Air Force Fifth-to-Fourth Plan Questioned
U.S. Air Force lacks clear plan to link F-22 and F-35 operationally
F-35の配備が予定より遅れ、F-22は183機に留まる中、新規予算は先細りとなり、このままでは第五世代戦闘機のみの編成を目指す米空軍構想の実現に数十年かかりそうだ。.
- その一方で、主力ステルス戦闘機ニ型式は単価1億ドル以上をかけたステルス性を犠牲にしなければその他機種と有効なデータ交換ができないという皮肉な状況になっている。
- そこで空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が「第五から第四へ」の能力開発を課題として提唱している。つまりF-22やF-35のセンサーで集めた情報を第四世代のF-15およびF-16への転送する。作戦運用ではステルス機を前面に配備し、敵の防空網の「バブル」の外側を飛行する友軍にデータ送信し、敵の脅威状況を伝えることにある。旧型機はLink 16でデータ共有を広げる。
- ただし、データリンクの取り扱いががこれまで適当だったのが災いしている。F-22が飛行中データリンクin-flight data link (IFDL)で交信できるのはF-22間のみと設計されている。冷戦期にはF-22を100機単位で運用する構想だった。したがって交信は制限付きでもよく、むしろ正確さが重視された。
- F-35では多機能高性能データリンク Multi-function Advanced Data Link (MADL) が採用され、指向性アンテナと波形を都度変えることで傍受可能性・方向探知性を低く low probability of intercept/low probability of detection (LPI/LPD) 抑えている。なお、空軍でのF-35供用開始は最短で2016年8月だ。
- F-22は Link 16 でデータ受信のみ、F-35は送受信が可能だが、専門家によれば Link 16 でデータをやりとりするのは「空中に大型照明灯を点灯するみたい」なものだという。
- その中でF-22の制約が障害になっている。2011年にリビア作戦に投入するだったが、F-22で収集したデータを友軍に送信できないことがわかり取りやめている。
- そこでRQ-180ステルス情報収集機が早くて来年には供用開始となると言われる中、F-22およびF-35とデータのやりとりができるのかがはっきりしない。すべてのステルス機が敵の防空体制の中で通信できることが理想的だ。
- 空軍にはMADLを全機に装備する構想があったが、費用が莫大であると判明した。戦闘航空団関係者への取材が拒否され、書面による回答のみ得られたが、それによるとステルス機同士の交信ではなく、第五世代機から第四世代機への通信が中心になっていると判明した。
- 空軍がとりかかっているのは多機種間対応型処理システム Multi-Domain Adaptable Processing System (MAPS) でゲイトウェイ機能が中心のようだ。2015年度第2四半期までに提案要求書を発出し、第四世代機向けのポッド開発を目指す。
- MAPSでは赤外線探知追跡センサーinfrared search and track sensor (IRST) の実現も目標だという。空軍の目論見は1億ドル以下でMAPSを開発することだが、最終費用はまだ不明だ。製造数は予算次第だ。
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- ただしMAPSに求められる性能内容が問題だ。ゲイトウェイ機能で機種間の接続を実現するが、運用コストが高い戦闘機を敵防空体制の外で待機させしつつステルス機が内部に侵入する構想ではゲイトウェイ役の機体は本来のミッションに制約が生じ、結果として作戦費用が高くなる。第五から第四世代機間の接続に役立つが、直接の接続にはならない。
- MAPSそのものは短期間で作成したタロンヘイト Talon Hate ・ゲイトウェイからの発展型である。タロンヘイトは2015年度内にポッド4基を完成させIFDLの接続をF-22と第四世代機間で実現する。ボーイングがF-15C仕様で製作中である。
- タロンヘイトのポッドは 全長17 ft.、重量1,800 lb.でIRST機能、多機能情報伝達システム Multifunctional Information Distribution System を含み、後者はLink 16に類似しているが、衛星通信および空対地リンク機能がある。
- タロンヘイトの開発所管は空軍内の国家装備戦術利用Tactical Exploitation of National Capabilities (Tencap) 室で、これは議会の求めで創設された各軍向け技術普及組織である。Tencapでは「国家」装備と呼称される非公開の衛星や航空機からのデータ配信方法も検討している。
- 航空戦闘団はタロンヘイトの取材には応じなかったが、一部情報を提供してくれた。ボーイングはすべての質問を空軍に転送した。
- ただし第四世代戦闘機向けのポッドがMAPSの解決策になるのかと疑問を呈する向きがある。ステルス機同士は外部ゲイトウェイを介さずに交信が可能となるはずだが、タロンヘイトの機能を小型化する検討もしているという。その解決策がポッドになるのか全く違う形になるのか不明だという。
- MAPSはF-22とF-35間の直接交信には使えない。ウェルシュ大将が提示した課題は第五と第四世代機関の接続だが、空軍の一部と議会内部で今こそデータリンク戦略をしっかりと構築すべきとの主張がある。これに対し「提唱するのはいいが、内容を理解していないのではないか」と業界筋は冷淡だ。「要求内容がまだ決まっておらず、ほんとうに必要な内容を整理する時間をかけていない」という。MAPSのPは現時点ではプロセシングのPとなっているが一時はポッドのPだったことがある事自体が空軍内部で考え方がまとまっていないことのあらわれだ。
- ボーイング、ノースロップ・グラマン、ロッキード・マーティンの各社がMAPS構想の提案を出してくるとみられる。このうちノースロップ・グラマンはゲイトウェイの実証実験をすでにおこなっており、F-22とF-35のデータをLink 16のメッセージに転換し外部パッドを使わずに第四世代戦闘機に配信している。
- ロッキード・マーティンはL-3 Communicationsが開発した新しい波形カメレオンでF-22とF-35を直接リンクして、ステルス機の位置が探知されることを回避している。カメレオンの実証実験は昨年12月に実施しており、Lバンドアンテナ(両機種に搭載済み)で交信できたという。ロッキードは自社資金で開発しており、これをプロジェクト・ミズーリと呼称している。
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- カメレオン波形がLink 16で伝える信号データは背景ノイズにまぎれて「伝搬」される。専用受信機でないと「引き出せない」とされ、妨害対策が60通り開発されているという。
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- ロッキードとL-3は地点間接続の実証を行っており、最終的には「マルチモード」のカメレオン接続も実証する。F-22とF-35同士でカメレオンで「会話」するコンセプトでデータをF-18,F-16やU-2(高高度でRQ-180の代役を務める)へデータ送信する。バブル後方を飛行するF-35一機がLink 16で他機に送信する。■
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