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次次世代の超音速・長距離攻撃機に期待する米空軍

Aviationweek.com  1月11日 米空軍の次世代爆撃機の飛行速度は亜音速とする決定があり、極超音速実証機ブラックスウィフトの計画中止が決まったばかりだが、高速・長距離飛行が可能な攻撃機に対する関心を失っていない。 次世代爆撃機を亜音速とする決定は高い生存性を持つ超音速機技術が2018年までには成熟化していないためであると空軍研究所の航空機部主任科学者ロナルド・ポールは語る。「高い生存性」とは高度ステルスであり、エンジンを機体に埋め込んで尾翼のない形状となるが、この機体形状では超音速機はまだ実現していないというのだ。空軍が2018年爆撃機を定義した際には超音速機を実現する技術が実用化されていなかったとポールは説明する。 鍵となる技術はアクティブフローコントロールであり、空気取り入れ口と排出口と無尾翼機体の制御に関するものとポールは語る。 空軍研究所では同時に航空戦闘軍団および太平洋司令部と共同で長距離攻撃機の研究も行っている。これは有人亜音速機となった次世代爆撃機の後継機をめざすものだが、現在は兵装に焦点を当てているという。検討されたオプションには高速度長距離ミサイルにボーイングX-51スクラムジェット実証機の技術を応用するものがある。X-51は本年末までに初飛行の予定。 極超音速航空機の実証機として期待されたブラックスィフト計画の中止により、同研究所はX-51の長距離版に追加予算が計上されることを期待している。ブラックスィフト(空軍研究所と国防高等研究プロジェクト庁の合同研究プログラム)は議会が野心的な目標の達成は無理とし昨年その開発を取りやめさせたもの。計画に終わった同機は滑走路からの離陸、ターボジェット推進での加速、スクラムジェットへの動力切り替え、マッハ6での巡航と飛行操作、か滑走路への着陸をもくろんでいた。 もし、空軍研究所にブラックスィフト向け予算が計上される場合には極超音速技術の研究の継続に使われると見られ、X-51(空中発射、ミサイル大)の開発が進むだろう。

大統領専用機の後継機種さがしが始まった

Flightglobal 1月9日 米空軍はボーイングVC-25大統領専用機の後継機選定に踏み出した。昨日、現有のVC-25(747-200改造型)2機に替わる広胴型合計3機発注を前提に市場情報の公告を発表した。代替候補の検討は2007年にしており、その際はA380が候補で、VC-25の近代化を実施するよりも新規購入が費用対効果で有利との結論であった。 次期大統領専用機一号機の納入は2017年としており、二号機三号機は2019年、2021年納入とする。選択肢は 747-8I とA380 に限定されよう。2007年10月にエアバス社は米空軍よりの要求でA380,340,330各機に関し前例のない範囲のデータ提供を実施している。今回の新規要求に対して同社は「同要求文書をすでに受領しており、検討中です。今後社内決定となります。」と発表している。昨年9月にEADSノースアメリカは大統領専用機含む各種米空軍向け開発計画を推進すべく開発責任者の公募公告を掲載している。 一方、ボーイング幹部は大統領専用機契約の受注は同社最重要事項の一つと発言している。「同契約はボーイング社に大きな意味を持ち、これまで50年にわたり維持している当社は大統領専用機に必要な事項をはっきりと理解しております。」(同社スポークスマン) ボーイング707を基にしたVC-137エアフォースワン一号機の納入は1962年。その28年後にVC-25が引き継いだ。同機も機齢27年を超え退役を迎えようとしている。 ただ、米国航空メーカーによる大統領用航空機供給の独占状態はすでに2004年に破られている。ロッキード・マーチンがアグスタ・ウェストランドEH101を原型とする次期他大統領専用ヘリコプター提案がシコルスキーH-92案を破って採用されているからだ。 コメント:ボーイングにはまた不利な展開となりそうな気がします。A380になると、またボーイングからの抗議となる泥仕合になるのでしょうか。そうなるとグローバルに大統領を運ぶ機体がなくなっていまいますが、いまさら巨大なA380をエアフォースワンとして運航するよりも威厳はなくなっても長距離ビジネスジェットや787にダウンサイズしてはいけないのでしょうか。通信機材や余裕の問題から一定の大きさが必要なのかもしれませんが、エアバスが大統領専用機になる事態だけは目にしたくないもので

インド海軍の次期哨戒機はP-8に決定

Aviationweek.com 1月5日 インド海軍がボーイングP-8i型多任務航空機合計8機を1月2日に発注し、同数の老朽化すすむTU-142と代替する。これはボーイングによるインド向け軍用機の初の直接販売となる。 今回の取引ではボーイングが30パーセントの実質値引きを提示。同社は引渡し予定ではコメントをしていない。 P-8Aは長距離、対潜哨戒、対艦攻撃、情報収集、監視、偵察機能を有し、戦闘空域における共同作戦能力を最大限発揮できるミッションシステムを搭載。 同機のオープンアーキテクチャアにより国内開発センサーの統合、機能向上アップグレードが簡単にできる。国産センサーを搭載可能と言うことはインドが今後海外(例としてイスラエル)との共同開発を進める余地があることになる。 高成長を続ける同国経済のエネルギー供給路がアフリカ沿岸まで延びており、インド海軍の洋上監視手段は大きな課題に直面している。さらに、南西アジアの安全保障体制の変化により、洋上でも軍事即応体制が必要になってきた。この関連でP-8I型機は今すぐ必要な選択と見られている。インドがP-8を導入すると、アクティブ電子スキャンアレイレーダー搭載のF/A-18E/FあるいはF-16とのネットワーク化の相乗効果には関心が寄せられよう。 一方で、インドはハープーンミサイル20基(ブロックII)をアメリカから購入し、インド空軍・海軍の対艦攻撃能力を近代化したいと考えている。 ハープーンミサイルの主契約先もボーイングとなる。今回の商談ではボーイングからの価格相殺ないといわれており、オプション全部含めると同契約成立時の価格は1.7億ドルとなるだろう。 同ミサイル導入でインド海軍もアメリカとの共同作戦能力を高めることができる。米国国防安全保障協力庁はインドによる同ミサイル導入に問題なしとの見解だ。ボーイングP-8I型にはハープーンミサイルの搭載が大きな変更なしで可能と予想される。 コメント 実質3割引、と言うのはインドとの商売のつらさを感じさせるくだりですね。日本はXP-1(P-X)の開発を進めており、P-8導入の余地はまったくありませんが、双発機で洋上低空低速ミッションができるのかと言う根本的な不安がありますね。運用上はUAVを低速監視に使うとのことですが、こちらも初飛行が大幅に遅れ、機体価格が初飛行まで進んでいるXP

イタリア空軍向けKC-767が就役へ一歩近づく

FlightInternational電子版1月2日 配備が遅れているイタリア空軍向けKC-767A空中給油・輸送機だが、ボーイングが同型機からの空中給油の実証実験に成功し、就役が一歩近づいてきた。 ボーイングのウィチタ工場(カンザス州)上空において12月17日にイタリア発注のKC-767一号機が4,540キログラム(1万ポンド)の燃料を二号機へ空中給油した。飛行中に同機の給油ブームを用いて合計7回のコンタクトに成功したボーイングは発表している。 KC-767のローンチカスタマーとなったイタリアは2005年から2008年までに4機の受領を想定していたが、飛行テストで判明の技術問題で大幅に遅延。ボーイングは昨年2月に2機を2008年末までに引き渡すと発表していたが、これも実現できなかった。発注済の残り2機はまだ製作中。 イタリアに続き同機を発注した日本は発注4機のうち2機を運用中。 コメント: すべてのモデルで引渡しが遅れているというのはそれはそれですごいこととしかいいようがありません。それはいいのですが、空中給油機に空中給油させるというのはイタリア空軍がアフリカ、西アジアはじめグローバルに輸送力を提供する作戦構想を持っているからでしょうね。

B-2 レーダー改修へ

あけましておめでとうございます。 今年も防衛産業の話題をターミナル2で扱っていきます。 最初に少し遊び心もあり、いつも当方がニュースソースとしている二つのサイトで同じ話題を同扱っているかを比較してみました。今年もよろしくご愛読ください。 まず、FlightGlobal http://www.flightglobal.com/home/default.aspx です。 B-2レーダーの改修の生産が始まる FlightGlobal.com 12月30日 米空軍はB-2のレーダー近代化改修(RMP)の開始を初期低レート生産でノースロップ・グラマンに総額468百万ドルで発注した。B-2のレーダーアンテナは新しい周波数帯の電子アクティブスキャンアレイ(AESA)に更新される。 本契約はノースロップによるアレイの再設計が米空軍の要求水準を満たしていることを意味する。米空軍は再設計が必要な理由については言及していない。ノースロップ関係者は米空軍発表についてのコメントをしていない。 米空軍がB-2のアンテナ改修を必要とするのは現在使用中の周波数帯が民用使用に切り替わるため。アンテナが切り替わるが、レーダー性能はレーダー・プロセッサーの更新がないため現状のまま。ノースロップの共同事業者はレイセオン・スペース・アンドエアボーン・システム、ロッキード・マーティンシステムインテグレーションおよびBAEシステムズの各社。 なるほど、コツを抑えた報道ですね。次はおなじみAviation Week and Space Technology (エイビエーションウィーク)http://www.aviationweek.com/aw/awhome.jsp です。 米空軍がB-2レーダーの改良型生産契約を交付 AviationWeek.com 12月30日 ノースロップ・グラマンはB-2のレーダー改修計画(RMP)契約を受注した。米空軍によるとレーダー改修はB-2ステルス爆撃機の「作戦運用性を持続する」ものという。同改修が必要となったのは商務省から米空軍に対しB-2で使用中のレーダー周波数の停止を求められたため。 改修の中心はアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)アンテナ。レーダー信号とデータ処理の変更はなく、性能の追加もない。ただノースロップグラマンによるとRMPは将来の性能拡張の基礎となるという。

お知らせ

ターミナル1にオバマ次期政権におけるビジネス航空、航空管制への影響についての観測記事をviation Weekより紹介しましたので、ご関心の向きはご覧ください。

F/A-18合計2千機のシステム改修

AW&ST 電子版 12 月 24 日 ボーイングは合計 2 千機の F/A-18 各型、 8 カ国で稼働中の機体のミッション・システムの改修契約を総額 9.053 億ドルで米海軍から獲得した。 F/A-18 A/B, C/D, E/F および EA-18G 各型の米国、カナダ、オーストラリア、スペイン、クウェート、スイス、フィンランド、マレーシア各国で運用中の機体は 2013 年 12 月完了予定の性能向上改修を順次受けることになる。今回のアップグレードは同型機を「今後 30 年間に出現する脅威に立ち向かえる」(ボーイング社スポークスマン)地位にとどめるためのもの。 今回の受注はボーイング社には大きな意味を持つ。同社はこれまでロッキード・マーチン F-35 共用打撃戦闘機やサーブ・グリペン NG を待つ米国および同盟国空軍には F/A-18 がつなぎとなるばかりか代替選択肢となると宣伝してきた。オーストラリア空軍、米海軍、米海兵隊がそろっていわゆる戦闘機ギャップをどうやって埋めるかで頭を悩ましてきた。 ボーイングはミッション・システムの改修をソフトウェア、ハードウェア両面から進める。その中には分散処理による目標設定プロセッサ やアクティブな電子スキャンを使うレーダーの改良が含まれ、改修効果が相乗効果を生むと同社は語る。 改修作業の 95 %は同社セントルイス工場(ミズーリ州)で実施、残りは海軍航空戦闘センターのウェポン部門(カリフォルニア州チャイナレイク)で予定。後者は今回の契約管理部門でもある。これだけの大規模契約であるが、予算は会計年度を繰越できないことになっている。 コメント : なかなかしたたかなビジネスです。新鋭戦闘機は当分ものにならないので、現有機の性能向上で運用能力の維持向上ができますよ、ということですね。こうなると、F-35等次世代戦闘機の導入がまた一歩遅れることにもなりかねません。F-35はお世辞にも美しい機体ではありませんので、当初は批判を受けながら順次成長してきたF/A-18(この表記をする機体も同機が最後?)の魅力的な姿が当分見られるのはうれしいことです。

空母運用に向けて準備進むX-47B

AW&ST 電子版 12 月 18 日 カリフォルニア州パームデール発 ---- ノースロップ・ グラマンと米海軍はX -47 B無人戦闘航空システム(UCAS) 実証機用に、 航空母艦の飛行甲板あるいは空中から同機を管制する制御装置、 視覚上の工夫、コンピュータ・ プロトコールの一連のデバイスを開発中。 その一部が 12 月 16 日に当地の同社施設でのX -47 Bロールア ウトで発表された。飛行可能な機体第一号AV -1 は 2009 年 1 1 月 11 日に初飛行する。二号機AV -2 は 2009 年 12 月に完 成予定。両機で無人戦闘航空機の空母運用の可能性を実証する。 初飛行後は一年間の性能限界向上テストをエドワーズ空軍基地( カリフォルニア州)で行い、 その後パタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州) に移る。カタパルト発進テストをレイクハースト海軍航空技術部( ニュージャージー州)で実施後にノーフォーク(バージニア州) でニミッツ級空母に搭載され、 2011 年 11 月に洋上の空母着艦 試験で終える。使用する空母はハリー・S・トルーマン(CVN 7 5 )を予定。 空母運用の適合性試験では無人機の空中・ 艦上での管制方法を評価する。 UCAS部隊関係者は飛行甲板上で「イエローシャツ」 と呼ばれる航空機運用関係者の後ろにたち、 リモコン装置で同機を操る。 イエローシャツの役目は混雑した空母上で円滑な運用と安全の確保 。標準的な空母の飛行甲板上に 12 人から 15 人のイエローシャツ がいる。 X -47 Bの状況は機首車輪に装着のライトの組み合わせで飛行甲 板乗員に表示される。緑のライトは甲板要員が同機を制御中、 青は同機がミッション要員の制御下にあること、赤は障害を示す。 UCASは空母への接近・ 着艦を自動で行うがその際に利用するのが共用精密接近着艦システ ムの母艦連動GPS着艦システムである。 UCASも着艦信号士官(LSO)が飛行士の経験を生かし、 最終接近で視認責任を果たすことになる。 アプローチが正しくない、 あるいは着艦位置が不明の場合にはLSOはインターロック・ スイッチを入れて着艦を「拒否」できる。 このスイッチでデジタル信号をUCASに送り、出力増で一気に 1 200 フィートまで

F-22のデータリンク改修の方向性

AW&ST電子版 12 月 19 日 米空軍はF -22 向け次期改修作業の要求内容を準備中で同戦闘機 にF -35 用に開発中のステルス性のあるデータリンクを装着する 。「F -22 の兵器システム開発の性能向上フェーズは 3.2 改修 で、多機能高度データリンク(MADL)能力の確保を含みます」 (ロッキード・マーチン) 同社は 3.2 改修作業の開始を控え、 高度データリンク装置の選定を待っている状態。改修は 2012 - 13 年にかけて実施される。ノースロップ・ グラマン製のMADLがロックウェル・ コリンズの戦術目標ネットワーク技術(TTNT) によるデータリンクを押さえて採用されている。 MADLは米軍のF -22 、F -35 、B -2 で構成の「 アクセス不能」部隊を束ねるべく採用された。 さらに海軍が開発中の無人戦闘航空システムも含まれる可能性があ る。F -22 にはすでに航空機間データリンク(IFDL) が装備されているが、同装置の性能には限界がある。 F -22 にMADLを装着するためには無線装置の更新、 現行IFDLアンテナのMADL用改修、また「 部隊間メッセージの統合処理のためのソフトウェア」( ロッキード・マーチン)が必要となる。空軍は当初 3.2 改修の対 象をF -22 のうち 80 機のみと計画していたが、 国防総省の調達責任者ジョン・ヤング次官が 11 月に議会に対し、 追加予算を要求し、初期生産 100 機にも追加改修する意向を伝え ている。 国防総省の高度戦術データリンク構想ではMADLが唯一の非アク セスネットワーク用のデータリンクとなる。B -2 向けにはEHF 衛星通信リンクが加わり、全地球情報網( Global Information Grid )への接続が可能となる。 「現在のところF -22 では追加の双方向データリンクはMADL とIFDL以外には要求を想定していないが、 アーキテクチャの方針決定を準備中で、 追加性能の統合が可能となります。」(ロッキード) コメント:  net centric warfare の中核をなすのがデータリンクですが、この 10 年 で米軍は相当の進歩を実現していますね。F -22 の調達は異例の 少数規模で終わりそうですが、 性能をこ

イランがロシア製SA-20を導入か

AW&ST電子版 12 月 10 日 米政府高官(複数)はイランがロシア製SA -20 長距離SAMシ ステム購入を「契約調印」していると確認。 イランが同システムを稼動させる西側が問題としている同国内核施 設の防衛能力が大幅に向上されることとなる。 「イランはSA -20 購入契約に動いている。 当方にとって今まで経験していない規模の課題に直面する。過去 2 0 年にわたり我方の航空優勢があってこそ安全保障が有効でどこで も自由に作戦を遂行できると感じていたにすぎない。」( 政府高官) アルマズ・アンテイ製SA -20 または S-300PMU1/S- 300PMU2 は非ステルス航空機には大きな脅威となり、 航空戦術ならびに作戦計画そのものの変更を余儀なくされる。SA -20 の有効範囲は 150 キロメートルであり、イランは S- 300PMU-2 型の購入契約を調印している可能性がある。 ロシアはべラルーシを販売経路として利用し、 自国は直接関与していないと主張している。(政府関係者) それでもイラン軍がSA -20 の運用能力を獲得するのには 22 ヶ 月は必要だろう。ただ、 契約内容に要員訓練が含まれる可能性は十分ある。

米海軍:無人機X-47Bで空中給油の実証へ

AW&ST電子版12月8日 ノースロップ・グラマンはX -47 B海軍向け無人戦闘航空実証機 ( UCAS-D )の二号機を改修し、自動空中給油(AAR) を海軍のプローブ・ドローグ式、空軍のブーム・ レセプタクル方式双方で使用可能とする。 米海軍は同社に単独契約を与え、AAR能力の実証を 2013 年ま でに実現する案を発表している。AARが実現するとN - UCAS (海軍版のU-CAS)の 2020 年実現目標である有人機以上の 偵察・攻撃能力を実現し、 敵の対艦弾道ミサイルの射程外から空母が陸上目標対象の作戦を実 施できる。製作中のX -47 Bはいずれも空中給油可能の設計。N - UCAS担当責任者スコット・ ウィンシップは二号機の移動式レセプタクルを利用可能とし、 給油プローブを取り付けるという。 X -47 B各機は空母発進、着艦の実証実験を 2011 年までに実 現する予定。自動空中給油の実証実験はUCAS - Dプログラムの 技術成熟の並列実施として企画。ただ、 海軍が独自で実証実験をするのか、空軍研究開発実験隊( AFRL) の自動化空中給油プログラムと合同で実施するのかは不明。 AFRLは 2011 年予定でブーム・ レセプタクル方式の空中給油をF -16 を無人機と見立てて実施す る。

E-3 AWACSの改修作業が進行中

AW&ST電子版12月3日 NATO運用のAWACS合計 12 機の大規模ミッション・ システムのアップグレード契約がボーイング主導のチームに総額 1 3.2 億ドルの中間近代化計画として交付された。 パートナー兼受託業者であるEADSがAWACS最終機の改修を 予定通り 11 月 3 日に完了した。 ボーイングもNATOのAWACS向けシミュレータ 2 基を中間近 代化仕様で納入している。 中間改修の主眼は新型の状況表示コンソールに以下を組み込んだこ とである。平面ディスプレイとユーザー・ フレンドリーの航法装置、 オープンアーキテクチャのミッション演算装置、 マルチセンサー積分により目標捕捉・識別精度を向上する機能、 また操作員の作業量を軽減するためにデジタル通信装置に衛星経由 で水平線外通信、 広範囲スペクトラムのVHF無線で近年増加中の東欧各国の空・ 陸部隊を支援すること、のほか、 敵味方識別機能の向上版で次世代国際航空交通管制システムとの互 換性あるもの、また、 最新の全地球測位システムを取り入れたものを装備している。 NATOのAWACS部隊以外もボーイングによる改良の恩恵を受 けている。 9 月にボーイングは米空軍のE -3 AWACSのブロッ ク 40/45 機体向けのミッション・ システムの飛行試験を完了した。これは同社によるとE -3 部隊の アップグレードでは最大規模のものという。また、同社は総額 42 百万ドル以内という海外軍事販売契約でサウジアラビア空軍のE - 3 A AWACS 5 機のレーダー改修第一フェーズを受注している。 初期診断でどの部品が老朽化しているかを判断し、 交換部品の試験および改修が実施される。 第二フェーズでノースロップ・ グラマン製のレーダーシステム改良プログラム(RSIP) キットの製作および取り付け、ソフトウェア統合と試験、 乗員訓練が行われる。

ゲーツ国防長官の課題

C -37 A機上にて。 オバマ次期大統領がロバート・ ゲイツ国防長官留任を発表してからわずか数時間後、 同長官は本誌に今後は国防総省の調達制度を整理することに焦点を 当てると語った。 ゲーツ長官は 12 月 1 日の本誌取材でハイテクを利用した米軍に匹 敵する敵に対峙する場合、 より安価な兵器でテロ戦争に立ち向かう場合、 さらに将来は国家ではない敵との対立の場合を想定した軍事力のバ ランスが必要と語った。 予算制約がある中で先例のない水準の各軍の協力が今後の軍事力構 築の構想と規模の設定で必要と言う。 各軍は運用上で交流を実現しているものの、 要求内容と調達業務では直接の合同企画づくりが欠落している。 「 これには各軍の司令部と原隊に加え長官官房の間でこれまではなか った形の協力関係が必要となる。これがこれまで機能していない。 ここが難しいところなのだが、 将来を見据えたある部門のプログラムにより多くの投資をして、 別の軍のプログラムへの出費を減らすと甘んじて受け止められるだ ろうか。」 これが将来の戦術航空機の兵力編成で鍵となる質問である。 例をあげると、ロッキード・マーティンのF -22 生産ラインが閉 鎖寸前となっている。マリエッタ工場(ジョージア州) の運命を左右する決定が三月までに必要と議会関係者は見ている。 その埋め合わせとなりうるのがF -35 だが、何機、 どの型式の同機を購入すべきかという問題がある。F -22 発注を 巡る意見対立はゲーツ長官が空軍参謀長を更迭することで米空軍の トップを入れ替える以前から続いていた。  「新参謀長は空軍にはF -22 が 381 機も必要ないと考えている 。また、 185 機で十分とも考えていない。そうすると、F -22 を追加配備したら、 代わりに共用攻撃戦闘機プログラムを犠牲にできるか、 と言う問題だ。」(同長官) 国防総省が空輸機・ 空中給油機の編成を見据える際にも同じ問いかけが発生する。 ボーイングC -17 の生産ラインも閉鎖が近づいており、 一方でロッキードC -130 JとL -3 コミュニケーションズ - ア レニア・ノースアメリカC -27 Jの追加購入が可能だ。 一方で、ボーイングとノースロップ・グラマン - EADS連合の競 争入札で給油機 179 機を完成さ

F-35を電子攻撃に投入する考え方

AW&ST 電子版 11 月 30 日 米空軍、 海兵隊向けの戦術電子攻撃機の後継機では長年の議論があったが、 F -35 が両軍に採用される可能性が高まってきた。 今日の戦闘で一番需要が高いのが電子攻撃(EA) を任務とする航空機であるのは軍事運用の専門家の一致した意見で ある。そのため、 より多くの機数と性能向上を求める圧力が存在する。 「電子攻撃は空軍、海軍、海兵隊の核心となるミッション領域だ。 電子攻撃が F-35 の中心ミッションとなるだろう。」( F-35 ライトニング II 開発の責任者チャールズ・デイビス少将) ただ、その開発は先例としての空軍のEF -111 レイブンや海軍 のEA -6 Bブラウラー・FA -18 Gグラウラーのアプローチは とらないだろう。 外部ポッドとアンテナアレイによる電子兵装の研究が進行中。 この追加電子兵装開発はF -35 の特徴である機体間のデータ交換 と組み込みずみのEA能力を活用するのが目標という。 「 F-35 は合計 80 もの異なるプラットフォーム間で相互運用を 想定し、 140 種類以上の情報を地上、艦船、 航空機との間で交換できる」(デイビス少将) 電子戦は合計 23 通りのミッションへの追加にすぎない。 「F -35 は第一世代のステルス機F -117 の教訓を生かした設 計だ。F -117 と違うのは戦術情報の共有能力がF -35 では最 初から組み込まれているが、ステルス性を犠牲にしていないこと」 (同少将) ただし、航空宇宙産業界では意見が分かれている。専門家にはF - 35 は電子戦能力が不足し、 機体内にシステムを追加する余裕がないと見る向きもある。 その解決策はジャマーと電力供給を兵装庫内に追加してステルス性 を確保するか、追加装備を外部搭載し、 スタンドオフの電子妨害任務に戻すかであるという。 「一機で電子攻撃任務の全部を実現することはできません。」( 電子戦に長い経験を持つ電子産業界の専門家) EA -18 Gグラウラーは双発で発電機も二基搭載して電力供給も 余裕があり次世代ジャマー(NGJ)を搭載できる。 NGJは長距離のスタンドオフ電子妨害能力があり、 風力発電装置の付いたボッド内に搭載する設計で、 多数の機体に搭載可能だ。

米空軍 代替燃料のフライトテストが進行中

Flight International電子版11月24日 米空軍は天然ガス由来の合成燃料を使用したロッキード・マーチン F-22 の飛行試験を実施した。同様に練習機、輸送機、 戦闘機でも試行する。 F-22 の飛行試験では異常は発見されなかった。また、 F119 エンジンの地上試験をプラットアンドホイットニーのウェスト・ パームビーチ施設(フロリダ州) 実施した際も同じとライトパターソン空軍基地(オハイオ州) の合成燃料型式証明官ジェフ・ブラウンは語る。 ノースロップ T-38 超音速練習機の飛行試験も最近開始され、 ロッキード C-5 輸送機は 12 月 9 日に実証試験飛行を実施予定で あり、 F-16 搭載のジェネラルエレクトリック F110 エンジン による地上試験は 1 月半ばに開始される。 C-5 実証試験はメンフィス州軍基地(テネシー州)から発進し、 「一回目は同機のエンジン一基だけに 50 % 混合燃料で飛行する予定です。 そのあとに二回目の飛行ではエンジン全基に混合燃料を使用します 。」(ブラウン) ロッキード C-130 輸送機、フェアチャイルド A-10 対地上攻 撃機、ノースロップグラマン RQ-4 グローバルホーク無人機、 ジェネラルアトミック MQ-9 リーパー無人機がそのあとにつづく 。「来年夏までに全部飛行させたいですね」(ブラウン) 米空軍は 2011 年目標に全保有機種に合成燃料の使用を型式証明 するのが目標で、 2016 年までに国内で使用する燃料の半分をフ ィッシャー・トロプシュ方式により石炭・ 天然ガス由来の合成燃料にしたいと計画中だ。 空軍は 12 月中に民間パートナーを選出し、フィッシャー・ トロプシュ方式による製造プラントをマルムストローム空軍基地( モンタナ州)内に設置する。

ノルウェーの選択はグリペンNGを退けF-35に

AW&ST電子版11月20日 ノルウェー国防省はロッキードマーチン F-35 を次期主力戦闘機 に選んだ。   F-35 統合攻撃戦闘機にはノルウェーも開発資金を拠出しており 、以前より選択肢のトップであったが、 同国は同時に小規模ながら同機の競争相手サーブ・グリペン NG に も出資していた。 スウェーデン政府の後ろ盾のあるサーブは営業攻勢をかけ、 見返りの多い製作分担提案を持ちかけたのでノルウェー産業界にグ リペン NG を支持する向きもあったのは事実。ユーロファイター・ タイフーンはすでに競合から脱落していた。 「統合攻撃戦闘機は候補機の中で優位性ありと考えられ、 情報処理、偵察能力、空中戦闘、迎撃、 対地上攻撃のいずれでも優れている。」(国防相アンネ・グレタ・ ストリーム・エリクセン) ただ、両候補機ともに採用に値する、と付け加えている。 この決定はサーブには痛い敗北で、ノルウェーをグリペン NG のロ ーンチカスタマーにしようと考えていた。 次の勝負は来年のブラジルで、同社の競争相手はダッソー・ ラファールとボーイング F/A-18E/F 。 「ノルウェー政府の決定は残念かつ驚かされました。 グリペンは運用性能要求を満たし、 価格は定額で明示していたからです。さらに、 広範囲かつ強力な産業協力案も提示していました。」(サーブ CE O  アケ・スウェンセン) ノルウェーは F-16 後継機として選択したため、 ロッキードにとっては大勝利。また、国際競争の激戦市場で F- 35 の初の勝利でもある。なおノルウェーの購入規模は 48 機で、 実戦配備は 2014 年開始が希望。 先週行われた本誌との円卓会議において米空軍チャールズ・ デイビス少将(共用攻撃戦闘機計画の責任者) はノルウェーとデンマークが結局は JSF 採用に回ると予測してい た。 同少将は性能の高さと西側同盟国との間に形成されるユニークな団 結心が F-35 の大きなセールスポイントだと指摘している。「 長い目で見れば同盟国のすべてが採用するだろう」(同少将) コメント:スカンジナビアの人名には疎いため、 上の国防相はじめと刷る人名には表記に誤りのある可能性がありま す。なお、 JSF  は統合打撃戦闘機と訳す向きがあるよ

F-22めぐり国防総省内に意見が対立

AW&ST 電子版 11 月 18 日 ホワイトハウスの主の交代が近づく中、 F-22 ラプターの必要機 数をめぐる意見対立が醜い様相を呈してきた。 国防長官付のスタッフは空軍の企画部門に対し議会スタッフへの発 言を封じ、ゴードン・ イングランド国防副長官および調達責任者ジョン・ ヤングを通した仕事をするように求めた。 議会内部に詳しい情報筋は国防総省は F-22 予算を抑制しており 、今後もそのまま続ける意向という。 これは法案と議会の趣旨に反するが、空軍への懲罰だという。 イングランド副長官は空軍が議会の承認をとりつけ、増産 20 機分 の予算手当に成功したのを苦々しく思っている。これで空軍の F- 22 調達数は 203 機になる。 しかしながら、国防長官官房が認めた予算はわずか 4 機分で、 航空宇宙関係者からこれでは政権交代期間中に同機の生産ラインが 停止となるのを防げないと不満の声が高まっている。 空軍の新参謀長ノートン・ シュワルツ大将は上院軍事委員会委員長カール・レビン上院議員( ミシガン州選出、民主党)に対して予算化ずみの 183 機以外に空 軍が何機の F-22 を必要とするのか近日中に証言する予定。。 参謀長スタッフは 250 から 275 機が適正と進言すると見られ、 これまで空軍が必要としていた 381 機から 100 機以上少ない規 模だ。 250 機あれば 24 機配備の 7 飛行隊あるいは 18 機配備で あれば 10 飛行隊が編成できる。 これに対しヤングは 2010 年度空軍予算には F-22 に振り向け る資金はないと指摘する。議会・国防長官ともに F-22 と C- 17 の生産を維持するための補正予算を希望している。 「ヤングはイングランドの意向に沿った発言をしています。 さらにヤングの周囲にいるスタッフはロッキードと空軍が主張する 数字はランド研究所の F-22 報告書を根拠としているとヤングに 思い込ませていますが、 この報告書は現状を反映していないのです。」( ワシントン在住の政府関係者で、空軍・議会・ 国防総省文官の乱闘の内幕を知る人物) 戦略国際研究センター発表の新しい報告書( 同センターの理事長はジョン・ハムレ、 オバマ政権の国防長官候補といわれる

米陸軍の航空事故損失は合計160億ドル

AW&ST 電子版 11月13日 米陸軍航空部隊の事故および緊急事態による損失合計は過去1 2年間で 162 億ドル相当と、 Aerospace DAILY 紙が陸軍戦闘準備安全センター提供のデータから分析し た。 事故及び緊急事態一件の平均費用は53万 9,281 ドルで、 うち最高は 62.4 百万ドルであった。人員の損失は合計 2, 856 名。 本会計年度になってからは A から C クラスの航空事故合計 7 件の報 告があったと陸軍は発表している。飛行中の事故は3件で、 陸軍の飛行時間実績で見ると10万飛行時間につき 2.385 件の 事故があることになる。 本会計年度の A から C クラスの事故数は昨年度より 65 パーセント 減で、過去三ヵ年平均より 73 パーセント低くなっている。 本会計年度になってからの死亡事故はまだ発生していない。 1986 年よりの累計で陸軍保有機中死亡事故が最多の機体は UH -60 ブラックホークで事故数は 880 件以上。次点は UH-1H ヒューイで 460 件以上。三位はチヌークヘリで、 CH-47D は 250 件以上と同分析は明らかにしている。 費用比較では AH-64 アパッチ各型が一番高価で合計 57 億ドル を事故関連で喪失。次が H-47 各型で 27 億ドルであるのに対し 、 ブラックホークが22億ドルで急速に増えていることが同分析から 判明した。 事故数合計ではヒューイが5千件近くになっている。 アパッチ初期型が 3.3 千件でブラックホークは 2.8 千件であっ た。 コメント: なんとなくアバウトな感じもしますが、 陸軍が直接まとめた事故統計ではなく、 陸軍発表の数字から独自に分析したためどうしても表現が直接的に ならないのでしょう。 それにしても軍事航空には多大な犠牲が伴うものなのですね。 本会計年度とは 2009 年度で10月1日より開始となっています が、 同上分析は11月10日までの40日間のことですので、 ご注意を。

F-22の生産続行に暗雲

米議会は国防総省に対し議会承認済みの1億4千万ドルを使い、ロッキードマーチンF-22Aの生産を次期政権誕生まで続けるよう要請した。 超党派による書簡で下院軍事委員会主要メンバーの署名つきで国防総省が予算を留保しようという動きはラプターの追加購入を「大いに阻害する」ことになると伝えている。 議会は2009年度予算でF-22生産を今後継続するため5億ドルを計上しているが、オバマ次期大統領の政権が3月1日までに同戦闘機調達を再度認証することを求めている。一方、国防総省に対しては合計1億4千万ドルの支出を認め、サプライチェーンを継続して同戦闘機の長期調達の継続を求めている。 サプライチェーンが途絶することを防ぐためにはロッキードに11月27日までに契約書が交付される必要があると上記書簡は注意している。 さらに同書簡は少なくとも1億4千万ドルのうち4千万ドルがあれば仮にオバマ政権がF-22購入をストップする決断をしたとしても、F-22AあるいはF-35統合攻撃戦闘機に有効に使えると記述。「この金額は契約成立に必要なアクションの完了に必要だ」としている。 米空軍は合計185機のF-22を発注しており、うち、2機を喪失しているが、必要数は381機であると説明している。新空軍参謀長シュワーツ大将は7月に議会に対して空軍が必要とするのは183機以上であるが、381機は過大であろうと発言している。同大将はかわりにF-35購入を促進し、戦闘機の不足を補いたいと考えている。 一方で国防総省内には少なくとも4機のF-22を戦時補正予算の一部として購入する案を検討していると同書簡は明らかにしている。議員の一部には少なくとも一年間延長して20機のフル生産を維持する案を支持する動きもある。(Flight International電子版11月7日より) コメント: F-22の生産終了が視野に入ってきたというところでしょうか。一時は日本のF-X候補にもあがっていたものの頓挫しており、生産維持のためには日本はじめとする同盟国向け需要をたてにつかう政治的判断もありかと思われていましたが、新政権の判断が注目されるところです。共和党政権であれば、と残念な結果になることもありうるでしょう。逆に航空自衛隊にF-35導入の可能性がいっそう高くなるということでしょうか。それにしてもF-1