韓国の現政権はことあるごとに北に媚を売っており、あたかも統一のためなら北にすり寄っても構わないと考えているようです。同様に国内の左翼陣営も親北の姿勢を隠そうともしていませんが、北朝鮮は罵詈雑言で韓国を見下しており、韓国など眼中に無いような態度です。万一有事となれば躊躇なく砲門を開くのではないでしょうか。そのときに左翼陣営は自らの過ちに気づくでしょうが、時遅しでしょうね。
大都市ソウルの都市計画は他と全く違う。市東部は北朝鮮国境から30マイルと離れておらず、火砲数百門の射程内だ。北朝鮮はソウルを「火の海」にすると脅かしている。このため都市計画では23平方キロに及ぶ退避壕を念の為市内に構築している。
北朝鮮は弾道ミサイル開発で核弾頭を搭載するとの観測もあるが、高性能砲弾や化学弾が人口1千万人とニューヨーク市を上回る韓国首都に降り注ぐ光景を想像するだけで背筋が寒くなる。
ただし、DMZの反対側からソウルまで届く射程の火砲はごく一部のみだ。その装備が500門を揃えた170ミリ自走砲コクサンで、性能は実戦で実証されており、ロケット推進弾を発射すれば射程は37マイルに伸びる。
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コクサンは20世紀前半の長距離砲への回帰といえる装備で、戦線後方の防御陣地や弾薬集積地、司令部、補給上の急所など高価値標的の打撃が任務だ。1950年代に大型砲の半自力走行車両搭載が増え、戦術核兵器を発射するものも現れた。だが米軍の175ミリM107、203ミリM110は用途廃止された。空爆、戦術ミサイルで同じ効果を上げるようになったほか、155ミリ砲でも発射弾の性能向上があったためだ。
だが朝鮮半島の地理条件と軍事境界線の整備された環境は火砲の使用に有利となっている。朝鮮戦争でも米軍の移動式火砲が北朝鮮軍、中国軍の人海戦術を撃退する効果を示した。さらに北朝鮮軍は航空支援に期待できる状態ではなく、精密誘導兵器も頼りにならない状況にある。
北朝鮮装備品の出自には謎が多い。M1978コクサンも制式名称ではなく、1978年に西側が初めて同装備を目視してこの名称がついた。北朝鮮装備品は多くがソ連の原設計だが、ソ連は170ミリ砲を開発していない。コクサンは第二次大戦中の日本軍の沿岸砲あるいはドイツ製K18装備が原型かもしれない。
M1978は中国製59型戦車の車台に搭載するが、方の装填を行う兵員には遮蔽物がない。これは米M107やM110でも同じだった。M1978には車内に砲弾を持たず、軽装甲の弾薬車あるいは事前集積地がないと発射を続けられない。当然ながら、北朝鮮は境界線沿いに構築した硬化火砲陣地の利用をしてくるはずだ。多くは山腹に掘ったトンネルで、一部には居住部分をそなえたものもある。
コクサンは実戦で洗礼を受けている。1987年に北朝鮮はイランに同装備を売却し、当時イランはイラクと戦闘中だった。テヘランの軍事パレードにも登場した。
イランはアルフォー半島の占領に1986年成功した。同地はクウェイトの油田地帯に隣接し、クウェイトは当時はイラクの同盟国だった(中東の同盟関係はすぐ変化する)のでクウェイト油田地帯の砲撃にコクサンが投入された。1988年にイラク軍が化学兵器も投入し奇襲攻撃を断食月中に実施し、イラン陣地を占拠した。コクサン数門を捕獲し、米国関係者も視察した。
ほぼ同時期に北朝鮮はM1989をコクサン改良型として運用開始し、車台の延長で安定度を増し、4名の搭乗スペースもついた。随行車両にさらに装填手4名が乗る。M1989は車内に12発の砲弾を運ぶ。これによりM1989は最初の一分で3-4発を連続発射し、その後は毎分一発の通常発射になる。
ソウルは「火の海」になるのか
2012年にノーチラス研究所からの詳細な研究発表では、コクサンや240ミリ連装ロケット砲の脅威が誇張気味と主張した。最近でもNational Interestのカイル・ミゾカミも同様の主張を展開している。
まず、長距離砲コクサンといえどもソウル北西部を射程に入れるにはDMZに沿いごく狭い範囲に展開する必要があり、すぐに空爆や地上からの攻撃の標的になる。
戦例ではシリアのアレッポ、チェチェンのグロズニーの砲撃は数ヶ月かかっており、第二次朝鮮戦争がそれを数週間にまで短縮する可能性はある。さらに北朝鮮軍が民間人を集中攻撃し、軍事目標を後回しにするだろうか。またソウルに中国国民も居住しており、犠牲となれば中国が黙っていないだろう。
とはいえ、検討すべき点もある。まず、ソウルの人口はアレッポやグローズニーの数倍の規模があるので、死傷者も数倍に登るだろう。韓国人口のほぼ半分の24百万人が首都圏に暮らす。砲撃による死傷者は大部分が退避壕に隠れる余裕もないままで発生する。そのため実際の死傷者が多くなる場合もある。ノーチラス報告書では死亡を最大29千人と試算し、市街地は壊滅するとある。それ以外にパニックで何十万人が避難しようと道路にあふれ、一帯が混乱を極めるのは朝鮮戦争で経験済みだ。
北朝鮮火砲が化学砲弾を発射すれば混乱の規模は更に拡大する。コクサンで化学砲弾運用は想定されているものの確認できていない。最後に韓国と米国が過剰なまで装備を北朝鮮の戦略野砲部隊に振り向ければ、野砲部隊は真価を発揮したことになる。
大型砲が国境ぞいに配備されているのは南北朝鮮で戦闘が始まれば、韓国民間人に多大な犠牲が発生することを意味している。一旦民間人に照準をあわせれば、コクサンが大損害を発生させる冷徹な事態になる。
北朝鮮は反攻に耐え抜くと豪語している。ただし都市部を狙えば、北朝鮮体制が崩壊に向かうのは確実で、北朝鮮が事実関係を理解していることを祈るばかりである。■
この記事は以下を再構成したものです。
North Korea’s Artillery Guns are Nearly as Threatening as Its Nuclear Weapons
January 27, 2021 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Reboot Tags: MilitaryTechnologyWarWeaponsGunsNorth KoreaKim Jong-un
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This piece was originally featured in October 2017 and is being republished due to reader's interest.
Image: Reuters
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