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英米両国が「第六世代」機で協力する余地はどこまであるのか。日本他同盟国の関与はあり得るのか、現状での検討。日英の歩み寄りに米国が警戒している?

 

 

NGADプログラムで開発されている第6世代有人戦闘機の初期コンセプトアートワーク。 Lockheed Martin


 

米英の次世代航空戦闘計画について、米軍関係者が、一定の協力は可能と明言した

 

 

空軍の有力者が、有人プラットフォームを目玉とする米英それぞれの次世代戦術空戦計画について、協力の可能性を提起している。現在、米国はNGAD(Next Generation Air Dominance)開発を単独で進めているが、空軍と海軍の取り組みに相互作用があるとみられている。一方、英国は「テンペスト」計画に国際パートナーを積極的に迎え入れようとしている。在ロンドン米国空軍アタッシェ、チャールズ・E・メトロリス大佐Col. Charles E. Metrolisによる最新の情報開示は米英両国の各プログラムで「洞察や能力」の共有の可能性を提起している。

 エアフォース・マガジンのグレッグ・ハドリーとのインタビューで、メトロリス大佐は、第6世代航空戦闘プログラムに関して、米国と英国の間で「将来的に開発面で何らかのクロストークが行われる」だろうと述べた。

 空軍が秘密裏に進めているNGADは「今のところアメリカだけのもの」だが、メトロリス大佐はアメリカ側が「第6世代の開発・配備に関するイギリスの考えを歓迎する」と述べた。しかし、「それがどのように見えるかは、まだわからない」と認めた。

 

NGADとテンペスト

プログラムの中核となる有人「戦闘機」については、現段階では、NGADとテンペストがどんな形になるのか、まだ限られた情報しかない。また、「テンペスト」は、英国(欧州とは異なる)の「Future Combat Air System(FCAS)」内の有人戦闘機の取り組みに特化しているが、境界はますます曖昧になってきた。

 

 

 

テンペスト(中央)、タイフーンやF-35戦闘機、忠実なウィングマン・ドローンを従えた最新のコンセプトアートワーク。BAE Systems

 

一方、2020年後半からNGAD実証機または何らかのプロトタイプが飛行しているものの、その姿は不明で、あらゆる説明、視覚的証拠から、大型、無尾翼でステルスなデザインであることがわかる。伝統的な戦闘機の外観や操作性ではないだろう。長距離、大ペイロード、高度なセンサー融合と状況認識、無人システムおよび兵器との協調戦術を可能にする高度ネットワーキングによる高い接続性、非常に低い観測性(VLO、またはステルス)が、おそらく中核だ。過去の戦闘機のような極めて機敏な動きと引き換えに、生存能力と航続距離が設計の主要な推進力になっている可能性が高い。また、多額の費用がかかるだろう。フランク・ケンドール空軍長官の発言によれば、1機あたり「数億ドル」かかるという。

 現時点では、空軍はNGADの主契約者を決定していないが、ケンドール長官は最近、最終的なダウンセレクトが 「そう遠くない 」ことを確認した。一方、ボーイングノースロップ・グラマン両社は、第6世代戦闘機の開発を主導しようと、それぞれ主張を展開している。また、ロッキード・マーチンのスカンク・ワークス部門もNGADに積極的に取り組んでおり、最終的なワークシェアでは、NGADのサブシステムやコンポーネントを各業者が分担する可能性が高い。

 NGADの有人戦闘機型で考えられるもうひとつの側面は、適応性で、空軍はひとつのデザインで2つの異なる仕様を検討しているようだ。一つはヨーロッパ戦域に最適化されたもの、もう一つは太平洋の長距離・長時間飛行任務に合わせ燃料などを追加し、後者が主要構成となるようだ。対照的に、テンペスト戦闘機は、タイフーンより航続距離に重点を置くかもしれないが、ヨーロッパ作戦用にスケールアップされる可能性がはるかに高い。

 結局のところ、米空軍とイギリスは、第6世代有人戦術航空戦闘プラットフォームに対して、異なるアプローチを取っているのかもしれない。しかし、少なくともセンサー機能、ネットワーク、武器などで類似点があっても、不思議ではない。

 今月初めにロンドン郊外で開催されたファーンボロ国際航空ショーで、テンペストの主契約企業BAEシステムズは、新コンセプトモデルを発表し、5年以内に実証機を飛行させると明らかにした。興味深いことに、新型モデルは、これまでと比べて、全体的に米ステルス戦闘機F-22ラプターに強く似ており、F-22の競合機だったノースロップYF-23を思わせる要素もある。

 しかし、この初期段階でテンペストの姿をあまり多くを推定しないよう注意する必要がある。

 RUSIのResearch Fellow for Airpowerであるジャスティン・ブロンクJustin Bronkは、The War Zoneに、「現在のモックアップは、戦闘機タイプ機体に広帯域VLO機能を組み込む一般的な要望以上に、飛行実証機の姿で良い指針とはならないと思う」と述べている。

 しかし、ブロンクは、「実証機は、最終的なテンペストの中核となる航空機とかなり似ている可能性がある」と観察している。

 

 

BAEシステムズが最近発表したグラフィックは、テンペスト有人戦闘機が、タイフーン、F-35、E-7ウェッジテイル、「忠実なるウィングマン」タイプ無人機とネットワークチームとなる姿を示している。BAE Systems

 

「システム・オブ・システムズ」の一部を共有する

しかし、NGADとFCASは、新世代戦闘機含む航空機を配備するという幅広い要件を超え、「システム・オブ・システムズ」アプローチを追求している。つまり、当初から補完的な技術、例えば「忠実なるウイングマン」タイプの無人機、新世代の空中発射兵器、ネットワーキング、センサーなどを含む。

 プログラムの中心に位置する有人戦闘機は別として、新技術多数が同時稼働する可能性があるため、米国と英国(あるいは他国も含めて)にとって、最高の協力の選択肢となる。こうしたパートナーシップは、情報交換レベルでのみ存在するとしても、最先端のNGADとFCASプログラムに非常に有益であることは容易に想像がつく。フランク・ケンドール空軍長官は、2030年までにNGAD有人機を実戦化する目標を語り、イギリスは2035年までにテンペスト戦闘機の就役を望んでいる。

 

 

BAEシステムズのインフォグラフィックでは、「テンペスト」の初期のコンセプトと、このプログラムの中核となる機能や技術が紹介されている。BAE Systems

 

メトロリス大佐はエアフォース・マガジン誌に、「両者とも最新技術になる。英国が共有できる洞察や能力を持っていれば、あるいは米国が彼らと共有できる何かを持っているなら、同盟にとって良いことだ」と語った。

 

無人機の観点

イギリスは、忠実なるウイングマン型ドローンの可能性と、将来のFCASアーキテクチャにどう適合するかも検討中だ。英空軍の無人航空機構想「LANCA(Lightweight Affordable Novel Combat Aircraft)」は、必要とされる無人機の種類を決定する任務を担う。

 

LANCAでは、有人機と半自動的に協働できる忠実なるウイングマン型無人機の試験をめざしたモスキートプロジェクトを中止するなど、最近大きな進展が出ている。

 

 

以前のLANCAのコンセプトアートでは、F-35Bステルス戦闘機とネットワークされた忠実なウイングマン型無人機が描かれていた。頓挫したMosquitoドローンで、このコンセプトを模索することが期待されていた。 Dstl

 

モスキート計画の中止を受けて、BAEシステムズは新しいタイプの無人航空機のコンセプト2種類のを発表した。1つは、単独またはネットワーク化された群れの一部として動作可能な比較的小型のドローンで、もう1つは大型で、下位の各種無人UCAVコンセプトと共通する部分が多くなっている。

 

 

最近発表されたBAE Systems社の2つの無人航空機コンセプトのレンダリング画像 BAE Systems

 

英国がこの種の無人機をどのように利用するか、どのような任務のために無人機を構成するか、どの程度の自律性を持たせるかなど、非常に思案している段階であることは明らかだ。最終的には、少なくとも無人プラットフォームを独自開発するのではなく、NGADプログラムや、米国が提供する低機密性の無人アーキテクチャを購入する可能性がある。米国との有用な共通性を提供するという利点もある。無人機は、空戦に特化する英国の航空宇宙産業を維持するのに理想的であり、有人機よりリスクがはるかに低い。

 米空軍のNGAD有人プラットフォームは、F-22と同様に米国の独占的な装備となるだろうが、プログラム内のその他付随技術を同盟国に開放するケースはあり得る。米国と英国間には、高機密性プログラムで協力が行われた前例が複数ある。

 FCAS/テンペストプログラムが崩壊した場合、英国がNGADに全面参加するよう働きかける可能性もある。

 

 

NGAD有人戦闘機の潜在的な構成の1つを、F-22とともに示す合成画像。U.S. Air Force photo by Tommie Horton/Lockheed Martin

 

F-35統合打撃戦闘機は、さまざまな同盟国から各種レベルの産業界の参加を得て、部分的に共同作業としてハイエンドの空戦プログラムが実行できる例だ。F-35開発費を分担したのは7カ国で、中でもイギリスは唯一のTier1パートナーとして、アメリカ国外で最大の資金を投入している。

 しかし、同盟国と有益な技術を共有し、場合によっては「システム・オブ・システムズ」の特定要素を輸出する機会がないわけではない。

 

テンペストは単独で進められるか?

しかし、英国が「テンペスト」でとったアプローチは、米国の参加を妨げているかもしれない。結局のところ、イギリスはアメリカと対照的に、早期段階から将来の戦闘機で国際パートナーを積極的に模索しており、コスト分担し、産業全体の努力に見合う潜在的受注を確保している。また、ライバル関係にあるイギリスとヨーロッパのFCASの取り組みが統合される可能性についても語られているが、これまでのところ、イギリス側は冷淡な態度のままだ。

 「英国がスウェーデンやイタリアとテンペストについて共同研究していることは知っている」とメトロリス大佐はエアフォース誌に語った。「そして、日本を参加させるという発表を見た。しかし、日本をプログラムに参加させるためには、イギリスはスウェーデンとイタリアに正式要求を提出しなければならないと思う」。

 異なるパートナー、異なる要求、すべてがテンペストに関与すると、圧力が生まれる。また、最終目的のNGAD要素を取り入れるのも難しくなる。イギリスがイタリア、日本(NATO加盟国ではないが、米国の正式な同盟国)、スウェーデン(まだNATO加盟国ではない)と機密技術を共有する場合、米国はイギリスと機密技術を共有する可能性が低くなる。

 現在のところ、日本は独自の次世代戦闘機F-Xプログラムをテンペストと正式に統合していない。完全なパートナーシップに関する最終決定は今年後半に予定され、このステップがテンペスト計画の長期的な成功に不可欠であるとの見方が強まっている。日本は次世代戦闘機に約400億ドルを割り当てているが、非常に高価な開発プロセスのため、その予算が必要になる可能性がある。

 

 

日本の将来的な有人戦闘機F-Xの構成候補の公式コンセプトアートワーク。JASDF/Paipateroma-Wikicommons

 

The War Zoneはジャスティン・ブロンクに、目を見張るような開発費を考慮した場合、テンペスト計画がどこまで現実的と考えられるか尋ねた。

 「今後10年半の間に、ロシアと中国で直面する緊急の能力要件を満たすために、多様なパートナー国の能力を低下させず、プログラムの可能性を妨げないために、国防予算で適切な資金を確保できるかどうかが懸念事項です」。

 タイフーン(テンペスト後継機)の開発・購入に英国は約350億ポンド(インフレ調整後)、つまり430億ドルの費用をかけている。ブロンクは、「進化したテンペストが、新しいデジタル製造・設計ツールを駆使しても、これよりはるかに低いコストで済むとは考えにくい。今後10年間の戦闘航空予算全体が約220億ポンド(270億ドル)なので、資金を見つけるのは難しい」と認めている。

 

F-35を増産するケース

テンペスト計画にかかる費用を見ると、国際的なパートナーを確保できたとしても、イギリスは単純にF-35をもっと購入した方がいい、と思われるかもしれない。F-35Bは英国で運用実績があり、将来的には単価の引き下げと性能向上が期待できる。同時に、F-35Bを138機購入するイギリスの計画は、テンペストのような新規で大掛かりな防衛計画へ資金を提供するため、長く脅かされてきた。

 

 

空母プリンス・オブ・ウェールズで英空軍F-35Bが発艦する。Crown Copyright

 

「作戦能力の観点からは、英国がF-35をもっと購入し、米国主導のUCAVプログラムに参加した方が良いとは言い切れません」とブロンクは見ている。「しかし、テンペストの主な動機は、わが国の戦闘機産業を維持し、知的財産と国の雇用と技術を生み出すことにあります。タイフーン、トーネード、ホークのような過去プログラムは、技能職の雇用や国内地域経済の支援、輸出販売を通じて創出された価値において、イギリスに極めて有益なものでした」。

 英国が保有するF-35の規模を拡大し、十分な資金を投入してアップグレードを行い、さらに通常離着陸型(CTOL)F-35Aを無人機と組み合わせるのは、確かにあり得る話だ。しかし、英国は少なくとも、国内の繁栄と産業能力の維持を重視する政治的アジェンダと作戦上の空戦ニーズのバランスにこだわり続けている。

 

協力の代償

最終的には、テンペスト計画で何が起ころうと、米英間でハイエンド空戦協力が行われ、両国の将来の戦闘機計画がすべて恩恵を受ける可能性が高いと思われる。

 イギリスは現在、自国の戦闘航空産業を活性化し、「アメリカ買い」から脱却しようとしているが、この目標がどこまで実現可能かはまだわからない。特に無人機を有人機に統合するために必要な重要技術については、英国は米国と協力するのが最善だろう。あるいは、リーパーや近日発売予定のプロテクター含む既製品を購入するのも良いだろう。

 

 

2021年8月、イギリスのワディントン空軍基地で初めて離陸したジェネラル・アトミックスのドローン「スカイガーディアン」。RAF向けの新型ドローン「Protector」のプレプロダクション機だった。 Crown Copyright

 

米国にとっても、経済的現実や産業基盤の将来性の問題はあるが、英国の戦闘機計画と対照的に、NGADの生死を左右することはないだろう。一方、同盟国がNGADに参加するかでは、相互運用性の利点があるかに尽きる。すでに英国は、最高レベルの軍事的相互運用性を米国と享受している。このパートナーシップは、ハイエンドの空戦領域でさらに深化し、拡大する可能性がある。

 メトロリス大佐が示唆したように、第6世代技術の導入では、同盟国間で対話が常に歓迎される。NGADとテンペストの方向性が見えてくるのを待つうちに、ごく限られた範囲や規模でも、協力体制の芽が見えてくるかもしれない。■

 

How US And UK Could Work Together On Sixth-Gen 'Fighter' Programs

BYTHOMAS NEWDICK, TYLER ROGOWAYJUL 30, 2022 4:47 PM

THE WAR ZONE


コメント うーん、読めば読むほどテンペストの実現のため日本の資金があてにされている気がします。英国に取ってテンペストは負担能力を超えたプロジェクトなのでしょう。また、NGADの革新性に対してテンペストは見劣りがする気がします。日本の地理的条件を考えれば、太平洋版のNGAD(本当に実現するのでしょうか)のほうが適していると思えるのですが。結局、落ち着くところとして日米英など西側共同プロジェクトになるのかもしれませんね。(独仏のFCASはわが道を行く、プロジェクトで相手になりません)


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