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ドイツが防衛戦略を大転換し、ロシア国境に5000人規模の部隊を派遣するのはなぜか。世界は現実の地政学で動いている。日本はどうか?

 

平和ボケですっかり国防力の基礎が弱体化して他人事ながら心配を招いていたドイツですが、現政権は現実を直視して、政策を大幅に方向転換しているようです。日本でも着実に準備は進んでいるといいたいところですが、沖縄県知事のように司法判断へ公然と半旗を翻し、現実世界の直視を頑なに拒む勢力がいるうちは安心できませんね。Warriror Maven記事からのご紹介です。



ヨーロッパの不安定な地政学的情勢に対応する戦略的軸足として、ドイツが軍事的プレゼンスと即応態勢を大幅に強化中だ。今回の決定はロシアの潜在的脅威が背景にあり、ドイツの防衛戦略の根本的な転換を意味し、安全保障とNATO防衛コミットメントへのアプローチが大きく変わろうとしている。▼ロシア国境近くに大規模な軍事力を配備するというベルリンの決定は、ウクライナで進行中の紛争とロシアの脅威に対する直接的な反応である。▼約4800人のドイツ軍と民間人200人が、ロシアからわずか100キロ(62マイル)のリトアニアに駐留させるのは、NATOの東側で、より積極的な指導的役割を担おうというドイツの決意を強調するものだ。▼ボリス・ピストリウス Boris Pistorius独国防相の発言が、今回の配備の緊急性を浮き彫りにしている。2027年までに予定されている第42戦車旅団の全面配備は、ドイツがこの戦略的に極めて重要な地域に戦闘旅団を展開する必要性を示している。▼しかし、構想には課題もつきまとう。▼たとえば戦車大隊第203部隊は、ウクライナに寄贈された戦車に代わる新しいレオパルド2戦車を運用するが維持費用は、毎月2,500万ユーロから3,000万ユーロと見積もられている。▼また、1,000億ユーロの特別基金が枯渇すると予測される2027年以降の長期的な資金の持続可能性についても疑問が生じる。▼ドイツの防衛戦略には、軍事費と近代化の著しい増加が含まれている。▼オラフ・ショルツ Olaf Scholz首相は、ドイツの再軍備を約束し、兵器調達の強化に特化した大型基金を設立した。▼この1000億ユーロの基金は、冷戦後に大幅な縮小を経験した連邦軍を若返らせるのが目的だ。▼F-35戦闘機やCH-47Fチヌーク・ヘリコプターなどの調達が計画されており、2025年から2030年にかけて納入される。▼ドイツ軍の現状は、約18万人の現役兵士と戦車300両(半分は運用されていないと言われている)を抱えており、迅速な近代化の必要性を裏付けている。▼ドイツの近代化加速化計画には迅速な調達戦略が含まれており、暗視ゴーグルや防護服のような高度な個人装備を3年以内に各兵士に装備させる。▼世界的な軍事技術のトレンドに沿って、ドイツ軍はAI、サイバー戦争、軍用モノのインターネットInternet of Military Things(IoMT)などの最先端技術の統合に注力し、作戦の有効性とデータ・セキュリティを強化する可能性が高い。▼さらに、軍用ロボット・自律システム(RAS)の採用や、既存のレオパルド戦車を2A7仕様にアップグレードすることは、堅牢で技術的に進んだ防衛システムを維持するドイツのコミットメントを示している。▼今回の軍事政策の転換は、ドイツ連邦軍の役割と欧州防衛におけるドイツの地位を再定義することが目的の、より大きな「ツァイテンヴェンデ」"Zeitenwende" 戦略の一環である。▼十数年ぶりの改定となる新政策は、ドイツを欧州の集団防衛と抑止力で極めて重要なプレーヤーとして位置づける。▼これは、ドイツ軍をドイツと同盟国の防衛に集中させてきた冷戦後からの大幅な変化を意味する。▼欧州防衛においてより顕著な役割を担おうという意欲は、NATO機構内での備え、近代化、集団防衛の重要性を強調している。■


Germany Sends 5,000 Troops to Russian Border - Warrior Maven: Center for Military Modernization




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