スキップしてメイン コンテンツに移動

ロシア領内も強襲攻撃するウクライナ特殊部隊「シャーマン大隊」へのインタビューでわかったこととは

Shaman talks raids inside russia

Photo by NurPhoto/NurPhoto via Getty Images


 

シャーマン大隊と呼ばれるウクライナ特殊部隊は、ロシア領内に潜入し、重要標的を攻撃している。

 

の部隊はヘリコプターで国境を越えることもあるが、徒歩で移動することもある。

 

 

しかし、目的はいつも同じだ、とシャーマン大隊と呼ばれるウクライナの影の特殊作戦部隊の責任者は言う。

 2014年以来、ウクライナ人が経験してきたことをロシア人に味あわせてやるのだ。特に2月24日以降にね。

 「最近おこったショッピングモールへのミサイル攻撃について聞いたことがあるかもしれない」と、コールサイン「シャーマン」で通っている男は、木曜日の朝、The War Zoneの独占インタビューで語った。「ブチャのことは間違いなく聞いたことがあるはずだ。クラマトルスクの避難民を乗せた鉄道駅へのミサイル攻撃についても聞いたことがあるだろう。これらと同じ特殊作戦が今すぐロシア国内で起こってほしいと思っています。ウクライナ国民に与えている気持ちを知ってもらいたいからです」。

 Zoom経由で通訳を介して、グループのリーダーであるシャーマンは、本人の名前を冠した大隊がその役割を担っていると語った。

 ロシアのウクライナ全面戦争の過程で、ロシア国内の攻撃の映像がソーシャルメディアに登場した。弾薬庫、空軍基地、そして4月にはウクライナのMi-24ハインド攻撃ヘリコプターが国境を越えロシアに低空飛行で侵入し、ベルゴロドの石油貯蔵施設を攻撃するという大胆なものなど、各種ターゲットに対して行われてきた。

 こうした極秘任務の具体的な場所についての詳細は明かされていないが、その襲撃について尋ねると、シャーマンは微笑んだ。

「ベルゴロド製油所の爆発は氷山の一角に過ぎない」。

 

 

 

シャーマンのコールサインで知られるウクライナ国防情報部の兵士は、ロシアへの急襲を行う影のチームを率いている。 via Zoom

 

 

ロシア、あるいはロシア占領下のウクライナ領への特殊作戦ミッションは、新しい現象ではないとシャーマンは言う。

 2014年にロシアがクリミアを併合し、ドンバスに侵攻し間もなく、作戦は始まった。

「クリミアや他の領土にミッション数回をが以前から展開しました」とシャーマンは述べた。「2022年より前に、ロシアで数回の作戦がありました。ロシアが実際にウクライナに対する戦争を始めたのは、2022年ではなく、2014年だからです」。

 襲撃は続いているという。

 「何も珍しいことではありません」と言い、再び具体的な内容を述べることを避けた。「我々はSOF(特殊作戦部隊)の通常の戦術を使用している。これは日常的なことであり、正しいことだ。我々は後方を急襲している。陽動作戦を展開している。特別なことは何もない。確かに複雑な仕事ではあります。しかし、我々はそれが好きで、喜んでやっているのです」。

 仕事は複雑でも、任務は複雑ではないとシャーマンは言う。

 「実は、説明はとても簡単なことなんだ」「計画を立てて、任務の準備をしているときは世界中のどの特殊部隊でも行っている普通の準備です。そして、使っている戦術は同じ戦術です」。

 ひとつだけ違いがあると、彼は微笑みながら言った。

「わがほうの計画は常に理想的なのです。ただ、行ってみて、それから考える。だから、いつもうまくいくんです」。

 襲撃の決行は簡単ではない。しかし、一度決断すれば、心の平穏が訪れるという。

 「最初に一番難しいのは、自分自身と折り合いをつけることだ」「決断をしなければならない。成功確率は五分五分、立ち直れる確率はそれよりも低い。でも、一度決断したら、とても簡単なことなんだ」。

 確率を考えると、ミッションに行くのは志願者だけだとシャーマンは言った。

 シャーマンはまた、彼らを任務に就かせるヘリコプターのパイロットにも絶大な賛辞を贈った。

 

 

Low flying Ukraine helicopters

 

シャーマンは、ウクライナのヘリコプターパイロットの助けなしには、大隊は任務を遂行できないと語った。Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images

 

「本当に重要なのは、優れたヘリコプターのパイロットだ。彼らは、必要なすべての詳細点を考慮し、非常に正確で、非常に綿密な計画を持っている人たちです。スーパーパイロットだ。強く、知的で、非常に高いモチベーションを持っています」。

 パイロットは、仕事の大部分を担っているとシャーマンは言う。

 「潜入を手助けし、脱出の手助けもする。実は、彼らが仕事の一番大きな部分を担っているのです。僕らの仕事は、その場で全員を殺すことであり、その後、彼らが僕らを回収してくれる。彼らは実質的に部隊の行動をサポートしており、それには多くのスキルが必要です」。

 このような襲撃に参加することで、彼は爽快感を味わえっているという。 

 「血の冷たさを感じ、アドレナリン放出を感じる」。

 ロシア国内へのミッションは「秘密ではない」とシャーマンは言った。「ヘリで行くこともある。徒歩で行くこともある。たいていの場合、飛行機で入るか、歩いてロシアに入るか、いい入口を見つけることができ、その後はなんというか.....」。

 オリーブドラブのバラクラバでほとんど覆われた顔から、わずかに笑みがこぼれる。

 「ベルゴロドによろしく」と、4月の製油所襲撃の現場を指して言った。「燃料や穀物、小麦粉、塩などを備蓄しておくように言っておく。将来、必要になるかもしれない。そして、何が起こっているのかを考え、立ち直り何を始めるようにお願いしたい」。

 シャーマンは、自分のコールサインは、ウクライナの予言者やヒーラーが儀式の一環として太鼓を叩くのに由来すると言った。

 「顔を叩くのは、この楽器を叩くのと同じだという言い伝えがあるんだ。「だから、顔を叩くのは得意なんだ」。

 彼の名をつけた大隊は、ロシアが本格侵攻を開始した後に編成された。

 「この戦争が始まったとき、私は意欲的で、恐れや不満がなく、国を守りたいという老海賊たちを集めました」とシャーマンは言った。「あの人たちは誰だと言われるようになったんだ。あの人たちはシャーマンの仲間だってね。それで、シャーマン大隊と呼ぶようになったのです」。

 ウクライナの国防情報局隷下の同大隊は、ウクライナ社会の多様な層で構成されている。

 「ウクライナにはグレーゾーンがないため、さまざまな個性があります。黒と白、つまり善と悪しかない。つまり、国のために戦うか、戦っている人たちを助けるために働くか、そのどちらかです。そうでないなら、反対側にいるということになります」。

 「だからこそ、チームは非常にモチベーションが高いのです。各界の人たちですから、余計なモチベーションや影響力は必要ないんです。元大将もいますし、元副大臣もいます。彼らは、社会のエリート層の代表とでもいうべき存在です。しかし、今日、この国のために戦っているのです。名誉のために、正しいことをやっているのです。自分たちにも敵にも同情しない」。

 30分ほど話した後、シャーマンは席を外したが、帰る前に部下の一人、元次官を紹介した。

 迷彩服に身を包んだ彼は、コールサイン「シドニー」を名乗った

 

 

ウクライナ政府の元高官で、現在はシャーマン大隊でロシア人と戦う「シドニー」。via Zoom

 

シドニーは、「隊長とはロシアの大規模侵攻が発生する以前から知己だった。「しかし、2月24日、朝の6時頃、指揮官であるシャーマンに初めて会いました」。

 入隊訓練コースはなかった。

 「第一の関門は、大隊長との個人的な会話だった」「その後、ポリグラフを行うのはごく普通の手続きです。だから、必要な措置はすべてとっています」。

 シャーマン大隊の隊員は、「全員が異なるレベルの訓練を受けている」とシドニーは言った。「年齢もさまざまです。18歳から50歳まで、年配の人もいます。司令官が言ったように、私たちは皆、最後の海賊船の乗組員なのです」。

 それこそがこの部隊の面白さだとシドニーは言う。

 「シャーマン大隊は、普通の部隊ではありません。経験とモチベーションの共生があり、ここから本や、映画で多くの物語が生まれると思います」。

 しかし、部隊の最初の任務は、キーウ近郊のアントノフ空港の確保を試みることだったが、期待したほどうまくいかなかった。

 「戦略的なミスが多く、今さら修正することはできないが、少なくとも、これらのミスから経験や教訓を引き出せる」。

襲来する敵の空襲に対抗するための準備は、 「可能な限り最高のレベルではなかった」

「シャーマン部隊は、一発目のミサイルが飛行場に落ちた直後に命令を受け、飛行場への移動を開始した。その頃、市民の大多数は、同じ道で避難しようとしていたので、移動するのに苦労しました。とても大変でした。たどり着くまでがとても複雑だったんです」。

 現場に着くと、「次の行動への準備がきちんとできていなかった。技術的な観点から、必要な準備がなされていなかったのは確かだ」。

 ロシア軍はすでにミサイルで飛行場を攻撃していた。

 

 

 

2022年5月5日、ウクライナ・ホストメルのアントノフ空港でロシアの攻撃により破壊された後の格納庫で、軍用車両の残骸の様子。 Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency via Getty Images

 

 「大型ミサイルトーチカ-Uの着弾地点があった 」「たくさんのスホーイ機が上空を飛び、物を落としていました」。

 その後、ヘリコプターが来た。膨大な数だ。「空襲部隊が乗るヘリコプターは44機以上あり、現場での問題は、それだけの敵を倒す手段や装備が不足していることだった」。

 そしてシドニーは、圧倒的な数で押し寄せるロシア自慢のVDV空挺突撃隊に、旧ソ連時代の携帯防空システム(MANPADS)を発射して立ち向かった若いウクライナ国家警備隊員を賞賛した。

 「若い男の子たちを褒めてあげたい。18歳、19歳の少年もいた。彼らの任務は、飛行場と滑走路の警備。ヘリコプターを数機、スホーイ戦闘機を1機撃墜した。年齢にもかかわらず、この世の多くの人間より大きなタマを持っている」。

 空港への攻撃は撃退されたが、これはロシアにとって連鎖的に起こる軍事的災害で最大のものであり、不名誉な退却につながった。

 しかし、アントノフ空港を去る前に、ロシア軍は世界最大の飛行機、世界的にMriyaのニックネームで知られる6発のAn-225貨物機を破壊したと、シドニーは言った。

 

 

シドニーと名付けられたシャーマン大隊隊員は、ロシアがAn-225貨物機「Mriya」を破壊したと語った。Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images

 

 

 「Mriyaは焼き払われたんだ」とシドニーは言った。「意図的に行われたと確信しています。ロシア人は象徴的なことをとても大切にします。彼らは特定の日付や場所を選ぶのが好きで、Mriyaは喉に骨を突き刺す存在だった」。

 そのためシドニーが主張するように、ロシア軍は同機を破壊したのだ。

 アントノフ空港での最大の失敗は、武器の不足ではなかったとシドニーは言う。 「ジャベリンやスティンガーがなかったことが問題なのではありません」。

 「1年ほど前、あの飛行場で軍事演習を提案していたんです」と彼は言った。

 計画は、実際に起こったようなロシアの空襲を想定した訓練だった。

 しかし、上層部の抵抗に遭った。

 「それを提案したら、私たちは軍国主義的な考えだと言われたのです」とシドニーは言った。「そして、私たちの相手は、ロシアがウクライナに大規模侵攻を始めるかもしれない想定を信じたくない、あるいは信じがたいので、私たちを信じてくれなかったのです」。

 シドニーは、この状況を、レオナルド・ディカプリオが主演し、差し迫った破滅についての警告が耳に入らず、却下される科学者を演じた最近のハリウッド映画になぞらえました。

 『ドント・ルック・アップ』は、1年前にここウクライナで起こっていたことを実によく表している」と彼は言った。

 シドニーは、ロシアへのミッションについては話せないと言い、この話題は指揮官であるシャーマンに委ねた。

 しかし、全体として戦争の性質は変化している。

 アントノフ空港での敗北後、ロシア軍のキーウ進撃は停滞し、その後、崩壊した。

ロシア軍が北のベラルーシまで退却すると、ウクライナ軍が襲撃した。途中、近接戦闘多数があった。

 「紛争当初、モシュチュンやイルピンなど、キーウ付近の村落では、接近戦が多くありました。まさにその時、ロシア軍はどこにたどり着いたかをよく理解していなかったのです」。

 今の戦争は性質が違う。

 シドニーは、ウクライナ東部のドンバス地域で侵略軍が行っている大規模な長距離砲撃について、「今のロシア軍にできるのは、遠くから攻撃することだけだ」と述べた。「彼らができるのは、ショッピングモールを爆撃し、ミサイルで攻撃し、民間人を殺し、平和な人々に害を与えることだけだ。平和な人々に危害を加えている」。

 現在、戦争は両陣営とも大きな成果を上げることも、戦場で壊滅的な敗北を喫することもなく、激戦となっているが、シドニーは、世代を超えた長期戦になると覚悟しているという。

 「この戦争は終わらない。「この戦争は永遠だ。この戦争は、私たちが普通のシンプルな生活を送ることを妨害するものが、もはや存在しなくなるまで続くだろう。そして、それには時間がかかるだろう」。

 「我々の子供たちもきっと戦うだろう」と彼は言った。「そして、彼らに適切な訓練を受けさせる。彼らは私たちより良く準備しているでしょう」。■

 

 

Meet The Shadowy Ukrainian Unit That Sabotages Targets Inside Russia

BYHOWARD ALTMANJUL 1, 2022 11:49 AM

THE WAR ZONE


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ