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考察 防空ミサイル迎撃におけるコストと価値----フーシのローテク脅威に高性能迎撃ミサイル多数を振り向ける対応の是非

一発数百万ドルの迎撃ミサイル数発で数万ドルのフーシのドローンを迎撃することの合理的な説明は可能とCSIS研究員が解説してますのでご紹介します。指向性エナジー兵器が未実用化の現在では確かに高価であろうがミサイルを発射せざるを得ませんね。しかも、世界経済の動脈を守るのであり、広域の防衛が不可欠というロジックです。 Photo: U.S. Navy 紅 海でのミサイル防衛交戦で、ニュース報道は、迎撃ミサイルと迎撃するミサイルやドローンの相対的なコストに触れている。これらのデータは、2つのコストのギャップを説明するために頻繁に使用され、防衛を維持するには高すぎるという印象につながる可能性がある。例えば、複数のメディアが、米海軍が200万ドルのスタンダード・ミサイル2発を使って2000ドルのフーシの無人機を迎撃したことを取り上げている。見出しにはなるが、単純比較は誤解を招きかねない。たしかにコストを比較する分析は魅力的で、有用な効果も生まれるが、防空・ミサイル防衛交戦の複雑さと防空・ミサイル防衛の複雑な価値の両方をあまりにも曖昧にしている。 コスト比較の議論には欠陥がある 「コスト交換比率」の枠組みが魅力的なのは、航空・ミサイル防衛の迎撃ミサイルが比較的高価である真実に根ざしているからだ。2024年度予算案を見ると、米国の防衛ミサイルの単価平均は、攻撃ミサイルの約2倍である。高性能な米国の攻撃用ミサイルは、イランがフーシ派に提供したミサイルよりも高価である可能性が高いが、これらのシステムのコストを過小評価している証拠もある。 この非対称性の主な原因は、防空ミサイルやミサイル防衛迎撃ミサイルの技術的な要求にある。攻撃用ミサイルの精度は向上しているものの、精密な照準と操縦能力に対する要求は、防衛用迎撃ミサイルに比べまだ見劣りする。攻撃してくるミサイルの迎撃を成功させるためには、防空・ミサイル迎撃ミサイルは並外れたスピード、射程距離、高度な誘導能力を備えていなければならない。これがミサイル防衛を "究極の精密誘導の挑戦 "にしている。 このような技術的な課題にもかかわらず、注意深く見てみると、インフレやミサイルの種類を考慮すれば、米海軍は長期にわたって迎撃ミサイルのコストを削減することで一定の成功を収めている。このような傾向は、スタンダード・ミサイル-6(SM-

紅海で米海軍はスタンダードミサイル100発超をフーシの安価な脅威に発射していた----安全はすべてにも優先するというが、この数式は維持できるのだろうか

  安価な無人兵器に高価な迎撃ミサイルを発射することの計算は明らかで、攻撃側からすればまさしくこの計算の効果を狙えるわけですが、記事で米海軍の艦長が言っているように生命のことを考えれば金額など問題ではないのでしょう。防空装備がここまで進化している一方で、防御手段がない民間商船が狙われ、現実に大被害がひろがっており、スエズ運河ルートが実質上使えなくなっていることの影響はこれからじわりじわりと出てきます。The War Zone記事からのご紹介です。 A file photo showing the launch of an SM-6 missile from a US Navy warship. USN 海軍、フーシの無人機とミサイルに約100発の標準シリーズミサイルを発射: レポート 海軍が一発数百万ドルのミサイルを多数発射していたことは、中国との戦いで要因となり得るコストと能力の懸念を浮き彫りにしている 米 海軍は昨年10月以来、イエメンから発射されたフーシ派のミサイルやドローンに対し、スタンダード・ファミリー地対空ミサイル約100発を発射した。この多大な資源の支出は、米海軍の将来のコンステレーション級フリゲート艦の弾倉の深さ全般についてと同様の、懸念を感じさせるものだ。  海軍艦艇がフーシ派の攻撃にどう対応してきたかで新たな詳細が、先週末のCBSニュースの「60 Minutes」で明らかになった。イランの支援を受けたイエメンの武装勢力は、昨年10月以来、紅海周辺で対艦攻撃を展開している。また、イスラエルに向けミサイルやドローンを発射している。  「60ミニッツ」によれば、「海軍はこれまでに、1発400万ドルもするスタンダード地対空ミサイルを約100発発射していることがわかった」。  報道では、米海軍が具体的にどの種類のスタンダード・ミサイル(SM)を使用したのか、また100発のミサイルの種類別の内訳は明らかにされていない。過去の報告書やこれまでに出てきたその他の証拠によれば、米海軍はフーシに対してSM-2やSM-6を発射している。海軍の予算文書によれば、最新の生産型SM-2ブロックIIICとSM-6ブロックIAのコストは、それぞれ約200万ドルと400万ドルである。SM-6ブロックIAの単価は、『60ミニッツ』の記事の価格帯と一致している。  SM-2は中長距離

紅海は海軍にとって防空戦術の貴重な実験場になった:敵対勢力にも同様(ヒント ジブチの中国基地)

  実戦の場ぐらい多くのインテリジェンスが動く機会はありません。 他方、敵対勢力も黙って見ているわけではなく、すべて吸い取ろうとします。今回の紅海での戦闘で米海軍はドローンやASBMへの対抗手段の実効性を 上げていくでしょう。その効果は実際の戦術にも反映されそうです。 一方、中国はジブチに配置した基地からあらゆる手段で米軍の技術を盗み取ろうとしているはずです。おなじみThe War Zone記事からのご紹介です。 Sailors assigned to the Arleigh Burke -class guided-missile destroyer USS Carney (DDG 64) stand watch in the ship’s Combat Information Center during an operation to defeat a combination of Houthi missiles and unmanned aerial vehicles, Oct. 19, 2023. Carney is deployed to the U.S. 5th Fleet area of operations to help ensure maritime security and stability in the Middle East region. (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Aaron Lau) 紅海での戦果は米海軍に重要な教訓を、敵対国には情報を提供する 紅海周辺での銃撃戦から、前例のない量の実戦データが得られたが、敵も注視している。 紅 海上空との周辺での最近の数十回の対空撃破事例は、米海軍の航空戦の性能に関して前例のない量のデータを提供した。これらの事象を活用して重要な洞察を得ることができるのは米国だけではない。敵対国、特に中国も同様だ。 米海軍の駆逐艦やF/A-18E/Fスーパーホーネットが、フーシの巡航ミサイルや弾道ミサイル、そしてドローンを多数撃墜したことは、海軍の航空戦に対する実戦的なストレステストとなった。これほど多くの実戦データが、さまざまな種類のターゲットやシナリオで活用されたことはかつてなかった。これはまた、複雑な沿岸戦域で起きて

米海軍はフーシのドローン多数をどうやって破壊したのか、大胆に推理してみる。

紅海で米海軍がフーシの発射したドローンを次々に撃破しています。ただし、海軍はその手段について公にしていません。Warror Mavenが撃墜方法を推理していますので御覧ください。海軍の対空防衛システムはどんどん進化していることがわかります。 米海軍のアーレー・バーク級誘導ミサイル駆逐艦は、イエメンのフーシ支配地域から発射された14機の無人航空機システムを撃破した 電 子ジャミング、近接信管、迎撃ミサイル、甲板搭載砲、「エリア」兵器、そしておそらくレーザーさえも、米海軍のUSSカーニーが14機の敵ドローンの群れを一度に追跡、無効化、破壊した理由である可能性がある。 米中央軍の公式声明によれば、"12月16日早朝(サヌア時間)、紅海で活動中の米海軍アーレー・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSカーニー(DDG 64)は、イエメンのフーシ支配地域からドローンの波として発射された14機の無人航空機システムとの交戦に成功した"。 これらの攻撃は、英国軍艦によっても撃退されたが、紅海におけるイスラエル、米国、非軍事的な海上通商に対するフーシによる攻撃と思われる一連の最新のエスカレーションを示した。 作戦の詳細は、安全保障上の理由で明らかにされていないが、レーダー、射撃統制、目標追跡、精度、そして非キネティックな対抗措置の可能性など、艦船を使った防衛分野で画期的な進歩を示した。どのように達成されたにせよ、作戦環境におけるドローンの群れの撃破は、USSカーニーの乗員と艦を保護しただけでなく、紅海を通過する多くの商業船舶を救ったようだ。 分散された致死性 ドローンの群れに対抗するために長い間開発されてきた兵器システムが、運用可能なレベルに達した可能性がある。しかし、海軍は、大規模な「ブルーウォーター」「オープンウォーター」海上戦に備えた艦隊の「武装」を強化することを目的とした、水上艦隊全体の一連のアップグレードと兵器の強化について何年も語ってきた。2015年頃に浮上したこの構想は、「分散殺傷(Distributed Lethality)」と呼ばれ、水上艦隊全体の武器と防御をオーバーホールして改善する包括的でハイテクな取り組みだった。 ドローンを破壊するために使用されたと思われる特定のシステムは数多くあり、多くは近年、複数年にわたる分散致死イニシアチブの一環として追加ま

空母ジェラルド・R・フォード、8ヶ月と2回の延長を経て本国帰港へ

  新鋭空母フォードは長期にわたる地中海での任務を終え、本国に帰港するとUSNI Newsが伝えています。新装備のEMALSについてトラブルがないのか気になるところです。これだけ長期の展開の背景にはきめ細かい兵站業務があるのでしょう。また、乗員もタフでなければつとまりませんね。今のところこれが可能なのは米海軍だけでしょう。 Ships from the Gerald R. Ford Carrier Strike Group (GRFCSG) and the Bataan Amphibious Ready Group (ARG), and Hellenic Navy frigate HS Navarinon (F 461) sail in formation in the Mediterranean Sea, Dec. 31, 2023. US Navy Photo ジ ェラルド・R・フォード空母打撃群は、244日間の配備を終えて帰投すると、米第6艦隊当局が月曜日に発表した。 発表によると、USSジェラルド・R・フォード(CVN-78)は東地中海を出発し、ヴァージニア州ノーフォーク海軍基地に帰還する。▼「今後数日間で、USSジェラルド・R・フォード空母打撃群は予定通り母港に再派遣され、将来の展開に備える」と米第6艦隊の声明には書かれている。▼ノーフォーク海軍基地へのフォードの帰港は、揚陸艦USSバターン(LHD-5)とUSSカーター・ホール(LSD-50)の紅海から東地中海への移動に続くもので、USSメサ・ヴェルデ(LPD-19)は中東での5ヶ月の任務を終える、と先週USNIニュースは報じた。ARGには、編成を増強するために誘導ミサイル駆逐艦が加わると、防衛当局者2名がUSNIニュースに確認した。▼ドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群とその直衛隊は、バターン水陸両用即応集団と第26海兵遠征隊がイスラエル沖の存在部隊として再集合し、イエメン沖のアデン湾で活動中だ。▼ 12月31日日曜日、バターンとフォードは東地中海で演習を行った。米第6艦隊は、フォードの帰投予定を発表していなかった。▼USNIニュースは当時、10月7日のハマス軍によるイスラエル攻撃の直後、フォードとその直衛隊は東欧の抑止任務から外され、紛争がイスラエル南部以外にも拡大することへのヘッジで、イスラエル近

紅海で米海軍ヘリコプターがフーシ派ボート3隻を撃破。ASBMは構想から現実になった。多国籍部隊の活動は不明。日本はいつまで静観を許されるだろうか。

今年もよろしくお願い致します。新年第一号の記事はきな臭くなってきた紅海の話題です。 紅海での戦闘行為がエスカレートしてきました。今回のフーシ派による行為は航海の自由への公然たる妨害で看過できませんが、それ以上に物流の劣化につながりかねず、関係者は神経をとがらせているはずです。自由な国際間の物流の恩恵を受けている日本が、何らかの負担を求められるのは当然でしょう。しかし、他人事にとらえ、他人への支援に冷淡な日本が行動に出るのか。今年の注目事項の一つです。また、フーシが使っている弾道ミサイルは技術的に低レベルといわれますが、イランが戦訓から技術を進歩させるのは当然で、ASBMが「使える」兵器になったのも2024年の世界の現実です。The War Zone記事のご紹介です。 紅海を対艦弾道ミサイルが飛び交う中、フーシ派のボートを米海軍のMH-60シーホークが撃破した 紅 海の南端では、事態がヒートアップしている。紅海南端を通過する船舶に対するフーシの攻撃は続いているだけでなく、さらに複雑になっているようだ。米中央軍発表によると、米海軍のヘリコプターが貨物船からの救難信号に応答中、フーシの襲撃船に銃撃された。ヘリコプターは反撃し、ボートを撃沈した。  今回の事件に関する米中央軍の声明は以下の通り: 「イランに支援されたフーシの小型ボートが紅海南部で商船と米海軍のヘリコプターを攻撃した。12月31日午前6時30分(サヌア時間)、コンテナ船MAERSK HANGZHOUは、イランに支援されたフーシ派の小型ボート4隻から攻撃を受けていると、24時間以内に2度目の救難信号を発した。小型ボートはイエメンのフーシ派支配地域から出航し、MAERSK HANGZHOUに向け小型武器や小火器を発砲し、同船から20メートル以内まで接近し、同船に乗り込もうとした。MAERSK HANZGHOUに乗船していた契約警備員が応戦した。USSアイゼンハワー(CVN 69)とUSSグラベリ(DDG 107)のヘリコプターが救難信号に応答し、小型ボートに口頭で呼びかける過程で、小型ボートが小火器で米軍ヘリコプターに発砲した。米海軍のヘリコプターは正当防衛で応戦し、4隻の小型ボートのうち3隻を沈没させ、乗組員を殺害した。4隻目のボートは海域から逃走した。米軍の人員や装備に被害はなかった」。 報告によれば、この小