スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(#米海兵隊)が付いた投稿を表示しています

英軍のフォークランド奪回作戦(1982年)から台湾防衛など米海兵隊が目指す前線分散展開が学べる教訓とは....

  独 裁国家が島国の隣国を侵略するのをどうしたら阻止できるだろうか。侵略勢力が海岸に上陸したら、主要な拠点から何百、何千マイルも離れた場所で活動し、地元の数的優位を持つ敵をどうしたら撤退させられるか。1982年、アルゼンチン軍事政権が、英国の海外領土フォークランド諸島の主権を長年にわたって主張してきたため、英国はこの問題で解決を迫られた。アルゼンチンからフォークランドを奪還するため英国が実施した長距離遠征作戦「コーポレート作戦」の勝利と、中国から台湾を守ることに焦点を当てた課題には、不穏ながら類似点がある。     米海兵隊は、インド太平洋で激化しつつある大国間競争への対処すを優先課題としている。フォークランドで英軍は、海兵隊司令官が将来の活動として想定しているのと同様の方法で活動した。広大な海洋地形に分散した小規模な編隊、比較的限定的な間接火力支援、限定的な近接航空支援だ。南大西洋で英国の機動力と後方支援を可能にするためには、垂直上昇機が不可欠であった。しかし、海兵隊の新しいコンセプトには、こうした航空機がほとんど見られない。 これらの矛盾に対処するため、コーポレート作戦で学んだ関連する教訓を簡単に概観しよう。教訓を把握してから、現在および将来の垂直上昇能力の最大化に重点を置き、海兵隊の概念にうまく取り入れる方法を考察する。 コーポレート作戦 1982年4月2日、アルゼンチン軍が南大西洋にあるフォークランド諸島の英国領に侵攻した。歴代英国政権は、アルゼンチンによる上陸されれば既成事実化を意味すると結論づけていた。しかし、マーガレット・サッチャー政権は、フォークランド諸島を奪回すると即座に決定した。数時間後には、岩だらけの島々からアルゼンチンを追い出すための「コーポレート作戦」が開始された。最初の海軍艦艇は、侵攻から3日も経たないうちに英国を出港した。急速に編成された統合任務部隊は、障害を乗り越え、8,000マイル以上を横断し、6月14日までに諸島の領有権を取り戻した。しかし、勝利が約束されていたわけではない。機動部隊が出港した瞬間から、垂直上昇の必要性を予測できなかったこと、指揮系統が曖昧だったこと、水陸両用作戦を軽視した部隊設計が、最終的な成功を脅かすことになった。 英軍作戦は、広大な距離とそれに伴う困難双方の克服を迫られた ( Source : Depar

ウクライナ戦を見て、戦車全廃方針を打ち出した米海兵隊が決断に安堵している。ただし、必要なら陸軍戦車に頼るという考えでいいのか疑問。

台湾は太平洋で戦車が活躍できる唯一の場所と、海兵隊中将のカーステン・ヘックル中将は言う。(Photo by Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images) 海 兵隊の内部改革を進める中将は、戦車部隊を放棄する海兵隊方針を評価している。 海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官カーステン・ヘックル中将 Lt. General Karsten Heckl は水曜日、インド太平洋地域に戦車は「必要ない」と述べた。「インド太平洋のどこで戦車が活躍できるでしょうか?台湾?なるほど、でも他にありますか」 海兵隊の戦闘開発・統合担当副司令官であるヘックルは、海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将 Gen. David Berge による議論を呼んだ「フォースデザイン2030」計画作成を補佐した。2020年3月に策定された同計画は、過去20年間アフガニスタンやイラクで陸上部隊として投入されてきた海兵隊を、海軍戦闘の原点に立ち返る再編成にしようとする。 広大な太平洋で中国に対抗するためだ。離島から離島へ飛び移る小型かつ高機動の部隊を配備し、センサーが多く配備された沿岸地帯で、容易に発見されたり標的にされず活動させる。しかし、「フォースデザイン2030」への最大の批判は、海兵隊戦車部隊の全廃だ。 しかしヘックル中将は、国際戦略研究センター(CSIS)と米海軍協会が開催したパネルで、ウクライナを見ればバーガーの決断は正しいと語った。 ロシア軍戦車数百両がウクライナ軍に抹殺されたり、鹵獲されている。更に多数が、ロシアの兵站の不備からガス欠になった。 ヘックル中将は言う。「戦車は、ロシアのウクライナ侵攻に見られるように、燃料を大量に消費するのです。イラクやアフガニスタンで、道路を走る燃料トラックが簡単に標的になることを学びました。イラクやアフガニスタンでは、大きな脆弱性となったのです」。 つまり、燃料を大量に消費し、簡単に見つかる戦車に頼らなくてもいいということが、前方展開し、軽く機敏な「スタンドイン」部隊のコンセプトを機能させると、ヘックル中将は言う。特に、中国の作戦を挫くために、太平洋の広大な地域を少部隊で、厳しい環境下で活動する場合は。 その代わり、海兵隊の戦車計画は陸軍の支援に依存する前提だ。 バーガー大将は、戦力設計2030の最初の版で、「戦車の能力は、過

ライトニング空母構想の実証を進める米海兵隊・海軍。実際の作戦環境を想定し最適化を模索中。日本にも参考となるはず

  海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)211所属のF-35B ライトニングIIが強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)から発艦した April 2, 2022. US Navy Photo   強襲揚陸艦USSトリポリ艦上にて ---海兵隊が4月2日記録を破った。F-35BライトニングII共用打撃戦闘機を16機も強襲揚陸艦に搭載したのだ。   曇天の下で甲板要員が海兵隊パイロットに発艦地点を示し、その他機体を海軍最新の大型強襲揚陸艦USSトリポリ(LHA-7)艦上で移動させた。今週は更に多くの機体が加わる。   各機は海兵隊戦闘攻撃飛行隊225「ヴァイキングス」と海兵隊戦闘攻撃飛行隊211「ウェイクアイランドアヴェンジャーズ」の機体で、ともにユマ海兵隊航空基地(アリゾナ)に駐屯している。さらにユマとニューリバー(ノースカロライナ)の海兵隊作戦試験評価飛行隊1の所属機も加わる。海兵隊はF/A-18ホーネットおよびAV-8BハリアーをF-35Bに交替させつつある。   とは言えトリポリにF-35B十数機を搭載し運用するのは記録更新や写真広報のためではない。同艦には500名の海兵隊員も乗る。関係者はUSNI Newsに今回のMAG-13訓練をトリポリで展開するのは大型艦と海兵隊機材により統合MAG(海兵航空集団)作戦を展開する一歩に過ぎないと語り、これまでにない動きとする。   「これまで20年にわたり展開されたのとは別の形になる。従来は飛行隊が中東に展開し各種任務にあたってきた」と説明するのはMAG-13司令チャド・ヴォーン大佐 Col. Chad A. Vaughn だ。同集団もユマに本拠を置く。   今日の敵勢力は将来にわたり、特に空で米軍と対峙してきた敵を上回る存在になる。このため従来を上回る規模の共同作戦が必要となると関係者が認識している。   「未経験の技量のセットが必要となる」とヴォーン大佐はトリポリ艦上で艦長ジョエル・ラング大佐 Capt. Joel Lang に述べている。   昨年10月MAG-13は隷下飛行隊を砂漠統合現場演習でカリフォーニアのトゥウェンティナインパームズにある海兵隊航空地上戦闘センターに派遣した。「MAG司令部にとっても地上から戦闘の仕方を学ぶ機会になった」「可能な限り多くのF-35を投入し、同時にMAGパイロットと司令部が海上から戦闘

2023年度国防予算要求の概要② 米海軍省の艦艇、航空機関連の動向

  今回退役の対象とされる巡洋艦は5隻 米 海軍は、5年間で36億ドルを節約するため、来年度に艦船24隻を退役させたいと発表した。 2023年度予算要で、海軍はフリーダム級沿海域戦闘艦(LSC)9隻、タイコンデロガ級巡洋艦5隻、ロサンゼルス級潜水艦2隻、揚陸ドック艦4隻、給油艦2隻、遠征転送ドック2隻を退役させる。 LCSの退役について、海軍予算担当副次官補ジョン・ガンブルトン John Gumbleton は、コンステレーション級フリゲート艦が対潜能力を持つため、LCSの対潜戦任務が不要となるとした。 「LCSのASW能力を見ての決定です。ASWのミッション・モジュールは、大きな課題を抱えたまま、うまくいきそうにありません。浮いた予算で4隻目のフリゲート艦を導入します。4隻目には効果的なASW能力があると思われるので、LCSポートフォリオでリスクを取ることにした」と、ガンブルトンは記者団に語っている。 コンステレーション級フリゲート初号艦は2026年の納入予定であり、初期運用能力獲得は2030年となる。 「フリーダム級には、駆動系で問題があります。ただしその修正は法外な金額ではありません」と、ガンブルトンは9隻のLCSに言及した。「しかし、艦種2つを維持する代わりに、艦種を一つに絞れば、節約が可能になります。それで今回の決定になったのです」 USSフォートワース(LCS-3)は、海軍が退役させたいLCS9隻の1隻。海軍は2021年度と2022年度にフォートワースを退役させようとしたが、議会が阻止した。フォートワースは2012年に就役した。フリーダム級LCSは、ガスタービンとディーゼルエンジンを結合するコンバイニングギアで問題が発生したが、フォートワースには別のコンバイニングギア機構を備えている。 海軍次官メレディス・バーガー Meredith Berger は、LCSの9隻退役について聞かれ、「費用のかかる修理やメンテナンスから解放される」と述べた。 海軍関係者は、2023年度予算要求について、改訂版の国家防衛戦略、カルロス・デルトロ Carlos Del Toro 海軍長官の目標、海軍作戦部長マイク・ギルデー大将Adm. Mike Gildayの優先事項である即応性、近代化、能力を満たすものと説明している。   「この環境下で、艦隊を持続可能とする決定をした。

米海兵隊・海軍の対中戦略は「スタンドイン」で、第一列島線からの撤退を拒否。中国をじわじわと苦しめる「潰瘍」戦術を展開する。ホームズ教授の解説。

    デ イヴィッド・バーガー大将 David Berger が目指すのは習近平に潰瘍の苦しみを与えることだ。今月初めに米海兵隊総監のバーガーがサインしたのが「スタンドイン部隊構想」 Concept for Stand-in Forces で戦略指針として小規模海兵部隊をアジアの第一列島線沿いに展開し、米海軍と連携し、中国の人民解放軍海軍(PLAN)を苦しめようという構想で、東シナ海、台湾海峡、南シナ海での実施を目指す。   同構想は、米中戦略競争の武力論争における声明文としてとらえてみよう。戦略的競合では、各競争相手が軍事装備を開発し、誇示することで、有事に自国が勝者になると納得させようとするものである。   成功した側は敵対勢力を抑止または強要し、敵対勢力の同盟国協力国を説得して、敗北が明らかな大義を捨てさせ、同盟者協力国を説得し、勝利が明らかな大義の側に集結させる。   中国は米中間の競争で先行し、接近阻止領域拒否構想(A2/D2)を開発し、実現のため軍備を整備してきた。これが軍事論争におけるPLAの冒頭陳述だ。すなわち、PLAロケット部隊、航空部隊、艦艇は、前方展開する米軍を開戦時に打撃し、米本土から太平洋を西進する援軍の合流を阻止するはずだ。   その過程で、PLAは台湾を制圧するなど、他国が武力介入できないうちに目的を果たす時間を稼げる。そして、米軍は一時期、A2/ADの前提、有事に地域から撤退し、再び戦場に戻るという構想を受け入れていたようである。ペンタゴンで短命に終わった「エアシーバトル」構想も、この考え方に基づくものであったようだ。   ただし、第二次世界大戦の再演は中国に狙い通りの時間を与えることになる。日本軍による真珠湾攻撃から東京湾の戦艦ミズーリでの降伏式典まで4年近くが経過した。台湾、日本、その他中国のライバル国が、アメリカの援助なしに長く持ちこたえられる可能性はほとんどないといってよい。   戦力を温存すべく西太平洋から撤退すれば降伏に等しい。それゆえ、米海兵隊は近年、A2/ADに対抗し地域にとどまり、中国を阻止する方法を探求している。海兵隊・海軍は、艦隊と地上軍を小規模、安価で、より多くの部隊に分割し、新技術を装備し、威力を維持しようとしている。   海軍は、小型戦闘艦の大群を「分散」して戦わせ、また宇宙空間でも分散させアクセス拒否の