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2023年度予算で戦術機材構成を検討中の米空軍に、F-16調達再開の動き。F-35に不満がたまり、調達規模縮小案も。ステルス偏重の是正は健全な動き。

 ステルス機偏重、F-35命の米空軍の硬直していた姿勢がここに来て大幅に変化しています。現実の世界を眺めたというより、いつまでたっても完成しないF-35、ステルス対抗技術の出現で、ロッキードの宣伝文句が色あせてきたのが理由でしょう。一方、日本は一生懸命F-35を導入しているのですが....F-15につづいて F-16の新規調達が実現すれば、1970年代の投資が今でも有効だと証明されますね。

 

ステルスF-35の後方を飛ぶF-16が新しい「素晴らしい」性能を提供すると米空軍に新規製造機体の

調達を期待する声が出ている。

Credit: U.S. Air Force

 

空軍関係者にロッキード・マーティンF-16の新規発注が話題に上がっている。空軍での同機の最終号機受領は20年も前のことだ。戦術機材構成の検討が進行中で、2023年度予算要求ではF-16、ボーイングF-15EX、新型のいわゆる消耗品扱い機材、および次世代戦闘機がこれまでロッキードF-35Aが独占してきた予算を奪い合う構図となる。

 

検討作業は空軍が旧式化進む戦闘機や代替機材がないまま能力不足が埋まらない中で進んでいる。F-16生産はサウスカロライナ州グリーンビルで今も続いている。ロッキードは海外向け需要に答えるべく同機組立ラインを2019年に同地へ移転した。

 

「サウスカロライナのF-16新生産ラインを見ると、大幅に機能が改修されており、装備能力の向上にも参考となる」と空軍次官だったウィル・ローパーがAviation Weekに任期終了一日前に述べている。

 

ローパーは在任3年を通じ空軍の調達方法に一連の変革を導入した。また戦新型機を模擬敵機にする検討もしていると述べた。スカイボーグ事業をローパーは2018年に開始し、自律機体制御で新しい形の無人機システム(UAS)を確立し、各種ミッション実施を目指すもので、損耗が苦にならない安価な機体価格とする。こうした自律かつ損耗覚悟の性能により訓練で敵機役を演じさせたいとローパーは述べた。

 

敵機役のミッションはAI応用のUASに大きく進歩する機会となる。「敵機役をUASに任せられれば大幅に予算を節約できる」

 

新規生産F-16と消耗品扱いのUASを空軍に加える構想は2018年に生まれており、空軍戦闘統合能力開発部門が空軍戦闘機ロードマップを起草した。Aviation Week はこの文書を2020年12月に入手し、内容にはF-35発注量を当初予定の1,763機から1,050機程度に抑えるとある。

 

20年にわたり、空軍首脳部は2,100機程度の戦闘機部隊を全機ステルスのロッキードF-22とF-35にするよう求めてきた。今回判明したロードマップでは将来の機材構成に非ステルス機も検討対象としている。

 

2019年に空軍がF-15EX新規生産144機中で先行8機を調達する予算を要求した時点で、予想外の動きとなった。戦術機機材構成検討では非ステルス機に戦闘任務を想定する。F-15EXはF-15C後継機という以外に機体中央部に7,500-lb兵装を搭載可能でロケット推進式の極超音速滑空爆弾を運用でき、戦術機の不足を埋める機体になる。

 

「F-15EXは検討の価値がある機体だ」とローパーも認める。「敵地侵攻能力よりも兵装搭載量が大きい点、特に極超音速兵器の運用が可能なので制空権が確保できない空域でもF-35と別の任務をこなすだろう」

 

空軍は戦闘機4型式の発注が可能となる。F-35A、F-15EX、F-16ブロック70/72および次世代戦闘機であり、ロッキードF-22とA-10の供用も続ける。空軍は同じロッキードに発注を二分することになりそうだ。

 

非ステルス機に新たな任務が検討されているのは、ステルス機の高コストにペンタゴン最上部で不満が高まっている裏返しとも言える。クリストファー・ミラー国防長官代行(当時)は1月14日報道陣からF-35について問われ、国防総省で最大規模の兵装システムになった同機を「いまいましい存在」と述べた。

 

ローパーもF-35Aの維持費水準に空軍が我慢できなくなってとロッキードに伝えた。同社は平均時間あたり運用コストを2025年までに25千ドルと、2018年水準から25%下げると回答した。だが退官が近くローパーはその削減スピードでは満足できないままで、空軍はF-35を年間48-60機調達しようとしている。

 

「買いやすい価格の戦闘機を一括調達するまで道は遠いと見ている」とローパーは報道陣に1月14日語っている。「このため、別の戦術航空機材の選択肢が魅力を増してくる。競作となれば、業界に圧力となり改善が進む」

 

空軍のもう一つの選択肢が次世代戦闘機だ。次世代制空戦闘機(NGAD)の詳細は非公表のままだが、ローパーは昨年9月に飛行実証機が秘密のうちに飛行していることを認めた。次世代戦闘機のエンジンは競作で2025年に選定され、2026年度に実機生産の準備が整うだろう。

 

同機が実現すれば空軍にはハイエンド戦術機の機種構成が完成し、一方でF-35にはブロック4アップグレードを2025年度まで受ける。

 

航空戦力アナリストの中にはF-35のさらなる予算削減が可能性を帯びてきたことに警戒する向きがあある。空軍協会のシンクタンクのミッチェル航空宇宙研究所はローパー在任中のR&D優先方針に批判的だ。ローパーの指揮下で高度戦闘管理システムを戦闘機増産より優先している。

 

「優れた調達専門家なら広義の政治的意味を読み取るべきだ」とミッチェル研究所専務理事のダグラス・バーキーが語る。「R&Dをやっている場合ではない。レーガン時代の軍備拡張が成功したのは各軍に実物の装備が導入されたためだ。トランプ政権下の空軍は機会を逸した。F-35が生産ラインから出てくるがブロック4がないまま不完全な状態でも、まず調達数を最大限にし、その後改修すればよい」

 

ただしローパーには空軍のF-35A要求が48機のままでその後議会により三年間にわたり12機が毎年追加された事態を弁解するつもりはないようだ。

 

「多数調達して戦闘能力で問題を拡大するより、世界最高性能の装備の調達数を少なくした空軍を支持する。戦術機の構成を眺めると、長期間に渡り持続可能な水準で戦力を活用できるよう変更の必要性がある」と述べた。

 

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US Air Force Talks New F-16 Orders In Latest Acquisition Shake-up

Steve Trimble January 21, 2021


コメント

  1. >ステルス機偏重、F-35命の米空軍の硬直していた姿勢がここに来て大幅に変化しています。
    >ステルス対抗技術の出現で、ロッキードの宣伝文句が色あせてきたのが理由でしょう。

    「対等の敵」に対する姿勢としては、非ステルス機で規模を維持しようとする空軍の予算の使い方はどうなんでしょうねえ。ファースト・ストライク以降はGen.5機で戦線を維持できる、という分析・判断の結果なら良いのですが。
    ステルス対抗技術の出現、については具体的な兵器名を私は知りませんが、そもそも、最初からステルスが万能じゃないことは空軍だってロッキードだってわかってました。その上で「ステルスは当たり前で基本」である世界、ステルスが当たり前の空軍、を作るはずだったんですよねえ。。
    日本は、現時点で入手可能なステルス機F-35を導入するのは当然でしょう。規模で中国を上回るのが不可能なのは自明ですから。まあ、導入の規模については、考える余地はありそうですが。

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