スキップしてメイン コンテンツに移動

米国防総省がBWBに再注目。将来のタンカー、輸送機として主流になる予感。

 民間航空で革新的な技術がなかなか登場していないのは現状のモデルで利益をどこまで最大化できるかに必死になっているためです。そのため、今でも機体はチューブに主翼をつけるという点では全然進歩がありません。やはり革新的な技術は軍用途にしか期待できないのでしょうか。しかし、今回の米空軍は軍民両用を最初からうたっており、近い将来のエアポートに現れる機体形状が大幅に変わる可能性もゼロではありません。(ターミナル1.2共通記事)



Boeing

 

国防総省は、将来のタンカーや輸送機向けに、BWBへ再び注目している。

 

 

国防総省は、2026年までのフルサイズ実証機を製造・飛行を視野に、混合翼機(Blended Wing BodyBWB)の設計案を求めている。同省は、設計コンセプトから始め、高効率性の実現に焦点を当てる。同プロジェクトは、将来の空中給油機や輸送機に影響を与える可能性があり、米空軍は過去にステルスタイプ含むBWB設計を検討していた。

 今回の情報提供要請(RFI)は、米軍が新しい民生技術を迅速に利用できるよう設立された国防革新ユニット Defense Innovation Unitのウェブサイトに掲載されている。RFIは、民間企業にデジタル設計概念(CoD)の提供を求めている。「ボーイング767やエアバスA330含む民間・軍用機より最低30%空気力学的効率が高い先進的な航空機構成」の実物大プロトタイプにつながるものとある。

 

 

昨年、エネルギー・施設・環境担当の空軍次官補(SAF/IE)が発表した、2種類の混合翼機コンセプトを示すインフォグラフィック。新RFIで実寸大実証機として同登場する可能性がある。U.S. Air Force

 

 

上記旅客機2機種は、KC-46AペガサスとA330多用途タンカー輸送機(MRTT)の原型で、とくに前者は空軍のKC-Xタンカー要件で後者に勝ったことが注目すべき点だ。しかし、KC-46は問題や遅延が相次ぎ、運用に限界があるため、A330 MRTTが後続のタンカー購入の候補に残っている。

 このことは、DIUが研究対象とするBWB機が、KC-46よりもはるかに高度な航空機、おそらくステルス特性を持つ航空機が想定の将来型KC-Zタンカーとして検討される可能性を示唆しているのか。

 

 

ロッキード・マーチン社によるハイブリッド翼KC-Zコンセプトの模型。Lockheed Martin. Joseph Trevithick

 

KC-Yは、空軍が計画するKC-46の購入終了とKC-Zの間の「ギャップを埋める」タンカーとなる。KC-46を追加購入するか、ロッキード・マーチンがLMXTとして売り込み中のA330 MRTTへ変更することがある。

 今年4月、空軍参謀長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将は、KC-46がKC-Yの選択肢になる可能性を示唆した。フランク・ケンドール空軍長官が、KC-YとKC-Xの両方について「競争の可能性は下がった」と発言したわずか1カ月後だった。

 

 

 

2021年2月22日、メリーランド州アンドリュース統合基地での空中給油運用調査で、KC-46Aペガサスとの接続準備をする米空軍参謀長チャールズ・Q・ブラウン・Jr.大将。U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Chris Drzazgowski

 

Air Force Magazine取材に対し、空軍研究本部(AFRL)の広報担当者は、新しいDIU RFIは「KC-Yプログラムと無関係」と確認したが、KC-Zと関係があるかについては明言を避けた。

 RFIでは、BWBの空力構成と「2030年のエンジン技術の予測」を組み合わせ、期待通りの効率化が達成されると想定し、「現行技術から少なくとも60%のミッション燃料消費の削減」を実現するとしている。この点で、同プロジェクトは、高レベルの効率を実現する(そして短距離離陸能力を提供する)エキゾチックな推進システムの可能性を探求してきた、これまでの取り組みを思い起こさせるものがある。ガスタービンを使い電動ファンのアレイに電力供給するAFRLの分散型推進コンセプトがあった。

 

 

AFRLの分散型推進コンセプトの模型 Courtesy Guy Norris

 

こうした利点により、現在稼働中の貨物機やタンカーと比較し、航続距離、滞空時間、積み下ろし能力を大幅に向上させるはずだ。特にタンカーについては、アジア太平洋地域シナリオを想定し、遠大な距離で燃料補給する能力が重要な指標となり、高効率の BWB設計が優位性を発揮するだろう。

 

 

2021年2月1日、グアムのアンダーセン空軍基地に着陸するアイオワ州空軍第185空中給油隊所属の米空軍KC-135ストラトタンカー。KC-135はアジア太平洋地域で活動する航空機への空中給油支援に重要な役割を担っている。U.S. Air Force photo by Airman Kaitlyn Preston

 

効率改善は、化石燃料への依存度を減らす国防総省の大きな目標に合致する。「国防総省は石油ベースエナジーの最大の連邦政府消費者で、全体消費の77パーセントを占めている」とRFIは述べている。「大半は、世界規模の作戦を支援する航空機の燃料に起因する」。

 国防総省の燃料依存と、米軍を脆弱にする可能性について懸念が高まっており、将来の作戦と有事はアジア太平洋地域に集中する可能性が高いとの予想にも重なる。同戦域は距離が長く、長距離の出撃の要求が高まる一方、燃料ロジスティックスの要求とサプライチェーンでリスクが増大する。高効率の輸送機やタンカーは、これに対処する手段となる。

 一方、効率的な輸送機技術の実証プログラムも進行中です。昨年8月に発表されたNASA契約では、ボーイング、レイセオン・テクノロジーズジェネラル・エレクトリックブレンド・ウィング・エアクラフトROHRの各社が「Future Subsonic Demonstrator Risk Reduction Activities」プログラムを支援している。これは、持続可能性、環境、騒音低減、効率、コストなど厳しい目標を満たす亜音速輸送機(BWBコンセプトも含む)の技術を特定するのを目的とするものだ。

 全体として、BWB設計の効率と持続可能性での高い優先順位は、今回のRFIが、通常この種の募集で出てくるAFRLや空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)ではなく、空軍運用エナジー室Air Force Operational Energy Officeが主催している事実にも反映されている。

 

 

 

風洞でのX-48混合翼機2%モデルの空力試験。U.S. Air Force

 

 

空力効率を大幅に向上させるだけでなく、「システム統合と将来のアップグレードを可能にする」モジュラー・オープン・システム・アプローチ(MOSA)を取り入れた設計が求められている。タンカー任務に適応することを指しているのかもしれないが、将来的に他のミッションも引き受ける計画の可能性もある。

 設計では、「各種ミッションに特化したシステムの組み込み」を考慮する必要があり、電子戦コンポーネントとJADC2(Joint All Domain Command & Control)アーキテクチャの想定システムという2例が挙げられている。KC-135を通信ハブとする現在の計画や、ブラウン大将の過去発言に沿ったもので、将来のタンカーが「さらなる自己防衛」能力と通信ノードの役割を果たす装置となるよう望んでいると同大将は述べている。

 

 

 

2021年8月7日、ユタ州空軍がコリンズ・エアロスペースと共同で、ユタ州ソルトレイクシティのローランド・R・ライト空軍州兵基地において、JADC2(統合全領域指揮統制)およびABMS(先進戦闘管理)を支援する先進通信、ミッションコンピューティング、センサー技術のデモンストレーションをKC-135で成功させた。 U.S. Air National Guard photo by Tech. Sergeant Danny Whitlock

 

新RFIはタンカーの役割に言及していないが、AFLCMCが先月開始した先進空中給油システム(AAR FoS)プログラムと類似点が多数ある。

 AAR FoSのRFIでは、無人航空機への給油を最適化し、電子戦プラットフォームとしても機能する未来型タンカーを想定している。

 Defense Innovation Unitの公募がエキゾチックなBWBデザインを核とするのに対し、AAR FoSでは進化的なアプローチとし、まず現行タンカー群(KC-46A、KC-135R/T)に新機能を追加し、その後「新型タンカーの全体要件を策定する 」。

 各 RFI は異なるが、重複もあり、最終的には各要素を組み合わせた新世代タンカーや輸送機が生まれると考えられている。

 

 

 

ロッキード・マーティンのBWB軍用輸送機コンセプトの特徴を示すインフォグラフィック。NASA

 

 RFIでは、現在の設計コンセプトに沿い、企業が「デジタルエンジニアリングツールとプロセス」を使用し、設計、開発、テスト、検証、妥当性確認、および後続のプロトタイプ構築、実飛行、および生産の可能性があるシステムの認証を行うと定めている。フルスケール実証機は、2026年までに飛行する予想だ。

 意外なことに、RFIはステルス性や低観測性に言及していない。しかし、全翼機形状のBWBは、従来機と比較して、低観測性の設計コンセプトに近くなる。同時に、この種の設計は、貨物や燃料の運搬の内部空間で利点を提供する。

 

 

初期のブレンデッドウイングボディデザインがNASAのN3-Xコンセプトだった。翼を機体にシームレスに溶け込ませ、空力的で、燃料消費、騒音、排出ガスの削減をめざした。NASA

 

また、空軍のKC-Zでは、低観測性を縮小するか、あるいは完全に削除している可能性もある。ブラウン大将は今年初め、次世代航空優勢(NGAD)戦闘航空システムには「必要な場所に行ける航続距離がある」と述べ、危険な場所に同行するステルス「護衛」タンカーの必要性は減ると指摘していた。

 また、空軍が目的別に設計された無人機での能動的防衛を真剣に検討し始めたため、将来のタンカー(または輸送機)にステルス性を組み込む優先度が低くなった可能性もある。

 タンカーなど、脆弱な高価値資産航空機(HVAA)の近接護衛を行うミサイル搭載無人機に関する研究や提案はいくつかあり、AAR FoS プログラムでは特に「オフボード自律協調プラットフォーム」を想定している。こうした無人機は、戦闘機含む各種航空機を護衛し、電子攻撃や敵防空網の抑制、情報・監視・偵察(ISR)などの任務もこなすことが期待される。

 しかし、BWBは低視認性であり、貨物機やタンカーとして以外に特殊作戦部隊の輸送も検討されたことがある。

 また、今回のRFIには実物大試作機製作の可能性が含まれているが、ボーイングX-48プログラムでサブスケール実証機をテストしており、2007年に初飛行させていた。

 将来のタンカーの基礎となるBWB設計の実用性について、The War Zoneは、退役空軍軍人で、C-135ファミリーについて幅広く執筆しているロバート S ホプキンス3世 Robert S Hopkins IIIに話を聞いた。

 ホプキンスは、BWBタンカー開発には重大な問題があると指摘している。まず、ブームとレシーバーの比率だ。これはタンカー全体のサイズに依存する。大型機用の中央ブームと、戦闘機サイズのレシーバー用の機外ブームの合計3台のブームを、長い翼幅に沿わせる。「AIを使えば簡単だろう」((ホプキンス)。

 そして、タンカーの機数は永遠の課題だ。空軍がタンカーと輸送機の「スプリット・デューティー」を行うBWBを100機購入したとしても、現在のタンカー不足を十分に解消できない。「タンカー需要は現在、460本のブーム(MPRSポッドは別)で満たされているため、タンカー購入総計は同じかそれ以上にする必要がある」とホプキンスは指摘する。

 空軍の将来のタンカー要件はこれまでも詳しく議論されており、KC-YとZの各要件が想定されたが、空軍が大型貨物輸送機、C-5M ギャラクシーとC-17A グローブマスターIIIの各後継機をどこまで検討し始めているかは明らかではない。

 

 

2021年9月14日、横田基地のフライトラインで、カリフォーニア州トラビス空軍基地第60航空機動飛行隊所属のC-5Mスーパーギャラクシー。Yasuo Osakabe

 

冷戦時代のC-5は、空軍最大の機体で、非常に大きく重い貨物を輸送する比類ない能力を実現している。C-5Mは、エンジン改良を含む大幅性能改修で、2040年代まで運用される。2040年代以降は、ギャラクシー代替機として、容量が大きく効率的なBWBタイプが考えられる。

 2015年に生産終了し、最後の1機が輸出された主力輸送機C-17については、空軍は耐用年数を延長するか決定していない。同機は、機械化部隊を含む戦闘部隊を戦闘地域まで長距離迅速移動させる上で第一選択肢で、平和維持活動や人道支援ミッションの輸送にも優れる。

 

 

2013年9月12日、カリフォーニア州ロングビーチで行われた米空軍向けC-17納入20周年を祝う式典で、フライトラインに置かれる米空軍最後のC-17AグローブマスターIII(P-223)。U.S. Air Force photo/ Senior Airman Dennis Sloan

 

空軍がC-17の大規模近代化を断念した場合、活動する空域が今後ますます厳しくなることを考慮し、ステルス性の高いBWBエアリフターが後継として検討されるかもしれない。

 RFIはBWBで軍事的用途のほかに、二重用途の商業化計画にも言及しており、潜在的な商業的用途が考慮される。長距離飛行、効率、大量貨物を輸送する能力を併せ持つ航空機は、貨物や旅客の民間輸送に利用できそうだ。以前から、大手企業はBWBと全翼機の潜在的な利点に注目している。

 

 

エアバスは、将来の旅客機開発を目的として、2020年にBWBスケールモデルの技術実証機「MAVERIC(Model Aircraft for Validation and Experimentation of Robust Innovative Controls)」を公開した。Airbus

 

BWB航空機が軍用および民生双方に適用できる利点を多数提供するのは明らかだ。RFIへの回答は8月2日期限となっており、空軍が将来の混合翼航空機に期待する任務や、近代化計画にどこまで適合するかが順次明らかになる期待がある。■

 

 

Air Force Wants Blended Wing-Body Aircraft Demonstrator Flying By 2026

BYTHOMAS NEWDICKJUL 22, 2022 

6:58 PM

THE WAR ZONE

 




コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...