10は、ロシアのジェット戦闘機や対空防衛の標的になる。我々にはA-10を効果的にカバーする手段も、敵の対空防衛を突破する手段もない」。 


A-10は、装甲を粉砕する殺人マシンではない 

怒りのコメントが殺到してくる様子が思い浮かぶ。しかし、真実が私たちを解放してくれる。 


A-10の伝説的なGAU-8アベンジャー機関砲は、信じられない工学の塊だ。長さ約20フィート、重さ約620ポンドの油圧駆動の7バレルガトリング式自動砲は、当初低設定で毎分2,100発、高設定で4,200発の発射が可能だったが、最終的には常時3,900発に安定化された。つまり、A-10の巨大砲は毎秒65発の弾丸を発射する。 


こんな弾が65発毎秒発射されるんだよ。

 

 

私のオフィスには "誰も信じるな "と 書いてある いいアドバイスだ 


上の写真はA-10のGAU-8の30mm弾(左)、M2マシンガンの徹甲焼夷弾(50口径)、AR-15などライフルの223ライフル弾、X-Filesをテーマにした鉛筆のレプリカ。 


つまり、人間の限られた感覚からすれば、A-10は事実上、4,000フィート以下(多くの場合、もっと近く)の距離から劣化ウラン弾をレーザー光線を目標に発射していることになる。A-10の機関砲が、標的を悪者風味のオートミールに変えるのに効果的でないふりをするつもりはない。しかし、この兵器が強力であっても、一般に考えられているほど、ロシアの装甲に有効ではないことを認識することが重要である。 


A-10のGAU-8と30mm徹甲弾は、整備不良のT-72を中心としたロシアの年代物戦車の装甲には極めて有効だが、有効性を発揮するため、(環境が許す限り)相当なパイロット技量と効果的な作戦立案が必要となる。 


1979年、海軍大学校はA-10と強力な砲をソ連のT-62戦車に対し低角度で発射し威力を発実験した。その結果、1950年代の戦車に対し、正面からは全く歯が立たず、背後や側面への攻撃で致命的な打撃を与えることができた。 

 
 

 

 
 

報告書によると、高度200フィート以下、距離4,400フィートから1,587フィートの範囲で、T-62戦車に対し合計7回のパスを行い、A-10は合計957発を発射したが、実際に戦車に命中したのは93発だけであった。そのうち、穿孔や装甲貫通を起こしたのは17発だけであった。7回のパスのうち1回では、戦車に一発も弾が当たらなかった。 


もちろん、対戦車戦闘では装甲を貫通させることが必ずしも必要なわけではない。もちろん、装甲貫通が対戦車戦闘に必須なわけではなく、サスペンションや戦車のトレッドに十分なダメージを与え機動性を制限することも、同じように価値があり、A-10はテストでそれを実現していた。実際、テストで、A-10が1パスあたり0.43キル、つまりカーブを2回曲がるごとに1回弱の割合でT-62を破壊できることが示された。 

 

しかし、T-62の前面装甲は100mmで、性能向上のために急角度で取り付けられていたことを理解する必要がある。その結果、200mm相当の圧延均質装甲効果が得られると言われる。側面と背面では、T-62の装甲は45mmから80mmの厚さになっている。 

一方、最も一般的なロシアのT-72(通称T-72B3)は、前面装甲が200mmで、改良された層状材料で作られ、さらに傾斜を付けて防御力を高めており、500mmから600mmに相当すると言われる。側面は80mmの圧延鋼板で覆われ、ミサイルやロケット弾などの対戦車兵器を防御するためのコンタクト5爆発反応装甲も備える。

 

こうした車両を正面から攻撃することは無意味に近いが、背面や側面から攻撃する場合は、2000フィートから3000フィートの範囲で交戦すれば成功しそうだ(精度に関する評価の結論による)。これは現可能だが、複雑な戦闘環境では、特にこのプラットフォームで簡単な訓練しか受けていないパイロットには難しいだろう。 


Afghanistan Wants the US to Send the a-10 Back to Fight the Taliban 

(US Air Force photo by Senior Airman Brett Clashman) 


ウクライナでA-10は苦戦する 

A-10は確かにロシア軍に大きなダメージを与えることができるが、ウクライナのA-10パイロットは、ロシアの防空システム、MANPAD、敵機の脅威を受けながら、効果的な角度や距離から攻撃するためにタイムリーな情報を活用し機体操作する高度技術が必要となる。ウクライナ軍は、ソ連のA-10と喧伝される自軍のSu-25を紛争当初から運用しており、このことをよく理解している。 


F-16ファイティングファルコンなら、敵の戦闘機から身を守りつつ(あるいは逃れつつ)、近接航空支援任務を果たすことができる可能性がある。 


A-10サンダーボルトIIは巨大砲が特徴の素晴らしい航空機だが、ウクライナには別の機材に制空権確保を依存しなくてもいいジェット機が必要なのだ。■ 

Alex Hollings | July 28, 202 

Alex Hollings 

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University. 

 
 

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