2021年も中国は台湾への嫌がらせを続けそうです。台湾問題は尖閣、沖縄先島を抱える日本がもっと敏感になるべきでしょうね。
2020年は1月から11月間に中国軍機による台湾防空識別圏侵入は計91日と台湾のシンクタンクが発表。
米国含む世界に対し台湾の軍事力及び国民を疲弊させると伝えることが北京の狙いと専門家は見ている
中国が昨年台湾の防空識別圏への侵入回数を記録更新したが、中国の強硬姿勢は台湾への脅威以上に世界へのメッセージと見るべきというのが専門家の見解だ。
ADIZとは領土周辺上空の空域で、民間機は所属を明らかにし指示に従う必要がある。一方的宣言で設定し国際法の裏付けはないが、軍用機がADIZに侵入すれば侵害行為と解釈される。
台湾国防部報道官Shih Shun-wenは侵入事件の増加は「台湾及び域内の安全保障上の脅威になっている」と1月5日述べた。PLA機は「台湾軍の反応をテストし、防空体制にプレッシャーをかけ我が方の航空作戦空域を狭めるねらい」があるという。「台湾への威嚇行為はここ20年で最高水準」とした。
中国空軍機による台湾ADIZ侵入は1月から11月まで延べ380回合計91日に及んだとの報告書を台北に本拠をおく国防安全保障研究院が公表した。報告書は同研究院が毎年刊行し、政治軍事社会各面での中国の台湾への対応をまとめている。
それによると飛行回数の増加は米台両国の接近とともに米中関係悪化に対応しており、「2020年はPLAの活動がいつになく活発になった」と報告書にある。「米中関係の悪化と反対に台米関係の好転が米中台参加国の関係に影響を与え、PLAの台湾海峡上空の軍事行動が活発になった」と分析している。
東シナ海上空を飛ぶ H-6 爆撃機 Reuters
報告書では2020年の台湾空軍はADIZ監視に延べ2,972回発進し、255億台湾ドル(9.075億ドル)の支出を強いられたとある。
だが専門家の間には侵入飛行は台湾軍、国民を疲弊させるというより、国防の決意を固める効果を招き、米国他へのメッセージとして受け取るべきとの意見がある。
中国本土から数マイル先の金門島の揚陸阻止バリケードも老朽化している。April 20, 2018. (Photo by Carl Court/Getty Images)
2020年に米国は高官を台湾へ派遣し、軍事装備品売却を承認した。中国は台湾関係強化に向かうトランプ政権を後ろ盾に台湾が独立への機運を強めるのを懸念しているというのだ。
報告書は台湾が外交活動を展開すると直後に侵入回数が増えているのに注目している。
香港バプティスト大政治学部のジャンーピエール・カベスタン学部長は米国で台湾関係法案数件が成立し、中国は苛立っていると指摘する。そのひとつ2018年台湾旅行法で高官の相互訪問が可能になった。
カベスタンは不快感を表明する中国の新しく荒っぽい方法がADIZ侵入だとする。「中国は限界を試している」とし、「次期政権にこれ以上の台湾関係改善に進まないよう警告している」
報告書では2020年の侵犯事件9割近くが台湾ADIZ南西部で発生しており、これまでの西太平洋から移動したのは中国が台湾が実効支配する南シナ海Pratas Islands東沙諸島の防衛体制に「見えないプレッシャー」を与えるためと分析している。
緊急発進するF-16Vに向かう台湾空軍地上要員。台湾南部嘉義市での軍事演習にて。January 15, 2020. AP Photo/Chiang Ying-ying
カベスタンによれば中国は2012年に独自に南シナ海上空にAIDZを設定したものの、実施に苦労している。台湾南西部ADIZに軍用機を送り、「一石二鳥」を狙うというのがカベスタンの説明で、Pratas Islands東沙諸島をねらうメッセージを訓練を一度に行っているという。
報告書では派遣機材の中心は対潜哨戒機、偵察機だが、戦闘機で同地区の防空体制を評価しているという。
シンガポール国立大政治学部のChong Ja Ianは侵入事件で台湾に中国への対抗心が一層強固になっているが、中国には「低コストかつ柔軟にして高度に目立つ」方法になっているという。
航空機の消耗に加え、戦闘機を定期的に発進させ、即応体制を常時維持する台湾空は能力に限界が生じ効果が出ているという。「中国は大国であり、ここは自国の縄張りだと示せる」
台湾に錯覚を与える狙いもある。「台湾がPLA機が決まった時期に飛来するのを見て、警戒心も備えもゆるくなれば、PLAは行動開始で優位になる」
高速道路から離陸する台湾空軍のF-16 Wally Santana/AP
報告書では経済政治面で台湾に自国の意向を押し付ける手段が中国にここ数年で減少したと指摘。その原因に中国への台湾並びに世界の見方が厳しくなっていることを上げる。そのため「中国共産党には軍事行動が一番簡単かつ便利な手段」という。
アナリストには中国の軍事脅威は今年も続くものの、エスカレーションの可能性は極めて低いとの見方が強い。
シンガポールの南陽大S・ラジャラトナム国際研究大学院の主任研究員リチャード・ビッツィンガーは中国が強硬策をとり開戦となる可能性は低いが、プレッシャーはかけ続けると見ている。
「中国が台湾へ圧力をかけ続けることは覚悟すべきだ。ただし、軍事行動一歩手前で。中国は侵略的な動きを順調に進めており、台湾が対象リストの最上段にあるのは間違いない」■
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PLA warplanes made a record 380 incursions into Taiwan's airspace in 2020, report says
William Langley , South China Morning Post
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