米空軍B-52Hストラトフォートレス(ノースダコタ州マイノット基地)がKC-135ストラトタンカーから米中央軍管轄区域上空で空中給油を受けた。Wednesday, Dec. 30, 2020. (Senior Airman Roslyn Ward/U.S. Air Force via AP)
米空軍戦略爆撃機がペルシア湾上空を12月30日に飛行し、12月で二回目の展開となった。力の誇示で米国はじめ中東同盟国へのイランの攻撃を抑止する狙いがある。
今回のB-52二機による飛行は、イランが数日以内にも米国等の攻撃準備に入ったとされる中での対応と匿名米軍高官は解説した。
B-52編隊はノースダコタのマイノット空軍基地を離陸し、周回飛行し帰投した。イランが2020年1月3日のカセム・ソレイマニ司令官殺害の報復軍事行動に踏み切る事態を米国は危惧している。当時は殺害の5日後にイランはイラク国内基地を弾道ミサイル攻撃し、およそ100名の米軍人が脳震盪を訴えた。
緊張をさらに高めたのがイラン支援を受けたシーア派戦闘員が在バクダッド米国大使館を先週ロケット弾攻撃したことで、死傷者は発生しなかったがトランプ大統領はツイッターでイランに以下警告した。
「イランに忠告する。米国人が一人でも死亡すれば、イランの責任である。よく考えることだ」
エスカレーションで大規模戦に発展する可能性があるため、米国はイランを抑止することとした。双方の戦略をさらに複雑にするのがワシントンの政権移行で、次期政権がイランには新しい対応を模索する可能性がある。バイデンは米国を2015年核合意に復帰させるとしている。
今回の爆撃機飛行について米中央軍は防御的な対応と説明している。
「米国は戦闘態勢を中央軍管轄地区で維持しており、いかなる敵対勢力も抑止する。また米国あるいはその権益を攻撃する動きがあれば即座に対応できる態勢にある」とあり、イランを名指しで呼んではいない。
この発表に先立ち、匿名の米軍高官は米情報機関がイランによる「相当の脅威」の兆候をつかんでおり、ソレイマニ殺害一周年にイラク国内の米関係施設へのロケット攻撃を行う計画があるという。
イラク駐留米軍は2,500名に縮小中でトランプ大統領は1月15日までの実施を求めている。米国は同時にイランが「より複雑な」攻撃を中東各地の米国関連施設に対し計画中との兆候を掴んでおり、ソレイマニ殺害後でもっとも深刻な事態だと米軍高官は述べている。イランの高性能兵器がイラクへ搬送されており、シーア派指導者がイランのクッズ部隊関係者と会見したと同高官は説明。ソレイマニが司令官だった部隊だ。
また同高官は経済面の目標にイランが注目しているとも語り、2019年9月のサウジアラビアの石油精製施設へのミサイル・無人機攻撃に言及した。イランは当時関与を否定したが米国はイランを攻撃の主犯として非難した。
米軍はここに来てイランの動きを抑止する各種動きを展開しており、イランを挑発することは念頭になく、また指示設けていないと公式に説明している。
先週は米海軍の誘導ミサイル潜水艦一隻がホルムズ海峡を通過している。ルイジアナのバークスデイル空軍基地からB-52が二機ペルシア湾上空を飛行し、米軍は「プレゼンス」ミッションであり、攻撃ミッションではないと説明していた。こうした動きは米国が同地域を重要視しているあらわれであり、今週再びB-52が投入されたわけだ。
イランとの緊張を高めた事件として11月のモーセン・ファクリザデ殺害事件がある。西側はファクリザデを制裁対象の核兵器開発の中心と認識していた。イランは殺害をイスラエルによるものと非難したが、米国は米国関連施設へのイラン報復攻撃を懸念していた。■
この記事は以下を再構成したものです。
US Bomber Mission over Persian Gulf Aimed at Cautioning Iran
The Associated Press | By Robert Burns 30 Dec 2020
This article was written by ROBERT BURNS from The Associated Press and was legally licensed through the Industry Dive publisher network. Please direct all licensing questions to legal@industrydive.com.
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