中国は遠大な構想を有している。だが経済成長と安定した政治で中国をまとめCCPは権力を維持できるのだろうか。大人口のまま高齢化が進めば中国の資源はなくなる。
一見とどまるところを知らない中国の成長に障害が現れた。人口構成だ。共産党の進めた一人っ子政策の効果を逆転させようと必死だが、時間切れとの声専門家にが強い。
中国政府の研究では人口は2029年の14億人がピークの後は減少に歯止めが聞かず、2050年に13.6億人となり、労働人口は2億人減少する。
出産率がこのままでは2065年に11.7億人に減少すると中国社会科学院は予測している。
人口増加対を食い止めようと登場した一人っ子政策は罰金、中絶、不妊化手術で成功をおさめ、出生率は1979年の2.9人が1995年に1.6人に下がった。上限は2016年に2人に引き上げられ出産数は一時的に上がったが再び低下した。昨年の新生児は15.2百万だが一部都市圏や地方省で35%減少した例もある。
中国の公式出生率は1.6で、人口維持に必要な2.1に届かないが、実際の数字は1.18程度と見る専門家もある。1.3だと80年で人口は半減する。
一人っ子政策のため女性の数が不足している。跡継ぎに男児を好む傾向や性別による中絶処置で中国の男性数は女性を34百万人上回っており2020年で結婚相手を見つられない男性は24百万人に及んだ。
北京、上海など発展した地域の出生数が青海省など西部地区より低くいは人口移動と関連がある。中国の「ラストベルト」東北部では経済活動が低下している。「結婚観、家族観の伝統」の変化が理由とする向きがある。結婚届は毎年減る一方で離婚が増えている。
転換点
北京大エコノミストのYi Fuxianは人口減少は2018年に始まったと指摘している。「2018年が歴史的転換点だった」とニューヨークタイムズにこう語り、「人口減少と急速な高齢化が始まった。経済活力は下がっていく」
まず労働人口の減少が悪影響を及ぼす。15歳-64歳人口は2013年のピークを経て、4年連続で減少している。その結果、扶養比率を構成する小児老人は2011年から上昇しており、今後も増加が止まらないと予測される。高齢者は2035年に4億人の大台を突破する政府予測がある。
すでに政府予算に影響が出ている。年金支出は6400億元(900億ドル)を2016年に記録し、5年前の140%増だ。今後さらに増加し、2050年には60兆元になる予測もあり、政府支出の20%相当となる。
社会保障が充実していると思われがちな中国だが医療、年金は制約が多く、推定9億人が社会保障の恩恵を受けずに暮らしている。
アジア最大の経済規模を誇る同国は十分に豊かになる前に高齢化中と言える。
「先進国でも高齢人口は1950年から2015年で倍増した時点で国民一人当たり所得はおよそ41千ドルだった。中国では同じ現象が12年で発生する。だが2025年の国民一人あたり所得は2015年時点のその他先進国水準の3分の1しかない」(Bloomberg Opinionに寄稿したShuli Ren)
規制緩和
危機を意識して中国政府は家族計画を更に緩和する動きに出ている。罰金を廃止し出産制限そのものも全廃するとある。中国の全国健康委員会はその他省庁とともに「税制、雇用、社会保障、住宅問題の改善及び検討をすすめ、全国的な子どもふたり政策の実施を進めようとしている」とChina Dailyが伝えている。
対策の一つに現行の定年55歳を女性で60歳、男性は65歳に引き上げ国際水準並みにする提案がある。地方政府も補助金で対応し出産休暇などの優遇策を講じている。ただしその他先進国同様に下がった出産率を逆転するのは極度に困難で極端な優遇策でも難しい。
エコノミストのライマン・ストーンは北欧並の寛大な支援策でも長期的な出生率改善には効果が薄いと研究でわかったという。また先進国でおしなべて出生率が低下している現象はかつてない規模だ。
経済の減速で二桁成長のGDPが一桁になり、債務残高は2018年末時点でGDP比254パーセントになった。海外から労働力を受け入れる、あるいは労働生産性を上げる、この2つで労働人口縮小に対応する。ただしハーヴァードビジネスレビューに寄稿したJ・スチュワート・ブラックおよびアレン・J・モリソンは生産の伸びが低下し、海外への開放度が低い中国企業の動向など阻害要因が多いと見ている。「日本企業同様に中国企業もグローバル500リストの圏外に落ちるだろう」とし、人口ボーナスと無尽蔵の低賃金労働を利用する経済モデルは勢いを失った。
JPモーガンアナリストの両著者は中国の経済成長率は現行6.5パーセントが2025年に5.5パーセントに低下し、さらに2030年までに4.5パーセントまで低下し、米国から世界最大の経済大国の座を奪う中国の夢は困難となる見ている。「中国は第予想より長く二位のまま残る」という。
人口減でGDP成長率も低下すると、一帯一路構想のような海外への野心を支える財務力も落ちる。経済停滞と格差拡大から共産党体制も批判を受けそうだ。
他方でインド、インドネシア、米国の労働力は今後も伸び、少なくとも2060年までこの勢いを持続しそうだ。米国は出生率が高く流入人口も多いので2017年に3.24億人、2050年に3.9億人になる予測で、インドは2027年に中国の人口を上回る。
人口構成が示すとおりなら、中国はいまだかつてない課題に直面しながら解決策が視野にない状況に苦しむことになる。■
この記事は以下を再構成したものです。なお、記事は人力翻訳でおこなっています。コロナ禍で米国経済が停滞する間に中国が順調に伸び世界一の地位に予想より早くつくとの脳天気な予測が出ていますが、情報操作の一環でしょう。台頭が早いぶんだけ退潮も早い中国は世界にお騒がせな存在になるでしょう。一方で、国力があるうちに軍事冒険主義に走る可能性も高くなるのでは、警戒が必要です。マスクスより怖いのはマルサスです。
1.4 Billion by 2019 and Aging Fast: Can China Manage Such Rapid Change?
December 21, 2020 Topic: Economics Region: Asia Blog Brand: The Reboot Tags: ChinaDemographicsOne Child LawSocial SecurityCCP
Anthony Fensom is an Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. This article appeared last year and is being republished due to reader interest.
Image: Reuters
中国の人口は粉飾されており、公式には14億人であるが、実際には12億7000万人前後との推定や暴露がある。そうなれば、最も人口の多い国はインドである。昨年11~12月に国勢調査が行われ、4月に公式発表が予定されているが、14億人を越える人口と発表されることになるだろう。
返信削除中国のデータは鵜呑みできないが、急速な高齢化と労働人口の低下は間違いない。そうなると社会負担の増大とGDPの停滞が顕著になるだろう。軍備増強や一帯一路で多額の資金をつぎ込む余裕は無いはずだ。
中国の人口減少は、出生率低下により加速されるが、韓国と同様に子供に使えるお金が2人分には少ないことが主な理由だろう。この傾向は都市部で顕著であり、貧困層の多い農村部の人口は相対的に増えることになり、貧富の格差が大きくなる。
これらを考えると、中国は、中所得国の罠に嵌まることになりそうだ。
しかし、習は、これらの閉塞状況を打破するため、大ナタを振るうかもしれない。それは、高齢者層の切り捨てと、出産の義務化、あるいは人工的な妊娠の強制であるかもしれない。