スキップしてメイン コンテンツに移動

ロッキードCEOに国防事業、宇宙事業について聞く


Lockheed CEO On Defense And Space Endeavors

Jul 7, 2014Joe Anselmo and Amy Butler | Aviation Week & Space Technology
開発に13年を費やしているロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機にもついに国際デビューが近づいてきた。ロイヤルインターナショナルエアタトゥーとファーンボロ航空ショーで飛行展示を予定し、ショーに合わせ大西洋横断出張する前にロッキード・マーティンCEO兼社長マリリン・ヒューソンをAW&ST編集長ジョセフ・アンセルモとペンタゴン担当上級編集者エイミー・バトラーがワシントン郊外で取材し同社の近況と課題について尋ねた。
F-35の経験で得られた教訓は多数ある中でもっとも重要な教訓はなにか。
ヒューソン: まったくの新型機開発で複雑な要素がたくさんあり、三軍に8か国も加わり、開発意外でも性能などで他に例がない事業である。過去の事業とまったく違う。教訓として連絡を強化し、要求内容を完全理解し、各工程をしっかりとこなしていくことだ。もう一つ重要な教訓は良い仕事だ。複雑な開発過程をこなし、増産し、維持し、全体通していい仕事をすることだ。
教訓をロッキード・マーティンは将来の事業にどう反映させるのか。
各事業担当は組織的な訓練を受けており、顧客に焦点を合わせ次のような疑問に答えられるよう強化している。「顧客に耳を傾けているか、また正しく対応しているか。顧客の目的を正しく理解しているか」 ただしこれは当社事業では当たり前のことだ。そこにあえて優先順位を付ける。顧客とはオープンで透明性のある意思疎通が重要と考えるし、ちゃんと聴いて顧客の要求にこたえ、顧客のニーズにあわせることが肝要だ
あなたのCEO就任前にペンタゴンの調達トップのアシュトン・カーターがロッキードの出す結果が一定の基準以下なら同社のJSF責任者は更迭されるべきだと発言している。部下の責任者たちの功績をどう評価し、F-35他事業に応用できる教訓が得られたと考えているのか。
おっしゃる意味での教訓についてはお話しできない。事業は2010年に再構成されてからうまく動いてきた。当社の事業責任者には要求内容の完全理解を求め、顧客と密接に動くことで各変動要因つまり性能、費用、日程、品質、技術面それぞれで対応させてきた。その代償として当社は契約金、奨励金等を受け取っているが、目的に対してはこれらは二次的な成果にすぎない。
あなたがCEOに就任してからロッキード・マーティン株価は85%も上昇しており、ダウジョーンズ工業株価平均より3倍も大きな変化を指名している。国防関連が不況に入る中、この結果をどう説明するのか。
当社担当チームの成果だ。当社の売り上げは減少しているが、予想した程度までの悪化ではない。ひと株あたり収益、利益率は増加しており、その主な原因は事業単位の業績内容だ。現在当社が実施中の事業は6,000件になり、好業績で過去最高を更新している。製品群は強力で投資拡大を続けている。当社の経営陣は業績の上下を経験してきたので、不況期をどう乗り切るのか、好調時をさらに利用する方法を熟知している。ひとことでいえば、適正価格を重視し、事業構造を正しく維持することだ。
現在の国防ビジネス下降は周期的なものか、それとも費用面で圧力が強いため構造的にビジネスが低調になっているのか。
今回の下降局面はこれまでと違っている。1980年代末から1990年代初めの不況時にはレーガン軍拡が終了にさしかかっていたが、この国は国防にすでに大規模投資をしていた。そこで「平和の配当」が生まれたが、2008年発生の世界規模での金融システムメルトダウンと言う構造的な問題もまだ存在していなかった。現在はというと、二つの戦役が終了し、需要が後退している。しかし世界規模の緊張は解消しておらず、むしろ拡大している。予算圧力と合わせると環境がこれまでと違っていることになる。
国防高等研究プロジェクト庁(Darpa)長官アラティ・プラバカーArati Prabhakarが大規模兵器システムの調達にかかる時間と費用に失望し、商用技術を国防製品開発に流用していないことも遺憾に感じている。このとおりなら国防体制が危うくならないか。
今の段階で投資を怠ると回復できない格差が生まれる。そこで国家として技術の主導権を維持し、新しい次元の性能に投資していく必要がある。一休みして、そのあとで追いつくのは不可能だ。研究開発への投資を維持する必要がある。これこそ当社の生命線だ。当社の顧客は技術開発や革新的技術の成果を求めて当社にやってくるのであり、そこで停滞は許されない。同じことが国家安全保障にも言えるだろう。
プラバカー長官は投資以外にも言及しており、システムがあまりにも低速で、柔軟性が欠け、システム開発そのものがあまりにも高額になっていると指摘しているが。
長官がみんなと一緒になって工程を改善できる立場だといいのに。Darpaは本当にいい仕事をして、インキュベーター式にハードルの高い問題や時短的に結果を出す課題の解決を助けている。当社のスカンクワークスは別のモデルだ。各社からどうやったらそんなにはやくイノベーションができるのかとよく聞かれる。
ロッキード・マーティンがIRAD(独立型研究開発)に投資を拡大しているというが、総売り上げ比率ではこれまでの標準を下回っているのでは。昨年実績ではわずか1.5%だった。
これまでの標準以下だとは思っていない。IRADだけでなくR&D支出全体を見てもらいたい。各開発案件の初期段階には相当の投資をしており、これが開発費用の相当を占め、縮小しているとは思わない。
IRADを活用して近い将来にビジネスの機会が生まれるのか、あるいは政府に自主的な提案ができるのか
今はまだお話しできない案件に注力しているところ。これは近い将来に当社の事業拡大につながるとみている。長期的には極超音速、指向性エネルギー、自律型ロボット工学、高機能素材としてのナノテクノロジー、3-Dプリント技術や高度加工技術を重視している。それぞれが業界地図を変える可能性がある技術。
米海軍のUclass(無人艦載監視攻撃機)の要求性能を見るとステルス性が軽視されているようだが、このままならロッキード・マーティンは入札を見送るか。
要求性能全般を見て判断する。スカンクワークの設計で大きな成果を上げており、米政府が求める内容にあわせることはできるだろう。すでに事業にとりくんでいるが、精査し当社ができることを決める必要がある。入札への対応にはこまかい手順を確立している。勝算があれば当然入札する。
ロシアからRD-180ロケットの対米販売を停止すると通告があった。もし新型エンジンが数年後に実用化されないとアトラスV打ち上げ機がたちゆかなくなる。そのなかでロッキード・マーティンとしてはUnited Launch Alliance (ULA) 合弁事業にボーイングとともに引き続き参画することに意味はあるのか
アトラスの在庫は2年分あるし、デルタIVもあり、数年先というご質問であればこれが答えだ。その先に打ち上げ事業が維持できなくなるかは誰にもわからない。別のエンジンが実用化される公算があるかと言えば、たぶんある、と言えるが、米政府が新型エンジンに投資をすれば当社も支援したい。

ではデルタIV以降についてロッキードは検討を始めているのか。スペースXが市場をかき回す要因にならないか。価格体系も変化しはじみており、顧客の要望も同様に変化しているのではないか。
スペースXが認可を受ければ、当社としても当然対抗する準備に入る。当社の実績はULA通じ打ち上げ成功83回、当社単体でのアトラスで115回ほどある。将来の競争がどうなるかは絶えず検討している。当社の提示価格は十分に競争力があると思うが、相手方の価格帯がどうなるか見てみたい。その一方で当社の仕事はお値打ちな価格で打ち上げを提供することで、これがULAの仕事にもなる。
前任者のボブ・スティーブンスはサイバーを「開拓分野」“Wild West”だと言っていた。そこで現在のロッキード・マーティンはサイバーで十分な収入を得る目標はどこまでできているのか。
現時点でサイバーは年商10億ドル規模の事業で、今後もサイバー安全保障関連は延ばしていく。これは国内と国外の双方で。各国政府多数をこの分野で支援しているし、民間大企業についても同様。総売り上げ450億ドルの当社としては小規模になるが、サイバー安全保障は多くの事業に関連するものであることが要注意だ。
プーチン大統領のウクライナ対応で東ヨーロッパはロッキード・マーティンにとって魅力あふれる市場になってきたか。
ミサイル防衛他で関心が高まっている。ポーランドでは50億ドルで防空システム構築をしようとしており、当社は期待している。当社の提案はMEADS(中規模防空システムズ)でドイツ、イタリア、ポーランドの関係者と意見交換して、それぞれMEADSへの関心が高く、高性能かつ全方位対応能力で各国ニーズにこたえられることが分かった。またNATOとの共同運用能力があり、NATO標準と指定採用される可能性もある。その他当社製品への引き合いもある。世界いたるとところで当社製品への需要があり、ぜひ当社製品を採用していただきたい。■

マリリン・ヒューソン (60)略歴

アラバマ大で経営管理学修士号
ロッキード・マーティンに1983年上級生産技術職として入社。以後19回の昇進を経て、2013年1月1日より同社トップへ。

コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…