422飛行実験評価飛行隊のF-15EとF-16が KC-46 から空中給油を受ける。2020年11月17日ネバダ試験演習地上空。大規模戦力テストイベント20.03(ブラックフラッグ)の一環。 (U.S. Air Force/1st Lt Savanah Bray)
米空軍は各種装備の統合運用を試す新規演習ブラックフラッグを完了した。航空戦闘軍団司令マーク・ケリー大将が実施を認可した「ブラックフラッグ」はネリス空軍基地で展開された統合戦術演習だ。
「ブラックフラッグ演習はハイエンド大規模戦力の統合運用を加速するのがねらい」とケリー大将は述べている。「戦闘には大規模な部隊を投入するので演習でも大規模運用を試す必要がある」
空軍のフラッグレベル演習ではレッドフラッグが有名だ。
レッドフラッグは多様な部隊を投入し戦闘環境をシミュレートする演習で、やはりネリス基地が舞台だ。開始は1975年、ヴィエトナム戦終結の年で各種機材を投入し、空対空、空対地、防空指揮統制、情報収集、攻撃の各種の実力を養成するのが目的だ。
空軍はレッドフラッグで見つかった課題を元に、別の演習を立案した。
実は空軍には装備別の個別テストがすでにある。たとえばF-15Eストライクイーグルではイーグル・パッシブ/アクティブ警告残存システム (EPAWSS)、F-16にはアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーで各テストを行っている。ただし装備別テストでは実戦で各種装備を統合運用する必要があるのに対応する効果が生まれない。
だが個別テストでシステムは作動しても、各種機材でセンサー、レーダー、兵装を運用するとシステムが想定通り作動しないことがある。
レッドフラッグに新米パイロットと兵装士官が参加しても実際の状況をテストすることにならない。演習中に予想外の状況が発生するとどうしていいかわからなくなる。
「ブラックフラッグは各種装備が作動するのか否か見極めるイベントだ。機能しなければ解決策を考える。レッドフラッグでこの実証はできない。訓練が中断してしまうからだ。そこで経験豊かなパイロットを動員してのテストが必要となった」と運用テスト、戦術開発を担当する53航空団広報官は語る。
空軍以外の部隊も動員する訓練が重要度をましている。ブラックフラッグから装備に予算等を割り振る根拠が生まれ、航空団レベルでは不可能な部隊参集が可能となる。
ただし、空軍には類似構想は前からあり、共同作戦実行力のテストとしてオレンジフラッグ、エメラルドフラッグがある。ただし、各演習の目的は異なると防衛当局者は説明してくれた。オレンジフラッグは兵装システムが要求内容通りに作動するか確かめるのが目的で、ブラックフラッグは戦闘部隊の実効性に焦点を当て、カリフォーニアのエドワーズ空軍基地で展開する。
こみいったシナリオで各種技術が作動するかを確かめる点は共通するが、ブラックフラッグは共同作戦が必要なシナリオで各種兵装がニーズ通りに作動するかを確かめる。
これに対しエメラルドフラッグはマルチドメイン環境での情報伝達を実証する、あるいは空海地の各種装備に伝わるか確認する。これは53航空団の本拠地エグリン空軍基地(フロリダ)で展開する。
各演習で共通するのは開発テスト、運用テストとして各部隊が一層密接になってきていることと同上関係者は語り、個別テストだと運用上のニーズに対し時間がかかりすぎるという。
ブラックフラッグで空軍に各種戦力の統合効果を試す大規模演習が3種類そろった。ブラックフラッグは3ヶ月おきに実施するのが目標だ。■
この記事は以下を再構成したものです。これも中国との大規模戦を想定しての訓練ですね。米空軍が統合作戦で各種システムの機能を実戦に近い形で実証する間に、中国空軍は10時間程度の連続飛行に成功したとおお喜びのようで、実戦力に相当の差があると思われます。これが2021年の現実です。
What is 'Black Flag?' Inside the Air Force's Newest Major Exercise
Military.com | By Oriana Pawlyk
29 Dec 2020
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