ドイツ空軍パイロットがNATO基準の訓練時間を計上できていない。
訓練方法に問題があるわけではない。問題はドイツ空軍に飛行可能機材が足りないことだ。とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。▼「空軍パイロット半数近くでNATO基準の180時間を昨年達成できていないのは、整備問題で機材が運用できなかったため」と英デイリー・テレグラフが伝えている。▼空軍パイロット875名で飛行時間基準に達したのは512名とドイツ政府官報にある。
「ドイツ空軍はどん底状態」「機材は交換部品がないため飛行できない、あるいは整備が終わらず地上に残っている」とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。
第二次大戦中に恐れられ、冷戦中に敬意を集めたドイツ軍がここ数年は予算不足のため、かろうじて機能する組織になっている。▼2018年夏にドイツのユーロファイター128機中で部品不足が原因で飛行可能だったのはわずか10機だった。▼2019年2月は39機になり、トーネード戦闘機93機は26機しか戦闘あるいは訓練に投入できなかった、とテレグラフは伝えている。▼今度はパイロットが軍を去り、支障を生じる事態が危惧されている。▼この5年間で11名が去ったが、昨年上半期だけでパイロット6名が退職している。
冷戦終結でソ連の脅威が消えてドイツ軍事力は減衰している。▼喫緊の問題は国防支出で、NATO目標のGDP2%に対し、1.3%にとどまっている。▼ただし、欧州内NATO加盟国で目標を達成している国は少数だ。
▼2018年にドイツ海軍潜水艦で出動可能な艦が皆無となり、新型ヘリコプターや輸送機で飛行不能事態が生まれ、装甲車両が稼働できなくなった。▼ロシアがバルト海諸国に侵攻しても、ドイツは一個旅団の派遣準備にさえ一ヶ月かかるとの米調査結果もある。
といってドイツがパイロット訓練不足を甘受していいわけではない。▼米国、イスラエルの第二次大戦後の成功はすべて訓練を十分受けた搭乗員が要因だ。▼ロシア軍パイロットは訓練時間が西側より長くなっているとの分析もある。▼ドイツ軍パイロットの訓練内容がこのままの状況ではNATOはロシアへの優位性を失いかねない。
訓練不足がナチ時代のドイツ空軍崩壊につながったのは皮肉な事実だ。▼1939年のドイツ空軍パイロットは実戦前に200時間飛行しており、各国より長い訓練を受けていた。▼これによりドイツは大きな撃墜成果を上げた。▼1944年に燃料不足で訓練に支障が出ると、損害が多大になり、ドイツは50-100時間程度の訓練でパイロットを送り出した。▼これに対し、英米軍では300時間以上を訓練にあてていた。▼その結果、悪循環となり、パイロット不足でルフトバッフェは未熟パイロットを動員し、すぐ撃墜されてしまい、更に多くの新米パイロットが戦場に送られた。■
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Why Pilots are Quitting the German Air Force
January 28, 2021 Topic: Security Region: Europe Blog Brand: The Reboot Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth
by Michael Peck
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook. This article first appeared last year.
Image: Reuters.
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