マーチン・ベーカー射出座席の問題で、空軍はF-35を飛行停止させた (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Caleb Worpel)
マーティン・ベーカー射出座席の爆発性カートリッジの問題で、空軍、海軍、海兵隊の機材数百機が地上待機措置となっている
空軍は、射出座席の爆発性カートリッジの欠陥が、緊急時にパイロットの安全な脱出を妨げる可能性への懸念のため、本日、F-35AライトニングII共用打撃戦闘機を不確定の期間、飛行停止措置にしたと発表した。
航空戦闘司令部(ACC)の113機のF-35のほとんどが飛行停止中と、ACC広報官アレクシー・ウォーリーAlexi Worleyは述べた。空軍のアナベル・G・モンロー大尉 Capt. Annabel G. Monroe,はThe War Zoneに、「空軍のその他F-35部隊は、空軍司令部のリードに追随している」と語った。
「一部F-35機の初回検査と、当方のロジスティクス専門家および航空戦闘司令部との話し合いの後、航空教育訓練司令部AETCは、ロジスティクスチームによる問題分析と検査プロセスを迅速化するため、7月29日金曜日よりの作戦休止指示でACCに加わった」とローレン・M・ウッズ大尉Capt. Lauren M. Woodsは述べている。「検査結果に基づき、F-35の主管司令部でACCと連携して、AETCは作戦継続に関する決定を行う」。
空軍は合計349機のF-35を保有する。何機が影響を受けているかは不明。
空軍、海軍、海兵隊の航空機数百機が飛行停止している広範な問題である。イギリスやドイツの航空機、さらにもっと多くの航空機に影響が出る。
今回、米軍機で発生した問題は、マーティン・ベーカー製射出座席に搭載されているカートリッジ作動装置(CAD)の問題だ。CADは「搭乗員が射出ハンドルを引くと自動機能を作動さえ、安全に機外脱出させ、搭乗員のパラシュートを展開させる」もので、海軍はCADと推進剤作動装置(PAD)を、海軍水上輸送基地で各軍向けに提供している。
航空戦闘司令部のF-35AライトニングII統合打撃戦闘機の大部分は、射出座席の懸念のため飛行停止中。. (U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. Sam King)
海軍はこの問題について、7月26日付メディアリリースで「CADは定期点検され、必要に応じて航空機の定期整備時に交換されるが、環境と運用条件の影響を受けることがある」と述べている。
ACCのF-35でのCADの問題は、空軍が7月19日に「90日以内に射出座席のカートリッジを全数点検する」という「時間遵守技術指令」を実施して発覚した。このため、ACCは7月29日に部隊運用を停止し、点検作業を進めることにした。検査で得られたデータに基づき、ACCは運用再開の判断を下す。
ウォーリー広報官は、海外に配備中のF-35にも影響するのか、飛行停止されている正確な数については、すぐに言及することができなかった。
空軍、海軍、海兵隊の何百もの他の航空機も、懸念の結果、飛行停止されている。
当初、T-38タロンとT-6テキサンIIの全運用を運用停止した後、第19空軍はマーティン・ベーカーに連絡し、影響を受ける航空機の数を絞った。
「現時点では、約203機のT-38と76機のT-6が影響を受けている可能性がある」と空軍は声明で述べている。「この数はT-38の約40%、T-6の15%に相当し、NASペンサコーラだけでなく、各UPT基地(Undergraduate Pilot Training)の航空機も含まれる。
空軍はT-6テキサンII練習機76機を射出座席の問題で飛行停止している (U.S. Air Force photo)
運用停止中の機体は、「メンテナンスで脱出装置が完全に機能することが確認できるまで 」飛行停止したままとなる。飛行業務は7月28日に再開される予定だった。
飛行部門は「空軍資材司令部と緊密に協力し、各機に必要な検査手順を決めている。我々のチームがさらに調査し、他の問題を特定する情報が見つかった場合、必要なら航空機を一時的に飛行停止させるなど、飛行の安全を確保する措置を積極的にとる」と述べた。
第19空軍司令官クレイグ・ウィルス少将Maj Gen Craig Willsは、飛行停止は飛行要員の安全のためと述べた。
「最大の関心事は飛行要員の安全であり、機器が信頼されることが不可欠である」と述べた。「今日の我々の行動は、パイロットと乗務員の安全を確保するため、十分な注意を払った上で行われた。この問題の影響を受けた航空機は、脱出装置が完全に機能すると確認されるまで飛行スケジュールを戻すことはありません」。
教官パイロットは「毎日、非常に重要で厳しい任務を遂行しており、彼らに安全で信頼性の高い航空機を提供する義務がある」と述べた。
この問題を最初に報じたBreaking Defenseによると、海軍と海兵隊の固定翼機も射出座席の懸念で飛行停止されている。
海軍は「最近、一部の固定翼機のカートリッジ作動装置(CAD)に影響する問題を発見した」と、7月26日のメディアリリースで発表していた。
この問題は、F/A-18B/C/Dホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネット、E/A-18Gグローラー、T-45ゴーショーク、F-5タイガーII練習機に影響を及ぼしている。
報道向けリリースでは、具体的な機数や、海軍や海兵隊のF-35が影響を受けているかは明らかにされていない。本誌は海軍のオフィス数カ所に連絡を取っており、さらなる詳細が得られれば、お伝えする予定だ。
「一部ロット番号の範囲内のCADを搭載した機体のみが影響を受ける」とリリースは述べている。「CADは航空機所属飛行隊で交換され、航空機は次回飛行の前に検査される」。
マーティン・ベーカーから欠陥の可能性を通知された後、NSWC IHDチームは、「既存のCADを交換するために部隊に送る前に、検証済み放射線撮影手順で手持ち在庫をスキャンし、各品目が適切に製造されていることを確認した」と述べている。
NSWC IHDは、7月24日に一部メンテナンスセンター向けに交換部品の出荷を開始し、今週中も出荷を続ける。
海軍は「米太平洋艦隊海軍航空隊司令官(CNAP)、大西洋海軍航空隊司令官(CNAL)、米海兵隊補給整備センターは、艦隊全体の航空部隊に優先的に装置を届けるよう調整している」と述べた。
先に述べたように、イギリスとドイツの空軍も射出座席の問題を経験している。
7月23日、英国のレッドアローズ航空デモンストレーションチームは、ファーンボロ航空ショー最終日の航空展示を中止せざるを得なくなったと、デイリーエクスプレスが報じている。同チームの飛行は再開されが、英空軍のタイフーンが飛行停止になった。
「飛行禁止には、英国上空の敵対的目標を迎撃するためすべてのスクランブル機と、NATOプロジェクトの一環として東欧上空の保護を支援するためルーマニアに配備中の機材が含まれる」と同紙は報じている。
ドイツは、射出座席の問題を解決ずみと発表した。ドイツ軍は7月28日、ツイートで「#ドイツ空軍の#ユーロファイターの[射出座席]に問題があった」と発表した。マーティン・ベーカーはユーロファイターにも射出座席を提供している。
本誌はマーティン・ベーカー、英国空軍、ドイツ空軍に詳細を問い合わせており、追加情報があれば、この記事を更新します。
マーチンベーカーの射出座席システムの問題により、世界中でどれくらいの期間、どれくらいの数の航空機が地上待機となっているかは、現時点で不明だ。
追加7月29日
マーティン・ベーカーの事業開発責任者スティーブ・ロバーツSteve Robertsが、射出座席の不具合について声明を発表した。「22年4月、ヒル空軍基地での定期点検の際、F-35のシートのシートカートリッジ作動装置(CAD)の1つで異常が発見されました。この不具合は、製造工程上の欠陥に起因するものと判明し、対策がとられました。F-35プログラムは、F-35を飛行可能に戻すために、すべてのシートのCADを検査する1回限り指示を導入しました。
「この問題は、特定のCAD部品番号に固有のもので、F-35に固有のものであることが判明しました。マーティン・ベーカーは、他の各機が除外される可能性を証明するために、プライムや複数政府機関に裏付けデータを提供してきました。F-35以外では、ペースを上げて続けられているフォレンジック調査の結果、世界中で1つの異常も発見されていません。"
ACC広報官ウォーリーは、少なくとも週末までF-35のほぼ全機が地上待機となると述べた。
「一部の例外を除き、ACCのF-35各機は、より多くのデータを分析する間、一時的に飛行運用を停止している。配備中機体には、ケースバイケースで対応する」とThe War Zoneに語った。「航空機の待機は週末まで続き、検査データの分析を待ち、安全に通常運航を再開する判断が来週初めに下される見込み」と述べた。
空軍の広報官アン・ステファネックAnn StefanekはThe War Zoneに対し、マーティン・ベーカーのロバーツのコメントとは無関係に、飛行停止中のその他空軍機の状況に変化はないと語った。■
F-35s, Many Other Types, Grounded Over Ejection Seat Issues (Updated)
BYHOWARD ALTMANJUL 29, 2022 3:37 PM
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