スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ウクライナ上空の膠着状況から何を読み取るべきか----航空戦力の意味を再考しよう

  ウ クライナ上空は、まるで第一次世界大戦の「ソンムの戦い」の空中戦版のようだ。キーウ上空での当初の熱狂と対照的に、双方とも相手領空に深く侵入しようとはしていない。フランスとドイツの塹壕戦さながらで侵入の試みは 、地対空ミサイルと防御戦闘機で 自殺行為となる。その結果、空中は無人地帯と化している。双方とも消耗品のプラットフォームと弾薬を使うスタンドオフ攻撃を実行し、前線で超低空で狙い撃ちしているが、どちらも空中で決定的な戦闘力を発揮できていない。  しかし、両者が努力していないわけではない。空での膠着状態は、ロシアとウクライナ双方が積極的な行動を続けることで維持されている。ウクライナ軍は西側諸国の空軍機材を求め続け、ロシアはイランの無人偵察機を新たに配備している。キーウへの最近の支援では防空システムが目立ち、ロシアは長距離兵器の豊富な備蓄に頼っている。要するに、動きが比較的少ないのは、新しい取り組みが行われるたびに相手が素早く対抗してくるため、双方が空中戦を重視していることを示している。  どちらかが空中で突破口を開けば、どのような結果になるかは想像に難くない。キーウへの西側からの重要な援助は、東ヨーロッパからの道路や鉄道で到着する。ロシア空軍力が輸送を妨害すれば、ウクライナ地上軍は戦線の維持が難しくなり、ましてや攻勢をかけることはできなくなる。また、ロシアが制空権を握れば、アレッポでロシア軍爆撃機が行ったように、無尽蔵にある無誘導兵器でウクライナ都市を破壊できる。逆に、ウクライナ攻撃機がロシアの補給線を死の高速道路に変えれば、ロシアの砲兵隊や機甲隊は燃料や弾薬を失い崩壊する。このように、ウクライナ空軍は、10対で数でも技術でも劣っているにもかかわらず、恐るべき勝負に毎日直面している。空戦はどちらが勝ってもおかしくないが、どちらも負けるわけにはいかないのだ。  進行中の紛争の不完全な情報から技術や戦術を断言するのは賢明ではないが、1年にわたる戦闘は、将来の西側の概念と投資に役立ちそうな重要原則を示唆している。第一に、膠着状態は非常に重要な指標だ。空からウクライナを支援することは、地上での成功の前提条件であることに変わりはない。第2に、航空作戦は空域に限定されず、すべての領域を巻き込む。次の戦いに勝つためには、米軍と同盟軍は領域を超えたデータリンクと相互運用性に投資

ウクライナ戦の最新状況 二年目に入りロシア戦死者14万名と言われる中、めぼしい戦果が生まれないロシアは焦っている

ウクライナ無人機の攻撃を受けるロシア軍戦車 Image Credit: YouTube/Ukrainian military . ウ クライナ戦争が1周年の節目を迎えようとしている。  紛争開始から363日目、ドンバスでの戦闘は休むことなく続いている。  ロシア軍は侵攻1周年を前にバフムートの攻略を試みているが、ほぼ不可能な状況だ。 ロシア軍の死傷者  ロシア軍はウクライナで兵士を失い続けている。 ウクライナ国防省は、火曜日現在、ウクライナ軍がロシア軍を約144,440人(負傷者はその2倍から3倍)殺害したと発表している。  破壊された装備品は以下の通り。戦闘機、攻撃機、爆撃機、輸送機299機、攻撃・輸送ヘリコプター287機、戦車3,326両、大砲2,338門、装甲人員輸送車・歩兵戦闘車6,562両、多連装ロケットシステム(MLRS)471基、ボート・カッター18隻、5, 210台の車両と燃料タンク、243台の対空砲台、2023台の戦術的無人航空機システム、226台の架橋車などの特殊装備プラットフォーム、4台の移動式イスカンダル弾道ミサイルシステム、ウクライナ防空が撃ち落とした873個の巡航ミサイルなどだ。 ウクライナにさらなる武器を  バイデン米国大統領は、ウクライナを訪問し、同国への新たな安全保障支援策を発表した。  今回の武器供与はウクライナ軍が受け取り済みの大砲の弾薬が主だ。  一方、ウクライナは西側諸国数カ国分の主戦闘戦車の最初のロットの受け取りを待っている。ウクライナ軍は、Challenger 2、Leopard 1、Leopard 2、M1A2エイブラムズの各主戦闘戦車を受け取る予定である。 地上での戦い  地上では、ロシア軍は攻勢作戦を続けている。東部では、ロシア軍はクレミナ郊外からウクライナ軍を押し返そうとしている。  9月以来、ウクライナ軍はクレミナに到達し、そこからさらに東にある重要な物流拠点スヴァトヴを解放しようとしている。スヴァトヴは東部とドンバスのロシア軍への供給拠点であり、ウクライナ軍がここを占領すれば、ロシアの攻撃作戦を大きく挫くことができる。  ロシア軍はドンバス地方のバフムート、ヴュレダー方面でも攻撃作戦を続けている。しかし、各攻撃は代償が高く、特に先陣を切るロシア軍第155旅団と第40海軍歩兵旅団は、「戦闘不能」と思われるほど高

米連邦議会にウクライナへのF-16供与の声が高まってきた

  An F-16 jet flies on October 22, 2020, in Spangdahlem, Germany. | Maja Hitij/Getty Images 戦闘機が 「今年のウクライナ領空支配の決め手となる」との主張が下院に出ている 超 党派議員グループが、ロシア侵攻に対する戦いが2年目に入ったウクライナにF-16戦闘機を送るよう、ジョー・バイデン大統領に圧力をかけている。  下院議員5名は、POLITICOが入手したバイデンへの木曜日付書簡で、キーウが求めているが政府は同意していない最新のジェット機を「今年のウクライナ領空支配で決定的な影響を与える可能性がある」と主張した。  「このような航空機の提供は、ウクライナ領空を守るために必要だ。特にロシアの新攻勢を考慮し、大規模な戦闘行為の増加が予想されるためだ」と議員らは書いている。  書簡は、メイン州選出の民主党議員ジャレッド・ゴールデンJared Goldenが企画した。また、コロラド州のジェイソン・クロウ Jason Crow、ペンシルベニア州のクリッシー・ホーラハンChrissy Houlahan、に加え共和党ではテキサス州のトニー・ゴンザレスTony Gonzales、ウィスコンシン州のマイク・ギャラガーMike Gallagherが署名している。  この書簡は、キーウに米国製戦闘機を与えるべきという議会からの最新の提案だ。また、両党のウクライナ支援支持者が、支援を縮小しようとする下院共和党の新会派を取り込もうとしているところでもある。  議員たちは、ロッキード・マーチン製のF-16や同等の戦闘機があれば、米国や他の国々が提供する地上砲よりも高い能力をウクライナ軍に与えられると主張している。  「F-16や同様の第4世代戦闘機は、ロシアの空対空ミサイルや無人機を狙う高機動力プラットフォームをウクライナに提供し、ロシア軍と交戦中のウクライナ地上軍を保護し、ロシア戦闘機と交戦し制空権を争うことができる」と議員連は主張している。  議会での超党派の動きは、主戦闘戦車を前線に送り込むという米独の協調的な決定の後に出てきた。論争を経て、米国はエイブラムス戦車を送ることに合意し、ドイツはより早く戦場に投入されるレオパルド戦車を寄贈することになった。  しかし、バイデンは先月、ウクライナにF-1

2年目に入ったウクライナ戦の行方を大胆に予想する

  Russia's T-90 tanks. Image Credit: Creative Commons. ロ シア・ウクライナ戦争の1年目が終わろうとしている。当時紛争が数週間以上続くと予想する向きはほとんどいなかったが、キーウやオデーサへの攻勢が挫折すると、ロシアの迅速かつ決定的な勝利への期待は急速に薄れた。ロシア軍が挫折し崩壊するというウクライナの期待も、急速動員で戦線全体でひどく傷ついた部隊を補うロシアの動きより同様に打ち砕かれた。  この数ヶ月、ロシアもウクライナも(そして西側諸国のウクライナ支持者も)諦める気配がないため、戦争はしばらく続くと分析されている。その一方で、紛争は一定のリズムを刻んでいる。  2年目はどうなるのだろうか。 ロシアの攻勢 NATOのオブザーバーは、予想されるロシアの春季攻勢はすでに始まっていると見ている。  ロシアはドンバスで、連動した進攻軸で前進しており、あるところでは大きな成功を収めている。  この地道な攻勢は、キーウを脅かし、ウクライナを戦争から追い出すような、大きな突破口を開く可能性は低いと思われる。ロシア軍は1年前に比べ、最新鋭の装備や経験豊富な部隊の多くを戦場で失い、多くの点で物足りなさを感じている。  しかし、ウクライナ軍に深刻な死傷者を出し、貴重な弾薬を使用させるなど、ダメージを与えていることは間違いない。  ロシアが紛争を拡大する見込みは厳しいと思われる。ケルソン奪還で、ロシアが黒海沿岸で攻勢をかける可能性はなくなった。ウクライナに対するロシアのミサイル攻撃は損害を与えたが、ウクライナの士気には大きな打撃を与えていないようだ。  最後に、ロシアはベラルーシからの作戦をウクライナの西部および北部地区に対する脅威とする用意はないようだ。 ウクライナの反攻  ロシアが成功しても失敗しても、ウクライナ側には反撃するチャンスがあり、兵力、弾薬、車両などロシア軍全体の戦力を消耗させることができる。  ロシアの攻勢が頂点に達した段階で、ウクライナ軍はロシアの前線を突破し、昨年失った領土の一部を奪還するための作戦を準備することが予想される。  ロシア側と対照的に、ウクライナは1年前よりも高性能な軍隊を編成して臨むだろう。欧米からの武器供与により、ウクライナ軍の技術的・物質的基盤が向上したことは間違いないが、訓練や西側

ウクライナパイロットのF-16訓練に必要な期間、コストとは

  米国はウクライナパイロットを数ヶ月で訓練できる。. Jamie Hunter F-16操縦の教習は、ウクライナ軍パイロットが同機で戦闘できるようになるため必要な事項の一面にすぎない ウ クライナ空軍の能力を向上させるため西側の戦闘機を寄贈するとの申し出はまだない。しかし、利用可能なタイプのうち、先陣を切っているのは、F-16のようだ。その主な理由は、入手のしやすさ、サポートのしやすさ、広大な物流インフラ、パイロット訓練の能力、適応性の高いマルチロール機能などだ。しかし、F-16の操縦だけでなく、戦闘訓練をパイロットに受けさせるのは、実現可能なのか。 この話題では、不正確な主張と大胆だが空虚な発言がいっぱいだが、現実を見てみよう。 スピードの必要性 ウクライナ戦争が2年目に入る中、ウクライナ空軍に欧米の戦闘機を供給する良う求める声が絶えない。ウクライナの勇敢な戦闘機パイロットは、MiG-29、Su-27、Su-24、Su-25など戦闘機や、AGM-88高速対レーダーミサイル(HARM)など西側兵器を使い、少ない機体で成果を上げ、日々活動を続けている。しかし、航空領域ではロシアが数的・技術的に優位を保っている。 2022年3月までさかのぼれば、ウクライナ指導部のトップは、欧米戦闘機を求め嘆願してきた。今日に至って、欧米から数多くの最新兵器がウクライナに流入しているが、今日に至るまで、戦闘機の選択肢は一つも実行されていない。ソ連時代の戦闘機も西側戦闘機も追加提供されていない。 米国はウクライナ人パイロットを既存のF-16訓練パイプラインに組み込むことができる  Jamie Hunter ウクライナのパイロットと一部の軍幹部は、中古F-16をキーウに供給するのが望ましいと明言している。ウクライナのMiG-29パイロット「ジュース」は2022年12月、The War Zoneに対し、「F-16の場合、訓練プログラム、電子対策、エンジン、あらゆるもので選択肢がある、まるでレゴのようだ」と語った。「技術的な能力は非常に近い。一般的に、F-16が航空機そのものとして優れているとは言わないが、能力、入手可能性、手頃な価格、さらに最も重要となる持続性を考えれば、ウクライナにとって最も現実的な選択だろう」。 ウクライナ空軍司令部の首席報道官ユーリ・イグナート大佐は、ロシア空軍力に対し