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チェコがF-35導入を決定。ヨーロッパにF-35が600機飛び回る。ライフサイクル通じた莫大な負担に耐えられるか。

 


チェコがF-35戦闘機の導入を正式決定したことで、NATOだけでなくスイスも含めヨーロッパで600機ものライトニングIIが運用されることになります。ロッキードには朗報ですが、これから50年もの間にわたり多額の負担がのしかかってきます。The War Zoneの記事からご紹介しましょう。



チェコ共和国は2031年にF-35受領を開始する


ェコ共和国がF-35ステルス戦闘機で最新の顧客となった。ヨーロッパ、特にNATO加盟国でのF-35の導入が急増している。

 F-35の製造元であるロッキード・マーティンは本日、チェコ政府が米国政府の対外軍事売却(FMS)プログラムを通じ第5世代F-35を24機調達する意向を示す申し出受諾書(LOA)に署名したと正式発表した。チェコ共和国へ売却されるF-35の型式は確認されていないが、通常離着陸(CTOL)型のF-35A型と思われる。

 ロッキードによれば、F-35本体に加え、今回の調達には「人員訓練、サービス、後方支援、その他の支援サービスの開発も含まれ、F-35全24機の納入を成功させる」という。

 全体で契約はおよそ1,500億チェココルナ(本稿執筆時点で66億ドル)相当と報告されている。チェコ政府は合意のうち50億ドルを航空機、パイロット訓練、弾薬に費やし、残りはチェコ共和国中部にあるチャースラフ空軍基地のアップグレード、燃料、スタッフの訓練に充てたいと提案していた。現在の考えでは、チェコ空軍は2031年に最初のF-35を受領し、残りは2035年までに到着すると言われている。

 チェコのヤナ・チェルノチョヴァー国防相Czech Minister of Defense Jana Černochová は、本日未明にLOAが正式署名された後、「遅くとも3月末までにアメリカのF-35航空機の契約を締結すると約束し、本日その約束を果たした」と述べたという。

 24機のF-35をめぐるチェコ共和国とアメリカとの交渉が開始されたことは、チェルノホヴァーとチェコのペトル・フィアラ首相Prime Minister Petr Fialaによって2022年7月に確認されていた。この交渉の後、チェコ政府は2023年9月に航空機の購入を正式に承認し、その時点で国務省はこの取引に最大56億2000万ドルという見積もり額をつけた。

 24機のF-35が将来的に加わることで、チェコ共和国の戦闘機部隊は能力だけでなく規模も拡大し、サーブJAS 39C/Dグリペンの1個飛行隊に取って代わることになる。

 単座型12機と複座型2機のグリペン部隊は、主に本土防空と、バルト三国とアイスランドの領空を守るローテーション任務で使用されている。最初の航空機は、2004年にスウェーデンと締結されたリース契約で、2005年に引き渡された。2014年締結の同契約の延長により、少なくとも2027年まではグリペンが飛行を続けることになっているが、2029年まで延長される可能性もある。

 以前、スウェーデンはプラハに対し、F-35戦闘機を調達する代わりに「ほぼ無償で」グリペンを保有する選択肢を提示したと報じられた。また、F-35調達の方が、新型グリペンJAS39E/Fを調達するより経済的に有利だとプラハは判断した。     

 これに加え、チェコ共和国は16機の単座のL-159Aアドバンスト・ライト・コンバット・エアクラフト(ALCA)と5機の複座L-159T1バージョンも運用しており、これらは主に軽攻撃と近接支援に使用されている。F-35がこれら体を置き換えるのかは、まだ不明だ。

 グリペンからF-35に移行することで、チェコは控えめながらアップグレードされた第4世代戦闘機を、ステルス特性を持ち、先進的なスタンドオフ兵器を搭載できる第5世代戦闘機と交換することになる。

 F-35への切り替えは、チェコ共和国にとって、ヨーロッパのNATO加盟国および将来のNATO加盟国とのプラットフォーム共有という点でメリットをもたらす。プラハが当初、航空機を取得する理由として東ヨーロッパの緊張とウクライナ戦争を挙げていたことを考えれば、これは重要な要素である。ベルギー、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、英国はすべてF-35を発注しており、ルーマニアは今年中に同機のLOAに調印する。

 直近では、バイデン政権がギリシャに40機のF-35と関連装備を売却することを承認し、トルコがスウェーデンのNATO加盟を批准したのに伴い、40機のF-16ファイティング・ファルコンブロック70 もトルコに売却された。ロッキードは、2030年代までには、イギリスのレイケンヒース空軍に駐留する米空軍F-35飛行隊2個を含め、ヨーロッパの10カ国以上で600機以上のF-35が運用されると予想している。

 NATO非加盟国のスイスは、20年代後半にF-35受領を開始する予定だ。

 技術的、相互運用的な利点があるにもかかわらず、チェコ共和国がすF-35全機を受領するまでに長い時間がかかる。


Some of the unclassified upgrades are expected to be part of Block 4. The exact configuration is not publicly disclosed just yet.&nbsp;<em>DOD</em>


 遅れを生んでいるのがTR-3ハードウェア仕様でブロック4アップグレードに伴う様々な要求を処理するために必要な新しいハードウェア・バックボーンと関連するベースライン・ソフトウェアである。TR-3の遅れは、F-35が製造後に引き渡されず駐機したままになっていることを意味する。

 この遅延で、F-35プログラムにも多大なコストを上乗せしている。今月初めに述べたように2023年12月の下院軍事委員会の公聴会で、ニュージャージー州選出の民主党議員ドナルド・ノークロスは、TR-3問題が10億ドルのコスト超過につながっていると述べた。 会計検査院(GAO)によれば、2070年代に予想されるライフサイクル最終段階までのF-35プログラムの全費用見積もりは、約1兆7000億ドルである

 チェコ共和国がF-35取得を正式に約束したことは、チェコだけでなく、航空機の製造プログラムにとっても明らかに追い風だ。■



Czech Republic Officially Joins The F-35 Fighter Program | The Drive

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED JAN 29, 2024 2:54 PM EST

THE WAR ZONE


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