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2024年の展望⑦ 中国の侵略への台湾の防衛能力には疑問 台湾はどこまで防衛力を整備できるかが問われる 1月13日総統選挙に注目

1月の注目ポイントはなんといっても13日の総統選挙です。大陸が露骨な選挙干渉に乗り出し、『望ましくない』候補が当選すれば、もっと露骨な行動に出ないとも限りません。長期的には中共は国内統治に忙殺されるはずなので、台湾武力侵攻が早まる可能性もありますし、間接侵略により台湾が内部から自らの手に落ちる作戦に乗り出す可能性もあります。民主体制の台湾が簡単にその手に落ちるとは思えませんが、民主国家ならではの脆弱性もあるようです。日本としても黙視したままではいられません。Bloomberg記事からのご紹介です。

Xiamen in mainland China across the Taiwan Strait from a beach on Lieyu Island in Kinmen, Taiwan, on Aug. 21.

8月21日、台湾・金門の鯉魚島のビーチから台湾海峡を挟んで中国本土の厦門(アモイ)が見える: An Rong Xu/Bloomberg





両岸の緊張は高まっており、1月の選挙が拍車をかけるかもしれない。しかし台湾の軍事・民生防衛が侵略軍を抑止できる状態になるには、まだ道は遠いと政府関係者は、見ている


バート・オブライエン元米国国家安全保障顧問が今年初めに台北を訪問した際、彼はAK47を振り回す100万人の台湾人が「あらゆる角に」「あらゆる団地に」いれば、中国の侵略計画に対する効果的な抑止力になると提案した。

 しかし、これはうまくいかなかった。

 『台北タイムズ』紙の見出しは「市民の武装化は解決策ではない」であり、世界で最も犯罪率の低い地域のひとつ台湾で、アサルトライフルを普及させるというオブライエン提案に反論する論説であった。馬英九前総統は、台湾の「兵器化」と「台湾を第二のウクライナにする傾向」を非難した。

 率直な物言いをする元米政府高官の発言への反発は、中国との最悪のシナリオに備えるという台湾社会の課題を示している。ワシントンの支援を受けても、民間防衛と軍事防衛の両面で、民主的な統治下にある台湾にはまだやるべきことがたくさんあるというのが現実だ。

 元参謀総長の李熙敏 Lee Hsi-minはインタビューで、武器の入手から民間人の訓練に至るまで、「多くの改善点」が必要だとし、「台湾は準備万端とは程遠い」と語った。抑止力が鍵であり、装備はもちろん助けになるものの、「一番重要なのは、自らを守る意志があるかどうかだ」という。

 米国の安全保障アナリストや元政権高官による台北の政府関係者との会話では、中国への台湾の対抗策はおろか、抑止力にも疑問が投げかけられている。

 ブルームバーグ・エコノミクスのチーフ・ジオエコノミクス・アナリストで、今年まで米国家安全保障会議の中国・台湾担当ディレクターを務めていたジェニファー・ウェルチJennifer Welchは、「米国は台北政府による重要な進展を眼にしているが、台湾が直面している脅威が大きく、増大していることに懸念している」という。

 ロシアのウクライナ侵攻によって煽られ、台湾海峡を挟んだ中国との緊張の度合いを左右すると思われる1月の総統選挙が近づく中で、こうした懸念は一層高まっている。世論調査では、ワシントンとの関係強化を望む頼清徳 Lai Ching-te副総統がリードし、緊張緩和の見通しは立っていない。

 ウクライナやガザでの戦争は、軍事分野だけでなく、重要インフラの安全保障、市民の回復力、サイバーセキュリティ、事業や政府の継続性といった分野にも準備が必要であることを示している、とウェルチは言う。「これは大規模な事業であり、当然ながら多大な時間と資源を必要とする」。


 政府関係者やアナリストは、台湾軍の規模が近年縮小しており、志願者数が4年ぶりの低水準に落ち込んでいることを問題視している。今年の国防費は前年比12.5%増となり、購入される装備品の妥当性に疑問が増幅している。F-16戦闘機やエイブラムスM-1戦車など、米国から台湾への武器売却額は190億ドル以上とケイトー研究所は見積もっている。

 元米陸軍国家情報センターの上級中国アナリスト、ケビン・マコーリーKevin McCauleyは言う。M-1重戦車や「生き残れない」大型艦船の購入からお粗末な訓練に至るまで、「正しい近代化の決断をしていない」。「彼らはこれらをどう改善するかについて話している。しかし、私にはそれが見えない」。

 スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際問題研究所のセンター・フェロー、オリアナ・スカイラー・マストロOriana Skylar Mastroは、中国と戦争になれば、「台湾は200%没落する」と述べた。

 「島ですから。食料もガスも40日で尽きる。封鎖は台湾にアメリカが到着するまでの時間を与えるので危険です。台湾はアメリカが到着するのに十分な時間、封鎖することができるでしょうか?」アメリカ政府の評価は、「長くは持ちこたえられない」というものだ。

 習近平国家主席は11月にサンフランシスコを訪問した際、中国は「冷戦も熱戦も誰とも戦う準備はしていない」と述べた。しかし、中国は公然と台湾を中国の領土だと主張しているため、北京の意図をめぐる憶測を静めることはほとんどできなかった。一方、ジョー・バイデン大統領は、台湾が攻撃された場合、アメリカは台湾を支援すると繰り返し述べている。

 国防総省のマーティン・マインズMartin Meiners報道官は、米国は台湾をめぐる軍事衝突を「抑止力と外交の両面で防ぐことに注力している」と述べ、「政策全体でその目標に向かっている」と付け加えた。

 国家安全保障局の蔡明年Tsai Ming-yen局長は10月、台湾海峡での戦争が差し迫っていることを示唆する情報は今のところないと述べた。しかし、中国共産党が 「侵略の意図を捨てていない」と指摘した。


脅威の構築


 台北政府の関係者によれば、北京と人民解放軍はグレーゾーンの不確実性を利用して、軍事的嫌がらせ、経済的強要、外交的弾圧からフェイクニュースの拡散に至るまで、あらゆる範囲に及ぶ威嚇キャンペーンを展開しているという。最も目に見えるところでは、台湾海峡の中央線を越えての頻繁な侵入がある。

 イーリー・ラトナー米国防次官補US Assistant Defense Secretary Ely Ratnerは9月、台湾海峡の平和と安定を維持するためには「今後数年間は、緊急性、注意力、資源を高める必要がある」と述べた。

 台湾は、民間、軍事、インフラを問わず、防衛を強化するため米国と積極的に話し合い、あらゆる可能性を模索している、と台北の政府高官は語った。この政府高官は、2024年までに数千機のドローンを製造するための台湾の技術部門との協力について言及し、いくつかの調整が進行中であると述べた。

 中国の威嚇により、台湾政府は、予期せぬ事故がエスカレートの引き金になることも含め、いかなる可能性も否定できないと結論付けている、と当局者は述べた。そのため、台湾は1949年に共産中国から分離して以来、最悪の事態に備えることを重視している。

 中国が本格的な侵攻を試みるのか、それとも台湾経済の息の根を止める封鎖に頼るのかが議論されている。どちらも侵略者にはリスクが伴うが、アナリストによれば、中国は侵略を成功させるのに必要となる艦船合計数をまだ持っていないという。


 一方で、台湾に必要なのは、対艦ミサイル、防空システム、空と海の無人装備、そしてスマート機雷であり、「このような侵略を事実上不可能にするため」だと、シンクタンク「シルバード・ポリシー・アクセラレーター」のドミトリー・アルペロビッチ執行会長Dmitri Alperovitchは言う。

 それでも、台湾の山がちな地形、河川、台湾海峡の浅瀬は、「世界で最も防衛しやすい場所のひとつ」だと、近刊『World on the Brink: How America Can Beat China in the Race for the Twenty-First Century』の著者であるアルペロビッチは言う。

 侵略者が前線基地を築ける海岸線が限られていること、それらの海岸線の背後に養殖場があること、さらに首都に通じる高速道路がほとんどないことなどが、侵略軍の動きをさらに妨げる。

 夜の台北中心部を歩けば、ショッピングモールは満員で、デザイナーショップは混雑し、ラジカセを持ったティーンエイジャーが路上でK-POPのダンスを披露している。ここが世界的な緊張の渦中にある島であることを、外見上はほとんど感じさせない。

 蔡英文総統は11月6日、マイクロン・テクノロジーの新工場開所式で、「台湾は2019年以降、台湾企業による700億ドル以上の投資を誘致し、2022年の外国投資は過去15年間で最高となった」と述べた。米国のメモリーチップ企業の進出は、台湾が安全な投資先であることを裏付けている、と蔡英文総統は述べた。


好調な資金流入


 同様に、台湾が相対的に豊かであることも、国民が紛争の脅威を感じていない一因かもしれない。

 世論調査によると、中国が攻めてきた場合、台湾を守りたいという回答者は半数強であり、「台湾人の約40%が降伏か和解を選択する可能性がある」と、国立台北大学准教授で民間防衛組織であるKUMAアカデミーの共同設立者であるプーマ・シェンPuma Shenは言う。沈氏にとって、台湾にとって最も重要なステップは「国民の敵味方に対する意識を高めること」だという。「それなしには、他のすべての準備は意味をなさない」。

 この曖昧さは台湾の政治状況にも反映されており、総統候補のなかには中国との関わりを厭わない者もいれば、そうでない者もおり、将来的に北京と衝突した場合の対応に影響を与える可能性がある。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)国際問題研究センターの主任研究員で、アジアの安全保障問題の専門家であるエリック・ヘギンボサムEric Heginbothamは、特に米国が「目に見える形でコミット」しない場合、「衝突の最初の日に台湾が手を上げてもショックはないだろう」と述べた。ただ、ウクライナでも同様に早期降伏が期待されたが、実現しなかったことを認めた。それはさておき、台湾人は「心理的にも物質的にも十分な準備ができておらず、訓練も現実的でない」と指摘する。

 台湾だけではない。ブルッキングス研究所のブルース・ジョーンズ上級研究員Bruce Jonesによれば、アメリカの準備のペースは「課題の規模に対してまだ不十分」だという。不十分な点には、弾薬の備蓄や、アメリカ国民の「西太平洋における深刻な危機」に対する準備も含まれる。


米軍の失敗の続きを読む

台湾の2023年国防報告書によれば、脅威は高まっている。中国は、東部と南部の海岸線に飛行場を新設し、新型戦闘機や無人偵察機を常駐させるなど、「台湾海峡を挟んで戦争が起きた場合に制空権を握る」ために「軍事能力を大規模に拡大している」という。最も近い飛行場から台北までの飛行時間は、わずか8分という試算もある。

 こうした脅威が行動に移された場合、台湾の戦略は、侵略軍を先制攻撃し、地理的優位性を利用して、海峡を横断する最も脆弱な局面で敵を攻撃することである、と国防報告書は述べている。

 しかし、能力は別の問題だ。

 台湾の国家安全保障会議のウェリントン・クー代表Wellington Koo, は、2024年から徴兵制が1年に延長され、「戦闘力を高める現実的な訓練」を提供できるようになるという国防政策の改革を指摘している。しかし、予備役制度の見直し、陸海空軍による統合部隊の訓練、そして「社会全体の回復力」の強化については、さらなる措置が必要だと11月13日のブリーフィングで述べた。

 今年のシナリオは、島の主要なチップ製造拠点である北部の新竹市をマグニチュード6.9の地震が襲い、水供給や石油精製など中核インフラに同時にサイバー攻撃が加えられたというものだった。

 その目的は、「戦争であれ自然災害であれ、どのような災害にも対処できるメカニズムと回復力を確立すること」と林右昌 Lin Yu-chang内務相は述べている。

 エノク・ウー Enoch Wu がこれを推進しようとしている。本人が2020年に設立したフォワード・アライアンスは、市民の対応が危機を乗り越えられるかを決めるという理念のもと、緊急訓練を提供する非営利団体である。彼は、北京の脅威からの危機意識から、台湾は「時間との戦い」であると見ている。「それに応じて対応する必要がある。私たちは最前線にいるのだから、もっと努力しないと」。

 11月のある日の午後、新北市警察署では、消防士や医療関係者からなるフォワード・アライアンスのインストラクターたちが、警察官を対象に戦術的な救急救命処置の訓練を行っていた。止血帯の使い方や胸の傷の手当ての仕方を教える方が、銃所持禁止が厳しく、銃犯罪がまれなこの島よりでは適しているように思えた。

 林内相にとって、あらゆる事態への備えは必要だ。「平和は重要です。誰も戦争に行きたくはありません。「しかし、台湾は多くのリスクに直面する社会なのです」。■




How Ready Is Taiwan for War With China? - Bloomberg


 

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