スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

上院軍事委員会で中国への態度を問われたリチャードソン大将

どうも後日の歴史家はオバマ政権が明確な態度を示さなかったことが西太平洋のバランスを中国有利にした原因だと批判しそうな気がします。中国の既成事実の積み上げに対して米、および同盟国側の抑止力が全く働いていないとの愕然たる事実があります。しかしそれはそれとしても言葉と言葉、知性と理性が真っ向勝負する上院の討論の雰囲気にはスリルを覚えざるを得ません。なおリチャードソン大将は無事上院審査を通過し、海軍作戦部長に就任できるようになりました。 Adm. Richardson Dodges SASC Questions On China By SYDNEY J. FREEDBERG JR. on July 30, 2015 at 2:35 PM http://breakingdefense.com/2015/07/adm-richardson-dodges-sasc-questions-on-china/feed/ CAPITOL HILL: ジョン・リチャードソン海軍大将は上院審査を本日乗り切った。しかし大きな2つの問題が浮上し、政権と議会共和党議員の間に中国への見方で意見対立が深まっていることをあらためて示した。 リチャードソン大将は潜水艦勤務出身で次期海軍作戦部長に推挙されているが、上院軍事委員会メンバー各議員からの難しい質問を手際よく回避していた。米中核協力は中国の軍拡に貢献しているか、米国は中国による南シナ海領有にどう立ち向かうべきか等々で、リチャードソンは中国と米議会からの圧力の中いつまでも逃げの答弁はできなくなる。 トム・コットン上院議員は単刀直入に「提督、中国は敵ですか」と尋ねた。 Adm. John Richardson これに対しリチャードソンは「中国は複雑な構造の国家です。実行している内容の多くは自国国民自身に敵対的な内容です」と述べ、南シナ海で進めている人工島の問題に言及している。 上院議員は、ではなぜ核兵器を運用する艦隊の編成を我々が助けなければならないのか、と聞いた。. 米政府にはレーガン時代から『1.2,3合意』と呼ぶ中国との民間核共同開発があり、当時は中国をロシアへの対抗勢力として利用しようとしていたのだった。この合意が更改時期に来ているが、コットン議員と保守派マーク・ルビオ議員が反対している。民生原

★南シナ海>ベトナム漁船を追尾し衝突してきた中国海軍艦船

海洋法が定めるルールは世界各国が尊重するべきものですが、中国は別のようです。さらに海上衝突をしかけてくるというのはどういうメンタリティなのでしょうか。この報道は日本ではされていないようなので、お伝えすることにしました。中国国内で報道されているのか知りませんが、報道しても不当なベトナム漁船を排除した、とか都合のよい内容になっているのでしょうね。 Report: Chinese Navy Warship Rammed Two Vietnamese Fishing Vessels By: Sam LaGrone August 7, 2015 3:52 PM • Updated: August 7, 2015 4:14 PM http://news.usni.org/2015/08/07/report-chinese-navy-warship-likely-rammed-two-vietnamese-fishing-vessels An undated photo of a Chinese Type Yuting II Type 072A tank landing ship (LST). PLAN Photo 人民解放軍海軍(PLAN)の揚陸艦がスプラトリー諸島付近で7月にベトナム漁船2隻に意図的に衝突を試みたことが現地報道で伝えられているとし、海軍情報部は域内を通航する船舶に注意喚起している。 漁船乗組員の証言が Nguoi Lao Dong 現地新聞にあり、7月21日にスプラトリー諸島西15カイリ地点で「艦船番号994の中国船が突然姿を現し、警笛を鳴らしながら接近してきた」中国船は漁船に放水しつつ30分にわあたり追尾してきた。 「衝突しそうになったので遠ざかるよう操舵したが、なぞの艦はそのまま追跡してきて右舷側に衝突してきた」と船長Nguyen Nhat Ngocが同紙に語っている。同船長は重武装の中国艦は二回衝突をしてから追尾をやめたという。 「もうひとりの地元漁民Thanh Ninh によれば7月23日にも同様の攻撃を同じ中国艦(艦番号994)がしかけてきたという」(Thanh Nien新聞) 海軍情報局(ONI)によれば艦番号994は4,800トンの 宇霆  Yuting II タイプ072

レイセオンSM-6>弾道ミサイル迎撃にも有効と実証に成功

Successful SM-6 Ballistic Missile Defense Test Set To Expand Capability of U.S. Guided Missile Fleet By: Sam LaGrone August 4, 2015 1:09 PM http://news.usni.org/2015/08/04/successful-sm-6-ballistic-missile-defense-test-set-to-expand-capability-of-u-s-guided-missile-fleet レイセオン製SM-6が米海軍イージス駆逐艦から発射された  US Navy Photo 米海軍とミサイル防衛庁は改良型 レイセオン・ スタンダードミサイル-6(SM-6)が巡航ミサイル、航空機に加え弾道ミサイルにも有効に対処できると実証した。 先週行われた海上発射テストは太平洋ミサイル試射施設(PMRF)(ハワイ州カウアイ)で行われ、誘導ミサイル駆逐艦USSジョン・ポール・ジョーンズ(DDG-53)から発射されたSM-6 Dual Iが弾道ミサイル標的の迎撃に成功している。 「標的ミサイルの最終段階での防衛が実効性を証明しただけでなく多用途SM-6を海軍駆逐艦に搭載することの有効性も示した」とミサイル防衛庁長官ジェイムズ・シリング海軍中将が総括した。 その後三日間でSM-6 Dual Iは航空機および巡航ミサイルの芸ゲkにも成功している。 これまで海軍はSM-2ブロックIVを最終段階の弾道ミサイルに対応させてきたが、SM-6 Dual I 仕様では巡航ミサイルおよび航空機対応が可能なうえ最終段階の弾道ミサイル迎撃にも転用できる。 最終飛翔段階は「最後の迎撃チャンスだ。この段階での弾頭迎撃は困難であり、本来望ましくない。なぜなら失敗の余地が少なく、かつ迎撃が目標近くで発生するからだ」とMDAの説明文が言っている。 改良型SM-6は来年中に艦隊に配備される。 「米海軍司令官レベルは多様なミッションに柔軟に対応できる性能を求めている。これこそSM-6で実現できることだ」とレイセオンミサイルシステム社長テイラー・W・ローレンスが述べている。「来年中に配備されれば、世界で

核兵器の廃絶は逆に危険を招く。核抑止力の整備は今後も必要だ

平和は祈りさえすれば実現するものではありません。一方で戦争は天然災害とは違い、その気になれば防止できます。現実世界では核兵器があまりにも恐ろしい結果を生むために大規模戦闘の抑止力になってきたのが大国間の歴史です。これに対し核兵器全廃を主張する向きは独自の世界観を持っているようですが、逆に核兵器を全廃した場合の世界をどう考えるのでしょうか。また超大国による核兵器の応酬というこれまでの世界大戦観より非国家勢力による衝動的な核の使用があれば大変なことになります。広島の原爆記念日に日本では受けいられることのない主張ですが、あえて掲載することにします。 The Lessons of Hiroshima: We Still Need Nuclear Weapons By BLAKE MCMAHON and ADAM LOWTHER  on August 05, 2015 at 4:29 AM http://breakingdefense.com/2015/08/the-lessons-of-hiroshima-we-still-need-nuclear-weapons/feed/ 米国が広島に原子爆弾を投下した70年前から戦争の形態は新時代に入った。8月6日の地上に出現した地獄は人類未経験の惨禍だった。 推定で広島の当時の人口38万人のうち最低9万人が爆発とともに死亡している。その後さらに数万人が放射線被曝で死亡している。東京大空襲ではもっと多くの死亡者が発生しているが、広島のように一度に死亡しているわけではない。 「リトルボーイ」爆弾が広島で、「ファットマン」が長崎で投下され、原子兵器の威力を見せつけた。ただし各爆弾の威力は15キロトン程度と今日の核兵器より相当小さい。 人道の見地から可能な手段を全て講じ今後の戦闘で核兵器が絶対に使われないようせねばならない。使用された場合の結果はあまりにも悲惨だ。 広島70回目の記念日を迎える中、核兵器全廃を主張する向きがある。「グローバルゼロ」運動などで、広島の惨状を伝え、核兵器削減・廃絶を訴えている。核兵器がなくなれば、使う可能性もなくなるというのがその主張だ。 ただしその主張は過去の経験を正しく理解していない。 歴史、経験則そして論理から核兵器備蓄量を減らせば逆効果が生まれるとい

オーストラリア>水上艦艇国内建造方針、次期潜水艦調達決定は数ヶ月以内

ここのところオーストラリア向け潜水艦案件はおおきな動きがありませんでしたが、まず水上艦は国内建造になりました。ということは国内での潜水艦建造は断念するのではないでしょうか。背景には複雑な国内事情があることがわかりますね。 Australia To Build New Naval Fleet in $65B Package Agence France-Presse 4:14 p.m. EDT August 4, 2015 http://www.defensenews.com/story/defense/naval/ships/2015/08/04/australia-build-new-naval-fleet-65b-package/31107267/ SYDNEY — オーストラリアは890億オーストラリアドル(650億ドル)で新型フリゲート艦、巡視船を国内建造することを発表した。なお、次期潜水艦の海外調達先は「数ヶ月以内に」決定するとしている。 「建造継続」案ではフリゲート艦、巡視船、潜水艦の後継艦を今後20年で整備するとしており、国内で2,500名の雇用を実現する内容でトニー・アボット首相の言では「歴史的な発表」だという。 「歴代のオーストラリア政権は国内建造を続けると表明してきた」とアボット首相は報道陣に語った。「基本的に艦隊建造は国内で行い、中心は南オーストラリアとする」 ただし首相は進行中の次世代潜水艦の海外調達先については多くを語らなかった。現行のコリンズ級潜水艦の退役は2026年から始まる。 オーストラリア向け潜水艦はフランス、ドイツ、日本が受注を狙い、総額500億ドルとオーストラリアで史上最大の防衛調達事業になる。 ただし、海外建造とした場合は国内産業の保護をめぐり国内で議論を巻き起こしていることもあり、契約交付は一筋縄ではいかない。 「これまで各国に国内建造にした場合の費用総額、国内国外建造を組み合わせた場合の価格、完全海外建造の価格開示を請求している」(アボット首相)「回答が今後数ヶ月で到着すれば、最終決定に入る」 今回の建艦事業は「次世代フリゲート」により現行のアンザック級を2020年に交代させるもの。また巡視船はアーミデイル級の後継艦となる。またケビン・アンドリュース国防相によれば「

中東>シリア作戦で新局面に入った米軍の作戦状況

シリアでの状況が大きく変わりそうですね。米国が支援する「穏健な」反乱勢力がどこまで有効なのか試されますが。地上では現地部隊に戦わせ、米軍は航空支援を行い、もって米地上部隊の派兵を回避するというのが現政権の考え方ですが、有効であることを祈るばかりです。 U.S. expands potential targets in Syria By Andrew Tilghman, Staff writer 4:49 p.m. EDT August 3, 2015 (Photo: MC3 Anna Van Nuys/Navy) http://www.militarytimes.com/story/military/pentagon/2015/08/03/us-air-strikes--syria/31069911/ 米軍はシリア国内の爆撃を拡大し、アルカイダと連携するアル・ヌスラほか アサド政権支持派も攻撃対象に含めるとペンタゴンが発表した。 拡大は米国公約の穏健派シリア反乱勢力支援の一環で、米国は穏健派に訓練、機材供与を行っており、訓練を受けた穏健派がシリアの戦闘区域に復帰している。 「これらの一派は米国と共同し、米国の訓練を受けており、米国は防御的支援を提供する」とペンタゴン報道官ジェフ・デイヴィス大佐が3日明らかにした。 シリア空爆を米国が開始して一年、米軍は初めて地上に友軍を得た。新シリア軍New Syrian Forces の名称でおよそ60名がIS戦闘分子との戦いに入ると期待されている。米軍は近接空中支援で新シリア軍の攻勢を助ける。 シリア内戦は複雑な様相を示し、アメリカの支援を受けた反乱分子が他集団の攻撃を受ける可能性は高い。とくに アル・ヌスラあるいはアサド政権が危惧される。もしこの事態が発生すれば、米軍は「防御的火力支援」を提供すると約束しているとデイヴィスは言う。 「防御的目的に限り、米軍は対象を他の脅威から守ります」とし、「集団間の抗争状態は承知しており、必要な手段で該当部隊が目的を実行できるよう手配します」 新方針が先週金曜日に早速試された。新シリア軍がアルヌスラ戦線と思われる集団から攻撃を浴びたのだ。NSFは米軍への連絡手段で空爆を要請した。承認され、実施されたとデイヴィスは言う。 空

★★海上自衛隊>大胆な戦略方針転換の理由は中国

日本国内ではなかなか聞こえてこない海上自衛隊のトップの発言を米国経由で聞くというのは倒錯していると言わざるを得ません。内容自体はごく健全なものですが、このまま日本で(日本語で)発言すると問題が起こるのでしょうか。とすれば国内の言論空間にゆがみがあるということですね。日本の国益をどう捉えるかという問題ですが、思考がどこまで広がっているのかというもんだなのでしょうね。 Japan Looks South: China’s Rise Drives New Strategy By SYDNEY J. FREEDBERG JR. on August 03, 2015 at 2:41 PM http://breakingdefense.com/2015/08/japan-looks-south-chinas-rise-drives-new-strategy/feed/ WASHINGTON: 海上自衛隊トップが講演すれば話題は日本防衛についてだろうと予測するのが普通だろう。だが武居智久海上幕僚長が10ヶ月で三度目の訪米となった今回のワシントン講演で日本が戦略的視野を広げていることを示したのには、いささか驚かされた。日本がインド洋までを視野に入れ、南シナ海に特に関心を示す背景にはもちろん中国の存在がある。 日本を先に訪問していたアンドリュー・クレピネヴィックの発言を引用すると「脅威の高まりと米国への信頼のゆらぎがあいまって、また憲法第9条の再解釈により日本では安全保障への考え方が広がり、戦略的になった」のだ。 日本の新思考で特筆すべきことは何か。カーネギー平和財団の講演で武居海上幕僚長は北朝鮮、尖閣諸島、ロシアについて言及していない。幕僚長は「太平洋」とも言わず、より広範な「インド・太平洋」の語句を使っている。 東北アジアについて論じるかわりに、幕僚長はソマリアであいかわらず混乱が続いていること、イエメンの不安地度から依然アデン湾での海賊活動に現象の兆しがないこと、海上自衛隊が護衛艦艇と哨戒機を派遣していることを紹介した。また「ある国」が「不安と不信」を南シナ海で発生させていると、日本人らしからぬ強い語調で中国について話している。 「中国はスプラトリー諸島のサンゴ礁を急速に埋め立てており、各国の反対を無視している」と武居幕僚