日本が新型ディーゼル電気推進潜水艦たいげい級の初号艦を2020年10月に進水させた。たいげいは、海洋安全保障を強める日本の姿勢を表し、同時に中国が東太平洋で見せる強硬な態度への抑止力にもなる。
たいげいとは大鯨のことであり、三菱重工業が神戸で進水させた、新型クラス潜水艦の初号艦であり、そうりゅう級の後継艦となる。排水量3千トンのディーゼル電気推進式攻撃型潜水艦は平成29年度にちなみ29SSと呼称されてきた。全長84メートルの同艦はそうりゅう級同様にリチウムイオン電池を動力に採用した。
電池技術で技術革新を示す日本がリチウムイオンを採用したのは保守点検が少なくてすむからだ。だがもっと重要なのは高速長時間潜航が実現できることだ。日本はリチウムイオン電池潜水艦を実用化した唯一の存在になった。
艦体はそうりゅう級と大差ないが、新型艦ではセイルを部分的ながら艦と一体化しているのが特徴だ。これにより潜航時の抵抗を減らせる。また電池性能も引き上げられる。さらにソナー、戦闘指揮装備の性能を増強し、艦体は音響吸収剤を装着し、かつ浮き床構造でノイズを下げている。
たいげいの兵装は533㍉発射管6門で魚雷、巡航ミサイル、魚雷型対抗装置を雲鷹し、後者はおとりを放出し敵魚雷を回避することで残存性を高めるのに使う。乗員は75名程度だろう。
最新型の同艦は海上自衛隊での供用を2022年開始の予定で、今後は艤装および海上公試を進める。供用開始となればたいげいは海自22隻目の潜水艦となり、潜水艦部隊強化の一環となる。日本政府が発表した2020年防衛ガイドラインでは中国の軍事近代化を近隣での強硬さを増す態度とあわせ問題している。
なお、海上自衛隊はそうりゅう級1隻の追加建造も進めており、完成すれば同級12隻目となる。一方でたいげい級は7隻の建造予定だ。新型艦が導入されれば旧型おやしお級を順次退役させるのだろう。日本の各潜水艦は他国より供用期間が短い傾向がある。他国では30年以上の供用が普通だが、日本は20年だ。しかし、このため日本はいつも新型で高性能の潜水艦を導入できる。
このことは2030年代初頭に日本がさらに高性能潜水艦を導入できることに繋がり、小規模ながら強力な威力の日本潜水艦部隊は数の上で優勢を誇る人民解放軍海軍の潜水艦部隊に引き続き対抗できるはずだ。■
この記事は以下を再構成し、人力翻訳でお送りしています。
Meet Japan’s Stealthy Taigei-class of Diesel-Electric Submarines
January 11, 2021 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: SubmarinesJapanMilitaryTechnologyWar
by Peter Suciu
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.
Image: Wikimedia Commons
日本の唯一の戦略兵器であり、世界最優秀と言われる通常型潜水艦は、日本の抑止力の相当な部分を構成する。抑止力は、敵国に脅威を与えるものでなくてはならないが、例えば中国は脅威と考えているのだろうか。
返信削除先ず隻数の問題がある。22隻程度では戦域に遊弋する潜水艦は7隻程度。もし、開戦時、奇襲を受け半数に被害を受ければ、3~4隻となり、この数では抑止力には不足するだろう。
次に想定する戦場の海域の問題がある。東シナ海、台湾海峡や南シナ海沿岸部は深度200m未満であり、最大潜水深度600m以上と言われる日本の潜水艦には浅く、その性能を十分活かせず、また、このような海域ではより大きな潜水艦はより探知され、攻撃されるリスクが高くなるのではなかろうか。
このように考えると、隻数を増やすか、より小型で省力化した2000t未満の潜水艦も開発、装備した方が良いかもしれない。