人事公聴会で笑みを見せるロイド・オースティン退役陸軍大将。Jim Lo Scalzo/Pool via AP
米上院はロイド・オースティン退役陸軍大将を初の黒人国防長官として承認した
オースティンは40年にわたり陸軍で勤務し、黒人として初の中央軍司令を努めた後に2016年に退役した
オースティンはジョー・バイデン、ボー親子と関係を築いた。ボーはデラウェア州軍将校だった
オースティンは議員の支持を集めたが、規程免除には党派を超え反対もあった
上院は1月22日、ロイド・オースティンをジョー・バイデン政権の人事を承認し、初の黒人国防長官が誕生した。
バイデンは昨年12月時点でオースティンに国防総省を任せる意向でアトランティック誌に寄稿し、『四十年以上に渡り、米陸軍に仕えたオースティンは多くの課題に並なずれた技能と深い自身の高潔さで立ち向かってきた』『実証済みの真の兵士でありリーダーだ』とバイデンは記し、さらに『オースティンの実力と国防総省に関する深い知識が今後直面する危機や課題で効果を大いに発揮するだろう』と付記している。
オースティンはアラバマ出身でウェストポイント士官学校を卒業し、1975年に少尉任官した。2003年のイラク戦でバグダッドの戦いでの功績を認められ銀星章を授与されている。第三歩兵師団、第10山岳師団のあと、XVIII空挺部隊でイラク、アフガニスタンの戦闘を経験。その後、初の黒人統合参謀本部理事となった。
バイデンとの関係はオバマ政権時代にさかのぼり、当時オースティンはイラクの米国及び有志連合国部隊で司令官で、その後黒人として初の中央軍司令官となった。バイデンはホワイトハウスのシチュエーションルームで何度も一緒になったと述べている。
もうひとつ二人をつなげた要素がバイデンの子息ボーで、オースティンの幕僚としてデラウェア州軍からイラクに派遣され、日曜日礼拝にも一緒に参列していた。オースティンはボーについて「極めて特別な人物」「真の愛国者」「良き友」と評しているが、ボーは2015年に死去している。
オースティンは2016年に大将で退役した。バラク・オバマ大統領はオースティンを称賛し「懸命な判断と迅速な指導力」があるとし、さらにオースティンが「退役後も別の形で祖国に仕える道をさがす」のは確実と述べた。
オースティンは退役後7年未満のため、海兵隊大将だったジェイムズ・マティス同様に国防長官就任に規程除外措置が必要だ。
オースティンの軍退役が最近のことに一部議員がこだわり、退役から日が浅い元将官を国防長官に据えるのは軍へのシビリアンコントロールに反するとの意見がある。
今週火曜日の公聴会でオースティンは議員の懸念をそらそうと「民主体制の安定と安全のためシビリアンコントロールは有効に機能すべきであり、軍事部門は民生部門に従うべき存在」と発言した。
「政治任命で閣僚になることと軍で任務をこなすことは次元が異なると理解しています」「承認いただければ、国防総省の任務を全うし、常に戦争の抑止を目指し、我が国の安全を確実に守ります。また軍へのシビリアンコントロール原則を遵守します」と述べた。
オースティンは国防産業企業レイセオンとのつながりは国防長官としての決定に影響を与えないと各議員に明白に伝えた。
オースティンは軍内部での過激主義の一掃、性的暴行との戦いを差支援し、コロナウィルス対策を優先事項に上げると意見表明した。同時に中国、ロシアの大国ライバルの挑戦の存在を認めるとともに長年にわたる中東の対立抗争を終わらす必要があると述べた。
1月21日に上下両院がオースティンの国防長官就任に規程免除を認めた。上院は22日に朝に93対2でオースティン人事を承認した。■
この記事は以下を再構成したものです。どんな人なのかわからない点もまだありますが、早速山積みの国防関連の課題でどんなリーダーシップを発揮するのか、国防予算をめぐる環境が厳しくなる中で国防力をどう維持構築するかお手並み拝見というところですね。
Senate confirms retired Gen. Lloyd Austin as America's first Black defense secretary
オースティンが国防長官として期待できるか疑問である。
返信削除この記事を掲載しているBusiness Insiderは民主党擁護の姿勢であり、オースティンをもっと持ち上げる記事を書くべきなのだろうが、バイデン一家との「つながり」と、「輝かしい」経歴、当たり障りのない答弁しか書けないとなると、その能力は限定的と思える。
オースティンは、時事の記事によると、驚くべきことに「中国は既に地域覇権国だ」と明言している。どの地域を念頭に置いているのか聞きたいものだが、恐らく第1列島線を考えているのだろう。
バイデン政権の国家戦略は、東アジアにおいて、同盟国との連携強化の言葉と裏腹に、前方重点配備から後方分散に変えようとするだろう。あるいはオバマ政権のように掛け声だけかもしれない。
これは自分の国は自分で守れ、その後、応援に行くかもねと言っているのに等しく、確実な救援ではないため、日本はまだしも自力で防衛できるかもしれないが、台湾の運命は定まったかもしれない。
さらにオースティンは、国防総省内のトランプ派と見做される高官を一掃するだろう。これは米国の軍事力の低下となる。既に多くの有能な高官が辞任している。
結局、日本の周辺では、米軍の後退と中国のますます盛んな挑発が続くことになるだろう。日本は、独自の外交政策と安全保障のより強固な自立が必要になると思われる。