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ルーマニアで墜落したMQ-9で、シリアで墜落したリーパーが搭載していたのと同様のポッドが見つかった。
先週ルーマニアで墜落した米空軍の無人機MQ-9リーパーは、2年前にシリアで墜落した別の無人機の主翼下にあったものと類似していると思われるポッドを搭載していた。このポッドは今も謎のままだ。
問題のMQ-9は7月14日、ルーマニア空軍の第71航空基地(Campia Turzii)から南約3キロの畑に激突した。空軍は同事故を確認し、調査中と述べているが、原因や経緯は依然明らかではない。
その後、MQ-9の残骸を回収し、撤去する作業を撮影した海外メディア画像がソーシャルメディアに登場し、リーパーがパイロンにやや箱型のポッドを搭載していたことが明らかになりった。Twitterのオープンソース情報愛好家たちは、ルーマニア墜落事故のポッドと2020年のシリア墜落事故のポッドの類似性にすぐ気づいた。後者では、リーパー2機が空中衝突後に墜落したと伝えられている。
近年、MQ-9用ポッドシステムの開発がさかんで、製造元ジェネラル・アトミックス含む各社が、将来のハイエンド紛争における無人機の有効性を確保する努力を展開しているが、今回のポッドは識別できない。
ジェネラル・アトミックスがリーパー用オプションで提供するポッド型システム、または同無人機への統合を進めるポッド型システムの一部。General Atomics
L3HarrisのScalable Open Architecture Reconnaissance(SOAR)ポッドやSledgehammer電子戦ポッドなど、パイロン搭載型のリーパー向けポッドシステムが多数公表されている。また、スペインのSENERグループによる、情報、監視、偵察(ISR)センサーペイロードを搭載するよう構成可能なモジュール設計のNATOポッドもある。
左から、SOARポッド、スレッジハンマーポッドのレンダリング、NATOポッド。L3Harris/General Atomics/SENER Group
今回のポッドは、過去にアメリカ空軍と契約してポーランド基地から飛行していたジェネラル・アトミックスの社有リーパーが搭載したSOARポッドと形状がやや似ている。しかし、SOAR、スレッジハンマー、NATOポッドはいずれもルーマニアやシリアの墜落事故の残骸に見られたポッドと比較すると前端が短いように見える。
また、ルーマニア事件で回収されたポッドのフロントエンドでは上部に3本の明確なパネル線が見える。SOARにその構造がなく左右に非常に特徴的なパネルがあるが、今回のポッドにはないようだ。
7月14日にルーマニアで墜落した死神に搭載されていたポッドの前端をクローズアップ screen capture via Twitter
SOARポッド前面のクローズアップ。 L3Harris
今回のポッドは、米空軍のモジュール式多目的設計であるAgilePodまたはUltra Groupの Rosetta Echo Advanced Payloads(REAP)ポッドのバリエーションである可能性が指摘されているが、これら2つのシステムでは統合パイロンを特徴としていない。同じことは、アジャイル・コンドル製の人工知能駆動型照準ポッドにも当てはまるが、これも今回見られるものより著しく小さい。さらに、ルーマニアやシリアの墜落事故の残骸に見られるポッドと、パネルラインが異なっている。
An AgilePod. AdamWorks, Inc.
REAP ポッドがMQ-9に搭載されている. General Atomics
もちろん、未知のパイロン一体型のAgilePodやREAP、あるいは同様のデザインのバージョンが存在する可能性はある。また、MQ-9やその前身MQ-1プレデターには、空軍や中央情報局(CIA)など、アメリカ政府機関が採用した機密ポッドシステムが数多くある。ネバダ州のユッカドライ湖の秘密滑走路は、エナジー省のネバダ国家安全保障サイトのエリア6内にあり、CIAと協力し、長年にわたりリーパーと同サイズの無人機に独自センサーやその他のペイロードを搭載する改造テストを展開している。
これらの機密ポッドの多くは、見通し外通信(BLOS)中継およびデータ共有機能を提供すると知られており、無人機は、長距離の任務中に、画像他の情報を指揮統制センターに直接提供できる。また、無線や携帯電話などの通信を検知して位置特定し、テロリストや過激派への標的攻撃を支援する目的で設計されたものもある。
ポッド型通信とデータ共有、ジオロケーション機能は、2020年のシリア墜落では確かに意味があった。墜落事故が起きたシリア西端での米MQ-9は、アルカイダ関連団体のメンバーやその他テロリスト集団への標的攻撃の監視と実施に関連していた。ポッドには、信号情報システム、合成開口撮影機能付き小型レーダーなど、センサーシステムが搭載されていた可能性もある。
ルーマニアで墜落したリーパーについての情報は限られており、やや矛盾しているため、今回の事件からポッドについて手がかりを得ることは困難だ。地元テレビ局ニュースネットワークDigi24によると、7月14日の無人が墜落の後、ルーマニアのヴァシレ・ディンク国防相が訓練に参加していたとある。しかし、同地域の米空軍最高司令部である在ヨーロッパ米空軍(USAFE)はOvert Defenseに対し、「同地域での作戦を支援する通常任務を遂行していた」とだけ述べている。
またOvert Defenseによると、USAFEはMQ-9はイタリアのアヴィアノ基地にある第31戦闘航空団の所属で、2021年1月にルーマニアの第71航空基地に立ち上がった第31遠征作戦群第1分隊の所属と述べている。空軍はその2カ月後に、同基地に第31遠征作戦群隷下の第731遠征攻撃飛行隊を設置したため、このこと自体が注目される。
「ISR能力を発揮することに加え、MQ-9はアジャイル戦闘コンセプトを支援し、機動部隊の自由を守り、地域の共同および連合軍と統合する」と、空軍は第1分隊にこの地域で期待される任務について述べている。「また、MQ-9は同盟国やパートナー国との相互運用性を確保するための演習に参加することができる。新たに活動する飛行隊はMQ-9機と飛行士を含み、その他米空軍資産と協力しながら支配的で持続的な攻撃と偵察能力を提供する責任を負う」と、第731遠征攻撃飛行隊について、その部隊を立ち上げたときに述べている。
先週ルーマニアで墜落したMQ-9は、演習か訓練に参加していた可能性が高い。ロシアが2月にウクライナ全面侵攻を開始する前から、米軍はNATO加盟国である同国でプレゼンス強化に着手していた。ロシアのさらなる侵略を抑止するために、同盟全体の戦力態勢は強固になった。その結果、加盟国軍間の訓練も増えている。
同時に、米国はじめNATOのISR機材は、有人・無人を問わず、ロシアとの国境付近や黒海周辺を定期的に飛行している。米空軍MQ-9がどの程度貢献しているかは不明だが、関与しているのは事実だ。1月には、イタリアのシゴネラ海軍航空基地から黒海を飛行中のリーパーがオンラインで追跡されていた。
さらに、米国政府がウクライナ側に対して、各種情報を提供していることはよく知られている。4月に起きたロシア海軍巡洋艦モスクワの撃破の一因となった黒海でのロシア艦船の動きも含まれているという。
ルーマニアに墜落したMQ-9が当時何をしていたのか、搭載していたポッドの正確な目的は何だったのか、すべてにおいて確実なことは不明だ。しかし、シリア上空で標的攻撃作戦に使用されていたと思われる極秘システムを搭載したリーパーが、ロシアとNATOの緊張が非常に高まるこの時期に黒海地域を飛行するのを目撃されたのは、興味深い。■
Mysterious Pod Carried By Air Force Reaper Drone That Crashed In Romania
BYJOSEPH TREVITHICKJUL 20, 2022 12:36 PM
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