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謎の無人機5GATの開発が進んでいる。第5世代の敵機役として標的になるだけの機体には思えないのだが.....

 ボブ・ベーラー将軍のインタビューで見つけた謎のドローンモデルとは?航空ファンの本質は好奇心であることがわかる Sandboxx Newsの記事のご紹介です。


General Behler 5gat

General Behler in front of a 5GAT model. (Sandboxx News)

ブ・"ロレンゾ"・ベーラー退役空軍少将 Air Force Major General Bob “Lorenzo” BehlerへのYouTubeインタビューでのSR-71操縦経験を語る内容は実に興味深いものだったが、鷹の目を持つ視聴者は、背後の棚にある変わった外観の模型飛行機に気を取られずにはいられなかった。

動画公開後にその模型について尋ねるコメントが雪崩のように寄せられたのは、筆者と同じ好奇心を示す仲間を見つけることができたことのさらなる証拠だ。会話の最後に、将軍に直接その模型について尋ねてみたが、予想通りだった。少将はエキゾチックな外観の機体について、口を閉ざしたままだった。


「最後に、特にお聞きしたいことがあります。後ろはU-2とSR-71ですね。3番目の機種が何なのか、教えてもらえますか?」


「いや、話せないんだ」とベーラー将軍はきっぱりと言った。筆者はそれ以上突っ込むつもりはなかったが、彼は親切にも少し詳しく説明してくれた。


「これだよね?」少将は椅子を回転させ模型を手に取りながら尋ねた。しかし、カメラの視界に入れる代わりに、横に移動させカメラから映らないようにした。


「無人機だよ。前職で作ったものなんだ」と将軍は説明した。大統領任命による運用試験評価局長(DOT&E)としての任期を指している。この役職で、ベーラーは国防システムの運用(OT&E)および実射試験・評価(LFT&E)に関する国防総省の全事項について、国防長官の首席補佐官およびアドバイザーとなった。


同機は「第5世代の空中目標となるよう設計されている」と述べた。さらに、「訓練では低視認性の標的が必要であり、それがこの機体だ」と付け加えた。第5世代空中標的計画(5GAT)は、公に開示されてはいるものの、透明性が高いものではなかったため、将軍の対応は非常に理にかなったものだ。


5GAT stealth target UAV

5th Generation Aerial Target (5GAT). (Sierra Technical Services)


この取り組みは2006年に始まったが、ドローンの初飛行中に墜落事故が発生したため、2020年に棚上げされた。しかし、2023年半ばに7700万ドルの新たな契約によって復活し、高い能力を持つターゲット以上のものが生まれるかもしれない。


この比較的安価なドローンは、中国のJ-20やロシアのSu-57のようなプラットフォームを模倣できるよう特別に設計されており、最終的には、活発に開発が進められている次世代航空支配プラットフォーム含む戦闘機にとって非常に有能なドローン・ウィングマンの基礎となる可能性がある。


5GATステルス機には何ができるのか?

5GATドローンはまだ1回しかテスト飛行しておらず、テスト目的はすべて達成したが、最終的に墜落に終わった。そのため、その能力についての議論はほとんど理論的なものだ。しかし、その寸法、形状、開示された技術的要素から、かなり現実的な予測を立てることができる。

 

空軍のプレスリリースによると、機体は全長40フィート(約24フィート)の翼幅を持ち、垂直尾翼は地上から9フィート(約1.6メートル)だ。2012年のパワーポイントによると、5GATドローンの離陸重量は「12,000ポンドクラス」だという。空軍の別のパワーポイントによれば、5GATの性能要件は、最大高度45,000フィート、ミッション時間(搭載燃料の持続時間)2時間となっている。

 

米空軍士官学校で航空機の設計を教え、同機設計に協力したスティーブン・ブラント博士は、「T-38練習機と同じ大きさです」と説明した。「T-38トレーナーのエンジンを2基使用しています。形状を洗練させるために複数の選択肢を検討しました」。ノースロップのT-38タロンは、空軍で使用されている双発の超音速ジェット練習機である。


5GAT stealth target UAV. (Sierra Technical Services)


5GATドローンがT-38と同じジェネラル・エレクトリック製J85-5Aアフターバーニング・ターボジェット・エンジンを2基搭載し、全体的なサイズも似ていることから、このプラットフォームが超音速飛行が可能であることが示唆される。T-38はマッハ1.3という高速を達成している。しかし、シエラテクニカルサービシズSierra Technical Servicesのロジャー・ヘイズ社長がFlight Globalのインタビューに答えたところによると、同期の設計は高速に最適化されたものではないという。


「おそらく、問題なく超音速に達するだろうが、超音速(飛行)のために分析、設計されたものではなく、インレットリップもそうではなかった」(ヘイズ)。


ヘイズはまた、Flight Globalの取材に対し、F-35Cは7.5Gと-2Gまでのマヌーバーを維持できるが、エンジンの制限のため長時間は維持できないと語った。F-35Cも同様に、翼幅が大きいため7.5Gのマヌーバーに制限されているが、強力なプラット&ホイットニーF135ターボファンエンジンのおかげでより長い時間マヌーバを維持することができる。


5GAT stealth target UAV before its maiden flight

5GAT before its maiden flight conducted at Micheal Army Airfield, Dugway Proving Ground, Dugway Utah. (DoD image)

 

戦闘機にここまで極端なGをかけることは一般的ではないが5GATドローンは、7.5Gで非常に高度な操縦をエミュレートできる。


シエラ・テクニカル・サービシズが公開したコンセプト・アートによれば、同機はポッドからチャフやフレアを展開し、レーダーや赤外線誘導ミサイルを混乱させることができる。この能力と、それなりのステルス性、スピード、機動性が組み合わされば、非常に困難な標的になる可能性がある。


調査中、このドローンが提供できる価値について、ベーラー将軍自身の言葉を見つけた。「あるシステムが本当に戦闘可能かどうかを判断するには、現実的な条件下でテストしなければならない」。ベーラー将軍は国防総省のプレスリリースでこう語っている。「現在、我々には第5世代の航空能力を真に表すテストプラットフォームが欠けている。そのギャップをできるだけ早く埋めることが、テストと訓練の両面で絶対に必要です」。


5GATの厄介な歴史

5GATの取り組みは、ロシアや中国など敵対国が実戦配備している高性能戦闘機のステルス・プロファイルと能力セットを模倣できる低コストのターゲット・ドローンを開発する空軍の委託研究として、2006年に正式に始まった。


この取り組みは、2017年12月にベーラー将軍が指揮を執る直前にDOT&Eに移管された。その時点で、カリフォーニアのシエラ・テクニカル・サービシズが、飛行プロトタイプ1機を製造する契約を獲得していた。


2018年空軍は、同機の設計は、米空軍士官学校の士官候補生、航空宇宙教官、ロッキード・マーティンの伝説的なスカンクワークスのようなグループ出身の業界のベテランからなるチームの共同作業であったことを明らかにした。「我々が知る限り、これは初の大型ステルスターゲットドローンだ」と、士官学校の航空研究センター長であるトーマス・マクラフリンは2018年12月に語った。


しかし、24回の地上走行試験を終えた後、ステルス無人機は2020年10月23日の初の試験飛行中に墜落し、休止状態に入った。国防総省のプレスリリースによると、「この飛行体は、未発見のソフトウェア・エラーの結果、初飛行テスト中に墜落した」とある。しかし、「複合システムはすべての地上試験目標を成功裏に達成」し、「機体構成と全体的な設計は健全であると考えられる」。


その後、プロジェクトは運用試験評価部長(DOT&E)から国防長官室の試験資源管理センター(TRMC)に移管され、2022年4月にTRMCが米陸軍の契約事務所を通じた入札募集で復活させるまで、このプログラムは曖昧なままだった。


2023年8月4日、DOT&EはサウスカロライナのAdvanced Technology International, Inc.に7720万ドルの契約を交付し、シエラ・テクニカル・サービシズが機体の開発・製造の元請けとして引き続きこの契約に含まれている。


「最新の第5世代戦闘機のコストと寿命が増加しているため、第5世代の脅威の特性を十分に表現できる退役機材が使えない。特性の中で重要なのは、サイズ、シグネチャー、電子攻撃ペイロードだ」と契約交付時の説明にある。


敵の第5世代戦闘機の性能と生存性を現実的に模倣するために必要なステルス性と曲技飛行能力を備えたドローンを実戦配備することの意味は、5GATが敵ミサイルを引き付ける任務だけにとどまらない。  2020年の時点で、シエラ・テクニカル・サービシズはすでに、これらの標的ドローンを本格的なUCAV(無人戦闘空中機)にして、「忠実なウィングマン」の役割で先進的な第5、6世代戦闘機と一緒に飛行させるというアイデアを提案していた。


空軍はスカイボーグ・プログラムでこのような能力を積極的に開発中であり、開発中のNGAD次世代航空優勢戦闘機や、アップグレードされたブロック4のF-35が登場した暁には、と一緒に飛行するAI対応ドローンの実戦配備を目指している。これらのウィングマン・ドローンは、前方を飛行しセンサーの到達範囲を広げる、電子戦を行う、さらには空対地、あるいは空対空の弾薬を搭載して搭乗戦闘機に代わり目標を攻撃するなど、さまざまな役割を果たすことが期待されている。■


What is the mysterious drone model we spotted in our interview with General Bob Behler? | Sandboxx

  • BY ALEX HOLLINGS

  • JANUARY 11, 2024

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