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ペロシ議長の乗機を撃墜? 1線を超えた中共の言論。北京の横暴を認めるのか、議長の訪台が実現するか世界が注視する。

 

J-20 Stealth Fighter. Image Credit: Chinese Military.

国外務省によると、中国の習近平国家主席は7月28日、バイデン大統領との電話会談で、「台湾問題に対する中国政府と国民の立場は一貫しており、中国の国家主権と領土保全は14億人を超える中国国民の確固たる意志だ」と述べた。「世論に逆らうことはできない。火遊びをする者は、火で滅びるだろう」。

「滅びる?」

習近平の悲惨な響きを持つ警告はナンシー・ペロシ下院議長が台湾訪問を計画しているとの報道に関連して発せられた。習近平がバイデン弱いと認識しているのか、あるいは中国の内部問題が深刻で、中国国民の気を引くために外部の危機を作り出さなければならないのか、そのどちらかであることを示唆している。最悪の場合はいずれも真実であることだ。

この10年ほど、中国指導部は、米国は末期的な衰退にあり、自分たちの政権が世界的な支配者になるのは間近と考えてきた。

少なくとも彼らの頭の中では、バイデンが裏付けだ。バイデンはアフガニスタンから撤退し、ロシアのウクライナ侵攻を阻止できず、北京は台湾に対してやりたい放題になったと考えている。

同時に、習近平の脅威は体制不安の結果である可能性もある。習近平は外部に危機を与え、中国国民に国内危機から目をそらさせる必要がある。国内ではコロナウイルス感染が続き、習近平の「動的ゼロCOVID」政策は、不振の経済を蝕むだけでなく、広く恨みを買っている。中国経済は、第2四半期に前年同期比0.4%増と報道されているが、縮小しているのは確実だ。

同時に、債務危機が国を襲っている。長江集団など大手不動産開発会社の社債など債務不履行、マンション建設プロジェクトの未完成、マンション購入者が銀行に返済しない「住宅ローン不買運動」が全国で拡散、不買運動は開発会社の取引先にも広がり、全国で金融機関が資金繰りに窮している。河南省を中心に銀行の取り付け騒ぎが起きたが、金融中心地である上海の銀行も経営状態が芳しくない。

不動産販売が激減して(今年上半期のデベロッパー上位100社の売上高は50.3%減)、不動産収入に依存する地方政府は支払い義務を果たせなくなってきた。

今月、ある中国人起業家は、地方幹部が自分の会社から数千万ドル強奪しようとしていると話した。下層部の財政問題は、中央政府の財政問題の反映だ。習近平は「共栄」を旗印に、テンセントやアリババなどハイテク企業から数百億ドルを引き出している。

習近平はまた、全国的な動員を主導している。昨年初め、国防法が改正され、文官から軍人へ、特に政府の国務院から共産党中央軍事委員会に権限が移された。国務院は、党に仕える人民解放軍を監督できなくなる。

これまでも党が主導権を握ってきたが、今回の改正で社会が戦争に大量動員されることが想定された。私企業の経営者は、党の指示で製造するように言われ、紛争にむけ備蓄を積み上げると見られている。

多くのアメリカのアナリストは、ペロシ下院議長が、北京が主権を有する中国領土と主張する、自治と民主の台湾を訪問する計画が報じられて、危機が生まれていると言う。その見方は間違っている。

習近平は、議長の「挑発」を受けて暴れる必要はない。現在、中国軍はすでにラダックの実効支配ラインを下回り、ヒマラヤでさらにインド領土を奪おうと準備している。6月、北京は南シナ海のセカンド・トーマス・ショールにあるフィリピン前哨基地への補給を阻止しようとする試みを再開した。東シナ海では、7月29日に中国の軍艦4隻が日本が実効支配する尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した。

さらに、マーク・ミリー統合参謀本部議長がシドニーで指摘したように、「中国の軍事活動は、例年に比べ明らかに、統計的に攻撃的である」。例えば、5月26日には、中国の高性能戦闘機が南シナ海国際空域でオーストラリア空軍のP-8偵察機に加速して接近し、チャフを放ち、チャフがP-8の2つのエンジンのうち1つに吸い込まれた。中国機は照明弾も発射した。チャフや照明弾を使用したのは、他国軍で初めてという。

中国国防省は7月28日、ペロシの台湾訪問が報じられたことに関連し、「行動は最も強力な言語」と述べた。政権の立場を示すためにしばしば利用される中国のジャーナリスト胡志仁は、7月29日、中国軍が下院議長の飛行機を墜落させる用意があると詳細に説明した。

安全な選択肢はもうない。最も危険なのは、ペロシ議長が引き下がることだ。引き下がれば、中国の最も好戦的な要素を正当化し、他の全員に脅しが効くことを示すことになる。

これは、単なる意志のテスト以上のものになる。■

China to Pelosi: You Will ‘Perish’ Over Taiwan - 19FortyFive

ByGordon ChangPublished1 hour ago

A 1945 Contributing Editor, Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China. Follow him on Twitter @GordonGChang.


コメント

  1. ぼたんのちから2022年7月31日 8:14

    最近の中国の遠吠えは、天に向かって唾を吐く行為に見えるが、今回はどうだろう。
    CCPは、武力行使を行うほど愚かでないだろう。愚かなのは、習かもしれず、終身皇帝への道を妨害し、メンツを潰されると考えているかもしれない。
    あるいは、ペロシの家族に、ハンター方式の中国の利益供与(CCPが融資・投資・利益をセットし、管理した一見合法的なリベート供与)があるなら、訪台のような仁義破りは、なお一層CCP中国は許せないのかもしれない。
    もし、CCP中国が、米副大統領に次ぐ権力継承者であるペロシの訪台に手を出せば、明らかな戦争行為であり、米中戦争が始まることになる。ペロシは今のところ単なる政治家でないのだ。
    CCP/PLAにどれほど現実を認識できる連中がいるか分からないが、少なくてもそのような連中は、劉亜州のように排斥されているようだ。これは良くない兆候であり、誤った開戦判断を行う可能性が高いことを意味する。
    常識的には、習は、台湾侵攻や米中戦争が極めてリスクが高く、中国のCCP支配を掛け金とする行為は行わないだろうとする見方もできる。しかし、プーチンの愚かな侵略のように、歴史の流れは、常識外れの、悲観的な方向に傾斜しているようにも見える。

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