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高性能有人戦闘機の必要性 アフガニスタン、イラクの例外に論調を脱線させないために何を考えるべきか

誤 解される向きもありましょうが、当ブログでは有人戦闘機の存在を否定しているのではないのです。無人機やEWの出現はあっても、有人戦闘機は制空権確保に 必要な装備であることに変わりありません。その思いを同じくする論文がAir Force Assn.機関誌に出ていましたのでやや長文ですがご紹介しましょう。                                                    Air Force Magazine  Vol. 95, No. 8     August 2012             Aberrations in Iraq and Afghanistan                                         By Daniel L. Haulman                                             最近10年間の戦役で空軍は制空権を確保するために戦う必要が一回もなかった。これは正常な状態ではない。              空 中での戦闘は米国が参戦した主要戦で20世紀の大きな特徴だった。1918年以来の米国の空軍力は勝利を次々におさめ、1999年まで米国による総撃墜機 数は17,500機であり、第一次大戦624機、第二次大戦15,800機、朝鮮894機、ベトナム137機と言う内訳だ。 これが1990年代のイラク、セルビアでは数は少なくなったが、それでもイラクで39機、セルビアで9機を撃墜している。 * 1991年、米空軍戦闘機が炎上中の油田を飛行中。イラク陸軍がクウェートから撤退する中で放火したもの。砂漠の嵐作戦で米空軍は37機を撃墜しつつ損失はゼロだった。(USAF photo) ただし21世紀になり、空中戦そのものが消えている。21世紀に米国が関与したイラク、アフガニスタンでエースは輩出していない。空中戦の勝利そのものに気づくことがなかった。 双方の戦闘で空軍力は大きな役割をはたしたが、制空権を巡る戦闘はそこに含まれていない。空中戦そのものが発生していない。 そこで21世紀になり空中戦の時代は終わったと主張する向き、高額な制空戦闘機や高度に訓練を受けるパイロットはもう不要だとの主張が出てきた。 なぜアフガニスタンとイラクで空中

次期弾道ミサイル迎撃用SM-3 IIAの配備開始は2018年

MDA Still Sees 2018 Deployment In Restructured SM-3 IIA Plan By Amy Butler aviationweek.com August 07, 2012 . レイセオン の新型SM-3迎撃ミサイルで 三菱重工業 と共同開発に10億ドル近くの追加契約が成立し、2018年の配備をにらんだ試射を行う。 予 算がついたことでSM-3の開発体制見直しを一年かけて進められる。以前は迎撃テストを2014年度実施と想定していたが、現在はこれが2016年にずれ こんでいる。実戦配備はイージス艦の新規ソフトウェア他センサー類とともに2018年となり、ヨーロッパへの配備を想定し、イランの中距離弾道弾による攻 撃に備える。 米政府監査部門が昨年同ミサイルで二つの問題を発見している。ひとつが方向変更・高度制御システムともうひとつが エアロジェット 社 Aerojetが取り扱う推進剤で、サブシステム監査で不合格となっている。さらに三段式の同ミサイルのロケットモーターとノーズコーンの双方が三菱重工 による開発品だがこれらも問題を発生させている。まず推進系の大幅見直しを2013年に行うとレイセオンで防空ミサイル防衛担当の副社長ウェス・クレマー Wes Kremerは言う。 米ミサイル防衛庁MDAは7月に825百万ドルで既存SM-3 IIA改修作業の契約を承認した。これにより同ミサイルの開発費用のうち米国負担分は15.1億ドルになる。 めざすのは直径21インチの迎撃ミサイルで従来のSM-3 1A/B型よりも高速、長射程距離で迎撃がかのうなもの。従来型は直径14インチ。 新型ミサイルはより大型の攻撃部分を装着し、目標捕捉と最終段階で機動性を改善するだろう。 . 同ミサイルは北朝鮮から日本を防衛することを狙い、より少ない洋上艦船からの防衛実施をめざすが、ホワイトハウスは同ミサイルを2009年に欧州段階的適 合アプローチの中でフェーズIIIの根幹要素として選定している。そのねらいはヨーロッパ各国さらに米国東海岸をイランのミサイルから防衛することにあ る。 この決定は物議をかもした。SM-3には聞き甥開き、前のブッシュ政権の原案からポーランドに二段式の地上配置中間段階防衛迎撃ミサイル(GBI)の配備があったが、これが波紋を呼

2013年度国防予算 上院は承認したものの内容は.....

Senate Panel Approves Defense Bill aviationweek.com August 03, 2012 上院歳出委員会が承認した国防予算法案は総額604.5億ドル(約4.8兆円)だが、予算案通過の時点で実質的に疑問の残る内容になっている。 「私の顔に笑みは見えないはず」ダニエル・イノウエ委員長(民主・ハワイ州)Sen. Daniel Inouyeは8月2日の同法案上乗せのあとに発言している。 その理由として上下両院有力議員間で予算管理法が認める範囲で政府予算の執行を今後六ヶ月にわたり認める合意が生まれたためだ。 ただし来年の三月までに現在の予算年度は半分が終わっていることになる。さらに11月の選挙結果で共和党が上院の過半数を握れば、法案も変更が加えられる。 合意済みの決議案には総額1兆ドルの包括的政府支出削減を回避する選択肢は含まれていない。 今回の国防予算法案の審議は実際の支出予算よりも赤字削減合意が実行されない場合の罰則となる強制執行停止sequestratonが中心だった。 リ ンゼイ・グラハム議員(共和・サウスカロライナ)Sen. Lindsey Graham (R-S.C.) から提案され撤回されたのは象徴的な決議案で赤字削減策を提言するボウルズ=シンプソン作業部会の提言を活用し強制執行停止を部分的に実施する内容だっ た。その後、同議員からは別の改正案が動議され、連邦政府との契約企業には自社の従業員に強制執行停止に伴う雇用喪失の可能性を通知させようとするもの だった。これは同意形成できなかったが、各契約企業の観点から強制執行停止が予測可能で労働者調整再訓練通知法Worker Adjustment and Retraining Notification Actの適用が可能かについて長時間の審議に火をつけたといえる。 . 実質面では同法案によりロッキード・マーティンの中距離拡大防空システム Medium Extended Air Defense System (Meads)には348百万ドルの予算を計上し、米国の参加を終了させる。なお議会の国防関連委員会三箇所がいずれもMeads予算を終了させている。 ペンタゴンが進めているバイオ燃料の調達には上院歳出委員会は予算を認めた。他の三委員会は棄却

空軍新参謀総長にウェルシュ大将

airforce magazine Friday August 03, 2012                 Welsh Confirmed as Chief of Staff: 8月2日上院がマーク・ウォルシュ大将 Gen. Mark Welsh の空軍第20代参謀総長就任が承認された。現参謀総長のノートン・シュワーツ大将は交代とともに退役する。この次にはオバマ大統領による正式承認が続く。その後、空軍は8月10日に就任式典を開催する。 ウェルシュ大将は1976年の空軍士官学校卒業生。在欧州米空軍の司令官を経て2010年10月より米空軍総司令部勤務。 上 院による承認はジョン・コーニン上院議員(共和党、テキサス州)が同大将の承認保留を取り下げたことから同日採血されたもの。同議員の保留はラックランド 基地(テキサス州)内で発覚した性的嫌がらせが理由。同基地は空軍の規則訓練を担当。同議員はウェルシュ大将と同日会見し、状況を話し合った後に保留を撤 回した。「ウェルシュ大将が深刻な状況認識を共有していることがわかった。大将が事件の捜査を続けるとの決意を示したことを嬉しく思う」と声明を発表して いる。

X-47B UCAS-Dのテスト最新状況

X-47B UCAS-D Begins Deck Handling Trials aviationweek.com August 03, 2012 ノースロップ・グラマンX-47B無人戦闘航空機システム実証機 (UCAS-D) はまもなく地上での公試をパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)で開始し、空母飛行甲板上での取扱手順を確認の上、空母着艦を2013年に行う予定。 X-47Bはパックス基地での初飛行を7月29日に実施しており、チェサピーク湾上空で36分間の飛行を高度7,500フィート速度180ノットで完了した。X-47Bは2機あり、パックスへはエドワーズ空軍基地での性能確認テストを完了してから陸送されていた。 そ の間キングエアを同機に見立てて空母自動着艦時のテストをしている。1号機AV-1はソフトウェアを改修して空母運用への適合性を試される。この改修では 機体を空母運用条件に完全に一体化させるのが目的だ。陸上に設置したカタパルトで発進させ、同じく地上設置の拘束フックでの着艦試験をパックスで今年秋に 開始する。 この数日以内に2号機AV-2を使った地上取扱性テストがパックスで始まり、無線操縦コントローラを飛行甲板操作員の右腕にストラップで取り付け、推進力、首脚操作、ブレーキ、テイルフックを操ることができる。 飛行甲板上では操作員が「黄色シャツ」責任者の後方に立ち、X-47Bをカタパルト上に移動させ、エンジン回転を上げて、各種制御系統を確認の上、同機をミッションコントロール責任者に引き渡す。 着艦時にはX-47Bは艦上のワイヤを捕らえたあとエンジン出力をアイドル状態まで下げ、甲板操作員が制御をし、テイルフックを引き上げて、同機をワイヤから離す。

ISR機材に民間商用機を転用する動きが加速

Smaller Commercial Aircraft Surge In Intel Missions aviationweek.com July 23, 2012 情 報収集、監視、偵察(ISR)任務ではとかく無人機が注目されがちだが、小型民間機の転用がにわかに注目されており、十分に競合力があると見られている。 この傾向がファーンボロ航空ショーであらためて確認されたのは新規機材があいついで発表されたりデビューしたことから。 こ の傾向には理由がある。まず、民間機を転用すれば運用コストが大型UAVよりも安価であり、現に米空軍のキングエア改造プロジェクトリバティの時間当たり 運用コストはリーパーより低いと下院情報委員会が判定している。また民間機ベースの機材であれば国内、あるいは国際空路を飛行しても支障がなく、軍事的脅 威を受けず、紛争地帯上空を飛行できる。同時に機内操作員は高い処理能力のデータリンクに依存せずにシステムを運用できる。データリンクのほうがUAV機 体よりも高価な場合があるのだ。 ファーンボロでの最大の驚きはアラブ首長国連邦が支援する形で小型高性能ISR機材開発の動きがあることが判明したことだ。 ピアッジオ が サーブ と組んでこのプロジェクトを進め、P.180アヴァンティIIを大幅に改造する。まず海上パトロール機を生産するが、ピアッジオによると同機は最初から地上監視装置、戦術級ISRまたは通信・信号傍受情報活動(Sigint)装備搭載が想定されているという。 .ピアッジオは アブダビ自動システム投資会社 Abu Dhabi Autonomous System Investments (Adasi) と正式契約を締結しており、同機の開発及び試作機を2機制作すること、初飛行を2014年とする内容になっている。 AdasiはUAE軍の主要開発案件で事業管理会社の役目を果たしており、その中にはシーベルカムコプターS-100垂直離陸UAV案件も含まれる。 ピ アッジオのMPAプロジェクトは既存小型民間機をISR用途に転用する初の本格的な動きだ。MPAではP.180の主翼を拡大し、最大離陸重量と燃料搭載 量を増加させる。最大飛行距離は3,300海里(約6,100Km)、滞空時間は最大10時間(低空飛行では6時間)とし、巡航速度は350ノット (6

2017年までの電子戦関連投資で海軍・海兵隊の支出規模が最大になる見込み

Navy, Marines Top Pentagon EW Investment aviationweek.com July 23, 2012 米海軍・海兵隊は今後十年間に2008年から17年までに電子戦(EW)分野に219億ドルを支出済みあるいは予定しており、他軍よりはるかに大きな予算を支出する。 全軍の同時期合計支出実績・予定は442億ドル。同時期の米空軍の支出規模は123億ドルで米陸軍の91億ドルと比べると海軍・海兵隊の規模がはるかに大きいことがわかる。 「こ の三十年間で空軍は機体のステルス化を重視し、海軍は電子攻撃に着目してきました。空軍はジャミングに大きな関心を示さず、海軍は逆に低視認性を重視して きませんでした」(レキシントン研究所の国防アナリスト ローレン・トンプソンLoren Thompson, defense analyst for the Lexington Institute) 「海 軍は合同運用では電子線の技術を豊富に持っており、そのせいもあり低視認性機体に重要度を低く設定する傾向があります」(トンプソン) 空母から運用する 航空機ではジャミングやEWのほうがステルス性よりも評価されるということだ。ただし、海軍が空母運用型のF-35を取得すればこれも変わる。 だが、他軍もEWを重視しはじめている。 「軍事利用では電磁スペクトラムへの依存が高くなっている。通信、航法、情報収集、監視、目標補足に無線、マイクロウェーブ、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線が多用されている」と米会計検査院が分析している。 ペンタゴン全体でEW開発が急速に拡大しつつあり、2013年度の年間予算36億ドルが2017年に56億ドルになる。 これは2000年代後半と反対の現象であり、その当時は国防総省が電子戦用途の支出は2008年の39億ドルが2010年45億ドルまで増えたあと2012年度に33億ドルまで減っている。 中でも最大の支出項目が電子戦装備および機体の調達費281億ドルで、開発費用が112億ドルでそれに次ぐ。 2016から17年度にかけては生産関連の支出が多くなり毎年38億ドルを想定する。 海軍のP-8Aポセイドンは10年間で23億ドルを支出実績あるいは予定されている。同機の初期作戦能力獲得は2013年の予定。 これに次ぐ規模