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ウクライナへの装備品供給を調整管理する米欧州軍司令部下の連絡事務所

 

 

 

2022年6月3日、ドイツで作業に臨む米英国際ドナー調整センターのスタッフ。ECCU/IDCCは、同盟国およびパートナー40カ国以上からの治安部隊支援用の提供品をタイムリーに提供するための調整と同調を行う。(Capt. Christina Judd/U.S. European Command)

 

 

略するロシア軍と防衛するウクライナ軍との戦争が5カ月目に入る中、世界各国はウクライナの主権を守るため、軍事支援数十億ドル相当を提供してきた。

 

 

 3月上旬から、支援国からウクライナの玄関口まで確実に装備品を届けるため、米軍と各国の交代要員が、米欧州軍司令部に拠点を構えている。

 チームは、EUCOMコントロールセンター・ウクライナ/国際ドナー調整センター(ECCU/IDCC)と呼ばれ、配送を監督しながら、ウクライナが受領した装備品で適切な訓練を受けられるようにしている。

 ドイツ南西部のシュツットガルト米軍駐屯地内のEUCOM司令部で、水曜日に記者団が説明をうけた。この兵站拠点は、米軍と英軍の2つの個別セルが発展したものだ。ウクライナ向けのパートナー国からの軍事支援を調整するためECCUとなった。現在では、同盟国やパートナーを含む合同セルを、米英両国が率いている。

 米軍欧州司令部の兵站部長デューク・ハインツ少将Rear Adm. Duke Heinzは、「我々の目的は、ウクライナ主権を守るために支援することだ」と述べた。ロシアの侵攻開始後、米軍は同盟国やパートナーにウクライナ向け安全保障支援を提供する意志を確認した。

 ハインツ少将は、「目的は、紛争の解消だ」と述べた。「ウクライナがどれだけ吸収できるかわからないし、独立機関が毛布や救急キットを届けるため使う国境管理地点で、安全保障支援や軍需品を届けるようなことはしたくなかった」と言う。

 

有志連合

 

「屋根裏部屋」と呼ばれる、エアコンもない息苦しいほど暑い多目的スペースに、NATO加盟非加盟26カ国の軍人数十人が、計画、支援と通信、移動、作戦に取り組むセクションに分かれている。また、持ち回りの外国人連絡将校が並ぶ。ウクライナ軍代表がチームに加わり、本国要請を確認し、ECCU/IDCCチームが対応する。

 ウクライナが具体的な装備の要求を出し、参加国がそれをどの程度満たせるかを確認している。

 多国籍チームは「有志連合」で、輸送、援助、訓練資源、資金などの組み合わせや量を自由に選択できる、と関係者は述べている。

 3月に米英のセルが統合され、セルの機能は進化してきた。ECCU/IDCCのチーフであるクリス・キング英陸軍准将Brig. Gen. Chris Kingによると、開戦当初、後方支援セルは主に小火器弾と対戦車装備の輸送を支援した。その後、ウクライナ軍になじみあるソ連時代の装備品の輸送を支援するようになったという。

 NATO同盟国から拠出の高度な装備品が到着したことで、ECCUは、ウクライナの玄関口まで届けられる世界中からの装備品を調整し追跡するだけでなく、提供された装備品を操作し維持するためウクライナ軍の訓練を組織する「ワンストップショップ」となった。ハインツ少将は、「訓練のスケジュールと装備品の納入を一致させるのが課題」と指摘する。

 そのプロセスも多国間だ。キング准将は、イギリスがウクライナに105mm榴弾砲を寄贈した状況を説明した。榴弾砲はニュージーランドの装備のため、同国が訓練支援と部品を提供し、訓練はイギリスで行われた。米軍は弾薬と榴弾砲牽引用の戦術車両を提供した。

 EUCOMによると、米国はこれまでにウクライナ軍約1,500名を訓練している。英国はウクライナ軍に対し、120日ごとに最大1万人を訓練すると約束している。

 

課題の回避

 

西側のウクライナ支援を妨害するロシアの脅威があるが、ECCU/IDCCチームは今のところ大きな問題を回避していると関係者は述べている。

 ロシアからサイバー攻撃など妨害はまだない、とキング准将は言う。「しかし、(ロシアは)学び続けるだろうし、こちらはそれに備える必要がある」。

 ハインツ少将によると、機材をウクライナ国境に届ける上で、移動上の障害は経験していないという。

 「支援用装備が倉庫に積み上げられているわけではありません」と彼は言い、空港や列車の発着場に置かれる時間は、長くても12〜24時間だという。

 ある国から軍事支援の申し出があると、支援国からウクライナの国境までの「流れ」に沿って兵站をコーディネートするのが「セル」の役目だ。ハインツ少将によれば、ドア・ツー・ドアの工程に48時間から96時間かかるという。

 ウクライナと国境を接する同盟3カ国は、国境での軍事支援を許可しており、ポーランドそのひとつだ。3カ国のうち2カ国は、ウクライナ人が入国し、指定場所に移動して装備を集めることを許可している。「国境までの移動と、どの国境管理ポイントから入国するかは、ウクライナ側の責任だ」とハインツ氏は言う。

 第三国は、国境まで機材を運び、そこからの搬送を要求している、と彼は付け加えた。

 ハインツ少将は、軍事システムが闇市場に出回る心配を問われ、米国提供の軍事装備品の使用について、ウクライナ当局と「非常に率直に」話し合っていると答えた。

 「国境を越えた時点でシリアルナンバーを追跡しているわけではないが、納入装備はすべて把握している。在庫もある。しかし、国境を越えるとウクライナの手に渡る」。ただし、これまでのところ、配送が最終目的地に届かなかったケースはないという。

 

移動手段の変更

 

7月21日現在、ECCU/IDCCチームは、空路140万km、地上距離45万km以上、78,000トンの軍事支援の移動を調整した。提供ずみ支援物資の見積もり合計額は、提示されなかった。

 航空機800便以上でウクライナ国境に機材を輸送している。しかし、ウクライナへの搬入順序は過去数カ月間同じである一方、搬入方法は変化していると関係者は強調している。

 3月と4月には、各国が当初提供していた小火器や対戦車・対人戦能力の空輸は容易だったと、ハインツ少将は指摘。現在は、提供装備品に戦車や榴弾砲が含まれており、鉄道や船舶も採用されている。

 「しかし、流れは止まっていない」と彼は言った。欧州議会が夏休みに入り、米国が数カ月後に中間選挙を控えていても、納入が「夏枯れ」になる心配はない、と少将は付け加えた。

 キング准将は、「セル」設立当初は、急速に寄せられる軍事支援寄付を調整するため、チームは迅速に動いていたと述べた。現在では、配送2カ月先分まで計画しているという。

 ソ連時代の装備品は減り始めているが、寄贈した各国は老朽装備品をNATO仕様の軍事資産に交換することに関心を示しているとハインツ少将は指摘する。「軍備の足元を見れば、同盟の未来はかなり明るい」と言う。

 ソ連時代の152ミリと122ミリ迫撃砲弾のサプライヤーが1社残っており、生産ラインから装備品を提供しているとハインツ少将は語ったが、サプライヤー名称は口にしなかった。

 

装備が今後追加される

 

水曜日、米国防総省はウクライナにM142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)を追加送付すると発表し、これで総数は16となった。

 ハインツ少将は、ウクライナ向け軍事支援レジストリが戦争の過程で成長し続けるにつれ、米国がその他高性能装備品を提供する可能性を排除しないと述べた。

 「この紛争は3カ月半前とは全く違う」と指摘した。もしあの時、『ウクライナにHIMARSを届けられるって思う?』って聞かれたら、『無理だね』と答えていたでしょう。

「ウクライナが示してますが、戦い勝利する能力に基づき、すべてがテーブルの上にあるのです」。■


Inside the multinational logistics cell coordinating military aid for Ukraine

 

By Vivienne Machi

 Jul 22, 03:33 AM


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