スキップしてメイン コンテンツに移動

ファーンボロ航空ショー前のボーイング・マクナーニ会長に聞く(ターミナル1共通記事)



An Interview With Boeing CEO Jim McNerney

Jul 14, 2014Joe Anselmo and Graham Warwick | Aviation Week & Space Technology
ボーイングCEOジム・マクナーニが今年はじめに新方針として“no more Moonshots”超難題な挑戦は避ける、を発表し注目を集めた。マクナーニはその真意はボーイングは新技術開発と革新への投資であともどりすることはできないのだと、AW&ST編集長ジョセフ・アンセルモと技術担当主筆グラハム・ウォーウィックに同社シカゴ本社で語っている。同時にボーイング757後継機、スペースXを起業したイーロン・マスク、そして自身の引退についても語っている
AW&ST: ボーイングはもう“Moonshots”を新規事業で狙わないとのことだが、戦略を変更したのか。
McNerney: 技術の民生化で戦略を変換しているが、技術戦略の話ではない。当社が技術革新を軽視していると誤解があるようなので正しておきたい。市場差別化を実現できる技術には投資を続け優位性を保つ。業界には技術を一度に使って劇的に性能を向上させる一方リスクを無視する傾向がある。当社の787がその例だ。
技術開発投資を削減するということではないのか。
技術へのR&D投資も続けるが、リスクを意識しながら螺旋状に向上させていき、顧客が本当に求めているものと将来に必要となるものを区別する。各製品の位置づけを明確にし、開発工数も短縮する。
だがそもそも787はボーイングがというより顧客が求める性能を実現したものだったが。
技術目標の7割を実現して顧客の95%が満足することが目標だ。そのため短縮化でコストも下げる。この例が5つ6つあり、それぞれ性能はそんなに向上jしなかった、あるいは効率が向上しなかった例がある。
同じ発想は軍用製品にも応用されるのか。
その通り。利用可能な技術がひろがれば、理論上は開発リスクを減らセル一方、自ら傷を広げる可能性も増える。F-35と787がその例で、当初に過大な期待を寄せすぎたと思う。開発が遅れ費用は予想を上回った。反対にうまく言った例がF-18で最初から実施可能な想定を追求し、その後20年をかけて性能を向上していった。737もこの例だね。
787は失敗例だったというのか。
そういうつもりではない。787は大成功だ。非常に魅力的な機体を作ったが、もう数年前に就航させられたはずだ。そうだったら経費は節約でき、顧客ももう少し早く性能の95%を享受できていたはず。事業開始時に興奮しても、設計に緩みが出てこないように自制がいつも必要だ。このことは肝に念じている。
737はあとどのくらい訴求力を維持できるだろうか。エアバスは新型ナロウボディ機は2030年まで必要ないと言っているが。
おそらくそれは正しいと思う。 737 MAX、 A320neoはそれぞれ予想以上の成功になりつつある。一時は真剣にNSA(新型単通路機)を検討し、社内チームに競作させてみた。だが、一発勝負対螺旋状改良の比較で顧客はNSA開発まで待てないと判断した。顧客には大きな効果が短時間で提供できる。その意味で2030年というのは間違いではないと思うし、顧客からも同じ意見を聞いており、実際に 737 MAX、 A320neoの大量発注を受けている。
ということは737も改良の余地があるということか。
そう、改良の余地は残っているが、ここでその発表をするつもりはない。MAXがベースとなる。
757後継機をいつ市場が求めてくるのか。
ナロウボディ機ファミリーの評価次第だと思う。今言えることは当社はこの点を注意深く見つつ市場の意見が重要との点では賛成だ。対応策には選択肢があるが、いつになるのかについては発言を遠慮したい。
ボーイングはNASA有人宇宙機競作に参加している。仮に受注失敗の場合、開発を断念するのか。ボーイングは政府資金がある場合において宇宙関連で進展をあげているようだ。スペースXも政府資金を得ているが、あの会社には「とにかく成果をあげようぜ」という考え方がある。ボーイングももう少し積極性を示していいのではないか。
良い質問だね。スペースXのCEOイーロン・マスクは良い仕事をしている。当社もアメリカ国民に再び宇宙へ関心を示してもらうため何ができるかを検討しているが、マスクはこれに成功しているし、その功績を認めてあげたい。有人宇宙船には四社が競合しており、当社が敗退することはないと思うが、受注できなければ宇宙の商用利用には厳しい見方をしないといけなくなるだろう。NASAからの大型契約がないと事業としてなりたたないからね。
宇宙への関心を再度喚起するというのであれば、「超難易度の課題は避ける」というのはおかしいのではないか。
だからこそ先に技術戦略と事業戦略は異なると説明申し上げた。当社はIR&D(自社資金によるR&D)に資金を投入して技術革新を実現しようとしている。一分たりとも後退したことはない。問題は技術成熟度が高まってから活用することであり、その前ではないし、顧客の要求内容が明確になっていることが必要だ。現在の世界は少ない金額でもっと多くの成果を求めており、それだからこそ賢く大胆に技術へ投資をして、螺旋状に向上させていかねばならない。
その螺旋が早くなれば、技術革新の内容も早く実用化できるのでは。
機体価格の問題はあるが、ご質問のとおりだ。市場投入を早める事が可能となる場合がある。
ボーイングは商用機事業が順調であることにより防衛事業でも大手担っている点がユニークだ。国防分野でも IR&Dを増やして市場が低迷している今だからこそ主導権を握れるのではないか。
ボーイングコマーシャルエアプレインズの財務状況が好調なことで合理的な判断も可能となっている。国防宇宙部門だけだったら、判断が非合理的になっていただろう、特に現今の国防部門のように厳しい時には。国防宇宙部門での合理的な意思決定とは短期的中期的にコスト構造を引き下げつつ、将来の中核となる投資を維持・増加させることだ。IR&Dを縮小するつもりはない。これが次代の競争力強化につながる。
ボーイングは他社と連携する例が多くなっている。空軍の長距離打撃爆撃機ではロッキード・マーティンと、T-X練習機ではサーブと、陸軍の次世代垂直輸送機ではシコルスキーとと言う具合だ。これはボーイングが単独で新規案件を最近は手がけておらず、リスクを分散しようということなのか。
国防部門が好調だったとしても連携案件はやはり存在していただろう。ともすれば単独で入札に望みたくなるものだが、今のように先のことが不確かな環境では共同事業をもう少し厳しく精査しなければならない。技術能力でほんとうの意味の補完関係があり、売上をどう分配するのかが明確になっていないと。また単独で実施するよりも良い結果が本当に得られるのかも確認事項だ。これができなければ、市場環境とは関係なく、共同事業はしないほうがよい。
C-17,F-15,F-18の後継機種は検討しているのか。
当社の戦略はニ方面で、ひとつはF-15、F-18それぞれの寿命延長化だ。F-35の就役がはじまってもグラウラー電子攻撃機は有益な機体となり、同機の海外営業の可能性も高いので数年間は生産ラインを維持できるだろう。さらにその先ということだと当社の技術陣、生産現場はUclass(米海軍向け艦載監視偵察攻撃機)、長距離打撃機材、T-Xに期待をつなぐ。各案件の受注には自信があり、これが長期計画になる。
ボーイングが下請企業に提唱している成功のための提携関係Partnering for Success はボーイングが一方的に利益を享受する構造だという向きがあるが。
当社から受注して事業規模を拡大している協力企業の例は多い。ただし各企業も当社がこれまで経験したように生産効率を劇的に向上させ経営管理の構造を合理化する努力をしている。当社もシステムインテグレーターとしてリスクを負うので、各社にも同じ経験を求めているわけだ。協力企業の中には当社以上の利益率を確保している例もある。当社から各社に目標を設定はしていない。単に当社と提携することで全社一丸となりサプライチェーンの競争力があがると言っている。逆にサプライチェーンにリスク負担を大幅に求めているわけではない。各社には生産性、効率性を妥当な期間をかけて向上してもらいたいとお願いしているのだ。
777X生産拠点をワシントン州以外の地点に移すと言っていたのはどこまで真剣な話だったのか。
とても真剣だった。生産拠点の移動は前にも行っている。提案を伝えることで社の評判が下がることも覚悟していた。合計23地点を検討したが、ピュージェット・サウンド地区に落ち着いてよかった。
今回のファーンボロがCEOとして最後の航空ショーになるのか。ボーイングはデニス・ミュイレンバーグ Dennis Muilenburgを社長に昇格しており、あなたの後継者にするのは明白なようだが。
その決定はまだしておらず、予定は未定だ。今年65歳になるが、まだ頑健だ。デニスには新しいポストで仕事をする機会を与えた。ただし当社の副会長はレイ・コナー Ray Connerであるのはご承知のとおり。幅広い人材が当社にはある。■

コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…