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中国が空母練習機を模索。パイロット養成をシステム的にすすめる必要に迫られているのは、空母建造が進み、空母が海軍戦力に定着してきた証拠なのか。

    空 母運用訓練を受けていないパイロットのみでは空母は機能を発揮できない。   米海軍ではこの問題はない。一世紀近くに渡り、新米パイロットは暗闇の中、大洋に浮かぶ小さな飛行場への着艦方法を叩き込まれている。だが中国海軍では事情が異なる。人民解放軍海軍航空隊の運用機材はこれまで陸上配備機材が大部分で、空母は旧ソ連艦が比較的最近に利用可能になったに過ぎない。   そこに中国国内建造の空母2号艦が加わった。またその後も空母建造が続く。つまり、中国には海軍パイロット養成の強化が必要で、適切な訓練用機種が必要となる。     そこでJL-9山鷹練習機を空母運用訓練用に転用すると中国国営メディアが報じている。JL-9は超音速複座機で中国空軍、海軍が2014年から高性能機材のSu-27、Su-30MKK、J-10戦闘機パイロット養成用に使っている。その前はMiG-21戦闘機を改修したJJ-7が練習機だった。なお、JL-9はFTC-200G軽攻撃機として輸出されている。   「JL-9の開発元である貴州航空機工業は国営中国航空工業 (AVIC)傘下で宣伝資料でJL-9を空母運用する様子を伝えており、JL-9が艦載練習機に採用されるとの観測を呼んでいる」と環球時報が伝えている。「中国海軍でJL-9は陸上基地で空母航空隊パイロット養成に投入されているが、中国には空母運用可能な練習機がまだない」   艦載機と陸上運用機材は外観上は同じように見える。だが空母運用では個別の仕様が必要で、着艦を考慮した降着装置の強化が一例だ。山鷹も機体構造、エンジン含め改修が必要と環球時報も伝えている。   また環球時報はJL-9の空母練習機採用には競合相手もあると伝えている。「単発JL-9山鷹の強力なライバルが双発のJL-10 猟鷹でエイビオニクスが高性能で飛行性能も優れている」 「だがAVICの 洪都航空工業集団が開発したJL-10は機体価格が高い」   米海軍海兵隊ではT-45ゴスホークを1991年から供用中で、英ホーク練習機を空母運用仕様にした。小型亜音速複座機でエンジンは単発だ。   中国が訓練機材を必要としているのは、空母整備が順調に推移している証拠だろう。空母が一隻だけなら特別装備扱いで、ロシアがこの状態にある。だが中国は空母4隻以上の建造に向かいそうで、空母訓練機材やインフラが必要になっ

UH−60後継機をねらうボーイング、シコースキーが共同開発のディファイアント新型を発表。ベルのティルトローターと競合。米陸軍は2022年選定で2030年代の運用開始へ。

  Sikorsky-Boeing Defiant-X シ コースキー 、 ボーイング 両社はSB>1ディファイアント複合ヘリコプターを「大規模研究」と陸軍との協議を経てディファイアント-Xとして本日公開した。 どう変わったのか。両社は詳細を明らかにしておらず、今後順次公開するとしている。だが慎重な発表文に報道陣がそれでは満足せず、電話会議で両社に問いただし、以下判明した。 ディファイアント-Xは降着装置を強化し、機首にも追加した。SB>1には大型車輪ふたつを前方に、小型車輪を尾部につけていた。機体重量が増えたのは確実だが、その分未整備着陸地点で安定性が向上したのだろう。 ディファンアント−XはSB>1にあったエンジン下の排気口を廃止している。これで「熱特徴を減らした」と両社は記している。言い換えれば、新設計はエンジン余熱処理を工夫し探知されにくくなった。搭載エンジンは未定だが出力水準、整備性、排熱のバランスを考慮するはずだ。 ディファイアント-Xでは機体形状を変更し、機首が鋭角になり、機体後方にリッジをつけており、両社はこれにより「空力特性の扱い」が改良されたと述べている。陸軍の優先事項は速力だが、この点で改良の言及がない。SB>1はライバルのベルV-280ヴァラーとこの点で劣っていた。 The Sikorsky-Boeing Defiant X Sikorsky-Boeing image シコースキー・ボーイングチームはUH-60ブラックホークの後継機を目ざす将来型長距離教習航空機 (FLRAA)の採用をめぐり、ベルと競合している。FLRAAは高速長距離かつ大量の搭載量をめざす。FLRAAは広義の将来型垂直輸送構想の一部で、偵察用から小型無人機まで各種を整備する陸軍の構想だ。両陣営はFLRAA試作機の飛行を開始済みで、ベルが先陣を切った。V-280ティルトローターは性能実証済みのV-22オスプレイを小型化し、スッキリした姿になっている。同機は2020年12月18日に初飛行から三周年を迎え、150回200時間の飛行実績と、水平飛行で時速305ノットを記録している。 Bell V-280 Valor これに対しシコースキー・ボーイングのSB>1は生産問題で出遅れ、複合ヘリコプター設計特有の超硬性ローターブレイドとギアボックスの組み合わせ

2023年度予算で戦術機材構成を検討中の米空軍に、F-16調達再開の動き。F-35に不満がたまり、調達規模縮小案も。ステルス偏重の是正は健全な動き。

  ステルス機偏重、F-35命の米空軍の硬直していた姿勢がここに来て大幅に変化しています。現実の世界を眺めたというより、いつまでたっても完成しないF-35、ステルス対抗技術の出現で、ロッキードの宣伝文句が色あせてきたのが理由でしょう。一方、日本は一生懸命F-35を導入しているのですが....F-15につづいて F-16の新規調達が実現すれば、1970年代の投資が今でも有効だと証明されますね。   ステルスF-35の後方を飛ぶF-16が新しい「素晴らしい」性能を提供すると米空軍に新規製造機体の 調達を期待する声が出ている。 Credit: U.S. Air Force   米 空軍関係者に ロッキード・マーティン F-16の新規発注が話題に上がっている。空軍での同機の最終号機受領は20年も前のことだ。戦術機材構成の検討が進行中で、2023年度予算要求ではF-16、 ボーイング F-15EX、新型のいわゆる消耗品扱い機材、および次世代戦闘機がこれまでロッキードF-35Aが独占してきた予算を奪い合う構図となる。   検討作業は空軍が旧式化進む戦闘機や代替機材がないまま能力不足が埋まらない中で進んでいる。F-16生産はサウスカロライナ州グリーンビルで今も続いている。ロッキードは海外向け需要に答えるべく同機組立ラインを2019年に同地へ移転した。   「サウスカロライナのF-16新生産ラインを見ると、大幅に機能が改修されており、装備能力の向上にも参考となる」と空軍次官だったウィル・ローパーがAviation Weekに任期終了一日前に述べている。   ローパーは在任3年を通じ空軍の調達方法に一連の変革を導入した。また戦新型機を模擬敵機にする検討もしていると述べた。スカイボーグ事業をローパーは2018年に開始し、自律機体制御で新しい形の無人機システム(UAS)を確立し、各種ミッション実施を目指すもので、損耗が苦にならない安価な機体価格とする。こうした自律かつ損耗覚悟の性能により訓練で敵機役を演じさせたいとローパーは述べた。   敵機役のミッションはAI応用のUASに大きく進歩する機会となる。「敵機役をUASに任せられれば大幅に予算を節約できる」   新規生産F-16と消耗品扱いのUASを空軍に加える構想は2018年に生まれており、空軍戦闘統合能力開発部門が空軍戦闘機ロードマップ

中国の弱み② 海外基地が確保できない、真の同盟国ネットワークがないまま、艦艇を長期間海外で活動させられない(とりあえず今の時点では)

中国の弱み ②  カンボジアで海軍基地確保の動きがありますが、中国は価値観の共有といった同盟関係の深化に至らず、場所だけ利用して使い捨てするイナゴのような勢力にではないでしょうか。トランプ政権はPRCをOC(組織犯罪集団)と認定しようとしましたが、まさしくここに中国の弱みがあると思います。 タンザニアの首都ダル・エス・サラームに寄港した中国軍艦。Aug. 16, 2017. Xinhua Photo   「世 界最大の海軍」の大きな弱点は国外に造船所や港湾施設を正しく運用できる人員が確保できず、艦艇の遠隔地派遣が継続できない点だと中国の弱みを研究した共著者が明らかにした。   戦略予算分析センターのオンラインフォーラムでトシ・ヨシハラは「中国国内のアナリストには米国が享受する横須賀やインド洋のディエゴガルシアの技能員は夢のレベル」と指摘した。   中国は人民解放軍海軍を支援してくれる「遠隔地」国を確保するのに苦労しており、有事となれば弱点を露呈するだろう、という。さらに米国が第二次大戦後に構築してきた基地、整備施設、同盟国を超える内容を入手するのは中国には極めて困難で、巨額費用が必要となる。   ヨシハラは「全ての場所で中国と競うことは不可能」とし、このため米国は同盟国協力国と「中国の狙いを困難にさせる」選択肢を追い求めるべきと主張した。例として「インド洋の防衛能力の実証」があり、中国の弱みを突くべく「ディエゴ・ガルシア防空能力」を示すのが「ピンポイントで具体的な効果を生む」という。報告書では画期的技術を運用すれば中国式思考の裏をかくことが可能とある。   報告書では中国を局地大国かつグローバル大国と位置づけていると当日司会したジョン・リーが紹介している。   「中国の強みと弱みは時代ともに変化して」おり、米国の同盟国・協力国により状況が動けば同時に変化していく。オーストラリアから参加したリーは習近平主席が「ハイリスク、ハイペイオフ戦略」を追求しており、中国は「遠隔地、近隣地、大陸周辺部にあまねく資源を配分している」とする。   中国がグローバル軍事大国を目指すのは「大規模な経済権益」追求のためとヨシハラは述べた。中国は10年近く前のリビア危機から教訓を得て、内戦発生国で「自国民を保護する」必要を痛感した。中国指導部は自国に「自国民とその財産を保護する資源も意思双方

バイデン就任直後に第一線軍用機を台湾へ大量飛来させたPRCの意図は何か。一方で、USSロウズベルト打撃群が南シナ海入り。台湾・南シナ海の動向に注意。

  台湾へは神経戦、宣伝工作などあらゆる手段を中国が行使してくるでしょうが、台湾には効果が出てきていません。面子を潰されたと感じれば、大陸側がどんな動きに出るかわかりません。今日の台湾は明日の沖縄、日本本土です。台湾との連携を深める時期が来ていますが、日本政府はどう動くでしょうか。こうした日常の出来事にはご関心が低いようです。   人民解放軍のH-6爆撃機が台湾防空識別圏付近を飛行している。Sept. 18, 2020. (Taiwan Ministry of National Defense via AP)   米 中両国の軍事活動が台湾・南シナ海周辺で活発化しており、バイデン政権が台湾支援継続を表明するや両陣営による外交面の舌戦も鋭くなってきた。   台湾国防省は台湾防空識別圏へ飛来する中国軍機の状況を毎日公表しており、1月23日24日の週末にはそれぞれ13機、15機を探知した。   今回は人民解放軍の活動としては目立つ動きで、従来は台湾防空識別圏に侵入するのはこれまで数機止まりで、対潜哨戒機や情報収集機が多かったからだ。今回は西安H-6K爆撃機、成都J-10、瀋陽J-16、さらにロシア製スホイSu-30が飛来した。   台湾周辺にこれだけの機材を飛ばした理由が台湾へメッセージを送るためだったのかは不明だ。   これまでも航空活動の強化はあった。米高官の訪台を睨んで挑発行為していた。今回は台湾の事実上の駐米大使 蕭美琴 Bi-khim Hsiaoがバイデン大統領就任式典に参列し、台湾外交使節として就任式参加は1979年以来初となった。   今回の中国軍航空活動の強化に対し米国務省が早速反応し、「PRCによる台湾含む隣国への嫌がらせ活動が続くパターンに懸念している」と声明発表し、「中国政府は軍事、外交、経済面で台湾へ圧力をかけるのを止め、かわりに台湾の民主政体と意味のある対話をすべきだ」と主張した。   土曜日に米海軍空母USSセオドア・ロウズベルトもバシー海峡を経由し南シナ海へ進入した。C-2Aグレイハウンド輸送機がフライト追跡ウェブサイトに現れ、海峡から高度を上げる状況が見えたことで空母が同地域に入ったことをうかがわせた。米インド太平洋軍の公式発表が翌日あり、同空母打撃群が「海洋安全保障作戦として、固定翼回転翼機の航空活動を実施する他、海上攻撃演習や戦術訓練を

歴史に残る機体30 ロッキード・マーティンF-16ファイティングファルコンはベトナム戦の教訓から生まれた軽量高機動戦闘機。F−35の遅延で2040年代まで供用される傑作戦闘機になった。世界中で多数が供用中。

  歴史に残る機体30   F - 16は米国、同盟国双方が供用中だ。なかでも性能向上型は驚くほど高威力ながら購入しやすい価格を実現している。   F−16ファイティングファルコンは傑出した機体だ。世界トップクラスの戦闘機でありながらコスト性能比が優れる。高速かつ高い操縦性を有する軽量戦闘機の欠点は航続距離、ペイロードが大型双発機のF-15イーグルより劣ることだが、価格を見ればそんなことは二の次になる。1999年当時の単価18百万ドルは2017年価格で27百万ドルに相当する。この価格性能比が各国空軍部隊に魅力となり、現在も世界で最も多く運用中の戦闘機で製造4,500機中、2,700機が26カ国で現役だ。   F-16誕生の背景には空軍がヴィエトナム戦で直面した難題があった。F-4ファントムは高速大型戦闘機だったが、北ヴィエトナム空軍に苦戦を強いられた。一つには空対空ミサイルの技術成熟度が足りなかったためで、ドッグファイト技量も未熟だった。ここからファイターマフィアと呼ぶ一派が生まれ、空軍はこれまでの設計思想を捨て、安価かつ軽量で運動エナジーを最大活用し、ドッグファイトに耐える機体を実現すべきと唱え始めた。当時開発中だったF−15イーグルも故障しがちの空対空誘導ミサイルへの依存度が高いと批判した。ただし、イーグルはその後双発大型機でも操縦性が高い機材は可能と実証したが、コストに目をつむればという条件で、ミサイル技術が大きく進歩したわけではない。     軽量戦闘機を求める声はペンタゴンにも広がり、単純な経済の問題だった。空軍はF-15を好み、一方で戦闘飛行隊全部に同機を配備するのはあまりにも高額の予算が必要だったので、「ハイロー」ミックスの機材配備を決定する。そこから試作機2型式が生まれ、1974年に性能比較が行われた。 ノースロップ YF-17と ジェネラルダイナミクス YF-16である。後者が応答性がよい評価を全員一致で得たが、YF-17はその後ホーネットに進化し、米海軍海兵隊が共用している。F-16Aの量産仕様初号機は1980年に部隊配備され、その後複座のF-16Bも加わった。   単発F-16はデザイン技術の最新動向を取り入れ運動性能を最大限活用するねらいだった。強力な ブラット&ホイットニー F100エンジンに機体下部に空気取入口を備え、推力重力比が優れたの