今年もよろしくお願い致します。新年第一号の記事はきな臭くなってきた紅海の話題です。
紅海での戦闘行為がエスカレートしてきました。今回のフーシ派による行為は航海の自由への公然たる妨害で看過できませんが、それ以上に物流の劣化につながりかねず、関係者は神経をとがらせているはずです。自由な国際間の物流の恩恵を受けている日本が、何らかの負担を求められるのは当然でしょう。しかし、他人事にとらえ、他人への支援に冷淡な日本が行動に出るのか。今年の注目事項の一つです。また、フーシが使っている弾道ミサイルは技術的に低レベルといわれますが、イランが戦訓から技術を進歩させるのは当然で、ASBMが「使える」兵器になったのも2024年の世界の現実です。The War Zone記事のご紹介です。
紅海を対艦弾道ミサイルが飛び交う中、フーシ派のボートを米海軍のMH-60シーホークが撃破した
紅海の南端では、事態がヒートアップしている。紅海南端を通過する船舶に対するフーシの攻撃は続いているだけでなく、さらに複雑になっているようだ。米中央軍発表によると、米海軍のヘリコプターが貨物船からの救難信号に応答中、フーシの襲撃船に銃撃された。ヘリコプターは反撃し、ボートを撃沈した。
今回の事件に関する米中央軍の声明は以下の通り:
「イランに支援されたフーシの小型ボートが紅海南部で商船と米海軍のヘリコプターを攻撃した。12月31日午前6時30分(サヌア時間)、コンテナ船MAERSK HANGZHOUは、イランに支援されたフーシ派の小型ボート4隻から攻撃を受けていると、24時間以内に2度目の救難信号を発した。小型ボートはイエメンのフーシ派支配地域から出航し、MAERSK HANGZHOUに向け小型武器や小火器を発砲し、同船から20メートル以内まで接近し、同船に乗り込もうとした。MAERSK HANZGHOUに乗船していた契約警備員が応戦した。USSアイゼンハワー(CVN 69)とUSSグラベリ(DDG 107)のヘリコプターが救難信号に応答し、小型ボートに口頭で呼びかける過程で、小型ボートが小火器で米軍ヘリコプターに発砲した。米海軍のヘリコプターは正当防衛で応戦し、4隻の小型ボートのうち3隻を沈没させ、乗組員を殺害した。4隻目のボートは海域から逃走した。米軍の人員や装備に被害はなかった」。
報告によれば、この小競り合いでフーシ戦闘員が少なくとも10名死亡したという。
An MH-60R Sea Hawk helicopter, assigned to Helicopter Maritime Strike Squadron (HSM) 35, fires an AGM-114M Hellfire missile near San Clemente Island, Calif., during a live-fire combat training exercise. (U.S. Navy Combat Camera photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Arthurgwain L. Marquez/Released)
関与したヘリコプターはMH-60S/Rシーホークだろう。強力な対水上戦プラットフォームへと進化してきたこのタイプにとって小型ボートの破壊は初めてのことだろう。M240やM2といった対人用機関砲に加え、AGM-114ヘルファイアミサイルやレーザー誘導ロケットも搭載できる。 M197 20mmガトリング砲は、ヘリコプターのスタブ・ウィング・パイロンの固定位置に搭載できる。
MH-60Sは、センサー群と組み合わせ、戦力保護能力と、このようなシナリオで小型の水上目標に迅速対処する能力を備えている。
小型ボートとの交戦のわずか数時間前、USSグラベリは、南紅海を航行中にMaersk Hangzhouへの攻撃で、2発の対艦弾道ミサイルを撃ち落とした。CENTCOMの声明は以下の通り:
「シンガポール船籍でデンマークが所有・運営するコンテナ船が支援を要請し、USSグラベリ(DDG107)とUSSラブーン(DDG58)が対応した。同船は航行可能であり、負傷者は報告されていない。対応中、USSグラベリはイエメンのフーシ支配地域から艦船に向けて発射された対艦弾道ミサイル2発を撃ち落とした。これは、11月19日以来、国際海運に対するフーシ派による23回目の違法攻撃である」。
マースク社はその後、少なくとも48時間、紅海でのすべての航行を停止した。
各種の攻撃を重ね、米軍艦船を対艦弾道ミサイルの標的となる海域に引き込もうとしているように見える。
対艦弾道ミサイル(ASBM)の暴露は、それ自体で取り上げる価値がある。このクラスの兵器は、現在進行中の危機において作戦デビューを果たし、戦果を記録している。ASBMは現在、友好国、非友好国を問わず、複数国により開発されているため、これは大きな進展である。フーシ派が以前からこの兵器を保有していることは、イランの設計を受け継いだものであることを説明したが、この兵器が繰り返し使用され、成功を収めていることは問題である。多くは失敗しているが、数回は命中しており、発射されるたびにフーシ派と特に支援者イランは学んでいる。
この種の兵器を撃ち落とすのは複雑な問題だ。イージス・コンバット・システムを搭載した駆逐艦の主要兵装を使った場合、飛行プロファイルによっては、交戦範囲が非常に制限されることがある。弾道ミサイル防衛(BMD)モードでは、SM-3迎撃ミサイルと適切なBMDハードウェアを装備した艦船は、弾道ミサイルの飛行のミッドコース部分で迎撃を試みることができる。フーシのASBMの射程は非常に短いため、SM-3のエンゲージメント・エンベロープをはるかに下回る可能性が高い。また、SM-3は貴重で非常に高価な兵器であり、大量には入手できない。また、最新のベースライン構成を除けば、弾道ミサイル防衛能力を備えた米海軍のイージス艦水上戦闘艦は、常時使用できるのはBMDモードか標準的な対空重視モードのみのため、今回のような沿岸での戦闘状況では、柔軟性と防衛能力が大幅に制限される。
ともあれ、ASBMの脅威は現実のものとなったが、フーシ派が使用する兵器は、中国が現在配備しているものとは比較にならない。
紅海を通過する船舶の安全確保を目的とした複数国による「プロスペリティ・ガーディアン」作戦の正確な状況は、依然として不透明だ。小規模な護衛作戦は行われているようだが、多国籍軍による大規模な統合作戦は観測されていない。艦船を派遣している複数のパートナーは、自国の艦船を米国の管理下に置くことを望んでいないため、正確な調整量や、各国がどのような艦船に警備を提供するのかは、依然として不明確である。
今回の致命的な事件の後、『サンデー・タイムズ』紙の報道によれば、アメリカとイギリスはフーシの標的を攻撃する準備をしているという。国家安全保障の分野では、今後の攻撃を抑止するためにアメリカがフーシ派を攻撃することを求める声が繰り返し上がっている。これはある程度論理的に見えるかもしれないが、この地域に駐留する米軍の安全や、実行して実際に何らかの影響を与えるかどうか、ましてやフーシ派(特にイラン)の思うつぼにはまる可能性があるかなど、考慮すべき懸念はたくさんある。フーシ派は鼻血を出したからといって引き下がりはしない。サウジアラビアに聞いてみればいい。それでも、防衛するだけでも犠牲は伴う。
『サンデー・タイムズ』紙の報道によれば、英国は米国やおそらく他のヨーロッパ諸国と空爆を準備しているという。それによると、米英両国は共同声明を発表し、フーシ派に攻撃を止めるか、もしくは致命的な結果に直面するよう警告する予定だという。これは、攻撃直前の最終警告となるだろう。
The War Zoneは複数の情報源に問い合わせたが、現時点ではこの報道の真偽を確認することはできなかった。
ホワイトハウス国家安全保障会議のスポークスマンはコメントを拒否し、国防総省にコメントを求めたが返答しなかった。
一方、フーシからのメッセージは少しも変わっていない:
ツイートにはこうある(以下機械翻訳):
「私たちはパレスチナの兄弟たちに対する宗教的、道徳的、人道的義務を果たしたが、パレスチナの殉教者たち、特に女性や子どもたちを見て、恥ずかしく思っていた。しかし、今日、我々の血が彼らの血と混ざったことで、我々の重荷は大きく軽減された。(聖なる月のための聖なる月、聖なる月は報復である。だから、誰であれ...あなた方に対して罪を犯す者は、その者があなた方を襲ったのと同じように、その者を攻めなさい。そして神を畏れなさい。神は正しい者と共におられることを知りなさい)」。
状況の進展に応じて、またお知らせする。■
https://www.thedrive.com/the-war-zone/after-u-s-navy-helicopters-sink-houthi-boats-are-strikes-next
勝手に2024年の個人的予想してみます。
返信削除昨年の予想を見てみると、ウクライナ戦争は続き、予想の難しさを痛感しております。幸いにも陰謀論的、及び悲観的予想は、現実になりませんでした。
・ 世界の流れは民主主義国に向かう : 「北京枢軸」+ロシアが策謀するドミノはウクライナ戦争、ガザ戦争を引き起こすも、中露の国力低下により息切れする。イランも過激な挑発で終わる。
今年は選挙の年であるが、日本を含む各国で、リベラルが嫌う「極右」が躍進し、非現実的なリベラルが衰退する。
・ CCP中国の傾向は変わらず : 中国経済は緩慢に衰退する。しかし、崩壊はしない。資本主義を接ぎ木した中国経済は、資本主義の論理だけで評価すべきでない。第2の毛になりたい習は、第2の文化大革命を目指す。
台湾侵攻は、習がPLA粛清を行っているため少なくても2年間はない。しかし、侵攻すればCCP中国が崩壊する可能性が高い。
・ 米国はトランプが復活する : 国内外に失策が目立つ老いぼれバイデンに再選の目はない。トランプ政治は、第1期より洗練される。リベラル系メディアが流布するトランプのトンデモ政策の効力は最早ない。
もしバイデンが当選すると、次の4年は混乱と戦争の期間になるかもしれない。
・ 日本は変わらず : 灯の消えた昼行燈は、今年中に退任するが、自民党政権は変わらないが、与党の構成は変わる。足手まといになっている宗教政党との連立は解消する可能性は高い。政治の混乱にもかかわらず、経済は概ね順調、外交・軍事力は飛躍し始める。